やんまの目安箱

やんまの目安箱

ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダークウガ EPISODE32,33「障害/連携」 感想

キャラクター

 五代雄介
・「思いはみなさんと同じですよ」
このセリフいいね。攻撃されても、根本の動機が善だから許すってことなんだろうね。

 

 一条薫
・「笹山くんは、ルートがそれた場合、それに応じて第41号の追い込み地点を臨機応変に設定し、指示を出してくれ」
半径3kmの避難を臨機応変に変更って無理でしょ。ガメゴの時も大概ご都合主義だと思ったけど、これは流石に……。
・「申し訳ありません。また通達を無視してしまいました」
なんか、お咎めなしになっちゃった。まぁ、これぐらいはいいかな。

 


今回、映像的にも展開的にもすごく盛り上がったんだけど、そもそも何故一条が4号の正体を隠していたのかが僕にはイマイチ分からないんだよね。そして何故ガメゴとの一件でそれこそ明かしにくくなった今なのかも。
みのりになんてなんの成り行きでもなく「色々あったんだ〜」っていう土産話ぐらいのノリで話してたから、五代本人に隠すつもりは全くなかった。その後も実加、蝶野、榎田さん、ジャン……おやっさんにだってクウガがどうのって言ってたし、特に蝶野なんて信用できなそうなのに口止めすらしないし。警察組織が、ガメゴの一件よりも前の段階でクウガを敵視する理由は全くないと思うんだよな。法とかルールを遵守するなら、一般人である五代が警察から銃を借りるなんてあってはならないことのはずなんだけど、今回の話を見る限りはやっぱりクウガの世界は性善説的なので、ルールなんて杓子定規に守らなくてもみんな根はいい人だから大丈夫って感じだった。それならずっと前に明かすタイミングはいくらでもあったはずで、そうなると今回"ようやく" 力を合わせたことの爽快感が薄れるんだよね。ナメプしてたけど本気出しました、って話になっちゃう。
でもまぁ、全体的には、"頼りになる大人たち"って感じでかっこよかった。

 

次話

仮面ライダークウガ EPISODE34,35「戦慄/愛憎」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダー剣(ブレイド) 1話「紫紺の戦士」 感想

キャラクター

 剣崎一真
・「やっぱり一流だよなぁ、橘さんは。俺はまだ足元にも及ばないや」
こういうのを描きたかったなら、普通立場を逆にして、苦戦する剣崎を橘が助ける流れにするもんじゃなかろうか……?
・虎太郎に対してやたらとキレるし高圧的。橘さんの背中を見てきたせいだろうか……人類を守るためとかなんとか言ってたけど、なんかちょっと疑わしくなる。
・「人類と地球を守るため、か……」
どういうこと? 小さい頃に火事で両親をなくしたんだろうなってどこまでは分かったけど、それがそことどう繋がるんだろう。
・「そんな……それだけのことで橘さんを疑うのか? そんなの俺信じられないよ!」
なんで橘さんのことは信じて広瀬さんのことは信じないのよ。単純に、広瀬さんとは付き合いが短いんだろうか?

 

 橘朔也
・「お前の歯の立つ相手じゃない、見てろ」
なんで助けてもらったのにこんなに偉そうなんだろう……。
・「素朴な疑問をひとつ。俺を早く助けろと、剣崎を急かしたそうですね。そんなに俺の力が信じられませんか」
えぇ……素朴な回答としては、あんだけ劣勢なら信じられないと思うよ。あなたが一体どれほどの実績を残してきたのか知らないけど……。

 

 相川始
・「仮面……ライダー……」
なにこれ、怖い……。剣崎達のこと知ってるの? カードも持ってるみたいだし、BOARDの関係者?

 

 白井虎太郎
・とにかく可哀想。登場人物全員から意味もなく蔑ろにされて、親族はまだいいとしても、ほぼ初対面の上に部屋まで貸してあげてる剣崎や広瀬までアレっていうのは、もうお話の都合で「馬鹿にされるキャラ」と決められているとしか言えない扱いの酷さ。

 


「子供が見るものだからこんなもんでいいだろ」と言わんばかりの雑さがあるかと思えば、雰囲気にあまり合ってない自己満足な「かっこいい画」が写ったりと、とにかく支離滅裂な印象。スタイリッシュに見せたいのか泥臭さを出したいのか……。

 

次話

仮面ライダー剣(ブレイド) 2話「謎のライダー」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダージオウ EP08「ビューティ&ビースト2012」 感想

キャラクター

 常磐ソウゴ
・「それじゃあ根本的な解決にはならない気がする!」
ソウゴは王様(気取り)だから民を気にするのは当然かもしれないけど、ゲイツは別にそうじゃないんだから、そこを押し付けても話は平行線だよね……? 早瀬の事情を気にかけるように、ゲイツがアナザーライダーを倒そうとはやる理由を探ろうとはしないのだろうか。
・「もう彼の魔法は、人のための魔法じゃない」
元々自分のため(お嬢さんが喜ぶと自分も嬉しい)だったから、自分のためにキレるって流れなんだと思ってたけど、元は純粋に"他人のため"だったのか? 人の気持ちは難しいな……。
・「でも、個人的な問題なんかどうでもいい! って言ったのは、ゲイツでしょ?」
ダブルスタンダードに見えたけども、これもしかすると僕のスタンスに近いのかもな。今はウォズから情報を得るのが目的だから、うるさいゲイツを黙らせるために手っ取り早い理屈を付けただけ……なのかね。
・「ライダーの力は、何かをうまくいかせるためのものじゃない。誰かのことを、守るための力だ!」
少なくともゲイツは、たぶん、この時代の人を守るためにアナザーウィザードを倒そうとしてたと思うんだけど……事後対処じゃなくて予防ってことで。
・やはりソウゴの介入によって早瀬の気持ちはだいぶ変わったと思うんだけど、2話のウールに対する説教と食い違わない? 本人に電話させてたのは「自分が動かさないと」っていうことのあらわれだとは思うんだけど、キッカケを与えることがアリなんだとしたらウールのもアリじゃない?

