やんまの目安箱

やんまの目安箱

ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

独自解釈で『復活のコアメダル』の脚本を書いてみた

この記事は『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』について、否定意見を色々見た上で「僕だったらこうする、これなら納得できる」という構成と見せ方を考えて書いてみた、脚本のようなものです。
ざっくりとした筋は踏まえてありますが、かなり大幅なアレンジが加わっております。ところどころ本物と照らし合わせて寄せたり引用したセリフもありますが、基本的にはイチからほぼ新規で書きました。

重ね重ね注意したいのは、映画『復活のコアメダル』をそのまま書き起こしたものではありません。実際の映画の内容を知りたい方は、映画の方をご覧下さい。当記事は改変してないところの方が少ないので、全くもって代用品にはなりません。

以下ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ここからは映画をご覧になった方に向けての話です。
この二次創作は、表現の仕方こそほとんどが変更されていますが、"結局描きたいこと"自体はなるべく映画を尊重するつもりで書きました。絵作りとしても、本物の映画に出てきた舞台(ロケ地)以外は使っていませんし、そのシーンに出てくるキャラクターの数もそんなに変わってないので、基本的には一度見た方ならなんとなくの映像を脳内再生させながら読める……んじゃないかなと思います。
尊重した"描きたいこと"というのはあくまで僕の解釈に過ぎませんが、例えば以下の点
・荒廃した世界観
・ゴーダの存在
・グリードの扱い
・バースXの活躍の少なさ
・「映司の死」
などは、あまり変わっていません。映画そのものにダメージや怒りを受けて見返すことすらままならないような方は、読まないことをおすすめします。そういう方にとっては非常につらい展開だと分かっていながらも書くことにとても罪悪感があったので、僕のためにも自衛していただきたいです。正直、そこまでして読む価値はないです。
先に僕の映画に対するスタンスを知っておきたいという方はこちらをどうぞ。

器に収まらない欲望の暴走『Vシネクスト 仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』 感想(否定的)

『復活のコアメダル』のラストを受け入れるためのひとつの解釈(肯定的)


また僕が大きく付け足したオリジナル要素として
・映司が死ぬ前の話
・少女の話
・信吾の話
の3つがあります、予めご了承ください。
そして何より「クソ長い」です。素人の妄想駄文な癖に、おそらく実際の映画のセリフより分量が多くなっていて、文字数としては実に13000字……映像にするとしたら多分90分くらいの尺が必要になる気がします。
また"小説"ではありません。あくまで脚本もどき……基本的にはセリフのみで、場面の細かな描写は読者の脳内再生に委ねられており、文学的な地の文はナシでト書きも最小限にしてあります。
あくまで僕のキャラ解釈でもって書き直したセリフと、追加されたストーリーを楽しんでください。

映司が死なないルートのストーリーも考える予定……なので、協力してくださる方がいたら嬉しいです。

仮面ライダーオーズ 10th 二次創作小説『Eternity Time judged all』

 

著作権的に大丈夫か不安になったので、決定的な改変がない部分はカットし、本編のシーンをほぼそのまま想起してもらうことにしました。この状態でもでも問題がありそうだと分かった場合は即座に削除します。

……では本編です。

 

目次

 

アンク復活

・精神世界
映司「アンク……アンク……」
アンク「…………映司なのか?」
映司「アンク、こっちだ。こっちに……」
アンク「おい映司、待て!」
 映司の影を追いかけるアンク。

レジスタンスのアジト近く
 腕だけの状態で目を覚ましたアンク、爆発音の鳴る方へ行ってみると、グリードが暴れている。
後藤「予定通り、3チームに分かれて応戦する。B班は伊達さん、C班は信吾さんの指示に従ってくれ。A班は俺と一緒にカザリの相手をする。里中はみんなの避難を!」
里中「了解です!」
信吾「比奈……気を付けてな」
比奈「うん、お兄ちゃんもね」
知世子「比奈ちゃん、行くわよ」
伊達「妹のことは任せとけって。そん代わり、緑のグリードはよろしく!」
信吾「頼りにしてます。C班行くぞ!」
 それを遠巻きに見ながら。
アンク「……どうなってる? そもそも俺は――」
 回想 本編最終回
アンク「――死んだはずだ。……あいつらも」
ウヴァ「全員まとめて片付けてやる」
カザリ「人間の相手なんて、さっさと終わらせよう」
メズール「今度こそ逃さないわよ」
ガメル「どこだー、隠れてないで出てこーい」
伊達「言われなくても……!」
知世子「かかってきなさいよー!」
 2人がガメル,メズールに攻撃して注意を逸らし、比奈が瓦礫を投げつける。
ガメル「うあー」
後藤・伊達「変身!」
 両者とも仮面ライダーバースに変身、それぞれグリードに立ち向かう。
古代王「世界を、我が手に……」
 古代オーズに変身し、レジスタンスは劣勢に陥る。
アンク「オーズ……映司じゃないのか?」
信吾「みんな、退却だ! 早く!」
 C班のしんがりとして仲間の避難を優先させていた信吾は逃げ遅れ、古代王の攻撃に倒れてしまう。それを見たアンクは信吾の体に憑依し、助ける。
映司(ゴーダ)「これが今の世界だよ」
アンク「映司……?」
映司(ゴーダ)「おかえり、アンク」

