やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

本物の月光に見惚れる『BECK(映画)』 感想

映画『BECK』……みなさんはもう見ましたか。
僕はたしか公開された少し後くらいに父がDVDを借りてきて、そこで初めて見たかな。その頃は仮面ライダーは見てたけどまだ俳優がどうとかは意識したことがなくて、気付かなかったんだけどね。


平成ライダーファンとしては俳優陣がもう垂涎ものなのが今作。
カブトの水嶋ヒロさん、電王の佐藤健さんがW主演。しかも役柄もそれぞれちょっと似てる。
そのうえ不良(メロンパン)役で幸太郎の桜田さん、ライバルのバンドマンとして幻徳の水上さん、アンクの三浦さん、僕はあんま覚えてないんだけど、黒崎レイジの人も出てる。
水上さんは髪の色が違ったから最初分かんなかったけど、エイジがそうだと知った上で見たら確かに声とか表情とか少し面影あった。今のほうがよりダンディで僕は好きだけど。
三浦さんもね……僕が見つけたのは本当に一瞬、テレビでバンドのMVが流れるシーンなんだけど、時期的に近いのもあって完全に『Time judged all』のアンク。そりゃ売れるわって感じ。つーか絶対これ知っててMVやらせたでしょ(笑)
あともう1シーンはグレイトフルサウンドでマラカスを振ってるところなんだけど、シュール過ぎて腹がよじれた。何あれ、ギャグ?

 

千葉役の桐谷健太さんも僕は結構見たことあって、『ROOKIES』とか『バクマン。』でも佐藤さんと共演してたし、直近だと『JIN-仁-』の佐分利を見たかな。インパクトのある役者さんだよね。後述するコユキとは対象的にご自分の声できちんと歌ってる様子が描写されるんだけど、きちんとかっこいい。当時の僕はおさがりのカセットプレイヤーを使ってたんだけど、録音して"Evolution"をずっと聞いてた。
平の向井理さんは名前だけ聞いたことあってあんまり具体的な役は出てこないんだけど、僕が知ってるくらいだから多分有名な方なんだと思う。知ってたのは『SPEC』のセカイくらい。
サクの中村蒼さんは……申し訳ない、お名前を聞いたことがないんだけど、彼の笑顔をああやって表現できるのはすごい。原作ではポケモンのタケシみたいになってるんだけど、あの独特の愛嬌がよく出てる。調べてみたところイケパラに出てたみたいなので、もしかしたら記憶にないだけでそれより前に見てたかもしれない。チョイ役でいいなら『LEGAL HIGH』の坪倉は記憶にあるけど、あんまり同一人物って言われてもピンとこない。役者さんとしてはそれってすごいのかもしれないけど、逆にその人である必要性も薄れてしまうってのが難しいな。
さっき言った桐谷さんみたいな一度見たら忘れない特徴的な雰囲気というかオーラみたいなものがあると、役の幅は狭まるというか、限定されそう。彼は元気なイメージと怖いイメージの2面があるけど。

 

