やんまの目安箱

やんまの目安箱

ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

特撮雑談クラブ 第19回「ゼロワン」

7/23(土)21:00〜に行った特撮雑談クラブ 第19回「ゼロワン」の書き起こしです。

 話題候補
夢と笑い、不必要なもの
AIとの共存、命の価値と同一性
お仕事の扱い方
意志と責任/本能とプログラム
社会秩序と社会正義
動機,手段,結果の善悪
令和シリーズ

 

youtu.be

 

やんま「特雑 第19回「ゼロワン」を始めたいと思います。今日は基本『ゼロワン』の話がメインになるんですけど、『ギーツ』も発表されて、脚本が高橋悠也さんってことで。ちょっと『ゼロワン』について改めて、良しにせよ悪しにせよ話してみようじゃないかという回です。
僕は結構『ゼロワン』は手放しで好き派というか。世間的には「最初は良かったけど……」みたいなのが多いですよね。途中微妙になって、まぁ最後ちょっと良かったかな? ぐらいの……あと映画は好評かな、くらいの認識ですけど」
 SONGENさん参加

SONGEN「令和4作目も」
やんま「そうですね、発表されて。なんだかんだ制作陣的には、好評というか、買われてるって感じなんですかね、高橋さんは。白倉さんも使ってたし」
SONGEN「お試し感ありましたけどね、『アマゾンズ』は。買われてるんじゃないですかね、やっぱり。ちゃんと1年脚本書き続けられる人って」
やんま「それは大きいですよね」
SONGEN「あ、予め明らかにしておくと、僕は『ゼロワン』否定派なので、やんまさんから何か投げかけてもらったらそれに対して……」
やんま「あぁ、そういうかたちでいきますか。じゃあとりあえず(話題候補の)上から。『ゼロワン』がテーマをちゃんと扱えてたかどうかみたいな話になるのかな?」
SONGEN「テーマね」

01―不必要なもの

やんま「まずゼロワンって名前は僕結構好きで。好きっていうか洒落が利いてていいなと思うんですけど。
"令和"もそうだし、1作目だから01ってのも分かるし……しかも、1っていう数字を表すのに0ってつける必要ないじゃないですか、1(one)でいいところを、わざわざ01(zero-one)っていう表現にするっていうのは、ヒューマギアもそうだけど「本当は要らないもの」……絶対必要って訳じゃないんだけど、あったらいいなくらいのもの? についての話なんだよっていうのがちゃんと表れてて、すごくいい名前だなと思うんですけど。
っていうのは、ヒューマギアとか、夢っていうものとか、あと笑い……人生についての笑顔とか、そういう、まぁなくても生きていけるけど、でもあったらいいよねぐらいの。ヒューマギアはちょっと難しいとこではあるんだけど」
SONGEN「そうですね、そんなこと言ったら仮面ライダーみたいな娯楽もそうですよね。あってもなくても。仕事とかもね、結構俺そういうものだと思うんですよね。サービス業とか、別にあってもなくてもみたいなところありますよね。なくちゃいけないのもあるけど」
やんま「はいはいはい、そうなんですよね。本当に必要な仕事ってなかなか……まぁインフラとか、警察とか……警察は最悪なくてもいいけど」

