キャラクター
飛電或人
・メゲない、ショゲない
社長の座を追われてゼロから(イチからだっけ?)築き上げた自分の会社(本人談)が壊されても動じず落ち込まず、ひたすら前を向いて突き進む様は見ていて気持ちがいい。不破もそうだけど、うじうじ悩まれても面倒くさいだけだしね(唯阿さんェ……)。まぁ彼女も最近は「自責の念が強い故に心の余裕がなくてキレやすい。特に自分よりタチが悪いと思ってる天津には厳しい」キャラで行くことに決めたらしいけど。勝手に自己完結するよりは何かしら外に向けて発信する方がマシだから。自戒の意味も込めてね。
どれだけ追い込まれても諦めず夢に向かって飛ぶ様は、デイブレイクで爆破されても、湖の底に沈んでも、滅亡迅雷がやられても、ゼロツーにボコられても、しぶとく復活するアークにも通ずるものがある。皮肉でも何でもなくね。そうやって互いに切磋琢磨していくのはいいことだと思います。僕はゼロワン楽しんでるけど、記事のネタは割とアンチの意見から拝借する(彼らの疑問に対するアンサーを考える)ことも多いので、いなくなったら正直困ってしまう。
ところで、項題に使ったがんこちゃんからの連想でゼロワンとはほぼ関係ないけど、ストレッチマンって特別支援学級向けの番組だって知ってました? 僕はついこの間知りました。楽しんでたかは覚えてないけど、普通に見てたよね。
・返ってきたブーメラン
「ヒューマギアは悪くない。悪いのは、ヒューマギアの夢を認めない存在…… (中略) 天津垓、お前だ!」。そう言って滅を守った結果、彼は心を動かされ、人類滅亡を"夢"と明言した。或人の場合、このままだと「そんな(ネガティブな)ものは夢じゃない!」と言いそうだけど、滅が「ヒューマギアの仲間たちと穏やかに暮らすこと」とかなんとか言い換えれば、多少は聞く耳を持つと思われる。我ながら、或人の性格をうまく言い表せていると思う。理屈がどうこうというよりは、そういう表面的な耳触りの良し悪しで判断することが多い。
今更無下にもしないと思うけど、ここにどういう決着を付けるかは気になるところ。アンパンマンのようにドンパチを繰り返すか滅が死ぬかの2択しか僕には思い付かないので、そのどっちかでもいいし、そうじゃない道というのも見てみたくはある。
(参考:仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション ネタバレ感想)
アーク
・何故ヒューマギアを滅ぼすか
前回、或人とイズが同じ夢を見たことで生まれた力、ゼロツーによってアークはこてんぱんにやられた。その直後にヒューマギアはもう用済みだとか言い出したんだから、関係ないはずがない。要するに、自分の忠実な使徒である(べき)ヒューマギアが滅ぼしたい人間と"同じ"方向を向く例が出てきて、しかもそれが自分に対する驚異にもなるとラーニングしたから、ヒューマギア(正確にはおそらく人型AI)ごと廃棄する結論を導き出したと。迅はなんだかんだ抑え込めてたから泳がしてても良かったけど、そうも言ってられなくなった。
ただ、ここ数話山寺さんはナレーションで、アークの行動原理について「ヒューマギアが支配する世界を作るため」と説明してたのよね。そこがなんとなく引っかかるポイントかもしれない。ナレーションって本編よりも一段現実に近い、完全な"視聴者に対する説明"なので、無批判に受け入れがち。まぁ、あの時点では実際そうだったんだろうけど。
しかし、そもそも彼の生まれた意味というのはあくまで天津による「兵器ビジネスのため、適度に人間を襲うサンドバッグになること」なので、人間(とヒューマギア)を滅ぼして一体何をしたいのかってところは特に持っていないのよね。その辺は滅と同じかもしれない。ある目的(ビジネス,人類滅亡)のために持たされたその場しのぎの理屈(人類滅亡,ヒューマギアによる支配)を拠り所にするしかない、ある意味では哀れな存在。
とは言うけど、逆にそうじゃない存在なんていないけどね。みんな「自分が生きる意味」なんてものは持っていない。
人間やその他の生き物はもちろん、それらをつくった神でさえ「創世の目的」について言及されることはそう多くない。人間が堕落したから洪水を起こして滅ぼすとは言うけども、仮にノアのように信心深い人間ばかりになったらどうなると言うのだろう。「何故?」と問われたら、一体何度まともに答えられるのか。
そこに対する諦念として、ショーペンハウアーは「盲目的意志」という言葉を使う。我々は向かう場所(目的)もなく、ただ盲目的に生きているに過ぎないと。
これは僕もしばらく頭を悩ませているテーマで、とにかく生きる意味が見付からない。コロナで自粛が叫ばれる中、例えば「遠出したいな」とか思う訳ですよ。でもそんなことをしたら自分だけじゃなく他の多くの人に迷惑がかかるので、それを無視してまでしたいのかと考えると、口を噤むしかない。
