やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

ウルトラマンZ 第4話「二号ロボ起動計画」 感想

キャラクター

 ナツカワハルキ/ウルトラマンゼット
・なんで変身した?
ウインダムがない状態でセブンガーがやられたならまだしも、出撃が可能かもしれない(≒まだ人類にできることがある)という話を聞いて尚、あのタイミングで変身したのは何故だろう。ギリギリまで頑張るかどうかは問題じゃなくて、あくまで「気持ちが高ま」ればいいんだろうか。
或いはウインダム出撃までの時間稼ぎはあの状況ではウルトラマンにしかできないということで、一応ギリギリ扱いなのか。
この理屈、これからずっと続いていくことを考えるとなかなか扱いが難しいような気がするんだけど、大丈夫なのかな。

・タイマーの解決法
カラータイマーが鳴り始めたのをきっかけにアルファエッジに変身したものだから、てっきり1話みたいにまたリセットされるのかと思ったんだけど、そうはならなかった。どうやら、時間がないからスピード特化の形態になることで短い残り時間を有効利用しようということらしい。なるほどな、筋が通ってる。


 オオタユカ
・共有
曰く「パーツごとに別の会社へ発注したことで送電ロスが発生している」らしい。つまり当初の彼女は「自分の思い通り(設計図通り)にならないこと」に腹を立てる独善性の持ち主として描かれている。そんな彼女を変えたのは「思いがけないものが役に立つこともある」というセレンディピティ体験だ。
"意外"というのは"思い通り"とは対極に位置する感覚であると言える。作中で意識的に触れられていたのはあくまで「ネロンガのツノ(ユカのコレクション)がウインダムの役に立った」という部分だけだったが、見方によっては「生じた送電ロスが頭をひねるいい機会となり、ネロンガの利用という斬新なアイディアを引き出し、当初の設計よりもむしろ送電効率が上がった(多分)」とも言える。
今回はバコさんやネロンガを通して、彼女が「自分の思い通りにならない他人」を受け入れるエピソードなのだ。

そしてそれは、恐らくより広い視点で『Z』自体のテーマとも通じるかもしれない。というのも、次回から本格登場するジャグラスジャグラー(オーブ)に始まり、ジードやゼロ、もちろんメダルのウルトラマンや過去の怪獣など、どうやら本作は過去作品の世界観やキャラクターを密接に絡ませることを1つの軸として置いているらしい。
不揃いのルービックキューブ(カラーブロックス)が象徴的だが、てんでんバラバラなものを組み合わせひとつの"立方"体として組み替える。『仮面ライダージオウ』と同じく"Z"を冠しているのもあって、これまでのシリーズの総決算を企図しているのではないかと予想している。
Zの売り上げ次第ではあろうが、あまりシリーズに馴染みのない僕ですら苦言をよく見るレジェンド商法を打ち止めにして、新たなシリーズを立ち上げるための「お片付け」。
平成ライダーほどではないにせよそれぞれ個性ある作品群を一緒くたに扱うためには、大なり小なり「瞬瞬必生」的なロジックを使い、多様性を認める必要が出てくる。
"俺の/私の"ではなく"みんな"で、即ち色んな会社に委託することも許容し仕事を、或いは世界をシェアしていくことが重要になる。

(参考:ジオウ感想一覧)


 怪獣
・ウインダム
ミミズクがモチーフらしいが、顔の「嘴っぽい部分」以外に似てる要素が見当たらない。今回のエピソードも合わせると、鳥として「ミミズ食う」っていう洒落になってたりする(後述の通りテレスドンはミミズ)んだけど、本当にそれくらいしか思い付かない。特徴的な耳というか角みたいなのも生えてないし。いや、トサカみたいなのはあるけどあれを"ミミズクの耳"と取るのは無理。名前も多分ウィングからだし、"鳥"以上に限定する根拠が全然見つからないんだけど、どこ情報なんだろうね。一応"叡智の象徴"なので、高度に発達した機械というのは納得できなくもない話だが、それにしても見た目が似てない。