転売の善悪

SONGEN「転売みたいなね、本当になくていいのに、そこに無理やり価値を生み出そうとすることもありますけどね」
やんま「いやー、僕転売……」
SONGEN「転売肯定派でしたっけ?」
やんま「肯定派!?(笑) 肯定派っていうのともちょっと違うけど、何が悪いのかまだ実感してない派だから……。自分の欲しいものが転売屋のせいで買えねぇみたいな経験がないからかもしんないけど。逆に、転売屋って言われるものなのかなって思う人から買うことも結構多いから」
SONGEN「あぁ、買ってるんだ」
やんま「んー、あれですよね。直後に高い値段で出してるとかじゃないけど、数年語に新品で定価よりちょっと高めに出してるみたいな人。それもまぁ、転売っちゃ転売だよね新品なんだからっていう。その人が買って、使わないで取っておいてくれたおかげで、まぁ売れ残ってんだか、自分が使うつもりで取っといたのがたまたまやっぱ要らないってなったのかは分かんないけど、それのおかげで僕は買えてる訳だし」
SONGEN「昔はそういうのもあったかもしれないけど、今やってるのは明らかに、在庫枯らして値段釣り上げてみたいなことやってるから、それは違うなと思いますけど。元々あった川の流れを無理やりストップして、旱魃してる地域に水ですよって配ってるみたいな例えがありますけど」
やんま「なんかそれもねー難しいとこですよね。『ゼロワン』のテーマとも繋がってくるけど、転売屋個人個人の善悪とちょっと別の次元の話じゃないですか、それって。テンバイヤー集団としての、集団全体として結果的にそうなっちゃってるだけで……」
SONGEN「いや、そんなことないですよ。集団でやってますよ転売屋って。この在庫枯らそうってみんな示し合わせて在庫枯らしたりとかやってますよ」
やんま「あ、そうなんですか!? へぇ……それはあくどいっすね、確かに。あくどい……うーん。基本はねぇ、市場経済って早いものがちで回ってるから」
SONGEN「資本主義としては間違ってないらしいんだけど。それだけで済むものじゃないじゃないですか、気持ち的にも。『ヒーローと正義』にも、資本主義とか民主主義じゃなくて功利主義だみたいな話ありましたよね、そういう(pp.156-164)。いま資本主義ってことになってるから、この世界は。まぁ見方によるってことですよね」
やんま「功利主義ね……功利主義の考え方でテンバイヤーってなんとかなるのかな……あれですよね、最大多数の幸福みたいなやつですよね。
んーやっぱ釣り上げの値段の度合いにもよりません?(笑) 100円200円とかだったら全然……」
SONGEN「限定品が東京でしか販売してなくて、その交通費分だったら安いかみたいな気持ちで買っちゃう人とかはいるんだろうなって。まぁそういうときは、そんな限定品つくるなよって思いますね」
やんま「東京とかで品薄らしいって話を聞いてるけど、僕の周りでは結構普通に在庫あるなぁみたいなこと結構あるから、ちゃんと転売屋さんがうまく、必要なところで活躍してくれればいいのにな、世の中ちゃんとうまく回るのになって思うんですよね」
SONGEN「まぁそれだったらね、胴元がちゃんと通販してくれるとか、そういうことがあればいい訳であって」
やんま「通販ね……それもだって、利回りがちゃんとしないとできない訳じゃないですか。それを個人個人が勝手にやってくれるんであれば、それは便利っていうか、なんて言う? Wikipediaみたいなシステムですよね。善意の一般人に任せて、価値ある体系をつくるっていう」
SONGEN「まぁ善意ならね」
やんま「メルカリって割とそれに近いところあるなと思ってて。まぁ悪意ある人もそりゃいるけど」
SONGEN「価値ある資源を……SDGsみたいな、そういう空気もちょっとあれですよね、息苦しいですよね。俺は地球単位で言ったら別に、人類が地球を滅ぼしてしまってもいいとは思ってるけど。まぁでもよくあるじゃないですか、人類は地球に住む寄生虫だみたいな。それも分かるなっていう」
やんま「人間ね……別にだから生物って必要だから生まれてる訳じゃないんだよな(ヒューマギアを念頭に)。地球もね、あってもなくても変わんないし(笑)」
SONGEN「まぁ地球はね、人間がいて、観測されて初めて……みたいな考え方もありますよね。なんか、なんの話をしてるのか(笑)」

