DXドンオニタイジンの発売から2年。当時僕は戦隊ロボが可動に舵を切ったことと、それに対する世間の反応に対して、盛大に不満を漏らした。
そこからDXキングオージャーを経て、満を持してDXブンブンジャーロボが(比較的)可動しないロボとして発売された訳なので、買って遊んだ感想を残しておきたい。
普段の記事もそうですが基本的には自分用の備忘録なので、そのつもりで。
今回買ったのは『アクセル全開!! ブンブンジャー爆上スタートセット with ブンブンスーパーカー』。
結論及び第一印象を先に書いておくと、「思っていたよりも子供向けっぽくない」と思った。
ブンブンチェンジャー
最初にそう感じたのは、同梱されているブンブンチェンジャーの電源スイッチ。
一部の大人は電源ボタンがアイテムの見た目を損ねていると感じるらしく、CSMなどではそういったスイッチやネジ穴の類が見えないよう気を遣われてつくられているらしいんだけど、そもそも僕はこの風潮が全然理解できない。
電源ボタンは電源ボタンだろ、あって何が悪いんだ。作中のキャラだってうっかり変身しちゃったなんてことがないようにむしろあった方がいいし、押しやすい方がいいだろ電源ボタン。
僕が持ってるのはCSMファイズギアだけなんだけど、ネジ穴に関してもむしろないのがすごく気持ち悪いんだよね。
たぶん玩具ってそれ込みでデザインされてるからさ、あるべきところにネジ穴がないと、ひとつの事実として、つるんとしすぎてて見ててすごく不安になる自分がいる。
というベースがあった上でブンブンチェンジャーだけど、その電源ボタンがデザイン的に同化させられているのよね。 まぁボタンの見た目が変わったことは百歩譲っていいけど、そのせいで誤操作しやすくなってるのは本末転倒じゃない?
いつもの赤いスイッチだったら絶対にそんなことなかったのに、ブンブンチェンジャーは適当に触ってるとうっかり電源をOFFにしてしまう。変身遊びでは大丈夫だけど、今回はブンブンカーの読み込みがユニットにくっつけるという独特な方法なので、その際にどこを持ったらいいのかイマイチ分からなくて、時々誤操作してしまう。
嫌だよこんなの。CSMはまぁ僕はほとんど買わないだろうからなんでもいいけど、DX玩具は見た目なんかよりまず遊びやすさを最優先して欲しい……。
ベルトだってあんなに短いんだから、きちんと子供向けのつもりなんでしょ?
それ以外は全く文句ないです、ブンブンチェンジャー。
戦隊のおもちゃはロボが第一優先で変身アイテムはいつも二の次になっちゃうので、3000円(ロボとセットでちょうど1万円)という安さで個別認識まで付いて、そこまでやったらオミットされそうなもんなのに、ちゃんと"光る!"もある。
……さすがにVSチェンジャーのお得感には敵わないけど、あれは今考えても異常すぎなので。1500円のVSビークル代抜いたら3000円で、小さいブレス型じゃなく銃アイテムでもあり、当然個別認識も可能って、バケモンすぎる。
変身や個別音声はややあっさりとしてる感もあるけど、既にブンブンブースターも見えてる以上、あっさりした個別認識アイテムをいくつも出して最終的に満足感を出すって戦略にも思えるので、それはそれで面白い。
リバイスが個別認識するバイスタンプをたくさん出してたけど、あんなイメージよね。戦隊でそれをやるのは合ってるし面白そうだよな。
ブンブントレーラー
ここからはブンブンジャーロボ本体について。
まず白いのがいいよね。僕が個人的に白好きっていうのもあるけどそれだけじゃなくて、レッドのビークルだけやたらとでかいっていう不公平さみたいなものを解決するすごくいい選択肢だと思う。グッドストライカーと同じ手法よね。
コアロボはブンドリオっていう誰のビークルでもないキャラで、レッドの専用ビークルは他のブンブンカーと同じサイズ感でクラシックとレーシングが出るっていうバランス。すごく好き。欲を言えばブルーとピンクだけ1台ずつなことにもフォローがあるといいな。パワーアップ形態で左右入れ替わった青とピンクのブンブンカーが出て、結果的に両腕を青とピンクにできるようになるとか。
メインがレッドじゃないこともいいけど、ひとつだけ大きいことが「胴体を構成してあとは4人が手足に付くだけにしたいから」みたいな理由じゃなくて、小さいブンブンカーを上に載せるのはもちろん、アタックモードに変形させるゲートとしての役割があるからっていう、きちんと"遊び"のギミックに繋がってることも好印象。
全身を光らせたいパトストライカーとか、回転ギミックのために腰も含めた大半を構成するゲキタイガーとか、そういうやつ。
尤もこれは当てはまらない作品を探す方が難しくて、ドンオニタイジンとキングオージャーも僕がそこを求めてなかったってだけで、耐久性を保ちながら可動を担保するためには関節部分までをレッドが担当する方が都合がいいって話だったんだろうけど。
コロ走行させるとブォン……ブォン……って鳴るのすごい好きなんだけど、ホイールがブンレッドの顔と同じく赤く塗装されてるせいで、間の2輪だけ回ってないのがすげー目立つのは、素直にもったいないと思った。キラメイジンの魔進ファイヤは6輪とも回るのに。
というか、ダミーのタイヤを生み出すくらいならいっそ4輪車ってことにしてしまえばいいのにと、車に詳しくない僕なんかは思ってしまうんだが、あの長さのトレーラーで4輪はまず有り得ないみたいなリアリティがそんなに大事なんだろうか?