セブンガーより軽量化されたということだけれど、ヘビクラが「セブンガーじゃ出力不足、ウインダムが使えればなぁ」とぼやいていたのを考えると、パワーでも勝っているのだろうか? ジェット噴射機能があるとは言え、軽いと強いは感覚的に共存が難しい。というか共存してしまったら、2号機と言いつつも実際的にはセブンガーの完全上位互換になってしまうのではないかという懸念もあり。軽いなら当然速いだろうし、そのうえパワーもあって、活動時間も長い(充電問題は解決済み)ときてる。そうなればわざわざセブンガーを選択して出撃させるメリットはない。
もしヘビクラの言う「出力不足の解消」が、ウインダム単機ではなく2機共闘を想定したものだとしたら、セブンガーの方が馬力は上だと解釈することもできるんだけどね。

テレスドン/エリマキテレスドン
前回のゴモラと同じく、人間による自然への介入(トンネル工事,ジオフロント)によって目覚めた怪獣ということになっていて、しばらくはこういう路線で行くのかな?
ゴモラテレスドンと言った怪獣たちにフォーカスして見れば、確かに寝床や住処を荒らされて堪ったものじゃないと思う。人間のエゴに巻き込まれて可哀想だというのにも一理ある。
でも配信が始まった『マックス』のように、怪獣災害を自然現象として捉えるなら、これらはそれこそ「超えるべき壁」でもある。道をつくりたいが山が邪魔……だからその山にトンネルという風穴を開けてやろう。地下都市を作りたいが地面が邪魔……だから掘り進めよう。その"山"や"地面"が怪獣という形をなして現れていると見るならば、可哀想という発想はナンセンスに映る。ゴモラなんかは分かりやすく岩として山と同化していたし。テレスドンもモチーフこそ明らかにミミズで生き物だが、名前の由来はフランス語のテレストロイタス(地底)である。とネットには書かれているんだけど、テレスドン以外の文脈では全くヒットしないのよね。一応僕の語彙でフォローしておくと、元素テルルの由来は"地球"を意味するラテン語Tellusで、ラテン語はフランス語の先祖なので(確か)、似たような意味を引き継いだ単語があってもおかしくはない。綴りが違うので関係あるかは微妙だが、『海底二万海里』で知られるジュール・ベルヌの『地底旅行』は原題が『Voyage au centre de la terre』で"terre"は地球を意味している。先日放送された『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で話題に出てた関係でたまたま知ってた。話を戻すと、テレスドンも"地底そのもの"を表している可能性があるということ。炎を吐くという能力も、そこまで考えれば火炎袋がコアで、噴火を経てマグマが放出される様に着想を得ていることが分かる。

それはそうと、騒音被害に腹を立てたという話だったけど、ミミズに聴覚はなかった気がする。かろうじて光を感知することはできても(いわゆる走光性に使われる)、耳に該当する器官は持ってないはず。……あー、でもあれか。僕らが大太鼓の音を肌で感じるように、触覚的な"うるさい"は感じられるのかな? というか"ミミ"ズだしね。語源的には「目見えず」らしいんだけど、むしろ実は目の方が見えるという。
また、ユカが「お腹いっぱいになる」という表現をしていたことを考えると、今回のウインダム(怪獣として)は間接的に「ネロンガを"食って"強くなった」と言えるかもしれない。焼き芋にプリンと食べ物が印象的に使われていたし、生きるということは即ち何かを犠牲にするということであるという文脈も利用して、怪獣を殺すことを正当化する意図があるのかもしれない。

ちなみに、エリマキテレスドンになってからは"Tele-(遠い)"という接頭辞もかかってると思われる。Telephone(電話)やTelevision(テレビ),Telepathy(テレパシー)、それに最近流行りのTelework(テレワーク)なんかもそうだね。あのエリマキが、騒音の元として映されていたホーンスピーカーや情報を受信するパラボラアンテナなどと言った「遠方との通信」を象徴している。ダスッペ(どうしても言いたかった)。

 

 

ユカとウインダムが主軸だったせいで、想像よりもだいぶハルキとゼットが空気だった。その割に仕事場にプリン持ち込むっていうあまり良くはない側面はきっちり描かれてたりして、若干脱力したりしなかったり。
どっちかって言うと毎回怪獣の方で楽しませてもらってるので、別にいいんだけどね。

 

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