タイトル『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』

 

少女の悩み(オリジナル)

レジスタンスのアジト
アンクM(OFF)「なんだ、ここは……?」※M→モノローグ、OFF→画面に映っていないキャラが喋ること
 伊達が後藤(軽傷)の手当をしている。
伊達「大丈夫か? ……これでよしと。次は……」
 里中はPCに向かって鴻上ファウンデーションと連絡を取っている。
後藤「里中、バースドライバーの修理は終わりそうか?」
里中「明日までには調整できるそうです」
後藤「よろしく頼む。(時計を見ながら)……無理するなよ」
里中「大丈夫です、ご心配なく」
 そう言って少し笑う里中。
知世子「みんなー! ビッグニュースよ!」
 一同そちらを見ると、映司が比奈と一緒に立っている。
後藤・伊達・里中「火野(さん)!」
映司「話は鴻上さんから聞きました。グリードと800年前の王が蘇ったって……遅くなってすみません、俺も戦います」
比奈「みんな心配してたんだよ、海外じゃ連絡も取れなくて……でも、生きててよかった」
 映司の脳内にだけ、謎の声(ゴーダ)が響く。
ゴーダM(OFF)「また一人だけ、なぁ?」
映司「…………ありがとう」
 少し苦い顔の映司。
比奈「(アジトにかけられたクスクシエの看板を見ながら)こんな状況だけど……改めて。おかえりなさい、映司くん」
映司「うん、ただいま」
後藤「火野も……オーズもいるなら、心強いですね」
伊達「例のアレは、まだみたいだしな。いくら特訓を重ねても、コアメダルとセルメダルじゃ馬力が違う」
比奈「(周りを見て)お兄ちゃんは、まだ帰ってないの?」
後藤「信吾さんなら、前のアジトだ。持ち出せなかったものもあるからな」
伊達「あそこもグリード達に嗅ぎつけられちまったからな……(映司に向かって)俺たちもさっき、ここへ逃げ込んできたばっかりなんだ」
後藤「拠点はここに移した方が良さそうですね……前より広いですし」
伊達「そんな感じで、あっちこっちを行ったり来たりってワケ。俺やお前(映司)は慣れっこだが……(レジスタンスに向かって)みんな、しばらくはここで生活だ!」
 お皿が落ちて割れる。視線を上げると少女が落とした様子、駆けつける映司や伊達。
映司「大丈夫!? 怪我はない?」
少女「……帰れ、ないの?」
 伊達、意味を汲み取れずキョロキョロする。
里中「前のアジト、近くにその子の家があったんです。時々私と一緒に、様子を見に」
映司「そっか……おうちに帰りたい?」
 頷く少女。
映司「大丈夫。俺たちが悪いやつを倒して、家に帰れるようにするから。そうですよね? 伊達さん、後藤さん」
伊達「おうよ!」
 伊達、後藤の肩を叩くと後藤は苦痛に顔を歪める。
後藤「……任せろ」
少女「…………ごめんなさい! 私、やっぱりここでいい!」
 そう言って割れたお皿を拾い出す少女。
伊達「あー駄目だって! 危ないから、こういうのは大人に任せて」
少女「でも、割ったの、私……」
伊達「いいからいいから。ほら、食料はあっちだ。知世子さん!」
知世子「行きましょう?」
 納得いかない顔の少女、渋々ついていく。
ゴーダM(OFF)「映司、お前には無理だ。あの子も、誰も、救えやしない」
映司「……うるさい」
アンクM(OFF)「これは……?」

 

グリードアジトでのやりとり

・グリードのアジト

ウヴァ「あいつら、人間の癖にしぶといな……」
カザリ「うまいこと戦力を分散させられちゃったねぇ。あぁ、2人はまとめて相手されたんだっけ?」
ガメル「メズールといっしょー」
メズール「カザリ、それどういう意味かしら?」
古代王「実に素晴らしい」
 古代王の声に気付き、かしこまるグリード4人。
古代王「お前たちは私の中にある紫のメダル(内部描写)によって、コアメダルから生み出された自我のないヤミーに過ぎなかった。だがコアメダルと融合したことで、グリードとしての個性を取り戻しつつある。新たなる誕生、神による創造と言ってもいい」
ウヴァ「本当に、コアメダルを取り戻せば俺たちの記憶は戻るんだな?」
古代王「記憶? 笑わせるな。ただのメダルの塊に過ぎないお前たちに、記憶など元より存在しない。あるのは欲望だけ……そうだろう?」
メズール「メダルの、塊……」
古代王「お前たちは等しく、私が世界を手に入れるための道具……同族同士のいがみあいなど、醜いだけだ」
カザリ「……そうかな? 僕に任せてくれれば、必ず残りの人間を殲滅してみせるけど」
古代王「面白い、やってみろ」
ウヴァ「お前、どうするつもりだ……」
カザリ「まずは君の出番だ、ウヴァ」

