やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーオーズ 10th 二次創作小説『Eternity Time judged all』

この記事は前回の脚本を書いてみる企画に続いて、『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』について映司が死なずに生存するルートを書くとしたら自分はどんな話にするか……という妄想IF小説です。
映司が生きる代償としてアンクが死んだり、そもそも復活できなかったりということもありません。きちんと2人ともが生きた状態でラストを迎えることだけは約束します。

章ごとに書き上がり次第追記していく予定です、未完になったら申し訳ない。著作権的に問題があると判断された場合は削除します。

 

 

"遠い岐路"

・数年前 夜の川沿い
 ある日、私のもとに一本の電話が届いた。彼とは年に数回くらいクスクシエのみんなとお互いに近況報告をしていたけれど、こんな風に個人的に連絡を取るのは後にも先にもそれきりで、驚きと嬉しさと、少しの不安がごちゃまぜになりながら口を開いた。
比奈「もしもし、比奈です。久しぶりだね、映司くん」
映司「久しぶり、元気そうで良かった。いきなりかけてごめんね、びっくりしたでしょ」
比奈「ちょっとね。今は、砂漠の町にいるんだっけ」
映司「しばらくいたけど、そろそろここを発とうと思ってるんだ。次に行く場所は、まだ」
比奈「そっか……やっぱりまだ、アンクのメダルを治す方法は見つからない?」
映司「うん……でも、いつかは必ず」
 そうやって当たり障りのない会話をしながら、今思えば少しずつ前置きを挟んだ後に、彼は本題を切り出した。
映司「…………比奈ちゃんは、誰かを本当に許せないと思ったことって、ある?」
比奈「えっ? それは……」
 アンクのことが頭をよぎって口ごもった。私の気持ちを察したのか、答えを待たずに話は続いた。
映司「……グリードでもヤミーでもない、人間が起こした戦争のせいで、たくさんの命が奪われたんだ。そしてその分だけ、人の命を奪った人もいる……自分の手は汚さずに、利益を得た人も。俺は、平気でそんなことをする人たちが許せない」
比奈「それって……」
映司「比奈ちゃんだったら、どう思う?」
比奈「私は……」
 慎重に、言葉を選ぶ。それが、今の私が映司くんにできる、唯一のことだと思った。

・許せない

・分からない

・許したい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

許せない
比奈「私は……どうしても許せないってことは、あると思う。映司くんの気持ちは、よく分かる」
「翌朝、私はとある紛争地帯に異形の戦士が現れ、一国の戦いをひとりで止めたことを知った」
→本家『復活のコアメダル』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分からない

比奈「私には……分からない、何が正しいのか。でも、映司くんがした選択は、きっと間違ってないと思う。私はそう信じてる」
比奈M「翌朝、私はとある紛争地帯に異形の戦士が現れ、一国の戦いをひとりで止めたことを知った」
『復活のコアメダル(二次創作ver)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

許したい

比奈「私は……無責任かもしれないけど、どんな相手だって、いつかは分かりあえる日がくると思う。綺麗事だって、自分でも思うけど……そう信じたい」
 翌朝、私はとある紛争地帯に異形の戦士が現れ、一国の戦いをひとりで止めたことを知った。
→『Eternity Time judged all(本記事↓)』

 

 

 

 

 

仮面ライダーオーズ ET

 目次

 

 

 

プロローグ Age of Goda

 海の中に、俺はいた。右も左も、上も下もない。ただひたすらに昏く、不思議と安心できる暖かさだけがあった。音もなくただうねり続ける潮の流れに身を任せ、目的もなく漂うだけの日々。
 だが気が付くと足が地に付き、自分がずっとゆるやかに落ちていたのだと気付く。微かにだが目が見えるようになり、海底を歩いて回ると周囲では様々な生物が捕食し捕食される生存競争を繰り返していたが、俺には触れることができず、ただ見つめるだけでその環の中へ入ることは叶わなかった。

 やがて海から暖かさが失われ始め、俺が陽の光を求めて陸へ上がったころ、世界は完全に凍りついた。その後も地上を歩き続けたが、"それ"が起こったのは突然だった。
 あらゆる生き物が、次々に目の前で死んでいく……その光景はとても受け入れられるものではなかった。
 それからのことはよく覚えていない。生き残ったものたちは様々な発展を遂げたようだが、視界はザラつき全てのことが現実でない気がした。それでもただ歩き続けることだけが自分の存在を確かめる唯一の方法であり、宛てもなく前進し続けることしかできなかった。

