やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーエグゼイド 第3話「BANしたあいつがやってくる!」 肯定的感想

アレルギーとマッチポンプ

・子供って割と喘息になること多いよね。うちの弟も小さい頃はそれで何回か入院繰り返したりしてたけど。
"呼吸"って最近は『鬼滅の刃』の影響でよく取り沙汰されるイメージだけど仮面ライダー的にも結構重要なファクターで、そもそも1号は風をベルトから取り込んでそのエネルギーで変身するって設定はめっちゃ呼吸だよねって話を『アギト』の感想でもした。あの作品は『DEEP BREATH』という挿入歌があることからも分かるように実は呼吸という概念が作品の基本設定においてかなり重要な位置を占めている。
(参考:仮面ライダーアギト 11,12話「繋がる過去/湖の激突!」 感想)

まぁその話はもうしたのでよくて、喘息の原因について調べてみたら実はあれってアレルギーによって引き起こされていることが多いらしい。全然知らなかった。
アレルギーってのもなかなか面白い概念で、要するに「悪に対する過剰反応」と言い換えることができる。実際に指摘されているところだと『クウガ』のジャラジに対して怒りをあらわにしてタコ殴りにするシーンとかがそうで「確かに悪いことするやつが悪いのは大前提だけど、そこまでする必要って本当にある?」という問題。大して悪いこともしてない怪人が爆殺されたりするのはもちろんのこと、逆にどんなに悪いことしてようが殺すのはよくないって意見もある。まぁこれは人間や、それと同等の権利があると認められた存在が相手の場合にしか成り立たない議論だけど。
それともうひとつ「自分で自分を苦しめるマッチポンプ」的な側面もある。怪我の痛みなんかは身体の異常に気付いて対処できるように脳がわざわざ出してる信号だってのは有名な話だけど、花粉なんかは本来なんの毒性もないはずなのに、それを体外に出そう出そうとしてくしゃみとか涙とかが出るんだろう、多分。

前者は"ゲーム病"などと言ってやたらと危険視して子供にやらせまいとする親とか、後者はたかだかゲームの中の話なのに思い通りにいかなくて逆にイライラしたりすることとか、そういうものと繋げて考えられる。
ゲームってストレス発散のためにやるもののはずなのに、それでストレス溜め込んでたら本末転倒よね。僕はいわゆるエンジョイ勢であることが多くて、例えば音ゲーなんかでもフルコンボを目指そうとするとイライラするのは目に見えてるから最初っからそれは目指さずに、結果が云々じゃなくてプレイしてる過程を楽しめれば達成率が何%でもいいかなって思う方。難しいとかじゃなくて、ただコツコツやれば実現可能なもの……全曲一通りプレイするとか、ポケモン図鑑を埋めるとか、そういう目標は立てるけどね。

 

価値観が違うと得をする

・大我が株で儲けてるのは、単純にウイルス用語の"変異株"ってのとかけてるんだろうね。最近はコロナのおかげでだいぶ身近な表現になってて、デルタ株とかオミクロン株とかがよく聞く。なんとなく、本当になんとなく頭良さそうに見えるし。

加えて『エグゼイド』のテーマと関係あるかは微妙だけど株取引ってのもまた面白いのよね。普通人が得をしたいときに一番簡単な方法って他人から幸福度を奪うことで、プリンが食べたいから持ってるやつから取り上げるとか、楽をしたいから掃除を誰かにやらせるとか、何も考えずただ欲に従ってたら基本的には他人を不幸にすることで自分だけが幸せになってしまうのが普通だと思うんだけど、自分も相手も得をしたいときに一番重宝されるのって"価値観の違い"なんだよね。
これは給食のイメージだけどプリンが嫌いな人だったら喜んで譲ってくれるだろうし、掃除が苦にならない,むしろ楽しいって人ならさほど嫌がらずに引き受けてくれるだろう。もし全人類が総じてプリン好きだったとしたらそれはもうとんでもない奪い合いになるかもしれないけど、好きじゃない人もいることで双方が利益を得られる可能性が生まれる。
今の例は一方的にプリンをあげる話だったけど、これは「プリン好きじゃないなら、あんたが好きなこのリンゴをあげるからくれよ。俺はリンゴ好きじゃないんだ」みたいなケースでも結局同じことが言える。リンゴがお金に置き換わっても同じことで、お金が好きじゃないって人はいないかもしれないけど、プリンと比べたら今持ってる100円は要らない,払ってもいいなって思うから"買う"という行為は成立する訳で。

"等価交換の法則"ってよく言うけど、本当にその人にとって同じだけの価値しかないんだったら、そもそも別に交換する必要がない。お金は食べられないけど、プリンは食べられる……その時点でそのものが持ってる価値は全く違うし、だからこそ交換した結果「嬉しい」と思えるのだ。
株取引やFXみたいな、100円で買ったものをなんの付加価値も付けていないのに110円で売るような営みはまさに「ものの価値とは人や状況によって変わるものであって、一律に等価である/ないなどと決められるものではない」という根本法則があるからこそ成り立つものな訳で、そこが面白いなって思う。