 

レジスタンスアジトでの再会

 ・レジスタンスのアジト
 まだ戦闘服のアンク、気を失っていたのかハッと気が付く。周囲を見回しても映司はいない。見覚えがあることに気づいて、レジスタンスのアジトに入って遠巻きに比奈たちの様子を伺う。
アンクM「何がどうなってる……?」
伊達「しっかし大損害だな」
比奈「あの……お兄ちゃんが、まだ帰ってこなくて……」
後藤「クソッ!」
 後藤の頬には、傷がある。
伊達「後藤ちゃん、まだやられたって決まった訳じゃない」
 アンク、怪訝な顔をする。
比奈「映司くんに、お兄ちゃんまでいなくなっちゃったら……私……」
アンク「どういう意味だ? それは」
比奈「お兄ちゃ……アンク!? どうして……もしかして、またお兄ちゃんの体を?」
アンク「あぁ。悪いなぁ、前ほどじゃないが弱ってたんで借りることにした。……それより、映司がいないってのはどういうことだ?」
比奈「映司くん、少し前から帰ってこなくて……」
アンク「映司ならさっきここに……」
 頭痛がして、記憶が混濁するアンク。
 回想 冒頭のシーン
映司(ゴーダ)「おかえり、アンク。俺はこの先のトンネルの向こうにいるから、いつでも来てよ」
 回想終わり
アンク「いや、ここにいないなら……あそこか」
比奈「映司くんがどこにいるか知ってるの? アンクを蘇らせたのも、映司くんが?」
アンク「……俺にも分からない」
 出ていくアンク。
比奈「ちょっと待ってよ、アンク!」

 