 いつからかだろうか。自分が砂漠から抜け出せなくなっていることを悟り、自分以外の存在が視界の中に入ることはなくなった。四方には無限とも思える地平線が広がり、ギラギラと輝く太陽だけが俺を照らしていた。
「身体が、欲しいか?」
 太陽は言った。
 これまで、俺の存在を認知できるものはいなかった。俺は世界を一方的に見るだけで、世界から見られることはなかったはずだ。だが身体があれば、俺は世界と関わることができる。消えゆく命を、この手で助けることだって……俺は頷いた。
「いいだろう。その代わり……」
 太陽はそう言って、自らを象った3つのリングを落とした。
 その瞬間世界は息を吹き返し、リングと一体化した俺はこれまで見てきたあらゆる動物の姿形を模倣できるようになった。あるときは鳥として大空を羽ばたき、あるときは四足となって大地を駆け回り、あるときは虫となり跳躍しながら、俺は目の前にいる命を助けるために力を使った。それが大きな食物連鎖の流れの中ではどれだけ無意味なことかは分かっていたが、目の前で命が消えることが耐えられなかった。

 

 いくつもの身体を使い分ける中で自分自身を見失いかけていた俺は、いつしかもうひとりの自分をつくりだしていた。もはやどちらが本来の俺だったのかも分からない。俺はこの世のあらゆる生物種の力を手に入れ、望みを全て叶えられるだけの能力を欲し旅を続け、もうひとりの俺はその道中で短絡的に目の前の命を救うことを望んだ。俺たちはひとつしかない身体を共有し、互いを利用してうまくやっていた。しかし、そんな日々も長くは続かなかった。

 太陽を殺して世界を終わらせようと画策した月と戦うために、それまでにないより強い力が必要だった俺たちは、これまで獲得した様々な生物の長所を組み合わせたキメラとなって戦い、やがて覆い尽くされたかに見えた太陽からの黄金のリングによって授けられた、この世に存在するはずのない火の鳥の力を使ってこれを阻止した。
 それからというもの、世界は再び乾ききった砂漠に包まれた。空はどす黒い雲で覆われ、太陽はその姿を見せない。そしてもう一人の俺は、もう必要はなくなったとでも言うかのように、俺を置いてどこかへ旅立ってしまった。気が付くと俺は、醜い毒蟲と成り果てていた。
 いつまでも潤うことのない砂漠に、降り続ける雨。その中を俺は、やはり彷徨うことしかできない……そう悟るのに時間は要らなかった。
 俺は歩き続ける、失われた海を求めて。

 

1.檸檬 - Still in the nest.

 川の横を付かず離れず、うねりながら伸びる道。沿道の桜もそろそろ青い葉の間からその顔をのぞかせ、今日みたいな休日はスポーツウェアでランニングやサイクリングを楽しむ人、子供やペットと一緒に散歩をする人などで溢れている。
 私もその中の一人だった。時々こうしてぼんやりと歩くのが、最近の暇つぶしになっている。その先の公園にある自動販売機で、飲み物を買って一休みするまでが1セット。

 この10年で鴻上さんのグループはビジネスの裾野を広げたみたいで、ほとんどのライドベンダーはセルメダルがなくても、お金を入れればカンドロイドを模した飲み物が出てくる新型と入れ替えられていた。タカはコーラ、タコはスポーツドリンク、バッタは緑茶……なんて風に。私はいつも、トラのレモンティーを買う。このお金が、アンクを復活させるための研究に少しでも貢献していたら、なんてことを思いながら。なかなか売り上げはいいみたいで、年々見かける数は増えている。バイクモードにすれば簡単に移動ができるからなのか、特にお祭りなどの場に一時的に設置されていることが多い。昔は私たち一般人にとっては謎のオブジェだったけど、今となってはすっかり日常の一部だ。

 ショルダーバッグから財布を出して、硬貨を入れる。ボタンを押したところふとゴリラ缶が目に入って、伊達さんはいつもこれを携帯していたけど、ブラックコーヒーは意外と飲まなそうな気がした。そのギャップがなんだかおかしくて、自然と口元が緩んだ。出てきたレモンティーを手に取り、ベンチに腰掛ける。

 

