やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4 感想

すごく濃い訳でもないので、感想は軽めで。
結構面白かった……と思う。他の方の感想をいくつか読んでみたけれど同じようなことが書いてないので、もしかすると見当違いな見方をしているかもしれない。
当たり前だから言葉にしないだけでいつもそうなんだけど、今回は特に"この人にはこう見えたんだな"というスタンスで読んで欲しい。自信がないので。


基本的には単なるサイドストーリーで、見なくても問題はないタイプの話……なんだけど、見た方が楽しいだろうなとは思う。
まず細かいところから書いていこうかな。
笑いどころは意外に少なかった。真魚ちゃんが居候の身で紗綾香に「遠慮しないでうちに泊まりなよ」とか言い出すところと、あとは金剛寺の件ぐらいだろうか。

あ、アントロードの殺害方法(水のないところで溺死)は映像的な意味で狐につままれたようになって面白かった。同じようなことをやってたオクトパスロードはかなり力技だったから、余計に。うじゃうじゃいるのはまさにアリって感じだし。

 

翔一くんもだけど、涼もかなり影薄かったね。でも涼はレイとの絡みが28話を想起させるからそこで補完すれば楽しめた。……というか、まだ副作用がある状態の葦原を変身させるには、28話で示された子供への甘さを使うのが一番良かったのかな(それとも逆?)。

警視総監役で本郷猛をやっていた藤岡弘、さんが出ていたけど、かっこよかった。
「今の俺にできないことを君たちがやってくれ。いいな?」
僕は昭和作品を見ていないので彼が本郷猛に見えるか否かみたいなことは考えなかった(というか1号の映画で現役だったし)けど、この人が喋るだけでなんだか重みを感じてしまう。オーラというか、凄みがあるよね。

 


本筋に関しては、ブレスレットの扱いを除けば良かった。
生への執着を捨てて強さを求める水城に対して氷川誠が立ち向かうというかたちだけれど、このまとめ方がうまいんだ。
G4の危険性についての描写が足りなかったけれど、そこは本編で散々描かれたG3-Xの危険性を超えると考えれば問題はない。 

「僕の知り合いに、無条件に人生は素晴らしいと言う者がいます。僕は彼のようにはなれないし、あなたのようにもなれない。中途半端です。でも、これだけは言えます。僕は生きるために戦う、生きることを素晴らしいと思いたい」
そういえば、本編ではこういう氷川さんの"意見"みたいなのってあんまり描かれることはなかったよね。そこの補完としての今作なのか。

 

すべてを繋げてまとめる役割を担っているのは、作中で度々移される「青い鳥」。言わずと知れた"幸せ"の象徴だ(厳密には少し違うらしいけど)。
アギトで幸せと言えば、3話における翔一くんの「自分のいるべき場所があるっていいなって。俺だけじゃなくて、おじさんにも真魚ちゃんにも太一にもあるだろ、自分の場所がさ。そういうのって誰にでもあるんだよきっと。で、みんな自分の場所にいる時が一番"幸せ"なんだと思う。だから……そういうみんなの場所、俺が守れたらいいなって」というセリフを介して、作品のテーマである"居場所"へと繋がる。

そして、この映画の実質的な主人公である氷川誠=G3-Xが青いのも偶然ではなかろう。また青いと言うなら、G4の目も青いのだ。
この目は、彼が自分の信念を貫いたまま死ねたことを幸せに思っていることの意味に見えたのだが、あんまり、自信はない。
一口に居場所と言っても、"死に場所"に意味を求めることもできる。深海が人の居場所を踏みにじった末に無残に殺されのと比べれば、彼はまだ幸せだったのかもしれないと感じたのだ。でも、青い鳥とは"逆回転"だったのが引っかかるんだよなぁ……。

その後の、息絶えた水城の体を動かそうとするG4システムに対する「もういい……もういいだろ!」は理屈抜きにグッときた。いやぁ……良かったね……。

 