ゴーダとの出会い

・トンネルの向こうのアジト
アンク「おい、映司! いるのか!」
映司(ゴーダ)「来てくれたんだ。……比奈ちゃんも一緒だね。いいよ、入って」
比奈「映司くん! 良かった、(アジトを見回しながら)ここにいたんだ……!」
映司(ゴーダ)「前の戦いで怪我しちゃって……ここで傷を癒やしてたんだ。アンク、はいこれ。着替えなよ」
アンク「……映司、この世界はなんだ? 随分と様変わりしているようだが」
映司(ゴーダ)「アンクが死んでから、10年経ったんだよ。ある日突然800年前の王とグリードが復活して、世界中を食い尽くしたんだ。それで、比奈ちゃんたちはレジスタンスとして……だよね?」
 頷く比奈。
アンク「10年も……前に比べたらまだマシか。だが妙だな……800年前の王は、俺たちグリードのコアメダルを全て取り込もうとして封印されたはずだろ(本編の映像)。それがなんで今更?」
映司(ゴーダ)「それは分からない……鴻上さんなら、何か知ってるかもしれないけど。王は真木博士と一緒に消えたメダルまで持ってるみたいなんだ。アンク、あいつらを倒すために力が欲しい。手伝ってくれるか?」
 少し考え、目を逸らすアンク。
アンク「……手伝うと思うか? この俺が」
映司(ゴーダ)「何言ってんだよ、いつも協力してくれてたじゃんか。ねぇ、比奈ちゃん」
比奈「え……うん……」
映司(ゴーダ)「お前のコアメダルはお前にやるし……何よりアイス、欲しいだろ? なぁ、頼むよ! ほら、今日の分」
 逡巡してから、手渡されたアイスを手に取り「ハッ!」っと吐き捨てるように笑うアンク。
映司(ゴーダ)「交渉成立、だね。こんな風に一緒に戦える日が来るなんてなぁ……!」
比奈「一緒に、か……」
 回想、本編の映司,アンク,比奈が一緒にいる日常シーン
比奈「そういえば映司くん、あの女の子……知らない? あれから見かけないの。里中さんも心配してて」
映司(ゴーダ)「女の子……? あぁ……死んだよ」
比奈「死んだ……って」
 回想
 オーズと戦っていた古代王、逃げ遅れ泣いている少女を見つけ、オーズを確実に仕留めるために少女を攻撃する。
映司「やめろ!!!」
 オーズが覆い被さり、少女を守る。
映司「早く……逃げて……」
古代王「フン、これで終わりか」
 倒れる映司。
 回想終わり
映司(ゴーダ)「助けようとして手を伸ばしたけど、届かなかった。仕方ない、そういう運命だったんだ。それで俺は怪我をして、なんとか逃げてきた……比奈ちゃんだって、俺が死んだら嫌でしょ?」
 絶句する比奈、映司の中にゴーダメダルの存在を感知し目を細めるアンク。物影から後藤と伊達が見ている。
後藤「火野……?」
伊達「おい、あれ!」
 比奈、後藤と伊達に気付き、指差す方向を見るとウヴァが映司たちに襲いかかる。
ウヴァ「見つけたぞオーズ! 今度こそ俺のメダルを返してもらう!」
後藤「つけられていたのか……!」
映司(ゴーダ)「アンク、これ!」
 メダルホルダーをアンクに投げる映司。
アンク「……ハァ?」
映司(ゴーダ)「アンクが持ってて! これ使えって、メダル投げてくれよ!」
ウヴァ「何を訳の分からないことを……!」
 襲いかかるウヴァ、舌打ちして投げるアンク。
映司(ゴーダ)「これこれ、やってみたかったんだよなぁ! ……変身!」
 オーズ タトバコンボに変身して。
映司(ゴーダ)「アンク、あれ言ってよ! 歌は気にするなってやつ!」
アンク「……バカなこと言ってないで戦え!」
 タトバコンボ、ウヴァと交戦。
映司(ゴーダ)「アンク! メダルチェンジだ!」
アンク「…………」
映司(ゴーダ)「なんだよ〜! だったら……!」
 タカヘッドとトラクローの力を使ってウヴァからメダルを抜き取り、ガタキリバコンボに変身。
ウヴァ「俺のメダル……返せ!」
映司(ゴーダ)「お前のじゃない。これはもう、俺の力だ!」
 スキャニングチャージを発動してウヴァを倒す。
映司(ゴーダ)「セイヤー!」
ウヴァ「クソ……死にたくない……」
映司(ゴーダ)「おっと、逃さないよ。お前のコアメダルは壊さないとね……」
 メダル1枚になったウヴァを破壊しようとするオーズ。
アンク「おい! ……やめろ」
 変身解除するオーズ、逃げるウヴァ。
映司(ゴーダ)「なんで止めるんだよ。あいつはお前と違って悪いグリードだろ? 倒さないと」
アンク「フン、グリードに良いも悪いもあるか! それよりお前、何だ?」
比奈「確かに映司くん、なんか変わった。どうしちゃったの?」
後藤「いつもの火野じゃないとしたら……」
アンク「あぁ、映司からグリードの気配がする。どういうことか説明してもらおうか?」
 映司、ゴーダ憑依状態に変貌する。
ゴーダ(映司)「流石は元相棒って感じだなぁ? こんなに早く見破られちまうとは。俺はゴーダ、映司の体を使わせてもらっている。いや、この体はもう俺のもの……今は俺が映司だ。アンク、お前と同じだよ」
 比奈、アンクを見る。
アンク「……一緒にするな」
伊達「なんで火野の体にグリードが……」
鴻上「私が説明しよう!」
 里中が持ってきたタブレット端末に映る鴻上。里中の傍らには、彼女にウヴァとオーズの戦闘を伝えた鴻上の派遣したタカカンドロイドがある。
鴻上「我が鴻上ファウンデーションは、800年前の錬金術師によってつくられたコアメダルを現代の科学で再現するための研究を重ねてきた。しかし実験は失敗を繰り返しうまくいかなかったそこで! 私は映司君の巨大な欲望に目を付けた」
アンク「映司の欲望……それがゴーダとかいうグリードを生んだってのか」
鴻上「その通り! 彼はその実験の成果であり、君を含めたグリード復活の狼煙となってしまったのだよ……ハッピーバースディ!」
アンク「余計なことを……。おいお前、早く映司の体を返せ!」
 驚いた顔の後藤と伊達。
ゴーダ(映司)「いいのか? 言っただろうアンク、俺はお前と同じだって。俺が離れれば映司の体は……死ぬ」
比奈「そんな……!」
ゴーダ(映司)「映司は本来、既に死んでるんだ。その体をこうして維持してやってるんだから、どう使おうと俺の勝手だろ?」
アンク「映司は……戻ってこないのか?」
ゴーダ(映司)「俺は映司になりたい、俺が映司の欲望を全て叶えてやるんだ。……アンク、お前が俺と一緒に戦うというなら、映司は目を覚ますかもしれない」
アンク「映司とお前、意志の強い方が勝ち残る……ってことか」
ゴーダ(映司)「そういうことだ」
アンク「……いいだろう、乗ってやる。消えるのはお前だと思うがなぁ?」
ゴーダ(映司)「どうかな? (映司に戻る)よろしくな、アンク!」

 

大人の憂いと子供の未来(オリジナル)

