やんまの目安箱

やんまの目安箱

ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

ねこの話をします

何年か前、うちにねこが来た。毛は白と黒の2色で、ねことしてはもうすっかり大人だった。彼女は人懐こく、僕も結構かわいがった。


しばらくして、僕が学校へ行っている間に彼女は子を生んだ。
子猫は3匹。
女親と同じ白黒、おそらく男親と同じであろうキジトラ、そしてその中間であろうキジ白。全員がメスである。
僕はキジ白を特別好いた。小学生の頃の友達に顔が似ていたのだ。

流石に4匹は多いということで、1匹を親戚へやることになったが、キジ白でさえなければ誰でもよかった。僕の猛反対の結果、子の白黒が当初とは違う名を与えられいなくなった。
親の白黒はいつしか自力で玄関をあけるようになり、逃げ出した。元々野良だったらしいので、そちらの方が性に合っていたのか、未だその行方は杳としてしれない。
こうして我が家にはキジトラとキジ白が残った。


大きくなるにつれて彼女らは悪戯をするようになったのか、ケージに閉じ込められるようになった。僕は"飼い主"に当たる役割は負っていなかったので、この辺りの流れは把握していない。
そのうちキジトラの方が、ネグレクトをされ始めた。何故2匹が別々に世話をされていたのかは謎だが、エサはともかく、トイレの掃除を主にサボられていたらしい。におうので、きちんと世話をするよう何度か訴えたが、改善はあまり見られなかった。僕も自分でやるほどには気にしていなかった。
不衛生な環境に放置されたストレスが引き金になったのか、彼女は「てんかん」を患った。
発作的にその場でぐるぐると周り、自分の尾を追いかけ回す……はじめのうちはそういう遊びか何かだと思っていた(漫画にてそのような描写を見たことがあった)のだが、段々と頻度は増し、様子も変わった。見境なくトイレに突っ込んでは砂を撒き散らし、回りながら涎や糞尿を垂らし、終わると痙攣を起こすようになったのだ。
僕は、ここへきてはじめて彼女を不憫に思った。数度くらいは、トイレを綺麗にしてあげたかもしれない。ただその程度でよくなることはなく、暴れて物を壊しかねないからと廊下へ追いやられた。
通り一面にブルーシートが敷かれ、そこは彼女の領地となった。汚い環境に置かれた仕返しとでも言わんばかりに、彼女は汚しまくった。そうなってから掃除はされるようになったものの(おそらくそうしなければ廊下をまともに歩けないからである)、次第に彼女は衰弱していくこととなる。
当然後悔や罪悪感などの気持ちもあったが、その一方で、彼女をこれまで以上に鬱陶しく思い、"害獣"的に見てしまう自分もいた。


諸事情あり、僕は数ヶ月の間、先の"親戚"の家に居候することになった。
そこにはまるまる太って幸せそうな(?)子の白黒と、僕が物心付く前から飼われている老犬がいた。
その老犬は僕がそこ住み始めた頃には既にかなり弱っていて、やがて死んでしまった。思い出らしい思い出はなかったけれど、悲しみ泣く親戚を見ていたら僕も自然と涙が出た。
これが僕にとってはじめての身近な生き物の「死」だ。

その経験を踏まえた上で家に帰り、しばらくすると、祖父が死んだ。翌朝、キジトラも死んだ。
何故か泣かなかった。


いま、うちには僕の好きなキジ白だけが残っている。姉妹の死など忘れてしまったかのように平然と甘えてくる彼女と、平然とかわいがる僕がいる。
元気そうで何よりだ。

 

悪者とは弱者である『語ろう! クウガ・アギト・龍騎/555・剣・響鬼』高寺成紀編 感想 - やんまの目安箱