ところで、4って数字からクウガを連想したんだけど、気のせいかな。そのまんま五代というよりは、負の側面だけ抽出しましたみたいな。"目を除いて黒い"し。
死を顧みずに強さを求めるところなんか、自分から電気ショック受けますとか言ってた五代くんを思い出した。映画では終始悪者として描かれてるけど、自衛隊員ってことは深海も含めて一応国民を守るためにやってることなんだと思うのよ。その結果として自分たちや、周りの人……この映画で言えば超能力者、クウガで言えば特に冴くんとかを犠牲にしてしまう。全体感想に書いたけど、「高すぎる理想を周りの人にも押し付けてる」んだよね。クウガの世界は基本的に(グロンギの存在以外は)綺麗事で回る優しい世界だったから体裁は保てていたけれど、一歩間違えればこうなっていたんじゃないかなって僕は思う。
出典が謎だけど、pixiv百科事典にも「仮面ライダーを超えようとする男」っていうそのまんまなフレーズ(俺が超えてやる〜)も書いてあったし、もしこれが公式ならやっぱり意識してそうだなって。


最後に真魚ちゃんが闇の力に負ける翔一を予知したのは、あんまり深く考えてないけど多分本編の翔一くんたちが未来を変えたってことにしてカタルシスを強めるためのものなのかな? エクシードギルスが出てきたりと色んなところで無理がある作品なので、まぁ、いいだろう。


まとまると、楽しめました!

 