 

 明光院ゲイツ
・「分かったか。お前が余計な真似をするからこういうことになるんだ」
ソウゴが邪魔しなくてもアナザーウィザードは復活するのでキリがないし、ツクヨミは特に脈絡もなくあの場に走ってきたはずなので、別にソウゴがあの場にいなかったとしてもあぁなることは変わらなかったような……? 前のシーンでは一緒に行動してたので、ソウゴを追いかけてきたんだろうか。あぁ、だとすると、ツクヨミはソウゴの見張り役だから、大人しくしてればってことか?
・「ツクヨミ……お前は俺一人でなんとかする」
今回の行動理由は分かりやすくて良かったかな。ツクヨミは未来での仲間のはずで、ゲイツはその仲間を失いたくなくて(取り戻したくて)わざわざ2018年くんだりまで来てる訳だし。
・ジカンザックスくるくる回してたのはあれだよね、キラキラなやつだよね。なんかそれは覚えてた。赤いのもあるし、それでゲイツが継承したのかって納得した。
・「ツクヨミ、俺たちは計り知れないやつを相手にしてるのかもな」
タイムパラドックスについてちゃんと考えてるのか、きちんと認識してるのか、タイムジャッカーについてはどうなのかなど、今のところの描写じゃ怪しいし、ソウゴがすごいってよりはあなたたちが杜撰なだけにも見えかねない。というか僕にはそう見えてしまった。

 

 ウォズ
・「君はウィザードウォッチを手に入れることに専念して欲しいな」
ゲイツツクヨミからの介入を妨げるならともかく、ソウゴに不用意に働きかけるのは歴史を守る立場としては逆効果なのでは? 逢魔降臨歴に書かれたソウゴは、他人の事情を気にするような人間ではないんだろうか?
・「私が教えると思うかい?」
逆になんで協力者なのに教えないの? 時間改変的な観点から言うなら、ソウゴの知りもしないことをウォズが教えてしまうのは正史から外れる原因になり得るけど、そもそもそれなら聖都大学附属病院のことを教えた時点でアウトだし、今回のソウゴはアナザーライダーとオリジナル変身者の記憶については経験から薄々勘付いてたはず。4話でツクヨミとも話してるし。こちらの方が改変の度合いは少ないと思うんだけどな。

 

 タイムジャッカー
・「裏切られたつらさを知る王は、復讐をもって時代を統治する」
えーっと……??? 木ノ下香織さんってそんなに歴史的に重要な人物なんですか? あの男の人と結婚して探すという新たな道で大成功して未来ではすごいことになってるとしたら、それを殺せば時代を統治……いやできないよね。今殺したってまだなんの得もない。婚約者を殺して自分が……ということでもない。僕は願いを叶えた後はアナザービルドのように無知性なものになると予想してるんだけど、それは違ってなにか別なようになるんだろうか。アナザーライダーの成功例が今のところ皆無だから、タイムジャッカーの目論見がまだ全く読めない。

 

 仁藤攻介
・「一体こいつが何なのか、何のために俺が持っているのか……それを思い出すまでこいつは渡せない」
彼の性格は全然記憶にないんだけども、確か考古学者って設定だった気がするので、そういう探究心の現れなんだろうか? 口癖が「皆まで言うな」だってのも知ってはいるんだけど、これも自分で調べたいとか知りたいとかそういう意味に取れなくもない。本編でどう使われてたかは、さっき言ったように本当に全く覚えてないけど。
・急に戦い出した理由が分からない。過去でライドウォッチを渡されたというとき、ゲイツは変身後の格好だったのだろうか? そう考えると彼の行動の辻褄は合うが……なんでだ。

 

 アナザーウィザード/早瀬
・タイトルにもあるように、彼の恋愛劇は美女と野獣をモチーフにした話だったっぽい。僕は原典を見たことがないので何とも言えないんだけども。こういう有名どころくらいは一般教養としてちゃんとチェックしとかないとなぁ……。しかし、過去作を題材とするだけでも大変だろうにそのうえ古典まで盛り込むなんて余裕ね。白倉さんに言わせれば、ウィザード自体が美女と野獣モチーフらしいけど。
・ソウゴの説教を聞いて悩んだ結果またアナザーウィザードに変身して、倒されたら後悔して……って流れが不自然。倒した後でソウゴが説教して考えを改めるって流れじゃ駄目だったのか?

 


設定

・「タイムジャッカーがアナザーライダーを生み出すことで歴史が変わり、オリジナルのライダー達はライダーではなくなる」
ジオウの設定を整理する上でここが非常に問題なんだけれども、結局新たな情報はなかったかな。「ビルドがいなくなったからスカイウォールももうないです」って理屈だとしても、少なくともアナザービルドという形では存在してるし、変身者が変わっただけと見ることもできる。敵が消えるかどうかっていうのも、この辺が鍵になってくるんだけど……その説明はまだまだ先かね。
・仁藤の記憶が戻ると同時に、ビーストリングが戻っている。やっぱり関連アイテムは"消える"もののようなので、戦兎のビルドドライバーと巧のファイズギアは"改変のタイムラグ"でしかなく、そのうち消えるものなのかもしれない。
・フェニックスが消える描写があったが、前にもどこかで言ったようにスコーピオンゾディアーツ(そしておそらくエレファントオルフェノク)同様、「そこにいなくなった」だけであって消滅した訳ではないと思われる。理由としては、ゾディアーツの場合"ゾディアーツ"という存在が消えたのなら弦太朗のように変身解除した園ちゃん先生があの場に現れるはず。しかしおらず、じゃあ彼女の存在そのものが消えたかというとそうではない(大杉先生が写真を所持)。よって弦太朗にかかった改変とは少し状況が違うのだと予想できる。
・佐久間の件もそうだったけど、どうやらレジェンドウォッチの力で倒しても、アナザーライダーがいた歴史自体はなかったことにはなってない様子。このあと改変で全部なかったことになるんだとしたら馬鹿らしすぎるからさ。でもだとすると、色々とまたややこしいことに……ちょっと今は余裕がないので、またの機会にしっかり考えます。

 

 

アナザーライダーの代わりにジオウ/ゲイツのアーマーが存在してた歴史に塗り替わるのかと思ってたけど、白倉さんのツイートにもあったようにどうやらそういうことではないらしい。設定面はややこしくて把握するのが大変だ。
ストーリー面で言えば、原典を知らない置いてけぼり感がひとつ。そしてジオウメンバーのスタンスが未だぼんやりしてることによる置いてけぼり感もある。

まぁ、年明けまで時間はある。それまでに追々整理していかれるだろう、きっと。ウィザードについても、はやいとこ見返しを追い付けて(何ヶ月後になるか分からないが)、改めてまた見たい。

……年明けてからの追記なんだけど、思ったよりも重要なテーマを扱ってた。未来の自分との対話ってのも、今後のソウゴを示唆する何かなのかもしれない。

 


補完計画8.5話「恐怖のタイムパラドックス

ゲイツタイムパラドックスに言及していたものの、ちょっとよく分からない。「2018でライドウォッチを持ってたってことは、これから俺たちが2012に行ってブランクウォッチを渡すんだ」理論だと、「2068でオーマジオウが存在しているということは、これから俺たちが2018に行ってもどうにもならないんだ」となるはず。ゲート(Gate)とゲイツ(Gates)のネタを拾ってきたのはなるほどと膝を打ったけども、大事なのはそこじゃないだろ……と、かゆいところに手が届かない感じ。こうやって補完してるようでしてなくて、結局「本編をお楽しみに!」な感じになるのがこのスピンオフだと僕は今改めて学びました。

 

 