確かに魔進ファイヤよりもブンブントレーラーはかなり長いから、本当に4輪になっちゃったら寂しいだろうけど……だからまぁこれは、今回のロボというよりは今後はそうしたらどうなんだろうっていう感想かな。
ゲートモード
次は変形してゲートモード。地味に横幅がリュウボイジャーに迫る勢いで、床じゃなくてテーブルの上とかで遊ぶときはかなり取り回しに困るくらいのボリュームになる。
とはいえ、DX玩具なんてその名の通りデラックスなものですから、ボリューム感なんてのは大きければ大きいほどいいに決まってますからね。かなり満足感あっていいと思う。
ただ、このモードも個人的には地味にちょっと不満だったポイントなのよね。
ゲートを通すと瞬間変形!っていう、なんなら一番面白い遊びポイントのはずなんだけど、どこを持って遊べばいいのか全然分からない。
僕ジュウオウキング大好きなのでいつも例に出しちゃうんだけど、あれのビッグキングソード刺すギミックなんかは、失敗のしようがないじゃん。絶対に100%気持ちいいじゃん。強いて言えばキューブシャークの上下が分かりにくいかなってぐらいで、マジで頭を使う必要が皆無。
それに比べるとブンブンジャーロボは、ロボの足に当たる部分が大胆に180度反転するってコンセプトはすごくいいと思うんだけど、そのせいでゲートモードになったときに物体の軸になる部分、つまり"下手に動かない部分"がすごく狭くなっちゃってて、安心して持てる面積がほとんどない。
トレーラーのフロント部分は一見持てそうなんだけど、ここも下手をすると元の位置に下がっちゃってゲートの邪魔をしちゃうので、気を遣って持たないといけない。
この"気を遣う"必要があるかどうかっていうのが、僕がDX玩具を遊ぶときに重要視してるところで、何も考えずテキトーに遊びたいのね。それこそ3歳とか5歳とかそのくらいに戻ったつもりで、無心になりたいんですよ。
(大人の人にも分かりやすいように言うなら、酔っ払った状態でもストレスなく遊べるのが理想的なDX玩具って感じだろうか。僕は基本お酒を飲まないので、正確には眠剤を飲んで寝るまでの間のふわふわした時間とかになってくるんだけど)
ただ、これはもしかすると僕の手が子供よりも大きいからこそ感じることであって、対象年齢くらいの子にとってはもしかするとそこまで、持てる範囲が"狭い"とは感じないのかもなとは思った。
ブンブンオフロード/ブンブンワゴン
付属のブンブンオフロードとブンブンワゴンは、なんか逆に新しいと思った。はたらく車じゃないこういうあまり特徴のない車が抜擢されるのって、多分カーレンジャーとかまで遡れば全然あったんだろうけど、最近じゃあんまり見たことないし。
ワゴンは変形こそシンプルだけど、まさかの上下反転させて合体っていうところで面白みを付加してるし、荷物を載せて"運ぶ"のがワゴンの特徴らしいので大きな手に変形しますって理屈もかなり分かりやすくてよくまとまっている。
対してオフロードの方はまさにお手本のような気持ちいい変形をしてくれて、瞬間変形だと自分の手で動かす楽しさが減りがちなんだけど、後ろの部分を倒したり側面部分を腕に沿わせたりと、ちょうどよく自分で動かす手間が残ってるのがとても好み。
まぁオフロード車からドライバーが出てくる理屈はあんまり分からないんだけど、剣みたいなものと捉えるなら、悪路を"切り"開いて進んでいくようなイメージなんだろうか? なんにせよかっこいいので何でもオッケーです。
ブンブンパトカー2なんかもひと捻りある変形でいいなと思ってたけど、このオフロードもただ左右に開くだけといえばだけなんだけど、割れ目が一直線じゃなくてきちんと見て触って楽しいものになってるのが細かい。最小の工夫で最大の効果を得られるいい例だと思う。
ブンブンジャーロボ
という訳で完成、ブンブンジャーロボ。
キービジュアルが公開されたときは、スーツの足がやたら細くて膝を曲げてたのでまたぞろ可動路線なのか?とヒヤヒヤしたんだけど、単純にクリアランスの都合でそうなってるだけだったみたい。
公式ではサイドのパネルを開いた状態が完成形とされているんだけど、足は細いより太い方が好き派の僕としては、ここを敢えて変形させないことで箱っぽいスタイルにより近い状態にしておくのがお気に入り。