 メモ(DC版)
・折り紙の船(あかつき号)を沈める
子供を見張る大人
・あまりに超能力者が集まってるからか、いつもと違って大群で総攻撃をしかけるアントロード。しかも殺す相手は見境なし。超能力者ではないであろう大人までも(というかそっちが主に)殺されている。
超能力を自分たちにも扱えるように研究してる訳だから、変ってほどでもないが。
・実質的にG3が主役と言ってもいい本作、ある意味では後年のサブライダーを主役に据えたVシネマ達の走りとして捉えてもいいのかもしれない。
エヴァQで見たピアノの弾き方だ……真魚ちゃんがメインで、翔一くんが足りないところを補う(?)ようなイメージ。G3,G4の開発者が共に女性なのもあるし、母(女)は強しって感じだ。
っていうか、タイトルロゴも海から出てきたしアントロードも水に沈めて殺すし、今んとこ『海の底のピアノ』だな。あれももう読んでからしばらく経つし、はやいとこ読み返さないとなぁ。
・クラシックは詳しくないのだけど、これくらいは聞き覚えがある。たしかミップルメップル……じゃなくてハッフルパフ……でもなくて、パッヘルベルのカノン。ギャグじゃない、本当に間違えたの。
同じ旋律をズラして演奏する曲(大雑把には多分かえるのうたみたいなイメージ)のことを広く指してカノンと呼ぶらしい。ただこの場合注目するべきは由来であるギリシア語の持つ"規範"という意味で、本来先行する演奏を真似して演奏しなければいけない(劇中の描写により合わせるなら楽譜に沿って演奏しなければならない)ところ、翔一くんはそれを逸脱して不協和音を奏でてしまう……というシーンなのだと思われる。聖書のことも意味するらしいし、意識してるのは間違いない。
G4のギガントはキャノンなのかなって思って調べたけど、砲身のある大砲とかのことを指すらしいから違うっぽい。
・牛ね。豆知識だけど、ΑGITΩのΑはもともと牛のツノを模してつくられた文字なんだとか。じゃあΩは牛の鼻にある輪っかだったりして。
・G3ユニットの上層部、3人いる上に名前も出てこないからなんとなく意識に残らないのよね。これが名前のある一人のキャラだったら、無能なり有能なりなんとか言いようもあるのだけど。ブレイドの烏丸所長とか、エグゼイドの日向恭太郎とか。
・焼き肉を嫌がる深海。小沢さんが焦げてるのと生焼けなのを渡すっていうやけに小さい嫌がらせしてるからカモフラージュされてるけど、肉を食うという生を強く意識させる行為自体に嫌悪感を覚えてるように見える。
・美杉教授もだけど、なんかみんな妙に器が小さいぞ。毒舌とか嫌味言わせときゃ笑いになるだろみたいな感じなのかな。関係性を単純化して本編見てない人でも分かりやすく……という意図もあるんだろうけど、どうにも違和感が強い。
・ほっぺたに網の跡が残る小室。言われてみればG3ユニットって床が網だけど、だから焼き肉食べたくなるのかな。
・レイ、こっち見てたんだからそのまま待ってればジュース1本くらいは貰えたんじゃないのか? なんて間の悪い……。
僕がこれまでたまたまそうやって知らない人から色々貰えてきたからそう思うだけで、普通そうは感じないのかな。だとしても、人を襲うんじゃなくて自販機を壊すとか、もっとやりようあるだろうに。
・雨水から身を守るための傘、それを追いかけて死にかける太一を救う紗綾香。
・アヴェ(こんにちは)・マリアを見せられた後だと、お腹痛いってのが陣痛的な意味に聞こえてくる。九死に一生を得た子供、オルフェノク
・ESPテストで無邪気に喜んでるの見ると、力に溺れるってのもかかってるのかな。
・G4かっけぇ……と思って積んでたSHODOを開けたんだけど、イマイチ良さが出てない。銀色も綺麗だけど、黒に金ラインってのがいいんじゃんね。クウガのアルティメットフォームみたいで。
・自分が生きるためなら盗もうが何しようが好きにすればいいけど、命の恩人にお礼をするためとなるとそうもいかないよなぁ。
ここの外国人が様子を窺ってるシーン好き。去年だったか衝動的に、電車で1時間くらいの都市部へ帰りのお金を持たずに出かけてしまったことがあって、公園のトイレで凍えてたら知らないおじさんが色々(愚痴を聞く代わりに)奢ってくれたのよ。訳あって別れたんだけど、もう1回会ってお礼言わなきゃと思って、ずっとモールの前で待ってたの。途中から雨が降ってきて、このくらいなら……とか思ってる内にずぶ濡れになっちゃったから、雨宿りするにも店の中入ったら床濡らしちゃって迷惑だし、そもそも屋内に入ったらおじさんに見つけてもらえないと思って、正味9時間くらいずーっとおんなじとこに座ってたんだけれども、都会の人って冷たい人も多くて何百人と通った中で声かけてくれたの5人くらいだった。
で、その途中で通ったのが5,6人くらいの外国人グループ。行きと帰りで2回、明らかに数分間足を止めてこっちを見てたから「あの子ずっとあそこにいるけど大丈夫? 声かけた方がよくない?」「でも日本語話せないしなぁ、ほっとけよ」みたいなこと話してくれてんのかなぁってちょっと嬉しくて、かすかな記憶を頼りに「待ち合わせをしてるんです。心配してくれてありがとう」と伝えるためには英語でなんて言えばいいかなんてことをずっと考えてた。結局劇中と同じで言葉は交わさなかったけど、思いやりは伝わったのよね。ただの自意識過剰だったら悲しいが。