 暗転
レジスタンスのアジト
アンクM(OFF)「……またか? なんなんだ、これは」
比奈「お兄ちゃん……」
伊達「ったく。こう何度も移動してたら、みんなの気は滅入る一方だ……あの女の子も」
後藤「世界を救うなんて言ってた頃が懐かしいです。子供が悲しい顔をしているのに、何もできないなんて」
伊達「子供の頃の引っ越しってのは、つらいもんだからなぁ……」
後藤「自分も経験したことがあるので分かります。できればそんな思いはさせたくなかった」
 戻ってくる知世子さん。
知世子「あの子、なんだか無理してるみたい……とにかく『一人でできます、大丈夫です』の一点張りで。もう少し頼ってくれてもいいのにね」
里中「……彼女、東京が襲われたときに母親を亡くしてしまったらしいんです。……自分を、庇って」
 後藤、無力感から壁を殴る。頬に傷はない。
里中「たまたま避難所で泣いてるところを見つけて、その時は話してくれたんですけど……それ以降は」
伊達「自分の弱さを隠すようになっちまったのか……あんなに小せぇのに」
映司「……取り戻しませんか? あの子の家」
後藤「取り戻すって……現実的には……」
伊達「何か勝算はあるのか?」
映司「ここの存在を、やつらにバラすとか」
後藤「そんなことしたら……!」
映司「やつらは必ず襲ってくる。だから……」
伊達「罠を仕掛けるってことか?」
後藤「そうか。これまでは撤退戦を強いられてきたが、堂々巡りならいっそ……!」
映司「本拠地を移すフリをして、戦えない人たちは前のアジトに戻ってもらうんです。そしてこの場所で総力戦を仕掛ける……グリード全員は無理でも、きちんと準備してかかれば一気にメダルを奪えるかもしれません」
後藤「メダルが減れば奴らは弱くなる……何より今は火野がいる。コアメダルを奪えば、こちらの戦力になる」
伊達「そうなれば逆転の可能性は高くなるな……よし、決まりだ!」
後藤「俺、信吾さんに連絡してきます!」
知世子「里中ちゃん、私たちは移動の準備をしましょう……それと、またあの子に声をかけてあげて? 一度本音を話したあなたにしか、できないことがあるはずよ」
里中「……はい」
知世子「もちろん、私たちも全力でサポートするわ。クスクシエのお店を取り戻したら、遊びに来てくれるかしら」
 フェードアウトする2人。
映司「……俺も行かなきゃ」
鴻上「待ちたまえ」
 置いてあった里中のPCに鴻上が映り、映司を呼び止める。
鴻上「火野君……いや映司君。私は君に言っていないことがある。……君は、ドクター真木を倒したことを後悔しているかね?」
ゴーダM(OFF)「映司、あいつはバケモノになったんだ。終わらせてやったのは、あいつのためだ」
映司「……してないと言えば、嘘になります。でも、あの時やれることは、やったと思ってます」
鴻上「では800年前の王はどうだね。彼もドクター真木と同じく、元は人間だ」
映司「倒しますよ。人が安心して帰れる場所を奪うなんて……俺は許せない」
鴻上「映司君……彼は、君の――」
映司「いいんです。俺はみんなの、子供たちの未来を守りたい」
鴻上「……素晴らしい! 親から生まれた子供が、大人になりまた何かを生み出す……それこそ世界を再生する欲望の力、無限に続く誕生の連鎖だ! ハッピーバースディ!」
映司「……じゃあ、これで」
 離れたところから見つめるアンク
アンクM(OFF)「映司……それに、あの子供……」

 

アンクと比奈、そして……

・川沿い
比奈「……アンク?」
アンク「……あ?」
比奈「アイス……」
アンク「あぁ……ありがとう」
比奈「えっ?」
 アンク、困惑する。
比奈「……私、アンクが戻ってきてくれて嬉しい。今も、お兄ちゃんを回復するために憑いていてくれてるんでしょ?」
 回想 信吾とアンク、比奈のシーン。
アンク「……ただメダルが足りないだけだ。セルも、コアもな」
比奈「ううん。アンクはそう思わないかもしれないけど、私はそう思う。そう信じてる」
アンク「信じる、か……人間の考えることは分からん」
比奈「……映司くん、戻ってくるかな」
アンク「それこそ信じなくてどうする? あいつは強い……ゴーダなんて奴より遥かにな。それに、こんなところで満足する器でもないだろ」
比奈「……信じててもいいのかな。また昔みたいに、3人で手を繋げるときが来るって」
 そっとアンクの手を取る比奈。
 回想 最終回のシーンと被る……が。
アンク「痛って! お前のバカ力は相変わらずだなぁ!?」
 だが手を離さないアンク。
アンク「……あのバカも、一緒だ。目が覚めてからずっと、あいつを感じる……あいつは死んじゃいない」
比奈「うん……!」

レジスタンスのアジト
 比奈より少し遅れてアジトに戻ったアンクに、作業をしていた伊達と後藤が話しかける。
伊達「アンコ。お前……少し変わったよな」
アンク「そうか? グリードは変わらない、人間と違って成長することもない」
後藤「いや、変わったよ」
アンク「……フン、だといいがな」
 影で聞いているゴーダ。
ゴーダ(映司)「アンクは、俺のものだ。昔のまま……」