・今回1〜4話の中で最もユニオン戦があっさりしてるのは、大我/スナイプが仮にも唯一実戦を経験してるから手際がいいってのはあるのかな。
レベル1って要するに「1話につき2回戦闘シーンを入れる」という都合で一度は怪人を取り逃さなきゃいけなくて、それでもまだ何かしらのカタルシスをつくろうってことで"バグスターを分離"っていう手順が生まれたんだろうけど、所詮は前哨戦でしかないので必殺技とか使わないのよね基本。
そんな中でスナイプにだけはレベル1専用の自らが弾丸になって突っ込むっていうちょっとした技が用意されてて面白いよね。一応、自分はどうなってもいいっていう大我のキャラとも合ってるし。

・バグスターが悪さしてるのがどうして患者に伝わるのか、結局きちんと説明はされなかった気がする。前回なんかは特に、アランブラが協会で婚約者をさらった瞬間CRにいた患者がストレスを感じていた。体を共有してるから、永夢とパラドのシンクロみたいにバグスター目線での映像が見えたりしてるんだろうか? もしそうだとしたら、バグスターを倒そうとしてるスナイプに対して勇樹くんがかなり怖がってたのは納得がいくかもしれない。
4人の中では永夢に次いでゲームのこと分かってそうなキャラなのに、バンバンシューティングの設定を無視して雑魚ばかり倒してるのはどうしてなのか不思議に思ったんだけど、仮にそのことを大我が知識として知っていたなら、リボル本人は攻撃すると勇樹が消滅しかねないから攻撃できないけど、雑魚は1匹でも逃したら他のところで感染者を増やす可能性があるから退治しなきゃいけないという葛藤をしながら、更にそれを隠した上でヘラヘラとゲーム狂みたいな演技を続けてるんだろうか。流石にそこまでは考えにくいけど。

 

永夢とMの境界線

・エグゼイドの概要について知ってれば知ってるほど案外気付かないけど、普段の永夢とは違うゲームやってるときの人格が天才ゲーマー"M"ってことになってるのって、劇中ではなかなか触れられてないのよね。1,2話では完全にスルーされていて、今回初めて「ゲームするときは性格変わるタチか」と言及されている。
そもそもセリフの上ではどちらも"エム"なので区別が付かないこともあり、本編だけを追っていたら実はなかなか把握するのが難しい設定なのかなと思った。
というのは「分かりにくいから悪い」って話ではなくて、こうやって文面でMという別の名前表記をすることに慣れていると、自然と永夢とMは"別の人格"だという感覚が強くなってしまうので、放送当時の僕なんかは「なんで永夢はオペをMとかいうゲーム狂に丸投げしてて平気なの? 多重人格って記憶なくなるんじゃないの? っていうか精神科行って治せよ」とずっと思っていたんだけど、そもそもその認識が間違っていたのかもしれない。
Mは永夢の一部であって、解離した別人格というつもりでは描いてないと。そもそも多重人格という設定は『電王』のときにNGが出ているのに何故本作ではできているのかという疑問についても同様に、そもそも多重人格じゃないのでOKということなんだろう。
もともとひとりの中に2人いたんじゃなくて、ただ「ゲームすると口が悪くなる人」として認識されていたから、2人に分裂したくらいでみんなびっくりしてたのかな。永夢とMは区別が難しいんじゃなくて、区別する必要が別にない曖昧なものだと。


・"ゼロデイ"という単語が出てきたのは今回が初。なんでも元々はIT用語で、プログラムの脆弱性が見つかってから対処がなされるまでの期間のことを言うらしい。ゲーム病に対応させて言うなら、バグスターウイルスが発見されてからその対処法であるライダーシステムが確立するまでの間ということになる。
なるものの、どうやら1,2日くらい経てば対抗手段も立てられるけど、0日目……つまり脆弱性の発見当日やそれ以前にそこを攻撃されたらどうしようもないよねってニュアンスでゼロデイという表現になってるらしいので、発端である2000年問題から11年も経って起こった事件の名前としては微妙にしっくりこない気もする。

・設定としては放射線科医の大我が独自にバグスターウイルスを発見したってことになってるけど、そんなことってあるのかね。前にも日向がバグスターの存在に気付いてたか否かって話をしたけど、自覚症状もないのに全く別の病気についての検査からウイルスの感染って分かるものなのか。少なくともネットで軽く調べたくらいでは、放射線を使ってウイルス感染を判断する方法なんてものは出てこなかったので、よく分からない。
あーでも単純に考えるなら、これはコロナとかのウイルスとは同列に語れないバグスターウイルスに特有の現象なのかもしれない。『スナイプ エピソードZERO』では元々癌の放射線治療をしていた患者を診察していて発見したということだったので、初期症状として腫瘍のようなものが確認できて、それがどんどん大きくなってバグスターを形成する細胞になるのだとすれば、分かるかも。ウイルス性の癌ってあるしね。