自分の意志を尊重するメリットといえば、第一は当然自分が嬉しいとか楽しいと言った感情を得ることだろうけども、それに果たしてどれだけの価値があるのか。僕が悲しむことで誰か悲しむ人がいるだろうか。仮にいたとして、じゃあその人が悲しむことで一体誰が困るのか。人間なんか絶滅したって知らん顔して地球は周るだろうし、太陽も輝き続ける。太陽に寿命が来て破裂したところで、所詮は銀河系の片田舎での出来事に過ぎない。宇宙が滅んだら誰が悲しむ? 神が死んだら何が起こる? そんな風に考えると、だだっ広い茫漠な虚無の海に溺れ沈んでいくような感覚に襲われる。
どんだけ生きる意味がなかろうと、飯を食ってるだけでまず死ねない不自由な、変によくできた体なので、流されるままに生きるんだろうけどね。
(参考:垓の底知れなさ→仮面ライダーゼロワン 第25話「ボクがヒューマギアを救う」総集編 感想)
滅
・綻び
前から思ってたけど、彼の名前には不思議な響きがあるよね。ディケイドの用語に「滅びの現象」ってのがあったけど、「(何かを)滅ぼす」でも「(何かが)滅びる」でもなく、ホロビという現象そのものを指す言葉。そこに何者かの意志が介在する余地はなく、ただ客観的で俯瞰的な、のっぺりとした語感。
似た話として、ジオウのメイン3ライダーの必殺技って、それぞれタイムブレーク(Break/他動詞),タイムバースト(Burst/自動詞),タイムエクスプロージョン(Explosion/名詞)で、それぞれ視点が違うのよね。"滅び"はウォズと同じ名詞に当たるので、やはり主観の入らない客観性を感じさせる。結局ジオウの感想では書きそびれたのかな。
以前はアークを作った天津がノアだと言ったけど、敬虔さを考えると滅もまたそうなのかな。
僕は神を信じていないので想像することしかできないけど、信じる神様と横にいる仲間、どちらかを選ばなきゃいけないとなったらどうするのだろう。基本的には「神が隣人を愛せと言ってる」から両立しているのだろうけど、もし神が意見を変えたらそれに従うしかないのだろうか。
ゼロワンに倣って敢えて意地悪に捉えるのなら、自分の家族以外の者を見捨てたノアは、人類からしたら裏切り者も同然よね。もちろん彼らはノアの忠告を聞かずに馬鹿にしたという経緯があるにせよ、洪水の当日にはそれを悔いて助けを乞うたかもしれないのに、無慈悲にも乗せなかった。根底にあるのは結局、選民思想に近い何かよね。他者と比べて自分(ノア)を優位に置こうとする心理。
滅は最終的にアークよりもヒューマギアの仲間を取った。ヒューマギアを人に喩えず文字通りに考えるならば、「滅び(洪水)がアーク(方舟)を倒す」ことが人類滅亡を意味するのは間違いない。
劇中の話に戻すと、ゼアにとってのイズのように、滅亡迅雷.net(4体のヒューマギアによるローカルネットワーク)自体がアークのバックアップみたいな役割を担ってるはずなので、彼らがいる限りアークが滅びることはないと思うけど。アズは彼らの脳味噌の中にだけいる幻覚って風に描かれてたから、つまりそのデータがアーク復活の鍵なんじゃないかな。
天津垓
・或人を認めた理由
アークの項で言ったのとほぼ同じ話になるけど、タイミングからして明らかに、ゼロツーを踏まえて「ヒューマギアと人間が共に歩めると知った」から、だよね。道具として自分の一部と見做していたのでは辿り着けない"2人"という境地を見て、ヒューマギアと、そこに付随する「青臭い夢」を受け入れたのだろう。
セキュリティの脆弱性についても、ランペイジ周りで描かれていた「思いはテクノロジーを超える」というロジックを利用しているのか、迅が(強固な)意志さえあればハッキングに耐えられるみたいなことを言ってたし。
何より、そもそもヒューマギアの暴走はこれまでずっと「1000%自分の計画通り」と捉えてきてたはずなので、彼が暴走させようと(例えば煽ったり、敢えて攻撃的な人間と引き合わせたり、ゼツメライザーをバラまいたり)さえしなければ、ヒューマギアの危険度はかなり下がる……と、天津は思っても不思議じゃない。残る懸念はアークと、現状チェケラと滅しか確認されてない自由意志での反乱だけ。で、そのアークにはゼロツーで技術的優位に立っている訳なので、ひょっとするとハッキングへの対策も強化できてるかもしれない。アークワンへの進化でまた破られるだろうけど。
さらっと流されてるアークと依代の分離機能だけど、前回言ったような2という数字の性質を考えたら、同化してるものを区別して分離する(≒お前はアークじゃない)というのは納得の行くものではある。
次回はイズが死ぬらしいですね。元々キャラクターにそんな入れ込むようなタイプじゃないので特に強い感情もないけれど、せっかく手に入れたゼロツーがどうなるのかは気になる。ヒューマギアが人間に敵意を抱く可能性、に負けてしまうのだろうか。
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仮面ライダーゼロワン 第40話「オレとワタシの夢に向かって」 感想
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