ここから本題のコユキ/佐藤さんの話になってくるんだけど、彼の歌声は終始作中では流れない。後からどっかで佐藤さんが歌ってるっぽい"MOON BEAMS"を聞いた気がするけど、CDかなんかには収録されてたんだろうか? それとも原曲の方だったのかな。まぁそれはいいや。
正直、一番最初に見た時は驚いたっていうか、やたらと同じ演出が使われるから絶対最後の最後では聞かせてくれるもんだと思ってたのに、終始無音でズッコケたよね。
僕はまぁ、別に造詣が深い訳ではないけれど音楽は好きで、音楽担当が好きな人だったら内容興味なくてもとりあえず見てみようなんて気持ちになるようなタイプなので、音楽っていうそれだけで人を盛り上げるパワーを持ったものを捨てて勝負に出るっていうのは、逆にロックだよね(雰囲気で使ってる)。
楽曲は録音で飽きるほど聞いた上で、今回は映像作品として見たんだよね。狙った訳じゃなくて、偶然だけど。そこで目を見張ったのは、やっぱり佐藤健さんの演技。
一応バックでインストが流れてるし、ギターソロのところは普通に音楽で盛り上がっちゃったんだけれども、彼が歌ってる時の表情ってのがとても美しくて、それだけで結構満足させられてしまった。
『電王』でも序盤以外は彼自身の声は消されて100%声優さんが演じてて、佐藤さんがやってるのは表情や動きだけなんだけど、なんていうかこう……表現力のない僕には"表現力"以外に言い様がないんだけれども、魅せる何かがあるんだよね。説得力っていうのも、ちょっと近い。
本当にこれは良太郎じゃなくてイマジンなんだなっていう、或いは本当に気持ちを込めて歌ってるんだなっていう。
うまく言えなすぎて、単に顔がイケメンだから見てて気分がいいみたいな話なんじゃないかと思えてきた。
感想書くにあたって宇多丸さんのシネマハスラーも聞いてみた(普通にYouTubeにずらっとあったけど、許可とってるのか?)んだけど、『TO-Y』の話とか出てきてちょっと懐かしくなった。子供の頃に近くの……公民館? かなんかよく知らないけどある施設に、漫画が置いてあったんだよね。そんな夢中になってた訳じゃないんだけど、「『イローン』? 変な名前」くらいの気持ちで、時間潰しにちょいちょい読んでた。二矢とニアがかわいくて好きだった。
あ、ちなみに『BECK』は一応、漫画全巻持ってる。なんか父がくれた。一通りくらいは読んだ気がするけど、記憶はほぼない。元々映画から入ったし、いわゆる"原作ファン"みたいな視点で見てはないってのはここで明言しておく。そういえば最近アニメの『バナナフィッシュ』を見て、なんとなく雰囲気が似てるというか、『BECK』と『ユーリ!!! on ICE』と足して2で割ったみたいな感じだなとか思ったりしたっけ。それを無意識に覚えてて、急に見ようと思ったのかもしれない。

 

元々理屈じゃない感覚の話をしようとして記事を書いてる訳なので、こうやって収集つかなくなるだろうとは思ってたけど大概だな。
だから少し理屈っぽい話もしておこう。
"音楽の映画"であることを捨てた本作が一体何なのか。
僕の見たところは、「響き」の話だった。そもそも今回は俳優に注目して見ているのでそれに引っ張られてるだけかもしれないけど、仮面ライダー(特に響鬼、カブト)と似たテーマを扱っているように見えた。
これは子供の頃から引っかかってたんだけど、「ベック(犬)とルシール(ギター)を盗んだから命を狙われてるって、それ100%エディと竜介の自業自得じゃん」って話なんだよね。
辿り着いた結論としては、あれは"盗作"のメタファーなんだろうなと。
レオン・サイクスの「金のために殺す」ってスタンスはつまり、お金のために著作権侵害を訴えることなんだよね。竜介はデイヴィス(ルシールの前所持者)のファンで、そのデイヴィスはまたサニーボーイ(ルシールの元々の所持者)のファンである。
誰かの音楽を聞いて影響を受けて、そこから今度は自分の音楽をつくっていく。誰もが誰かの模倣であり、オリジナルでもある。
そして泥棒だったはずのエディは世界的なミュージシャンになり、竜介もコユキが音楽を始めるきっかけを与える。
デイヴィス(著作権者)が竜介を認めてルシールを譲り渡したように、音楽が世代を超えて受け継がれていくっていう、そういう様を描いた作品なんだろうなと。"MOON BEAMS(月光)"というタイトルもその様をよく表してるよね。竜介はエディやデイヴィスからしたら月だけど、コユキにとっては太陽。そしてコユキも太陽になる。

彼の歌で盛り上がって服まで脱いじゃう人が出て(フィクションではたまに見かけるけど、実際にこういうことってあるのかね)、それにつられて観客が更に増えて……みたいな"連鎖"も、それを表現してたのかな。勿論8割ギャグだろうけど。 

ちなみに、親殺しの親目線で、後から来たやつに追い越されるって時に生じる嫉妬的な感情を体現しているのが千葉で、その彼が歌うのが"Evolution(進化)"。
後世に種を繁栄させるためにより良い個体をつくろうとすることは、人類単位で言えば進歩だが、同時に自分自身を"型落ち"にしてしまう。まぁ千葉について言えばもうちょい小さいスケールの話なので、コユキと競って共に切磋琢磨ってことができる訳だけれど。

 

ふぅ、だいたい話せて満足かな。役者という職業については最近少し興味が湧いてきてて、この間BOOKOFFで「文・堺雅人」を衝動買いした。これも何かの参考になるといいんだけど、読むのいつになるかなぁ……。

 

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