強化合体みたいな拡張性はそこまで高くなさそうにも思えるけど、各部のジョイントと顔が変わるフォームチェンジがあるだけでかなりポイントは高い。
変身アイテムと同じで、2号ロボ,3号ロボと小物アイテムに対応した素体をいくつか出すことで楽しさを増やしてく感じなのかなと予想している。アームズチェンジとかゴーストチェンジとかって、素体が増えれば増えるほど楽しみも乗算的に増えるじゃない? 別に最初にあった鎧武やゴーストの素体が他の素体と合体したりなんかしないけど、ちゃんと満足できる。
頭部のタイヤがくるくる回るのも楽しくて、ロボとして飾ってる状態で遊べるギミックがあることって(可動を除けば)そんなにないと思うんだけど、このタイヤを回して正位置で止まるかどうかっていう運試しをできるのは地味に素敵なプレイバリューだと思う。
少し前に流行った"フィジェット"的な、ついつい触っちゃう魅力になってる。やっぱ玩具ってのは、飾るよりも遊んでナンボですからね。
ブンブンジャーロボの顔のタイヤを回してきっちり正位置で止まるかどうかの運試し、楽しい。成功率は高くないけど、だからこそ決まると超気持ちいい。 pic.twitter.com/ar4iSPVxfO
— やんまヘボ (@yamma_heybox) 2024年3月12日
ブンボット
チェンジャーの電源ボタンとゲートモードの持ちにくさに加えて「意外と子供向けっぽくないな」と感じた3つ目の要素、ブンボットくん。
まずもって、ブンドリオの顔にするためのディテールアップパーツというのは絶対に要らないと思う。僕が子供の頃はそんなの気にしたことがない。大人しか喜ばないパーツだと思う。
……であるにも関わらず、ブンボットを合体に使用する際は(多分つけておこうと思えばおけるだろうけど)余ってしまうという仕様。余りパーツと言えば、今度は大人のファンが嫌いなものだよね。なんかそこの食い合わせもよく分からない。細かいことを気にするのかしないのか、どっちなんだよという中途半端さ。
基本的に僕は「何事もないよりはある方がいい」と思っていて、要らないし邪魔だなと思う人はしまうか捨てるかすればいいし、あってよかったなと思う人は大事にすればいいだけだと思っているので、ここをそこまで強く主張するつもりはないんだけども、紆余曲折の末にブンボットというものを付属させようと決まったのなら、それならそれでもう少し魅力的なものにできたんじゃないのかと思ってしまうのよね。
劇中設定とは関係なくなるだろうけど、せっかくブンブンジャーロボの胸が空洞になってるんだから、パイロットみたいにその中にブンボットを搭乗させられるようになってたら、遊びの中に組み込まれて面白いものになったと思うんだけど、これが微妙に入らないようになってるのよね。
ゲートモードのときに使うジョイントにハメると、正式な合体のときにガイドになる部分で止まってしまってレールが奥まで入らない。ジョイント使うのを諦めて胸の中にただ入れておこうとしても、今度はつっかえて頭が下がり切らない。
半分穴から落とす形で、帽子のツバでひっかけるだけ……という荒業を使えば胸の中に入れておくことはまぁできなくはないんだけど、"ロボに乗ってる"というニュアンスはさすがにあまり感じられない。
劇中でブンボットというキャラが好きになれるような描き方がしていればこの辺は見え方も変わってくる気がするけど、とりあえず玩具を触っている時点での感想としては、もうひと声欲しかったというのが正直なところ。
ちなみにですが、さっきの写真にもあったように、普段はブンブンカーを付ける足のジョイントにはめておくのが一番収まりのいい収納方法だと思います。ほんの少しパーツに負荷がかかるし当然非公式の付け方なので、自己責任ですけど。
一番好きなところ
いくつか不満も書いてきたので、最後は好きなところの話を。
Twitterではもう言ったんですけど、ブンブンジャーロボは腕が特に好きです。自然に曲げた腕……の形をした、肘無可動ワンパーツの腕。これなら見栄え重視の人への目配せにも多少なるし、間違って肘が曲がっちゃうようなストレスも生じずに武装も付け替えやすい。
