やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーゼロワン 第36話「ワタシがアークで仮面ライダー」 感想

キャラクター

 飛電或人
・できるならやってた
やはりアークの破壊は浸水している関係で物理的に不可能だった様子。記事の方で既に言ったかは忘れたが、或人的にはヒューマギア自治都市構想の際にデイブレイクタウン再建という名目であの湖を何とかしてから壊そうと思っていたのだと推察される。出している被害や人型でない(道具っぽい)ことを思えば、少なくとも当時の彼に躊躇する理由はない。はやく壊さないと!
その計画が、アークに依らず悪意を学習したチェケラの存在によって潰えたというのは、構成として非常によくできている。要するに、アークを壊すことは延命措置でしかなくて、根本的な問題たる人間の中にある悪意をなんとかしなければ最終的な解決はしないという話。
だからといって当面の敵である以上は壊さなくていいということにはならないので、迅は彼なりにアークを呼び起こすことで倒そうとしていたみたいだけど、じゃあ或人の方は飛電インテリジェンスが買収されてからはどうやってアークに対抗するつもりだったのかという話に当然なる。社会にいるヒューマギアを守ることで少しずつ信頼を取り戻して、飛電インテリジェンスの社長に返り咲き自治都市構想を復活させようとしていた……とか? 今の状況に精一杯で、正直そこまで先のことは考えてなさそうだけど、でも或人にできることがあるとすれば、その道くらいだよね。
・今だからできること
絶賛コロナの影響が出まくっている状況というのもあって、こういう風に物事を前向きに捉えられる人を見るとなんだかちょっと嬉しくなるな。人型にできないのは単純に資材不足の為だろうけど、そこを「だからこそ話せることもあるのでは」とするのはうまい。発言者或人じゃないけど。
或人本人が言っていたこととしてはおそらく、職業ヒューマギアのような生活必需品を安定供給するだけの力は飛電製作所にはないから、「なくちゃ困る」んじゃなくて、なくてもいいけどあれば嬉しいくらいのAIがつくれないか、みたいな話だと思われる。占いもそうね。あっ、小林製薬
ただ、あれを"友達"と言うのかは微妙よね。「そんな酷いこと(洗脳して利用)をするやつは、友達なんかじゃない!」とか言っていたことも踏まえると。「そばにいて話を聞いてくれるだけ」の自分に都合のいいの存在を、友達と表現して良いものか。
後述する通り、アイちゃんが自我に目覚めることはまずないと思われるので、こちらの都合で"友達"を押し付けることへの抵抗は実際少ないのだが。


 不破諫
・悩みの答え
ぶっちゃけ東品川の母は僕もうぜぇなって思ったけど、不破はどっちも否定してるのよね。「家族のことは忘れろ」も「嫌なら会いに行けば?」も。
まぁそうよね。すぐに答えが出るならハナから悩むことはない。僕も人に悩みを打ち明けると、相手の提案を「でもそしたらこうなるから駄目なんだよね……」と片っ端から否定するもんだから、結構面倒くさがられる。そうなるの分かってるので最近はあまり相談しない。
……で、アイちゃんは多分低予算かつ経験値もないから自分で考える能力が低くて、「じゃあ自分で考えれば?」と本人に委ねた訳だ。知らんけど。それがたまたま不破の需要とマッチして、会わないまでも様子をうかがうというところに落ち着いたと。
自問自答というのは最近の僕の中で重要なワードのひとつ。相手などいなくても、自分の考えてることを言語化してみるだけで、整理されたり、新たな道が開けたりするものだ。その為の道具として「"鏡のよう"なヒューマギアを鏡として利用するではなく、まさに鏡であるアイちゃん」があるのだろう。
彼女がシンギュラリる可能性はないのか? というのは論じるべき問題だが、人の心というのは脳みそだけじゃなく、体全体に宿るという考え方がある。何故なら体というのは外界からの情報を受け取るための装置であって、情報の受け取り方が違えば、その結果形成されるニューラルネットワーク(心)も違ったものになる。大きな意味では「ラーニング次第」と同じ理屈だ。
ブサイクな顔で生きてたら馬鹿にされることが多く卑屈な性格に、端正な顔なら自信を持った性格になりやすい……みたいな表現をするとイメージしやすいだろうか? 心は体に大きく左右される。ネット弁慶なんかもいい例で、容姿や身体能力が関係しない場に行く(≒アカウントという別の体に入る)ことで、言動が著しく変化する。
同様に犬は犬なりの、ミミズはミミズなりの思考様式を持つ。人間とはかけ離れた肉体(ハードウェア)を持つアイちゃんが人間のような自我や尊厳に目覚める可能性は、この立場を取るならかなり低いと言える。