・なんで真魚はブレスレットを付けたんだろうとずっと思ってたけど、子供が変身ベルト巻きたがるのと似たようなもんだろうか。他人の服を着るとかだったら気持ち的にもだるいけど、指輪とかネックレスとかそういう装飾品だったら、ちょっと魔が差して「試しに付けてみたい」と感じるものかもしれない。僕は共感できないが。
親のものを勝手に付けるというシチュエーションになぞらえて理解するなら、禁断の果実を齧る的な背徳感にも通ずるかもしれない。それ故に居場所から追放、もとい誘拐されてしまった?
・藤岡さん……この頃から既にレジェンドとして扱われてたんだろうけど、ちょうどこないだスーパーヒーロー戦記で見たのもあってめちゃくちゃ若く感じるな……。
あっちは仮面ライダー50周年、こっちは東映創立50周年だったからなんかリンクがないかと一応探ってたけど、これくらいか。章太郎と本郷がそれぞれ、現行のライダーを認めて後を任せる。
・死を背負ったりしたらまずくなるとな。よく意味分かってなかったけど、要するに命をいただいてる云々みたいなこと気にしてたらうまいメシは食えないって話か? そんなら分かる。
いただきますはなるべく言うようにしてるけど、別にいちいち感謝してるとかそういう気持ちはない。でも、言っとくことには多少なり意味があると思う。あと味わうこと。言うてもバカ舌だがな。
・時間を超越し何者も触れられない別次元の存在となった、青い瞳の戦士……カブト?
青い鳥ではなく、帽子を選ぶ水城。同じ映画ライダーってことでスカルの帽子とも何か関係あるのかな。
・死体だろうけど爆破した……レイが超能力で追手を攻撃したのにノーリアクションだったのもそうだけど、本郷猛から「俺は目が悪いから見逃しちゃうぞ」ってお許しをもらったからなのか、イケイケドンドンだな。食いものもだけど、生きることが大事だから既に死んでるやつはどうしようが別にいいのか。
・シャイニングカリバーのエマージュモード、太極図がモチーフになってるんだなって仮面ライダー図鑑で見たときやっと分かった。
バーニングとの関連とシングルモードはいまいち分からんけど、シャイニングになると光あれ!ってな感じでひとつの混沌だったものが光と闇に分離される、的なイメージなんだと思う。本当は配信の追記で、本編見てもうちょっと思考を掘り下げてから書くつもりだったんだけど……南無三。
・記事ではエクシードギルスのことを「無理がある」とか適当ぶっこいてるけど、これ単純にエクシードの力自体は元々涼の中に眠ってて、真島の助力がないから、今回はあくまで火事場の馬鹿力的な発現に留まったってことになのでは。もう少し考えてからモノ言えよな……と思うけど、考えすぎてたら何も言えなくなるので思ったことそのまま口にするのも大事っちゃ大事。
・シャイニングフォームはジオウみたいに、というよりはクウガみたいに、文字っぽいモールドが彫られているのね。初期のグランドフォームが黒と金だからアルティメットで、そこから文字が刻まれた赤い戦士に戻る(厳密にはグローイングまで戻って白なのかもしれないが)って構成になってるのか。言われてみれば、アルティメットフォームってこれまであった胸部下とかの文字がなくなってるな。
クウガは文字だらけだったのが言葉少なになって謎めいていくのに対して、アギトは謎めいた状態から始まって言葉を喋る普通の人間っぽくなっていっている?
・初期フォームのベースカラーが最強フォームの目の色になるっていうのは、ディケイドでもやってるよね。あとキバか。少し気になった。
・アンノウンはブレスレットが発するのと同じ、シータ波を検出して人間を襲っているらしい。よく知らんけど。
・はぁー、氷川がG3-Xとしてではなく"氷川誠"として戦ったのに対して、あっちは水城が死んだことで"ただのG4"と化した訳か。これもまた主客転倒だ。
・「敏樹曰く食事を共にするのは性行為のメタファーだからお弁当食ったのはそういうことだ」ってのは、そこまで見直してないから僕としてはまだなんとも言えないけど、この最後の腕交差はちょっとそれっぽい。事件だッ!
でも、違うよね。っていうか、別に実際してるかどうかはあんま関係なくて、要するに大事なのは「それくらい深い精神的なコミュニケーションを取った」ってことだよね。食事にしろピアノの連弾にしろ。
・どうやらシャイニングフォームの登場は、今で言うFOREVER的な感じに極秘だったらしい。そんな昔から対策しないといけないほどリークとかネタバレってあったのかね。当時ってまだインターネット黎明期だよね? と思ってたけど、2001年時点で既に結構普及していた(44%)らしい。
ラストシーンの予知は「視聴者もまた未来を知ることのできるアギトの覚醒者かもしれない」的な演出かと思ったけど、まさにこれこそ現代の超能力と言えるのかもしれない、次回作の龍騎でネットニュースが取り扱われてることも踏まえると。ネットの言うことも、予知と同様アテにならないしね。

 

各話感想

仮面ライダーアギト 1,2話「戦士の覚醒/青の嵐」 感想

まとめ感想

クウガへのカウンター『仮面ライダーアギト』 本編感想