追記

'19/3/21
・やっと気付いたけど、今回はビルド以来の、「力を渡す資格があるか確かめる」というレジェンド本人の意思があったエピソードなのか。2話と違ってゲイツだけど。変身後で渡されたから生身じゃ分からなかったって、当時の僕はどれだけ遠回しな解釈をしてるんだ。
・"循環"がジオウにおいてキーになってるっぽいという話は何度かしたけど、言語も基本は循環してる、或いは"そういうもの"として存在してるんだよね。辞書なんかは、言語を言語で説明している以上、延々と辿っていけばいずれ循環してしまうのは簡単に想像が付く。また、例えばイスという言葉の説明として指差すというジェスチャを採用したとして、では「なぜそれが"イス"なのか」という問いは、ある程度までは由来を遡ることは可能だろうが、いずれは言語の恣意性という壁にぶつかる。音象徴という考え方(ブーバ/キキ効果が有名)も、感覚的な納得に由来する"自明性"を根拠にしている。
ぎょっとするようなライダーデザインを"見慣れる"という現象があるように、『ジオウ』も話数を積み重ね歴史となることで、"そういうもの"として人々の深層意識に定着していく。時の王者という言葉の意味が分からない子供でも、あの格好をしたキャラクターがジオウと呼ばれていることはそのうち分かる。
近視眼的な「何故(Why)?」は思考停止と大して変わらない。無限に問い続けるか、循環させるか、ドグマを設定するかのどれかだ。
・今回の話、『美女と野獣』というよりはむしろ順一郎さんの言ってた『眠れる森の美女』みたいだった。そう、わざわざこのエピソードを見返すにあたって見たのよ、『美女と野獣(2014)』。正直あんまり似てるとは感じなかった。その映画自体は、全体的には「欲張るな」に近いテーマがあって、そこに色々と装飾を付けたみたいな印象。
・っていうか何気にビーストライドウォッチ持ったままなのずっと触れられてないけど、結局なんだったんだろう。持ってたからって記憶が保持される訳じゃないのは明らかなので、仁藤が単純に好奇心か何かで持ってるだけってことになるのかもしれないけど……。「販促に手が回り切らないパターンもある」という描写だったのかな。
・今思うと、元は誰かのために動いていたはずなのにいつの間にか自分のために力を使い出す早瀬っていうのは、縮小版オーマジオウだったのかもしれない。未来からのメッセージというのは、そう考えるとゲイツツクヨミかも? 1話アバンのシーンで、あれだけの人が消滅する中であの2人だけが助かって、しかも過去に飛んで歴史を変えようとするなんてちょっと不自然だと思っていたけれど、過去の自分に"同年代の友達"をつくるチャンスを与えた……「寂しい」の告白≒早瀬の告白、という構造なのかなと。
早瀬が'12年で車とビルを消していた描写も、ソウゴの言ってた「まだ悪いことしてない」が勘違いってことになるのになんで付け足したのかなぁと思ってた(まぁ倒す理由として必要ではあろうが)んだけど、今のソウゴも無意識に悪用(というかアナザーライダー出現も含めてマッチポンプ)しているとするなら、"縮小版ソウゴ"である早瀬がその時点で悪いことしてるのも納得がいく。

 

ジオウ感想一覧

前話

仮面ライダージオウ EP07「マジック・ショータイム2018」 感想

次話

仮面ライダージオウ EP09「ゲンムマスター2016」 感想

過去作

ウィザード感想一覧

仮面ライダー555(ファイズ) 18,19話「九死に一生/純白の正義」 感想

キャラクター

 乾巧
・「それにまぁ……俺が奴のことをどう思おうがこれだけは言える。奴は何があってもそう簡単にめげないしくたばらないってな」
前回まであれだけぶつかってたのに、良い面もちゃんと見れるのはすごいよなぁ。真理を安心させるため(捜索するとなったら面倒だからとも取れるけど)にさらっとこういうこと言えちゃうのも。なんと言うか、口下手ではあるけど人としてはかなりできてる気がする。
・「おい。相手は子供だ、これ以上怖がらせるもんじゃないぜ」
こはちょっと残念。"子供"というよりは一人の人間として描かれてるように見えたから、そういう括りにしちゃうのはもったいない。

 

 菊池啓太郎
・「かき氷を食べれば幸せになれそうな気がする」
他人の幸せを願う啓太郎に対する試練として我儘で振り回すっていう構図は、小説版でもあったね。啓太郎にとってはここが一番重要なエピソードってことになるのかな。
・「俺だって、もう手を離したりしないから!」
いつも声を震わせて腰を抜かしてる啓太郎がオルフェノクに敢然と立ち向かう姿は、素直にかっこよかった。
真っ白い洗濯物がきっかけで記憶が戻るのもgood。

 

 木場勇治
・勘違いでファイズに襲いかかる。前の話で巧が結花をかばったのと若干似てるけど、巧はクレインオルフェノクのことを知っていたのに対して木場はこのピエロがいいやつかどうかを全く知らないまま"ファイズにやられてるから"というだけの理由で行動している……なんか、副主人公というにはあまりにも理がない気がする。巧と全然対等じゃない。

 

 

井上敏樹が書く子供って、「たまたま年が周りより下なだけの個人」って感じする。まぁ彼の書く大人が結構子供っぽいってのも手伝ってるかもしれないけど。自分でお金稼いでプレゼントを買うなんて、まぁ言っちゃえばリアリティがないけども、でも僕としてはいい塩梅で物語として許される範囲の嘘なんじゃないかな、と。
完成された人なんていないし、そういう意味では大人も子供もイーブン……って言いたかったんだけど、たっくんが"子供"って言っちゃってたのがやっぱりひっかかった。

 

次話

仮面ライダー555(ファイズ) 20,21話「美しき刺客/加速する魂」 感想 - やんまの目安箱

劇場版 仮面ライダー剣(ブレイド) MISSING ACE 感想

えーっと……本編が32話に差し掛かったんで見たんだけど


とんでもなくつまらなかった。


びっくりしたよ。エグゼイドを見てるような気分になった。
軸みたいなものは見当たらず、いい感じの雰囲気と共にただ仮面ライダーがドンパチやって終わり。正直感想が出てくるような作品ではないので、思ったことポンポンと羅列した後はいろいろ考えたことを書きます。


まず、剣崎が序盤のキレやすい性格になってた。これが一番キツかったポイントかな。新世代ライダー3人組が剣崎達に邪険にする理由も適当だったけど、とにかく主人公が訳もなくすぐにキレるっていうのは見てて気分のいいもんじゃない。
巧みたいな照れ隠しとか不器用さの表現ならともかく、剣崎はただストレートに自分の気持ちをぶつけてるだけだからなぁ……「俺は先輩だぞ」とか、印象最悪。「人の気持ちが分かるのが大人」なんて言ってたけど、説得力全くなかった。
あー、でも、本編で「こんど」と言いつつ放ったらかしにされてる天音ちゃんへのプレゼントをきちんと渡してたのはちょっと嬉しかった。4年後かよって感じだけど、まぁクウガでは13年越しに小説で一条と実加のいざこざが解決ってのもあったしな。これくらいなら可愛いもんか。