 迅
・エグゼイドでも見た
「倒せる確証もないままに呼び出したら無理でした」って、ゲムデウスの時の大我たちだよね。あの時はアホらしいの一言で済ませたけど、今回は微妙に状況が違うので詳しく見ていく。
僕の解釈と記憶が正しければ大我たちがゲムデウスを倒せる理由なんてものは皆無だった(ゲムデウス特攻のはずのポーズは何故かゲムデウスウイルスによって無効化されるし、仮に通じたとしてもニコも大我も変身資格を持っていない)んだけど、迅の反応を見る限り、一応彼なりの理屈というか勝算はあったらしいのね。どうやらその鍵を握るのは「ドライバーになったこと」っぽい。
察するに、迅の予想では滅の頭にアークがインストールされるだけのはずで、「言うてもスペックが型落ちの滅(戦闘技術で補ってようやくサウザーと互角以下くらい)だから協力すれば勝てるっしょ」みたいな読みだったのだろう、きっと。でも蓋を開けてみたらターミネーター2が出てきて、ドライバーになるわ強化外骨格となる(要は変身する)わで対処できなかったと。
滅を器にするというのは……バックアップ取れば壊してもいい理論だろうか。或いはアークと共に死ぬのが滅にとっての幸せだろうって話なのか。
唯阿に決意を告げてからアークに乗っ取られたので、多分自分の体を犠牲にして倒すつもり、なのかな? ウイルスを宿した体が死ねば増殖を防げる的な。


 天津垓
・たじたじ
ザイアスペックの暴走を防げず、苦肉の策として出したのがレイドライザーの一般販売って……苦し紛れにしても苦しすぎないか? 大事な会見に際してろくに準備もできてない始末だし。
一応ザイアスペックが潜在能力を引き出してるとかで普通の人間よりは強いのかもしれないけど、とは言っても生身の人間でしょ。その相手にレイダーってのは、どう見ても過剰防衛としか思えない。CMに出てたのはそこそこご高齢の方っぽいものの、あんな優男が相手なら素手でのしちゃいそうな迫力があったよね。ザイアスペックで強化された人間相手ならザイアスペックで対抗すればいいのに。それでもなお不安な人向けってことなんだろうが。
つか、レイドライザーの使用にザイアスペックが必要って訳じゃあなかったのね。おばさん付けてないみたいだし。小さく注意書きで「映像はイメージです。ご使用には別売りのザイアスペックが必要となります」とか書いてあったりして。
アークが予想外の動きをしてることを抜きにしても、彼の計画って最近既に破綻気味なのよね。
レイドライザーを売る最大の口実だったマギアはZAIAのもと廃棄処分が決定し、野良ヒューマギアがいようもんなら天津の管理責任能力が問われる状態で、ザイアスペックの暴走は言わずもがな自社製品としての責任が問われる。
五番勝負ではレイドライザーを私的暴力に使う輩もいた訳で、もう一体何が誰に対抗するための力なのか訳分からんことになっており、有り体に言えば、仮面が剥がれマッチポンプの構図が顕わになってきている。
とにかく流通させて実際に暴力のインフレを起こしてしまえばそんなことはもはや些細な問題と化すから、それまで耐えればいいと思ってるのか?
もし悪役のまま最期を迎えるなら、1000をゆうに超えるほどの暴徒と化したザイアスペックやレイドライザーのユーザー達に数の暴力で負けて死ぬ……ってのがお似合いだろうか。