白暗三原則・親殺し,同族争い,自己否定

やんま「価値あるもの、価値を見出す存在が人間しかいないから、人間中心の考え方になるのはしょうがない……っちゃしょうがないんだけど、そこにヒューマギアが現れたら、っと多様なものの見方になるんじゃないっていう話、『ゼロワン』は。
そう、ヒューマギアってだから根本的に人間とは違うんですよね、根っこのところが」
SONGEN「ヒューマギアというか、人工生命体シリーズは『ドライブ』から……グリードも人工生命体っぽかったけど、『ドライブ』からやり始めたなぁと思って。見てないんですけど、ちゃんとは。『アマゾンズ』もそうじゃないですか、人がつくった怪物みたいな。改造人間は人間にくっつけてたからあれだったんですけど、『アマゾンズ』俺すごい気持ち悪かったのは、人工生命体だからってところなんですよね。受け入れ難くて。SF的にはよくあるテーマなのかもしんないけど、人間がつくったものだから結局"子殺し"になってくるじゃないですか。だからそこがなんか違うのかなって思ってます。Season2だと本当に子供殺してるけど」
やんま「なんか考えてて思ってたんですけど、平成ライダーシリーズって言うほど親殺ししてないなって。どっちかっていうと同族殺し寄りじゃないですか? 基本がというがベースが。『クウガからして、別にダグバって親じゃないし」
SONGEN「まぁ親殺しって言い始めたのは白倉さんだから、『クウガ』は……」
やんま「そうそう。白倉さんうまいなって思うのは、あの三原則は決して善悪については語ってないってところが。親殺し同族殺しって言うけど、その親とか同族って相手が善か悪かによって本人の善悪も決まる訳だから。悪い親を殺すんだったら善……だし、良い親殺すんだったら悪だしっていう。まぁだからダークライダーもアリなんだよって。
あの三原則をどの辺で言い始めたのかはちょっと気になるんだよな」
SONGEN「俺もよく分かってない……『ヒーローと正義』には載ってなかったな。なんとなく知ってますよね、みんななんか」
やんま「それこそWikiとかにね、載ってるから。仮面ライダーの定義って。一番"親殺し"なのは『アギト』ですよね。まぁ殺してないか、殺してないわ」
SONGEN「大事なのは"自己否定"なんじゃないかなって思うんですよね。それこそ必要ないものなんで、ヒーローなんか」
やんま「なるほどね、自己否定ね。その観点から言うなら、確かに『ゼロワン』は自己否定はしない……し『エグゼイド』もしない」
SONGEN「まぁ、作風が明るくなっていきましたよね。変に話の展開でウジウジ悩んだりとかするところはあるけど、自己否定まではしない。むしろ楽しくヒーローやってるみたいな感じが」
やんま「最近はなんか楽しさ優先ですよね。『セイバー』はシリアスだったけど、バトルに関しては」
SONGEN「でも『セイバー』も割とヒーローやることに対して前のめりというか、俺が救うんだみたいな」
やんま「なるほどね、ヒーローごっこみたいな文脈で……それはある。前向きではあるか。『リバイス』はアレだし。『ギーツ』どうなんだろう自己否定やるのかな、やんない気がするけど。
"仮面ライダー"の定義の話します? 『ゼロワン』の」

仮面ライダーの定義

SONGEN「見つけたんですか? 仮面ライダーの定義(笑)」
やんま「まぁ定義は……昔記事を書いた通りなんですけど、定義なんてなくていいよって思ってる人なので(参照:"仮面ライダー"の定義を考える/自然と自由の象徴として)。
『ゼロワン』における定義って、まぁ『令ジェネ』の文脈っていうのもあるし……基本だから『ゼロワン』の世界では名乗ったもん勝ちというか。本人が「仮面ライダーでありたい」と思ったらそれは仮面ライダーなんですよ、だから別に定義とかって必要なくて。結局その本人の自由意志(意思表明)があるかないかっていうのが一番重要なとこなんですけど。
それで言うと公式読本読んでて、マギアとレイダーも一応仮面ライダーとしてデザインされてるっていう話があって。第1話の予告でベルト(ゼツメライザー)で変身してたから、怪人もライダーみたいに扱われるんじゃね? みたいな話が当時ありましたけど。Vバックルみたいだから。
蓋を開けてみたら意外と普通の怪人だったんだけど、でもよく見るとちゃんと仮面ライダー的な複眼があって、一応仮面ライダーとしても見れるようにデザインされてるらしいっていうのがあって。
だから名乗ってないだけでアイツらも一応ライダーっちゃライダー……そう解釈してもいいかなぐらいの存在なんですよね」
SONGEN「システム的な? ……とかじゃなくて?」
やんま「まぁシステム的な話と解釈してもいいし……うーん……。まぁマギアはちょっと微妙なんだけど、レイダーなんかは特に――」
SONGEN「自由意志の」
やんま「自分の立場とかを守るために関わってる訳じゃないですか」
SONGEN「小さい正義ってことですか。レイダーって五番勝負編の」
やんま「そうそう。『龍騎』のやつらと同じみたいなもんなんですよ、自分の願いのために戦ってるって意味でライダーなんですよね、彼らは。ライダーってかレイダーだけど」
SONGEN「レイダーってどういう意味でしたっけ、追う者?」
やんま「レイドは襲う……かな。レイドバトルとかのレイドですよね。マギアは魔法使い……(みたいなニュアンス)。
だから『令ジェネ』の話になってくるんだけど、其雄が示した仮面ライダーの定義っていうのは、自分の笑顔は自分で戦って掴み取るっていうのが根本の理念としてあって。だから其雄はフォースライザーを滅亡迅雷に渡したり、ゼツメライザーを一般販売してる訳ですよね」
SONGEN「一般販売して……自分で身を守れよみたいな話でしたっけ」
やんま「ヒューマギアはこのままだと人間に抑圧されて権利が侵害されちゃうから、それに対抗するために武器をとって戦おうぜっていう」
SONGEN「そもそも最初の滅亡迅雷編の滅亡迅雷の行動があんまりよく分かってない……でもあれか、データを集めるかなんかでしたっけ」
やんま「そうそう、ゼロワンと一緒で、ゼツメライズキーの戦闘データを集めるっていう」
SONGEN「あれはでも、勝手にヒューマギアを暴走させてるのであって、そんなに自由意志みたいな感じはしない……」
やんま「それもねー。例えば、戦争に行ってる兵士って自分の意志で戦ってる訳じゃないじゃないですか。あれは、上司の命令っていう義務感とか、自分じゃない何かに突き動かされて、人殺しっていう普段じゃありえないことをしてる訳ですよ。普段の自分だったらやらないことを。っていう意味で、無理やり兵士にする……徴兵制と一緒ですよね。正義のために戦う尖兵にするっていうか(誰かが戦わないと、自分たちヒューマギアが笑える世界はこないので)。悪役として通ってるけど、100悪とは言い切れないくらいのニュアンスで捉えてもいいものかなと思ってて」