広瀬さんが天音ちゃんの誕生日に出ないってのも、「そりゃ関わりないもんな」って感じで違和感なかったかな。あれに関しては本編がおかしいだけなんだけど。

 

本筋は、なんていうかこう、ただの2話完結で使われるようなネタ。「殺人が起きて、犯人だと思ったやつが殺されて一番意外な奴が犯人!」っていう、だから何だろうとしか思えないもの。アルビノジョーカーってのは何だったんだろう。序盤のDouble Jokerを拾ったのかな。確かにジジババと2枚あるもんね、普通。

 

最後の一番盛り上がるシーンも結構微妙で、突然始が剣崎に自己犠牲するよう促したかと思ったら土壇場で自分が犠牲になって、天音ちゃんを助けるっていう。倒す役割の人が残ってなきゃいけなくて、最初から自分が犠牲になるって言ったら剣崎は渋るだろうってのも分かるんだけど、そもそも天音は栗原さんの血縁者だから選ばれたんじゃなかったの? っていう疑問が浮かんでそれどころじゃなかった。
始が身代わりになれたのは多分"ジョーカー"だからなんだろうけど、あくまでそれってカードスキャンですることだしなぁ、と。

 

 

僕は映画を見て育ってきた人間ではないし、特別映画が好きって訳でもないので、「映画の見方」というものがよく分かっていない。と思う。

 

僕の中の認識では、ドラマとアニメが最もスタンダードな形態で、主はストーリー。映画はその"延長"というイメージが強い。"劇場版"と名のつくものに多く触れていたから。
マンガはどちらかというとアトラクション的。週間連載で毎週ドッカンドッカンやる感じ。
小説は観念的。強いて言うなら夢に近い。

白倉さんは映画のことをアトラクションだと言っていたけど、なんとなく自分でもそんな気はしている。たまに海外の映画とか見ると、特に。

 

まぁそんな感じで、あくまで"映画"であってストーリーを見るものではないのかなぁなんて、そんな気にさせられた作品でした。

 

本編まとめ

運命のマッチポンプ『仮面ライダー剣(ブレイド)』 本編感想 - やんまの目安箱

悪者とは弱者である『語ろう! クウガ・アギト・龍騎/555・剣・響鬼』高寺成紀編 感想

※本記事には、度々仮面ライダーの話題が出てくるが、仮面ライダーをご存知ない方がそこを適当に読み流してもある程度は主張が分かるようになっている、はずです。

 

タイトルに冠したのは、最近の自分の所感だ。

どうしてこんな記事を書こうかと思ったかといえば、響鬼を見るに先立って『語ろう!』の寺成紀プロデューサーのインタビューを読んだところ、その善悪観に違和感を覚えたからだ。

余談だが、この多少なり特定の個人に対し否定的な意味を持つ記事を書くに当たって、僕にできる配慮として、決して良いことではないけど、ネットで高寺さんの顔写真を見て、YouTubeに転載されていた彼のラジオ番組を少し聞いた。
僕が向き合うものは変わらず『語ろう!』のインタビューなんだけれども、相手の顔と声を知った上で読むのとそうでないのとでは、読み味がだいぶ違う。特にこれは、インタビューだから話し言葉だし、これだけでも文章は少し息を吹き返す。人を相手にしていると意識して物を言います。と言っても、明らかに歯に衣着せるとかそういうことではないから、僕の自己満足ではあるんだけど。

 

 自分の中では、大岡裁き的なスタンスで、強者から弱者を、悪意から善意を、現実から理想を、守ることなんじゃないかと思ってます。(クウガ・アギト・龍騎 P222より)

これはクウガを見ていて感じたことなのだが、あの作品は「弱者に厳しい」。
ここで言う弱者とは、主に蝶野のことだ。詳しくは本編のまとめとか各話感想に書いたから省くが。
またグロンギを"相互理解不可能な者"として描く(実際その気があったかは分からないが多くそう捉えられている印象)のも、悪人を"人でなし"と呼んでしまうような心理に似ている気がする。
僕はきっと蝶野に近い人間なので、単純に、彼が責められるのは見ていてつらいのだ。

……そうだな、そういう意味ではむしろ、クウガ性善説的ではないかもしれない。
蝶野のことを"最低"と罵るクウガが描いていたものは、とても極端に言えば「人間の本質は善である」ではなく「本質が善でないものは人間ではない」なのかもしれない。対偶だから両方同じように見えるけど、"人間"の定義が違う。
前者は「悪人も心の奥底では善人である」、後者は「悪人は人間ではない」みたいなニュアンス。

まぁ、僕は人間の本質が善だなんて思ってないけど、かと言って悪だとも思ってない。僕の善悪観についてこれから話していく。


善なるものとは強いものであり、悪なるものとは弱いものである

僕の考えは一口で言うとこうだ。

種明かしと言うほどのことでもないが、結局どちらも形のない仮想的な概念なので、言い換えることで定義が明確になったりすることはない。
では何故わざわざ言い換えるかというと、まず強弱の方がグラデーションで想像しやすい。そして、これも表現が難しいんだけども、"仕方ない"感がある。
すぐには伝わらないと思うので、そう思うに至った過程を少しずつ話していく。

 
そんなに大したことじゃないが、僕は幼少期に継母から虐待と呼べるものを受けていた。"虐待"という言葉にも各々の定義があろうから、苦痛を感じていた事の具体例を挙げさせてもらう。

日常的にあったこと
1. 叩く,引きずる,投げるなどの暴力と暴言,無視
2. 食事を抜かれる
3. 家から閉め出される
4. 何時間も歯磨きをさせられる
5. 納得させられる反省文を書くまで寝ることを許されない
6. 罰としての手伝い(食器洗い,風呂掃除,草むしりなど)
特に印象に残ってること
・秋か冬に裸で閉め出される
・風呂場で性器をちぎられそうになる(副次的に溺れる)

箇条書きにすると本当に大したことないな。
大抵は、冷蔵庫の中にある食べ物……ナゲットとかソーセージとかアメリカンドッグとか、レンジでチンしてすぐ食べられるようなものをよく勝手に食べていて、その罰としてこういったことをされていた。またその頃は吃音のきらいもあったので、宿題の音読などで吃った時も「隠しごとをしている」と見做され、同じことをされた。

細かい補足をする。2は、学校のある日は給食を食べられた。3は、記憶に残っているのはおおよそ20:00〜2:00くらいまでで、継母が土曜日に仕事だったりすると、帰宅する17:00まで玄関の前で待っていたりした。いわゆる"鍵っ子"……正確には「"留守家庭児童"だが鍵を持たされていなかった」ので、学童を辞めてからは学校が終わってからの時間も外で待っていた。4については、いつも歯垢検査薬(赤くなるやつ)を塗られて、完全に色が落ちたと継母が認めるまで、何度も磨き直しをさせられていた。時間がない場合はえづくほど乱暴な"仕上げ"もあった。
頻度等については記憶が曖昧なので言及しないが、小学校1〜3年くらいの期間はそのような生活を送っていた。