大我の闇診療所

・なんと、ポッピーは大我の診療所を把握してたらしい。次回もさらっと「誰の紹介だ?」と言っていたので、つまり大我という闇医者を患者に紹介している仲介人の医者(?)がいるということになる訳で、仮面ライダーとして再度戦い始めるよりも前から、ひょっとすると聖都大学附属病院や灰馬は大我の医療行為を黙認していたのかもしれない。道理で全く逮捕される様子がない、どころか日頃から堂々と白衣なんて着てる訳だ。
それはいいとして、近くに保険も効くから安く受けられる結構ちゃんとした病院があるにも関わらず闇医者を頼るメリットがあるんだろうか? 考えられるのはそもそも犯罪者だったり、不法滞在してる外国人だったりして正規の医療を受けられないみたいな場合だけど、22,23話で黎斗を殺すか殺さないかって議論で彼は殺すべき派だった訳なので、犯罪者に対して医療を施すタチかどうかは微妙なところ。
或いは単純に放射線治療のエキスパートだった経歴があるので、例え無免許でお金がかかろうとも花家先生に治療して欲しいという人がいるのか。こっちのパターンなら灰馬たちが黙認してることにも一定の説得力はある。だって実際に世界初の手術をこなすだけの確かな腕があるらしいんだから仕方ない(エピソードZEROより)。
元はと言えばそういう大我でないと治療が難しい患者に頼み込まれて、仕方なく闇医者業を始めたのかもしれない。彼自身が自暴自棄になっていたのもあるだろうけど、それでも自分を必要としてくれる人がいたら治したくなる気持ちも分かるし、一回違法に医療行為をしたからには免許を再取得することも難しいだろうから、それでもう引き返せなくなってしまったのかな。

 

永夢と飛彩の交錯

・「早く終わらせるしかない」という永夢の判断は、ある意味では前回の飛彩と同じよね。アランブラが人質を取っていたからエグゼイドはレベルアップを躊躇っていたけど、人質が攻撃される前に素早く攻撃することで解決していた。
これを「前回飛彩を否定していたのに同じことするなんて矛盾してる」と捉えるか、それとも「意見は否定しつつも結果的には患者を救ってみせた腕は認めていて、参考にした」と捉えるかは受け取り手次第……。

・医者が自分の命をかけて患者の治療に望むことって、普段はなかなかないよね、多分。もちろん災害時とか今みたいな感染症が流行ってる場合は、それなりのリスクと戦いながら仕事をする必要にかられると思うけど、基本的に危険なのは患者であって医者がかけるのは社会的地位とかそのくらいな気がする。
そういう意味で自分が死ぬくらいなら患者を見捨てる飛彩の判断は、多少仕方ない部分もあるのかもしれない。もちろん、自分が生きていることでもっと多くの命を救えるという自負があってのことだろうけど……主に天才外科医的な意味で。

・結局アイテムゲットで逆転してたから「さっきまでのピンチは何だったの?」と思っていたけど、これは僕の読み違い。勇樹を説得してストレスを抑えてから逆転するって流れでないとまたストレスで敵が強くなるだけなので、命がけで戦う姿勢を見せたのは意味があった。

・それはそれとして残りゲージ1には割と余裕があるらしい。あくまで危険を知らせるだけというか、本当に死んでしまったら困るので「もう危ないですよ」というサインを早めに出しているのだと思われる。天才ゲーマーとしてはそういう事情を知ってか知らずか利用して、飛び込んでいったんだろう。

・大我が隠れてた本物のリボルを倒したのは、さっき言ったように同じガンナーとして自分なら影に隠れていたいという心情が分かるからこそ見抜けたって感じなのかな。

・Mとしてテンションの上がってるときに安請け合いした約束を律儀に守る永夢は、誠実なんだかそうじゃないんだか。
飛彩はリスクの高いオペをしたからだと責めていたけど、裏を返せばリスクの高い状況でさえなければ永夢が勝てたと思ってる……のか?
自分が手も足も出なかった状況を解決してくれたのにお礼を言うどころか皮肉を言うのも前回の永夢と裏返しになっている。もしこれが意識的なものなら、前回の永夢と同様に飛彩も「結果的に患者を救った功績は認めてるけど、そんな素直にはなれないので口では責め立てている」のかもしれない。
まぁそもそも飛彩も大我を負かすことでガシャット奪おうとしてた訳なので、賭けのことは知らなくても「負けたから取られた」ことはすんなり受け入れられるのかもしれない。


まとめ

画が派手で見ていて楽しい。でもその分ゲームっぽさは犠牲になっていて、そういうステージっていう設定なのは分かるけど、パッと見でゲームっぽいなとはなかなか思えない。ドットを始めとするゲームらしさってあくまで技術の限界が味として定着したものだから、表現が難しいよな。
諦めて変身解除することで医療手段を守った飛彩と、無茶を覚悟で患者を守った永夢、変身したまま隠れていて漁夫の利でトドメを刺した大我……一応三者三様の対応が見られて面白かった。

 

エグゼイド感想一覧

裏面

仮面ライダーエグゼイド 3話「BANしたアイツがやってくる!」 否定的感想

 

前回

仮面ライダーエグゼイド 第2話「天才二人はno thank you?」 肯定的感想

次回

仮面ライダーエグゼイド 第4話「オペレーションの名はDash!」 肯定的感想