1クール目の敵

SONGEN「滅と迅が人間に反旗を翻そうとしたのは、ラーニングしたからなんでしたっけ。悪意を」
やんま「滅と迅は、アークにそう言われたから滅ぼすって言ってるだけ、かな。別に本人たちが人間たちに何か酷い扱いを受けたとかはそういうことはなくて」
SONGEN「じゃあそのときも別に自由意志みたいなのがあった訳じゃない……」
やんま「なんかあれですよね、ヒューマギアにとって命令に従うっていうのは、だからごく自然なことなんですよ。当たり前っていうか、本能的なものっていうか、まぁそれは人間も割とそうですけど、指示されたらとりあえず従っとくっていう。そういうものとしてつくられてるし、アークもそれを分かって道具として使ってるし。
迅が破壊されるとき、16話のシーンで、それこそ或人に「人間がお前らに何したっていうんだ」って問いかけるシーンがあるんですけど、それに迅が「知らないよそんなこと」って。「滅にそうやって教えられてきたんだから」って。これは絶対『ONE PIECE』の魚人島編のホーディだなっていうのが見返してて思って。
ホーディはなんか、『ONE PIECE』って一章が長いから、その長い一章のラスボスとして、何も背景がないやつが敵っていうのは、なんか僕は当時納得いかなかったんだけど結構。納得いかないっていうか、フカボシが「あいつの正体が分かった!」って言ってなんか勿体ぶるじゃないですか、あのとき。さもすごいことかのように言うんだけど、結局空っぽってだけだから「あ、そう……」って感じだったんですよね。だからそれを、所詮"1クール目の敵"ぐらいに収めて描いたのは、その魚人島編(伝聞による差別意識)のオマージュとしては結構いい手法だなと思った」
SONGEN「あぁ……まぁ本当にオマージュかどうかはさておいて。1クール目は1クール目ってことなんですよね、だから」
やんま「なんか最近の作品って、1クール目をどう誤魔化すかみたいな雰囲気ありますよね。まぁ販促もこなさないといけないから、本筋はほどほどにしといて……デッドマンズとかも結局終盤まで敵対する訳じゃなかったし。1クール目を繋ぐためだけの役っていう」
SONGEN「1クール目は結構大事なんですよね。まぁでもキャラクターは残しつつみたいな」
やんま「ギーツのデザイアグランプリも多分1クールで終わるんだろうなって思ってて。だって五番勝負編があれだけ不評だった訳だから、いつまでやってんだよ感……」
SONGEN「まぁ1年かけてデザイアグランプリはしないでしょうね、多分ね。それはおいおいってなるからな確かに」
やんま「っていうところで『ゼロワン』の1クール目は結構"サバいてる"感じがして。プログライズキーも結局その「ゼアがつくりました」で済ましてるから、描きたいのは結局仕事? に注力してるっていうか」