しかも曲がった腕それ自体が目的というよりは、あくまでも変形ギミックと収納スペースとの兼ね合いの問題から必然的に導かれてるっぽいのもいい。さっき言った通り足が細いのは、この腕と半々でスペースを分け合ってるからなんですね。
プロポーションとかスタイルとかをよくするためにわざわざ貧弱な足にするのは到底理解できないんだけど、変形合体の必然性からもたらされるいびつなフォルムというのは、全然許容範囲です。等身大ならともかく、変形合体する巨大ロボがキレイな人型してる方が不自然なんだから。
……とか言うと、でもお前ゼンカイオーの足の細さに文句言ってたやんってなるけどあれはちょっと重心が違う話なので……その話はまた、ゼンカイオーの記事書くときに詳しくしますけど。
しかもここの変形、正式には足を動かす前に一度収納されてる腕を逃がすっていう工程が必要で、僕はそういう変形に直接関与しない段取りが好きじゃないんだけど、バンダイの人もどうやら僕と同じく、耐久性を信頼して、足を無理やり動かして干渉させることで結果的に腕を逃すってことをやってるように見えた。
こうやって雑に扱っても大丈夫なのが、DXロボのウリのひとつだよね。映画シリーズとかのトランスフォーマーなんか買ったら、あれはあれで面白いけど、初めてとか久々に変形させるときは、絶対に壊しちゃわないか不安でしょうがなくなるもんな。
【見逃し配信】『玩具愛好会~戦隊ロボ篇~』 26:15〜
それにしても、「無可動でも見栄えに気を使うことは不可能じゃない」ということが示されたのは、個人的には一筋の光が見えたような感動というか、これからの時代にもまだ僕が楽しめるDXロボが発売されるかもしれない!という希望が持てたのよね。
もちろん可動以外にも僕の懸念点はいくつかあって、細身になったらガシッと掴んでグワッと変形させるような大胆さが減って細々としたものになっちゃうんじゃないかとか、キングオージャーみたいに自立のバランスが犠牲になるんじゃないかとか色々あるにはあるんだけど、一番大きいのは「動かそうと思ってないところがうっかり動いちゃうのが嫌だ」ってことで、それを理由に可動箇所は最低限がいいって思ってる訳なので、「肘可動がなくても肘を曲げられる」というのはやっぱり大発見の逆説なのよね。
ドンオニタイジンの記事で僕は半分冗談に近いかたちで「だってその程度(の可動でいい)なら「素立ちより構えてた方がかっこいい」っていうだけの話であって、じゃあ構えた状態の固定フィギュアでもいいよね?」なんてことを言ったんだけど、それももしかすると不可能ではないかもしれない。
僕がこのとき念頭に置いてたのは、OPを再現してファイズエッジを横に構えつつ少し斜めに立ってるファイズのフィギュアみたいなやつで、そのぐらいの1個"これ!"っていうキメのポーズがあって、それを再現するだけなら変形合体ロボットでも不可能じゃないんじゃないかってぐらいの話だったんだけど、ちょっとこれを見たら夢が広がってきた。
ケンタウロスになったり下半身マッハルコンみたいな人型じゃない姿への合体がアリなんだし、カーレンジャーのRVロボが見せてたような膝をついた片足立ちポーズを完成形として合体していくようなロボがあったっていいんじゃない? 1号ロボでそれは無理だろうけど、合体バリエーションのひとつかとか、4号くらいの一発ネタロボとかでさ。
ドンオニタイジンの座りポーズとかもいいよな。合体したらあの状態になって、付属の椅子に座らせるだけでも面白いかもしれん。
いやまぁ、もちろん冗談で言ってますけど、見栄えを重視する方々を満足させる方法は必ずしも可動だけが正解じゃないかもしれないなって話ね。
見た目は完全に子供向けなブンブンジャーにすら大人向け路線の波がちらほらと見えることには一抹の不安を感じつつも、ロボ自体はちゃんと楽しいし、これからへの淡い期待も感じさせる良アイテムでした。
1年おきくらいで可動とそうじゃないのを行ったりきたりするくらいなら僕は全然受け入れられるので、下手に折衷しようとしてどっちつかずになる……なんてパターンが一番誰も幸せにならないと思うんでね。しっかりジャンルを棲み分けた上で、これからも面白い玩具を作っていっていただけるとありがたい。