もうひとつ、こちらは実母との話。
5歳くらいの頃の離婚から、およそ10年ぶりに向こうから連絡があり、虐待の話などもしていく上で精神的に依存するようになっていった。
ただ、実母は新しい子供の世話をしている上に(たしか)躁うつ病も患っており、あまり僕に割く余裕がなく、色々と僕が負担をかけた末に無視されるようになった。

 

さて、誰が「悪い」だろうか。 

僕の善悪については自分では判断しかねるので保留として、それ以外で最も責任を取らせるべきは誰かと、自分の胸のうちに溜まった泥を誰にぶつければ良いのかと、しばらく考えていた時期があった。

実母に対して、病気で余裕がないことを責めるのは筋違いだ。
継母も、はじめての育児……しかも自分が産んだ訳でもない子供で戸惑っていたのだろうと考えられる。別に、僕が憎くて嫌がらせをしていたのではなく、ただどうすれば僕を躾けられるのか分からなかったのだろう。聞いたところによると、彼女もそうやって育てられたという。

そこで初めて、自分に"害意"が向けられていなかったということに気付いた。
そして、自分が抱いていた「泥をぶつけてやろう」という気持ちこそが"害意"だということにも。

母達の行為に対し、自分はひどく被害を感じたものの、それは事件ではなく事故と呼ぶべきものだ。
だが僕が例えば継母に報復をしたとすると、それは事件であり分かりやすく"悪い"。

ここで、自分の罪を減らすような言動をするのは変な感じなので代わりに同じ境遇の別人(クウガで言えば蝶野)を想定したとき、僕は少なからず同情をする。


そもそも悪意……もとい害意とは何かと考えたときに、純粋に言葉通りな"害意"というものは存在しないのではないかと思い至った。自分の利を求める気持ちのうち他人の損を伴うものをそう呼ぶだけであって、「(それによって自分には何も得はないが)害を与えてやろう」というケースは、少なくとも自分には想定し得なかった。

ここまでこれだけのんびりと語っておいてなんだが、どうやらここから思考が少し飛躍している(というか過程を覚えていない)。多分、『寄生獣』とかを見ていた影響なんだろうとは思うが。

えーっと、結論としては、「自分の利を求めるのは自明として、他を害してまでそれを求めるのは余裕がないから」ということになる。

報復をしないという善さというのは、胸のうちの泥を背負って生きられる強さ・余裕のことであり、報復をしてしまう悪さというのは、それを背負い切れない弱さ・余裕のなさと同義なのだと。
ミギーは別に、悪いことしてる訳じゃないよねって。

近年では、以前感想を書いた『聲の形』なんかもそこのところをうまく描いてたかな。

86ma.hatenablog.com

 

だから、僕は高寺さんが難色を示していたライダーバトル……争いの権化とも取られやすい浅倉のことを「作中最も弱い人物」として捉えてるんだよね。
五代が泣きながらも暴力を振るうしかなかったように、浅倉は浅倉でああせざるを得ないほどに余裕がないんだろうなって。それを井上さん的に描いたのが、「暗い過去のトラウマ(泥の味)から逃れようとしている」という感じになるんだろうけども。
度々ファイズに襲いかかる木場だって仲間を守ろうと必死なだけだし、仲違いを画策する草加だって母親を求めてもがいているだけ。
剣で言えば、利用されてしまった橘さんや操られた睦月なんかは分かりやすく被害者だよね。

 

反対に、弱い者を悪だと捉えることもできる。そういう意味で、子供って"悪"だと思うんだよね。

椿秀一「未確認達が自分の笑顔の為だけにあんなことをしたおかげで、あいつは自分の笑顔を削らなければならなくなった」

子供は自分の笑顔の為に、他人……主に親の時間や心、体力を蝕む。もし彼らが「生きていてくれるだけで嬉しい」的な、"愛されている"が故に生きることを許されているのだとしたら、グロンギ達は愛してもらえなかったから殺されたことになる。

ペットで考えるともう少し分かりやすいかな? 可愛がっているうちはいいけれど、愛がなくなれば金はかかるし家を汚すしで害獣でしかない。

 

グロンギはただ「遊びたい」だけだ。その結果、人間からすると加害に見えてしまうというだけの話。
子供で例えるならば、興味本位で火遊びをして家が燃えてしまったとか。その時、子供をキックで爆殺して大団円となるだろうか。

愛されない獣から愛されている獣を守ることが、正しいことなのか? 不公平じゃないか?

五代はこれに自覚的だった。と思う。五代をはじめとする人間にグロンギを愛し許してやる度量がないせいで、グロンギに負担を押し付けてしまった形になる。……別に責めてはいない。だが五代はそれを悲しみ、涙を流していたのだと信じている。

 

『555・剣・響鬼』のインタビューではより多様な正義やグレーな状態などといったワードも出てるし、響鬼では結局怪人に負担のほとんどを背負わせてしまったクウガから進化した作品が見られるんじゃないかと、今は期待してるかな。とは言え途中降板云々という話は当然知ってる訳なんだけれども、少なくともそういった「相対的でよりベターな答え」を描いてきたのがアギト・龍騎・555なので、実は後半も意外とうまくいくんじゃないかなと密かに期待してる。

 

あ、ちなみに、タイトルに「高寺成紀編」と付けたけど、今回は彼についてしか書かないというだけの意図で、特に他の方について別に記事を書く予定はないです。でも書かないと決めてるわけじゃないので機会があれば或いは。 

86ma.hatenablog.com

86ma.hatenablog.com

86ma.hatenablog.com

運命のマッチポンプ『仮面ライダー剣(ブレイド)』 本編感想

見終えました。各話感想は後ほど。


満足度は10点満点で4かな。やりたいことは見え隠れするけどあまり伝わってこない印象。
前半後半などと分けられることが多い今作だけど、良かったのはせいぜいこれからに期待を持たせた中盤くらいで、終盤は序盤とどっこいどっこいな感じだった。
以前に見たときはラストにいたく感動したものだけど、今見るとそんなことはなかったね。今回は主にそこについて取り扱おうと思う。

 

 自己犠牲

まず引っかかったのはこれ。自己犠牲の是非については、序盤で結論が出てるんだよね。「ヒーローを心配する仲間がいる」と。その時は、なぜか「心配してくれるんだありがとう」と言いつつ欠陥のある(と思われた)ライダーシステムを使い続けるという奇行に走った訳だけれど、言ってること自体は間違ってない。虎太郎も、広瀬さんも、始も、橘さんも、睦月も、あとたぶん烏丸所長も、剣崎のことを心配していることだろう。橘さんだけはあったけど、全員がきちんと剣崎の選択に納得している描写がなければ、この話は成り立たない。羽美との約束も反故にしたかたちになるしさ。失踪したって聞いたら、彼女もきっと悲しむでしょ。
最終2話をあれだけ尺余らせたような薄い展開にしておいて、どうしてそのあたりの描写がないのか、甚だ疑問。例えクウガの物真似だと言われようが、ああいう結末にするのであれば、48話でケリをつけて49話で剣崎の選択について彼らが納得する様を描くべきだったように思えてならない。