 

設定

・復活の鍵
アークの本体とでも言うべきものは、うにょうにょした銀色の何か(おそらく飛電メタル)だった。金属がAIの正体というのはなんとなく違和感がある。2進法を使って情報を伝えるためには、一般には半導体が使われているからだ。コンピュータの仕組みには疎いが、それくらいは分かる。でもそれだけしか知らない身からすると、その金属が飛電メタルのように自由に形状を変えられるなら、物理的に"電気を通さない"ことができる=半導体の代わりとして採用できるのでは? と思った。間違ってたらすんまそん。そもそもその飛電メタルの変形はどうやって命令してるのかは完全にブラックボックスだが、ファンタジーに足突っ込んでるので分からないというか、分からなくていい気がする。シャインシステムやクラスターセルが宙に浮かんでる理由とか正直別にどうでもいいでしょ。そんな感じ。
第一、あのうにょうにょもあくまで前回のアズのような、アークに接続したAIが見せられてる幻覚(或人もゼロワン変身中はAIシステムと一体化しているのでこの限り)であって、地上に出てきたのは実体のないソフトウェアだけって可能性もあるけど。少なくともあの赤い仮想ライズキーの描写はイメージ映像だと思う。多分、12話でドードーマギア改がやってた(4:38)卵型の何かを飛ばしてハッキングする描写も、無線ハッキングの映像表現……と思ったら、公式サイトによるとちゃんとした金属らしい。やはり飛電メタルはふわふわ飛べるのか。
それは置いといて、そのうにょうにょアークが出てくるために、どうして滅亡迅雷の復活が必要だったのか。これは一応解けそうなので考えてみると、飛電が通常ヒューマギアにセキュリティをかけているように、ゼアやアークにもセキュリティがあるはず。イメージ的に、通常アークはそのセキュリティによってあの水中にあるかき揚げみたいな残骸からサルベージできないようになっていて(イズのセントラルメモリーみたいに)、そのプロテクトをこじ開けるために、シンギュラリティに達したヒューマギア4体の並列計算が必要だった……みたいな理屈なのかな? なんで最高の知能を持つはずのアークが自分でできないんだって話だけど、単純に外からしか開けられないのかもしれない。それを開けてこそ人類を超えたシンギュラリティなんじゃないかとも思うが、たかだか人間を超えたくらいで全能になるというのもおかしな話なので、できないことがあるのは不自然ではない。
通信衛星ゼア/アーク
今回明確に、滅亡迅雷のアジトとアークが有線で(具体的には太いパイプで)接続されてることが映像から分かった。確かに普通に考えたら水の中じゃ電波届かないもんな。
ゼアやアークが衛生としてデザインされているのは、より広範囲にヒューマギアをコントロールするためであって、メタテーマ的には神の視点に立つためと思われる。
国内最大の電波塔である東京タワーやスカイツリーでさえも直接届いているのは周辺だけで、遮蔽物の向こう側や単純に遠いところに関しては中継局を介している。確かに上空からであれば遮るものは雲くらいのだし、都合が良さそうではあるが、果たして静止軌道上に衛星を打ち上げるのといくつか中継局をつくるの、どちらが歩合がいいのだろう。宇宙というだけでなんとなく浮世離れしたイメージを抱いてしまうので、前者の方が地に足ついた手段に思えてしまう。もちろん技術の発達によってハードルは下がっていくだろうが。
ここで考えたいのは、電波通信衛星になるはずだったアークが何故有線で滅亡迅雷.netと繋がっているのか。