 

グリード吸収

・グリードのアジト
ウヴァ「くそ……カザリ! どういう作戦なんだ、この後はどうすれば……」
カザリ「なーんだ。弱ったところでコアメダルを貰うつもりだったのに、1枚しか残ってないんだ。ま、セルもあるしいいか」
メズール「カザリ、なんのつもり?」
ガメル「ケンカ、よくない……」
カザリ「このまま王に好き勝手させていい訳? 僕は嫌だね。メダルを集めて、アイツを倒すんだよ」
古代王「誰を倒すと?」
ウヴァ「おぉ……頼む、俺のメダルを返してくれ。俺の……!」
古代王「もういい、貴様らは私の一部となれ」
 グリード4人を吸収して姿が変わる古代オーズ。
古代王「よき終わりを……いや、真のオーズの誕生……世界の全てを私のものに……?」

 

古代オーズ戦

レジスタンスのアジト
アンク「……! なんだこの妙な気配は」
伊達「800年前の王様か?」
アンク「さては、グリードを取り込んだか……チッ、おいゴーダ!」
映司(ゴーダ)「映司って呼んでくれよ〜。でもまた一緒に戦えるんだな、アンク?」
 黙って出ていくアンク。
映司(ゴーダ)「待ってくれよ〜!」
伊達「後藤ちゃん、アレ持ってこう! 例のアレ!」
後藤「でもあれはまだ調整が……」
伊達「今出さなくていつ出すの! もし暴走したら俺が止めてやる! それに、奴がオーズの力持ったまま裏切ったら、セルメダルのバースじゃ抑えられねぇ」
後藤「どちらにせよ、使えなければ終わりか……分かりました、なるべく早く用意します!」
伊達「そんじゃ、先行ってる!」


・アジト付近
古代王「久しいな、アンク」
アンク「ハッ、お前と再会を喜ぶ仲になった覚えはないなぁ?」
古代王「……そしてオーズ」
映司(ゴーダ)「あれ、会ったことありましたっけ」
アンク「どうでもいい。さっさと変身しろ」
映司(ゴーダ)「はいはい……タジャドルじゃないのかぁ! まぁいいや、変身!」
 オーズ ラトラーターコンボに変身。
古代王「虫ケラが、蹴散らしてやる」
伊達「変身! アンコ、援護は任せて下がってな! 体、大事にしろよ」
 アンクだ! とツッコもうとしてやめる。
アンク「……分かってる!」
伊達「ゴーダとか言ったか、手ぇ貸してやる!」
映司(ゴーダ)「……ありがとうございます! "伊達サン"」
伊達「っかぁ……調子狂うなぁ!」
 オーズ、スキャニングチャージを発動させるも、古代オーズに止められる。飲み込んだ人格が混ざり合って支離滅裂になっている。
古代王「僕のメダルを使っておきながら……この程度か? オーズの坊や。私には勝てん!」
アンク「クソ……このままじゃ!」
古代王「私の一部になりたまえ」
伊達「やめろ!」
 変身解除した映司(ゴーダ)が古代オーズに飲み込まれそうになる。が、その手を信吾が掴む。
ゴーダ(映司)「何!?」
アンク(腕)「お前に死なれちゃ、困るんだよ……!」
 古代オーズに特攻するアンク。
ゴーダ(映司)「アンク!!! クソ、離せ! アンクが!」
信吾「駄目だ! 彼に……頼まれたんだ!」
伊達「馬鹿野郎……! 体ってのはアンコ、お前自身のもだ!」
 バースバスターで威嚇するも、吸い込まれないようにするのが精一杯なバース。アンク、取り込まれる。
ゴーダ(映司)「な……」
古代王「次はお前……何だ!?」
アンク(腕)「飲み込まれるのはもうウンザリなんだよ! ゴーダ、これ使え!」
 古代オーズの体内にあった恐竜メダルを掴み、投げるアンク。
ゴーダ(映司)「……これなら!」
 オーズ プトティラコンボに変身し、メダガブリューを出現させる。
古代王「所詮、たった3枚のメダルだ……!」
ゴーダ(映司)「どうかな? お前のメダル、貰った!」
 古代王の体を構成するセルメダルがメダガブリューに吸い込まれていき、グランド・オブ・レイジを発動。
古代王「おのれ……! 私は……何を利用しても理想を実現するのだ! 私は……お前(映司)も!」
ゴーダ(映司)「あばよ」
 爆発する古代オーズ。グリード体で出てくるアンク。

 