 聞いた話によると、伊達さんが日本に帰ってくるらしい。戦いが終わったあとはそれまで通り医師として、立場にとらわれず色んな人を救っているんだとか。
 お兄ちゃんと同じく警察官に戻った後藤さんは、今では結婚している。お相手は茉里奈さんと言って、里中さんも入れて3人で仲良くさせてもらっている。伊達さん帰国のニュースも、他ならぬ彼女から仕入れたものだった。現在は妊娠中で、そろそろ臨月が近いらしく出産に向け張り切っている。

 結婚かぁ……。お兄ちゃんがまだだから考えたこともなかったけど、私もそろそろ選択肢として考え始める年なのかな。レモンの苦みを口の中で感じながら、やっぱり自分にはまだ早いなと思い直した。
 忙しいお兄ちゃんと違って、私はこうして休日をのんびりと過ごす余裕がある。今の仕事に不満がある訳じゃない。でもファッションデザイナーになるという夢を叶えてしまった今、その先の目標を見つけられないまま、なんとなく満たされない毎日を送っている。

 私は、どこへ行くんだろう。
 流れる川の音を聞いていると、あの頃を思い出す。アンクがお兄ちゃんの体に取り憑いて、毎日のようにグリードやヤミーが事件を起こして……良くも悪くも、人生の中で最も刺激的な1年間だった。お兄ちゃんも、私だって、ひとつでも噛み合う歯車が変わっていたら死んじゃってたかもしれない。あの頃に比べたら、今の私の悩みなんてちっぽけなものだ。
 映司くんは、今ごろ何をしてるんだろう。
 あの頃は一緒にいるのが当たり前だったのに、映司くんも、アンクも、今ではそばにいないのが当り前になってる。積み重なってしまった時間の大きさを、改めて感じた。
 そろそろ帰ろう、そう思い顔を上げたそのとき。視線の先に、彼がいた。
「映司くん……?」

 

 以前と変わらない、涼やかで掴みどころのないエスニックファッションに身を包み、佇む姿には確かに見覚えがある……ただ、こちら向けられたその目はきゅっと瞳孔が絞られ、私を鋭く捉えて離さない。
 比奈ちゃん――と懐かしい声が響く。たったそれだけのことで、私の心は10年前に引き戻される。アンクは、ここにいないにも関わらず。
「……見つけたんだ。アンクを蘇らせる方法」
 思わず息を飲んだ。映司くんはあれから、そのために旅を続けていたと言っても過言ではない。
「命だった」
「それって……」
「コアメダルは元々、生物の持つ命を欲望に変えた"血の結晶"……それが、遺跡を研究して分かった成果だよ」
「そんな……それじゃアンクは?」
 彼はどこか遠くを見つめて、冷たく言い放った。
「アンクを復活させるには、生贄が必要だ」
 そう言った映司くんの目は、昔の彼とはまるで別人のように見えた。生贄って……まさか人間の? それとも、アンクの属性と同じ鳥の命だろうか? どちらにしてもあの映司くんが、他の何かの命を奪ってまでアンクを復活させようなんて、言うはずがない。長年求め続けた答えがそんなおぞましいものだったと知った彼の心中は分からないけど、それだけは間違いない。
「あなた……誰?」
 再びこちらをキッと見つめたが、やがて顔を綻ばせ、口を開く。
「大丈夫だよ、比奈ちゃん。俺がなんとかするから」
「待って!」
 気づいたときにはもう彼の姿はなく、そのかわり、視線の先のはるか向こうには、巨大な氷の城がそびえ立っていた。
 風が、私の髪をめちゃくちゃにしていく。

 

2.グリード復活(仮)

 爆発音が聞こえたのは、市街地の方からだった。少し迷った末に家ではなくクスクシエに向かった私は、逃げ惑う人々の先にいる彼らに気付いて目を疑った。
「相変わらずうじゃうじゃいるな。汚い、欲望のにおいだ」
「なぁんだ、今度は変わり映えしないね」
「せいぜい10数年ってとこかしら?」
「俺、まだ眠い……」
 ウヴァ、カザリ、メズール、ガメル……10年前、欲望のままに世界を脅かしたグリードたちだ。
「どうして……コアメダルは映司くんたちが壊したはず……」
 グリードは意識の宿った1枚のコアを砕かれると、セルメダルを集めてもそれまでのようには復活できない。これは他の4人と違い、ひび割れた2片のカケラが残っているアンクでさえも変わらない事実だった。
「メダルが足りない……オーズはどこだ!」

続く

真木とヒカミとゴーダ(未)

プロジェクト・エタニティ(未)

古代オーズ戦(未)

ゴーダ戦(未)

旅立ち(未)