今でこそ文字通りの湖(lake)となっているデイブレイクタウンだが、12年前は普通の実験都市だった。そこからどんな経緯で街全体が浸水するに至ったのかは僕の知る限りでは触れられていないのだが、順当にいけばデイブレイクの爆発でできたくぼみに雨水などが長い年月をかけて溜まっていったものということになる。つまり、爆発直後はまだ水のない更地だったはずなのだ。恐らく当時の飛電インテリジェンスに「完全に活動停止している」と見做された程度には壊れていたはずのアークを多少なり復元し、滅亡迅雷のアジトをつくるタイミングがあったとすればその時しかないし、そんなことをしたがるのは天津しかいない。実行したのは技術者らしい亡あたりだろうか。事故とはいえ街ひとつ吹き飛ばしておいて知らん顔する訳にもいくまいし、当時の飛電インテリジェンスはその対応(と、もしかするとZAIAとの決裂もこの辺りの時期に被ってくるのかも)にてんてこ舞いで、既に鉄くず同然のアークにかかずらっている暇がなかったのかもしれない。立入禁止にするほどの危険がどこにあったのかは疑問だが、気持ちとして近寄りたくないのは分かる。
そもそもの話、有線接続と言えば真っ先に思いつくのはマギアだろう。あいつらがどこからケーブルを出してるのかはイマイチ分からないと言えば分からないのだが、実際問題として出してるんだから「付いてたんだろう」としか言いようがない。だとするなら、アークにもケーブルが付いててもそう不思議ではないとも思う。
また、飛電メタルとやらは見ている感じ自在に形状を変化させられるようなので、この存在を使えば大抵のことは解決する気もする。主にはヒューマギアのマギア化/転身だったり、多次元プリンタの何でもできる具合だったり。なかったはずのケーブルをつくることも、究極的にはなんかできそう。アークゼロがアタッシュウェポンを出したようにね。これまでも水中のアークがうごめいてたことあるし、割とどうとでも融通ききそう。
アーク関連はこのような理解でおおよそ良いのではないかと思うが、気にかかることはまだいくつかある。天津の記憶操作による嘘だったのはあくまで不破が襲われたという事実のみであることは、令ジェネからも本編4話のヒューマギア工場のエピソードからも明らかであるので、ヒューマギアの暴走自体はあったことになる。生存者が或人以外に皆無な訳でもあるまいし、そういう噂が流れていてもおかしくない。そのような状況で、かつ通信衛星もないままに、どうやってAIテクノロジー企業としての飛電インテリジェンスは(ゼアが打ち上がるまで8年ほど)存続していたのか。考えられる可能性としては、やはり人型でないちょっとしたAI(いまこの世にあるものの発展系くらい)の普及によって信用を回復していった、とかだろうか。飛電がヒューマギア以外の製品をつくっていることは、ライズフォンやセイネのAIスピーカーから分かる。そうやって一度何年もかけて復権を遂げているからこそ、序盤はなかなか飛電への信頼が崩れなかったのだとも取れる。
これは僕個人の意見であり、同時に工学博士の森博嗣さんからの受け売りでもある話として「これまでは原発について、僕自身の中で、感覚的な賛成と反対の割合は五分五分でした。しかし、事故が起こったおかげで少しは安全になるから、今は五十五%は賛成(養老孟司『文系の壁』より)」というのがある。初期値が五分五分かどうかは些末なことで、要は事故(経験)を経ることで人は学び成長するのだから相対評価は上がっていくということで、僕はこの考え方がとても好きだ。果たして本当に原発やヒューマギアが世の中に必要なものなのかは、個人が簡単に判断できるようなことではないが、少なくともそれが良い解決策だと思って押し広める人たちはいる訳で、僕は彼らを信じたい。自分も暮らしている社会にわざわざ不利益をもたらそうとするような人は、なかなかいないだろうと思う。みんな何かの確信犯であって、純粋無垢な"悪意"などというものは存在しない、と思う。

(参考:悪者とは弱者である『語ろう! クウガ・アギト・龍騎/555・剣・響鬼』高寺成紀編 感想)

 

 

久し振りの本編だけど、ちゃんと面白いなって思えたし、いつも通り書きたいことが湧いてきた。これでもまだ全部出し切れてない。
捻り出さなくてもすらすら文章が出てくるというのは、やはり気持ちの良いものだ。あっという間に一日が終わってしまった。

 

ゼロワン感想一覧

前話

仮面ライダーゼロワン 第35話「ヒューマギアはドンナ夢を見るか?」 感想

次話

仮面ライダーゼロワン 第37話「ソレはダレにも止められない」 感想