 欲張らない

家族を守れなかったトラウマから、全ての人を守りたいと欲張るようになったと、剣崎は語っていた。が、上に挙げた人たちを犠牲にしているのはもちろんのこと、始ひとりを信じるために今この世にいる全生命を犠牲にするような決断をするという流れはおかしすぎる(正確には剣崎が直接決断した訳ではないが、睦月は剣崎の代弁をしたつもりだったので、もしただの勘違いで危うく世界が滅びかけたのであればそれは馬鹿らしいと言う他ない)。
もちろん、そういう作品はあっていい。世界よりも個人を選ぶ人はいてもいい。でも剣崎は明確に全ての人を守りたいと言ってきたし、いわゆるブロマンス的なそれと捉えるにはあまりにも剣崎と始の関係は薄すぎる。
あくまでも、始は人間に近いから"守るべき対象の一人"として目をかけてきただけのはずで、始のために人類を危険に晒すのは明らかに理屈が逆転している。


 ダブルスタンダード

これも気になった。始がジョーカーでいることを拒むようになったのは、あくまでヒューマンアンデッドが働きかけたからであり、いわば洗脳されただけに過ぎない。本来のジョーカーは、他の者が言うような冷酷な殺し屋でしかない。
そしてこの構図は、カテゴリーAに影響され暴走・迷走する睦月と被るものがある。
睦月サイドの話を「スパイダーアンデッドの呪縛から解放されてめでたし」とするならば、ジョーカーも「ヒューマンアンデッドの呪縛から解放されてめでたし」でないとおかしいと思うのだ。
とはいえ、作中人物がこの矛盾に自覚的な場合はその限りではない。何か明確な基準でもって(例えば他を思いやる気持ちがあるかないか)成敗するのは、まだ受け入れられるものではある。けれど、ブレイドの作中ではこの2つの問題は同時進行こそするものの全く別のものとして取り扱われ、別個に解決する。それぞれの話は感動的かもしれないが、2つがブレイドというひとつの作品内に共存することで非常に強い干渉が起こっている。そこに一切触れずに終わるというのは、前作555で既に矛盾を扱ったからということを差し引いても、自分の中では"ナシ"という結論に至った。


 共存……?

終盤で割と唐突に触れられた共存についても、色々と疑問が残る。初期こそは仮面ライダーシステムの存在自体がそれを示唆するものだとも思ってたけど、レンゲルがリモートしたエレファントを仲間とか言う描写で、普通に考えてあれは"使役"という明確な主従関係だから違うなって気付いた。
イーグルが動物園で檻に入れられ見世物とされていることに言及していたがその後は特に触れられないし、どころか"心優しいアンデッド"風な嶋がカナリアを檻に閉じ込めていたりと、不可思議な描写ばかりが目立った。結局ギラファは人間を拒絶したし、共存は無理という結論で良かったんだろうか?
一応、色んなエピソードを通して筋になりそうなものといえば「他者を思いやる気持ち」なんだけども、それの代名詞とされている人間の始祖たるヒューマンアンデッドがジョーカーを洗脳しているのがなぁ……。
ついでに言えば、天王寺さんの意見もやり方が気に食わないってだけで封殺されてしまってもったいなかった。


 運命と戦う

このテーマについては、中盤で示されて非常に興味を持った。モチーフであるトランプとも相性がよく、終盤ではナレーションでも「置かれた状況」を「配られた手札」に喩えていた。しかし、それではどうやっても龍騎と被るどころかその劣化にしかなり得ないし、前述の矛盾も結局555以上に踏み込むことはできなかった。
更に追い打ちで、「ギラファを封印する前にリモートしとけばよかったんじゃないの?」となったことで、剣崎達のせいでめちゃくちゃになった地球を救うというマッチポンプ感が生まれてしまう。リモートで解決できないのならば、ギラファ封印後ではなく先にそれを示すべきだった。
うまく料理すれば面白くなっただろうなと思うだけに、「運命とは言っても自分たちが勝手に状況悪くしたたけじゃん」となってしまったのが非常に残念。

 


そんな感じかなぁ……?
ライター交代は語り草だけど、形式的には同一性を持ったひとつの作品として引き継いでる訳だし、前半の流れをなかったことにして話を展開するのは違うと思ったので、全体として筋が通ってるか否かを考えた結果、こういう結論になった。終盤"だけ"ならまぁまぁ良かったと思うよ。最後のシーンも映像としては綺麗だったしね。どちらかというと文学的というか、余韻に浸らせるような。

剣はその後が小説版とかたそがれで語られてるから本編見終えたらすぐ読む予定だったんだけど、正直その本編にそこまで心惹かれなかったので、また気が向いたら読みます。

アンチと呼ばれる自分の心理 - やんまの目安箱

 

本編

仮面ライダー剣(ブレイド) 1話「紫紺の戦士」 感想 - やんまの目安箱

劇場版

劇場版 仮面ライダー剣(ブレイド) MISSING ACE 感想 - やんまの目安箱

前作

混沌への挑戦『仮面ライダー555(ファイズ)』 本編感想 - やんまの目安箱

 

86ma.hatenablog.com

仮面ライダー龍騎 39,40話「危険のサイン/兄と妹の記憶」 感想

キャラクター

 城戸真司

・「お前……全然分かんねぇよ……」

考えるタイプにはなかなか分かんないだろうなぁ……東條みたいなのは気分で動くから。だからこそ香川に依存しないとやってけない訳だけど、多分一人でいたらそれはそれで無害なやつなんだよな。難しい。

・「あいつ、訳分からないんだよ。仲間だって平気に……それでも……それがあいつにとって正しい方法なんだ。あいつだけじゃない。ライダーはみんな、自分が正しいと思ったことをやってるだけで……。そうかもな、俺なんかが割り込む必要ないんだ」

はー、なるほど。東條のことは全く理解できない、でもだからこそ逆説的に"彼なりの正しさがあるのでは?"ということに思い至るってのはなかなか面白い。なまじ理解できてしまうと、話せば分かる(こちらの考えに寄せられる)と思ってしまいかねない。

・「俺は、助けたいから……助けただけだ」

自分のエゴに自覚的になった。そのきっかけが優衣の言葉ってのも、ようやく彼女がヒロインらしい活躍をしたなってのも合わさって結構良かった。ただ大事なのはこれからどう行動するか。楽しみだ。

 