ゴーダの裏切り、バースX誕生

ゴーダ(映司)「なぁ、アンク……」
アンク「なんだ? これでお前と戦う必要もなくなったなぁ。……まさか、映司から離れるつもりじゃないだろうな?」
ゴーダ(映司)「いや、あのメダル……俺が使ったらどうなると思う?」
アンク「何を言ってる?」
ゴーダ(映司)「俺は力が欲しい……飲み込めるさ、俺の器なら……!」
伊達「火野、やめろ!」
 伊達は映司に手を伸ばすが届かず、ゴーダはコアメダルを取り込み仮面ライダーゴーダに変身。
ゴーダ(映司)「最高だ……これが俺の求めていた力……!」
信吾「映司くん……!」
伊達「クソッ、また厄介なのが生まれちまった! 病み上がりに丸腰じゃ危ない、逃げろ!」
信吾「……すまない」
ゴーダ(映司)「アンク……お前も俺とひとつになれ」
 バースがアンクを守ろうとするが、劣勢。ダメージを負い変身解除する。
アンクM「ここまでか……? いや、何かあるはずだ、まだ手は……」
ゴーダ(映司)「終わりだ!」
アンク「この……いつまで寝てんだ、映司!」
 ゴーダの動きが止まる。
ゴーダ(映司)「なんだと……映司、俺の邪魔をするな。この体は……俺のものだ!」
アンク「ゴーダ……その体は、お前のものじゃない!」
 映司の手を掴むアンクのイメージ映像。ゴーダから分離され、倒れる映司の体。
ゴーダ「大人しく俺とひとつになっていれば、死なずに済んだものを……」
アンク「映司、しっかりしろ! 映司!」
 揺さぶっても反応がなく、映司の体に取り憑くアンク。
後藤「伊達さん! 遅くなりました!」
伊達「後藤ちゃん! ……ったく、本当だよ! ちゃんとアレ、持ってきた?」
後藤「はい、まだいけますか?」
伊達「当たり前!」
後藤「行きましょう、一緒に!」
後藤・伊達「変身!」
 伊達はバース、後藤はバースXに変身し、古代オーズに立ち向かう。映司に取り憑いたアンクは目を見開く。
アンクM「映司を感じる……そうか、俺は……!」

 

信吾と映司(オリジナル)

 暗転
レジスタンスのアジト
信吾「久しぶり、映司くん」
映司「信吾さん! お久しぶりです」
信吾「……勝手に君の留守を任されたつもりでいたんだが、こんなことになってしまって……情けないよ」
映司「そんな、俺の方こそなかなか帰国できなくて……すみません」
信吾「君も、アンクくんも、俺の命の恩人だ。君が心置きなく旅を続けられるよう、自分なりに頑張っていたつもりなんだけど……それで、アンクくん復活の手がかりは掴めたのかい?」
映司「……俺の欲望から、ゴーダっていうグリードが生まれたんです。でもこいつは、脳内でたまに語りかけてくるだけで、実体を持っていない……多分、まだまだ欲が足りなかったのかなって。だから、今アンクを復活させても、あいつに不自由な思いをさせるだけかもしれなくて……」
信吾「そうか……俺にできることがあったら、何でも言ってくれ。また体を貸すくらいなら、できるからさ」
映司「そんな! 信吾さんがいなくなったら、比奈ちゃんはどうなるんですか。あいつには……俺の体をあげようと思ってるんです。ゴーダには悪いけど……」
信吾「それは……映司くんは、またグリードになるつもりなのかい?」
映司「そんなつもりじゃ! ただ、無理かもしれないけど、あいつを蘇らせるならグリードとしてじゃなくて、人間として世界を味わって欲しいなって。もし俺の体ひとつで叶うなら、それで……」
信吾「それじゃあまるで…………死ぬみたいな言い方じゃないか。君がいなくなったら、比奈は……いや俺も! 残された人の気持ちはどうなるんだ?」
映司「…………俺は世界中を旅して、色々なものを見ました。もちろんいいことばかりじゃなくて、つらいことだってたくさん。……復活したグリードにみんながやられていくのを、俺は止められなかった。どれだけみんなと時間を積み重ねても、壊されるのはあっという間で」
信吾「映司くん……」
映司「でもだからこそみんな、今日を必死に生きていくんですよね。いつか訪れるその時に後悔しないようにって、明日へ向かって必死に手を伸ばす。……俺にとってその明日っていうのは、あいつなんです」
信吾「その明日には、映司くんも……?」
映司「アンクがいなくなったとき、俺はみんなに手を差し伸べてもらえて、今もこうして生きてる……この命を無駄にする気は、ないです。俺はこれからも、俺の手が届く範囲の人を助けたい……それだけです」
信吾「そっか……それならいいんだ。こんな状況だからこそ、みんなで支え合っていかないといけない……これからも、よろしく頼むよ」
映司「こちらこそ……よろしくお願いします」

 