 浅倉威

・「ここか……祭りの場所は?」

また脱獄。まぁ今回は森本を出すことに意味があったからいいけど、同じ展開の繰り返しは普通良くないからね。

 

 東條悟

・真司と対象的にポーズがめちゃくちゃ凝ってるのよね。あの変身の対比はかなり好き。

・「仲村くんのために泣いたのはホントなんじゃないかな。残念だったし。城戸くんのためにも、泣くかも」

本当にふわふわしていて掴みどころがない。

 

 香川英行

・「一度見たら忘れられない」ってキャラ設定は、一度こうだと思ったらその先入観から逃れられない頭の硬さを暗示してそう。

・正義のためならば家族をも犠牲にする……まぁ、人を殺す覚悟を決めてるんだからそれくらいじゃないと筋が通らないよね。

 

 森本弁護士

・また出たね、思考停止キャラ。こいつはモブだけど、香川のような奴はそんな現実離れした存在じゃなくて割とすぐそこにいるってことを示すような意図を感じる。本人は善意を持って行動しているんだけど、それを疑わな過ぎて(思考停止)結果的に悪行と大して変わらない、簡潔に言えば独善的な人。この人の場合は性善説の盲信かな。

 

 

いいねいいね、東條が掻き回してくれる。次回は佐野も出てくるし、加速度的に面白くなりそう。

 

次話

仮面ライダー龍騎 41,42話「インペラー/401号室」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダーアギト 35,36話「謎の救世主/4人目の男」 感想

キャラクター

 
 津上翔一
・「俺なんか嬉しくてさ。あの人とは本当に分かり合えるって言う感じがして。やっぱりアギト繋がりってやつ?」
アギトであることに悩むことってなかった(前回の悩みはアギトであることによって"アンノウンに狙われること")けど、分かり合えると嬉しいっていう正の方向のリアクションはあるってのがなんか面白いね。

 

 葦原涼
・「俺は今まで訳の分からない運命に弄ばれてきた。だがそんなことはもうご免だ。自分の手で、俺は自分の未来を切り開いていこうと思ってる」
かっこいいと思ったけど、やってることは前と変わらずあかつき号事件を調べてるだけだった。
・でも、副作用がなくなったおかげで他人のためにもフレキシブルに戦えるようになったのは良い変化だね。

 

 木野薫
・「アギトはこの世で俺だけでいい」
自分以外が人助けをすることは許さないっていう、すごく独特なキャラクター。涼が人を救うために戦えるようになって、3ライダーが"人助け"で繋がったこのタイミングで出てくるには相応しい。また亜紀以上に場を掻き回しそうだ。

 


提示された謎

2.翔一の記憶
11.翔一が持っていた手紙
12.子供
15.あかつき号事件
16.風谷伸幸殺害事件
17.アギトマーク
19.ノアの方舟
21.「こっちに来て」という音声
22.榊亜紀の目的→多分アギトの力を持つ者に守ってもらうため

 
3人で収まり良かったのに、4人目が加わることで全体のバランスが崩れる感じ。なんだっけ、おそ松さんだっけ、センターつくれないとかなんとか。なんにせよまたしばらく退屈しなそう。

 

次話

仮面ライダーアギト 37,38話「暗闇の戦士/その正体…」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダージオウ EP07「マジック・ショータイム2018」 感想

キャラクター

 常磐ソウゴ
・「あの人、何も悪いことはしてないよね。彼と戦うのは、なんか違う気がする」
これはソウゴがごもっとも。"アナザーライダーとは何か"が詳しく説明されていない現状では、これが一番説得力がある。もちろんタイムジャッカーの仕業ってことはほぼ確定だとしても、彼らの目的が悪いことであると言う確証が得られるほどの情報もまだないしね。過去を変えようとしてるのはゲイツツクヨミも同じだし。
・「でも……ここまでする必要はないと思う」
"ここ"ってのが何を指してるのか、初見ではイマイチ分からなかったけど、要は脅迫ってことでいいのかな。

 

 明光院ゲイツ
ゲイツはウィザードのことを知っているのね。確かビルドの、巧が戦兎になってる云々のことも明確に知ってる様子だった。補完計画5.5話ではファイズのことを知らないという描写があったけども、劇中では「このアーマーは何のライダーの力か」みたいに疑問視する様子はなかったどころか、リスペクトと思われる技まで披露していた。アナザーライダーによる改変でゲイツの記憶も改竄されていたと取るには、今回の描写が引っかかる。やっぱり鍵はディケイドかね。1期のライダーアーマーは本編に出てこないであろうことが、玩具のパッケージがCGなことから予想されてるけれども、だからなんとなくディケイド回で残ってる1期のウォッチ全部手に入れるんだろうなーって思ってる。(※追記↓)

・「お前が何をしたかなどは関係ない」「ぬるいな。アナザーライダーの存在そのものが危険なんだ」
2話ではさ、全然違うこと言ってたよね。アナザーライダーなんて放っておけって。でも目の前で傷付く人がいたら見過ごせなくて戦うって流れだったはず。優先順位No.1のソウゴを保留にしてるということを考慮しても、ゲイツが積極的にアナザーライダーを倒す理由は今のところない。少なくとも描かれてはいない。

と思ったけど、見返してみて「まだ悪いことはしてないけど存在すること自体が駄目」というのは、オーマジオウの件と共通していることに気付いた。まぁそのソウゴを保留にしておきながらアナザーライダーを敵視する理由は依然ぼんやりしてるけど、八つ当たりみたいなものなのだろうか。
・「あの力をいつ手に入れたのか、まずはそれを知る必要がある」
あるの? わざわざ過去に戻って戦う必要はないって結論に、前回の話を見てれば至るはず。それとも「アナザーフォーゼは一度'11にてフォーゼアーマーで倒した」という事実があればよくて、前回のフォーゼ戦は消化試合みたいな意味のないものだったってことなんだろうか。
そもそもの話"過去に戻って戦う"と言っても、厳密に言えばこれまでのだってアナザーライダーになって数時間〜数日くらいは経ってるよね? もし該当アーマーで倒した時点で過去まで遡ってアナザーライダーの所業が消えるなら過去に戻る必要はないし、そうはならないなら前回アナザーファイズが吸収した"最初の犠牲者"は元には戻らない。
つーか、ウィザードが何年のライダーかまでは覚えてないのか?

・ところで、ファイズウォッチはゲイツのものって認識なのか? だとしたらなんでビルドのように返さないんだって話になるし、そもそも台座を見る感じ共有物って感じなので、そしたら今度はビルドウォッチを返した描写が意味を無くす。作劇が下手くそなのか、何か意図があってわざとやってんのか……。

 

 ウォズ
・「昔のよしみで助けただけだよ。これを機に私達も仲直りをしないかい?」
冒頭のあらすじ紹介と合わせて、ゲイツツクヨミと同じ時代の人間らしいとやっと明言された。
この辺の未来の話は、多分本編では描かれずにスピンオフ行きになってしまうんだろうなぁと考えると心底残念。
・「我が魔王に君みたいな仲間がいてくれるととても助かるんだ」
前後のセリフと矛盾するので、これはあれだよね、敢えて仲間になれと言うことでゲイツを反発させて距離を離してるんだよね。

 

 タイムジャッカー
・ウール、今回は簡単に叶う願い(自動車をどける)じゃなくて自分で時間かけて叶えるタイプの人間にしたね。これはソウゴの説教を気にしてるのか、それより以前にこの"仕込み"はやってたのか……。彼らの生きてる時間はまだ全くの謎なんだよな。ゲイツは「この時代に"も"」って言ってたから、僕は今のところ2068年とはまた違う時間の人なんだろうなと思ってるけど。仮面ライダーの概念に手を加えてるから、常磐家の末裔か何かかな、とも。
・スウォルツさんがゲイツを落とす。殺すってよりは動けないくらいの大怪我をしてもらうってことでいいのかな。しかしなんで今頃?
・「それよりあなたはこの先、私達の擁立する新たな王になってもらう。それには、もっと深い傷を負ってもらわないとね」
オーラがアナザーウィザードに首を突っ込むのは、前回スウォルツに手を出された腹いせか何か?
深い傷ってのは、涙ラインとかに表される仮面ライダーの悲劇性に何か関係があるんだろうか。でもアナザーライダーって涙ラインあったっけ。今回のウィザードは特別悲しそうな顔してたけど。

 

 アナザーウィザード
・彼らアナザーライダーによる改変には2種類ある。ライダーになった時点で起こるらしい、元の仮面ライダーをなかったことにするという世界をも巻き込む類のものと、助かりたい・助けたいなどの極めて個人的な願いを叶えるためにその力を使って地道に変えていくもの。
前者はおそらくジオウの継承と似たようなシステムで、"ライドウォッチによる改変"と僕は仮に呼んでるんだけどね。この改変形態の差が、今後に繋がる重要な何かになるんだろう。

 

 

描写の蓄積で設定については段々絞れてきてるけども、キャラクターの行動原理については未だに謎が多い。変わったのか、元からそうなのか、キャラ崩壊してるのか……ゲイツの認識とかがまだ謎なので判断に困る。ウィザードについては一応全話見たけどほぼ覚えてないので、次回ビーストの活躍に自分がどういう印象を受けるかが気になる。

 

補完計画 7.7話「最悪のブラックは誰だ」

今回はカットの多さについて言及。今回公開されたシーンに関しては、ストーリーにほとんど影響していないところなのでまぁ視聴者目線ではそんなに気にならないかなって感じ。ウォズは"ソウゴ"へのこだわりが薄いような描写もあったけど、あれも何かの仄めかしなのかね。
ところで、"役者"としての彼らが描かれるメタネタはもう定番になってきつつあるけど、この構造ってあれみたいだなって思った。と言いつつなんと呼ぶのかよく分からないんだけど、最初に思いついたのはCLAMP作品。次が手塚さんのヒゲオヤジ。ヒョウタンツギとか、小池さんとかもそうかな。
作中作というか、劇中劇というか、登場人物を共有しつつも世界がまるごと変わって、新しい物語を紡ぐというか。調べてみたら、ピンとはこなかったけどスター・システムと呼ぶらしい。そういう構造もメタの1つとして取り入れてるのかもね。
この作品におけるレジェンドっていうのは、やっぱりそれ自体が主というよりは、シュタゲにおける疾風迅雷のナイトハルト、ロボノにおける天王寺さんみたいな、そういう知ってたらちょっと得する程度のものなんだろうなってなんとなく思った。

 

追記

'19/3/20
・自分の監視を口実に一緒にマジックショーを見に行く感じは、25話のそれと繋がる。すごく楽しそうでかわいい。
ゲイツがアナザーウィザードだと気付くのも、555のことを踏まえた上で見ると、"ウィザード(魔法使い)"とネーミングがそのまんまだから分かったみたいな文脈にも思えて面白い。
ゲイツを殺そうとするスウォルツと、それを助けるウォズ。スウォルツなんか特に「なんで今更」って感じだし、ウォズもゲイツを快く思ってないのに助けるというのはちょっとアンビバレント。昔のよしみとは言ってるけど、その"昔(未来)"でも何度となく戦ってることが伺えるので皮肉にしか聞こえない。
それを思うとタイミング的に、ソウゴとゲイツの意見が食い違ったことで、自分こそが正しいからゲイツを落として邪魔できないようにしようとする気持ちと、ゲイツにはゲイツの正しさがあるからそこまでしなくてもいい(或いは自分の側に引き入れよう≒「これを機に仲直りをしないかい? 我が魔王に君みたいな仲間がいてくれるととても助かるんだ」)という気持ちとで揺らいでいることの現れのように見えなくもない。流石に深読みかね。
・公式サイトでアナザーライダーの人選について触れられてるのを見てふと思ったんだけど、本家の主人公たちもはじめからそんな大した人間だった訳では、必ずしもないよなぁと。
五代は1999の技を持つ冒険家、翔一くんは料理が得意でのほほんとしてるだけだし、真司は何にでも首を突っ込むバカな新聞記者、巧は無愛想で猫舌なだけの青年、剣崎は幼少期に家族を失って人助けをしたい青年、天道も渋谷隕石がなければ普通の人だったかもしれないし、良太郎はとても不運な人。
翔太郎は探偵の助手で、フィリップは博物館を運営してる会社の子供、映司は政治家の息子で、弦太朗は友達を増やしたい高校生、晴人は天道同様ウィザードにならなかった場合が想像つかない、紘汰は大人になりたいフリーターで、泊さんは警察官、タケルは寺生まれの高校生、永夢は研修医、戦兎は(バンドオタクの)物理学者。
ここに怪我をしたバスケ選手、病気の息子を持った父親、身近な女性の死を悲しむ高校生、経営者に恋するマジックショーの裏方……などなどが混じっても、そこまで浮きはしないんじゃないか? つまり"本編の活躍"という色眼鏡さえ捨てれば、一部を除いては割と普通の人であって、タイムジャッカーの人選にとやかく言うのは結果論であると言えるかもしれない。猫舌の人よりはまだバスケ選手の方がドラマチックになりそう。
また、アナザーライダーの変身者って揃って「本編ライダーがいる歴史で不幸な目に遭っていたはずの人」で、ともすると「アナザーライダーがいるせいで本編キャラの人生が変わってる」ことの裏返しとして、「本編ライダーがいたせいで不幸な目に遭った人」かもしれない。これも、ひとつの重要な事実だろう。
・ところで今回の補完計画の"次の我が魔王"発言は、地味〜に白ウォズへの布石になってるね。

 

ジオウ感想一覧

前話

仮面ライダージオウ EP06「555・913・2003」 感想

次話

仮面ライダージオウ EP08「ビューティ&ビースト2012」 感想

過去作

ウィザード感想一覧