映司の記憶

 アンクの中にフラッシュバックする記憶
レジスタンスのアジト付近
 オーズとバース2人がグリードと戦っている。
後藤「クソッ、王に気付かれた!」
映司「俺、行きます! みんなをお願いします!」
伊達「すぐ合流する!」
・旧アジト付近
映司「皆さん逃げてください! もうすぐここに敵が……!」
20歳ほどの青年「女の子がいないんだ……!」
映司「まさか……! 俺に任せて、君たちは先に逃げて!」
 ゆっくりと歩いてくる古代王を見つけ、阻止しようと戦いを挑む映司だが、劣勢。変身解除させられてしまう。
古代王「む?」
 逃げ遅れて泣いている少女を見つけ、攻撃する。
映司「やめろ!!!」
 少女を庇い、傷を負って倒れる映司。
少女「お兄ちゃん……!」
映司「早く……逃げて……」
古代王「フン、これで終わりか」
 立ち去る古代王、それを見て助けを呼びに行く少女。映司は意識を失いかけている。
映司M「アンク……アンク……!」
アンクM「……俺が今まで見てきたのは、あいつの記憶だったんだ」

 

2人の約束

・精神世界
映司「アンク、久しぶり」
アンク「映司……!」
映司「ごめんな、ゴーダが迷惑かけて」
アンク「そんなことよりお前は……!」
映司「アンクが生き返ってくれて、良かったよ」
アンク「お前が死んでどうする!」
映司「……アンク。俺は、いつでもお前と一緒だよ。俺の伸ばした手がお前に届いて、今度はお前がその手を伸ばす……そこに俺はいるんだ」
アンク「そんなもの知るか! それはお前ら人間の理屈だ……いないものはいない」
映司「アンク……お前は変わったよ。俺たちと過ごす中で、お前は人間になったんだ。本当は、分かってるんだろ?」
アンク「だから……受け入れろってのか……」
映司「大丈夫、俺だけじゃない。お前の周りには、比奈ちゃんも知世子さんも……みんながいる。俺と一緒に、みんなと手を繋いで欲しい。……それが、俺の願いだ」
 アンクは黙っている。
映司「最後に……俺と一緒に戦ってくれるか?」
 泣きながら目を逸らすアンク。
映司「頼むよ」
アンク「…………今日の分のアイス、貰ったからな」
 映司、笑ってアンクとひとつになる。

 

タジャドルコンボ エタニティ

・アジト付近
 映司に取り憑いたアンクが目を覚ますと、メダルがエタニティコアに変化。
ゴーダ「フンッ!」
 紫のメダルの力で本領発揮できないバースXは、やられてしまう。
ゴーダ「アンク……いや映司。次はお前だ……」
アンク(映司)「映司……それが、お前の願いなら……。お前のやりたいこと……俺が叶えてやる。変身!」
 オーズ タジャドルコンボエタニティに変身。
ゴーダ「なんだその姿は……!」
鴻上「ハッピーバースディ、オーズ! そして、新たなるアンク君……」
 アンクの放った攻撃に重ねて映司の幻影が映り、アンクは自分の戦い方の中に映司がいることを再確認する。
ゴーダ「お前たちの欲望は力だったはずだ! 何故俺を受け入れない、何故俺を否定する!」
アンク・映司「あいつの欲望は……そんなもんじゃ満たされない!」
ゴーダ「バカな、そんなことが……!」
アンク(映司)「……行くぞ!」
 スキャニングチャージを発動し、ゴーダを倒す。
ゴーダ「俺の……いや、映司の欲望を……俺は……!」

・精神世界
 向き合っていた映司とアンクだが、振り返って歩き出そうとするアンクの背中を押す映司。

 

残されたもの

・アジト付近
 倒れる映司に寄り添うアンク。
映司「アンク……お前の手を掴めて……良かった」
アンク「……お前を選んだのは、俺にとっても得だった。間違いなくな」
 駆け寄り手を取る比奈。
映司「比奈ちゃん……ありがとう」
 笑顔を浮かべる映司。
比奈「いやだよ、映司くん……!」
 映司と繋がれた比奈の手に、自分の手を重ねるアンク。
比奈「アンク……」
 そこへ里中と青年が少女を連れてくる。少女は固まったまま、動かない。
里中「……つらいときは、泣いていいんです。みんなに頼って、いいんです」
 少女、映司に駆け寄って泣き始める。
少女「お兄ちゃん……!」
映司「俺、君を守ったこと……後悔してない。多分、君のお母さんだって。君が生きてて、本当によかった……。みんなが、君の帰る場所になってくれるから」
 泣いている少女の手を取るアンクと比奈、4人の間に輪ができる。里中は後藤と伊達、知世子さんは青年と信吾の手を握る。
映司「……見て、綺麗な空だ」
 空を見上げる少女と比奈。アンクは泣きながら、映司の目蓋を閉じた後、見上げる。
アンク「あぁ……綺麗だ……」

 

 エンドロール『Anything goes!』
 墓標のように立てられたパンツ、最後に赤い羽根が落ちてきて、寄り添う。

 

END

 

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