AIの文系的/理系的捉え方

SONGEN「結局なんか、視聴者とのズレっていうのはやっぱり、AIものとお仕事もの、どっちなのかみたいな」
やんま「んーどうなんでしょうね、そこは別に僕ズレてないと思うけど」
SONGEN「あ、視聴者がズレてるってことで。視聴者が勝手にAIものとして見てたっていう」
やんま「あー、いやだって、AIって仕事の話じゃないですか」
SONGEN「まぁ活かすものとしては……。その、『ゼロワン』はホントは現実に即したAIものなんだけど、なんかよくある文学作品でのAIもの,アンドロイドものだと勝手に勘違いして……っていう。文系から見たAIものっていうんですかね。AIつくってるのは理系の人たちじゃないですか。でも結構もうSFとしてのAIものっていうのは文系が割と先に色々やってて、そこでなんか倫理観とかロボット三原則とか、それこそ石ノ森作品でもやってるんでしょうし。割と手垢が付きまくってるから、そこで勝負をするつもりは最初からなかったのか……どうかは知らないですけど。大森さんの口ぶりからしたらやっぱりお仕事ものが先にあって、なんとなくAIものやりたかったんでしょうね。本当に何となくだったと思うんですよね、最初は。『エグゼイド』終わった時点で別にやりたいことはなかったらしいので。急に無理やり『ビルド』やれって言われてつくったみたいなこと言ってたから」
やんま「『ドライブ』『エグゼイド』で多分勉強したんでしょうね、AIについて」
SONGEN「したのかな。でも監修はついてますよね、だから」
やんま「多分『ドライブ』の時点でAIについては割と描いてるから、その時点で大森さんはちゃんと調べてるんですよ。ロイミュードをやるにあたって」
SONGEN「どうなのかなぁ……やでも、そこがなんか言及が少なかった気がするんですよね、なんか。インタビュアーとかもそんなに突っ込んでなかったし。『ドライブ』でもやってますよねみたいなのなかったと思う」
やんま「でもそういうツッコミって割とオタク的っていうか、あんまりしなくないですか? 公式で。まぁ最近はねぇ、ちょっとオタクっぽいインタビュアーも増えてるけど」
SONGEN「確かに前作ではこうでしたがみたいなことは言わないのか」
やんま「夢っていうキーワードも多分『ジオウ』から引っ張ってる部分も半分くらいあると思うんだけど」
SONGEN「確かに『ゲイツ、マジェスティ』は『ゼロワン』よりよっぽど夢を描いてたっていう」
やんま「そう。王様になりたいとかさ、ソウゴの夢が現実になっちゃうとか」
SONGEN「結構リアリストなんですよね、大森さんは」
やんま「うん……だから多分頭……いいんだと思いますよすごく」
SONGEN「そうですか?(笑)」
やんま「僕はそう思う」
SONGEN「まぁそう思いたいんだとは思うけど……頭良さそうに見えたことはない」
やんま「まぁね、インタビューとかはアレだけど。喋ってるとき頭良く見える人ってなかなか……難しいですよね」
SONGEN「勉強はできるんだと思うんですよ、勉強は。でカリフォルニアにいったんだと思うけど」
やんま「うーん……創作に向いてる頭の良さとはちょっと違うかもしんないけど、もしかすると。まぁ本人が創作する訳じゃないんでね」
SONGEN「結構『ゼロワン』は割と、大森さんが出てるなっていうのは感じて。だから高橋悠也は悪くないんだって言いたい訳じゃないんですけど。多分どっちも倫理観は歪んでると思うんだよな二人とも。すぐ性悪説っていうところ……それは多分『リバイス』にも引き継がれてしまってるから良くないなと思いますけど」

或人の面白みと倫理観の欠如

やんま「倫理観……倫理観が歪んでるって、表現が難しいですよね。じゃあ実際に高橋さんがなんかヤバいことをしでかすようなサイコパスかっていうとそれはまた違う話じゃないですか。あくまで創作物の中でヤバいことさせるのが好きっていうか、それは別に全然普通(?)っていうか」
SONGEN「飛電或人が子供番組の主人公としてどうなのかってところは、そんな言ってなかったけど結局はそこだと思うんですよね。無邪気に或人かっこいいって思う子供はいるんだろうけど、大人になって見たときに「やっぱりこの主人公ちょっとおかしいな」ってちゃんと気付いて欲しいというか。それで、或人はすごいな! ってまま行って欲しくないというか。どうなんですかね」
やんま「……僕はその、「或人おかしいな」までは理解した上で「いや、でもね」ってところまで行ってる人なんでアレですけど、そこは別に否定しないですけど(笑)
或人はストレートに良いヤツとして捉えちゃうと、面白みに欠けるキャラだと思う。やっぱどこかヤバいやつとして僕は楽しんでるから……ソウゴの魔王っぽさもそうですよ。そういう危なっかしさがいいっていう。"そういう娯楽"ですよね」
SONGEN「そうでもいいんだけど、それをちゃんと……ちゃんと見せようとした結果がアークワンなのかどうかは分かんないんですよね。結局外部の悪意のせいにしてしまってるというか、或人が悪くて闇落ちした訳じゃないんだみたいな。じゃなくて、やっぱ悪意があるからいけないんだみたいな。或人ですら悪意(    )だけなんだみたいな風に言われてしまって」
やんま「いやでも描かれ方としては普通に或人が悪いっていう……あれだと思いますけど。劇中人物は或人の肩を持って、きっとあれは或人の意志じゃないとかって……やってましたよね? 或人の意志じゃないと思ったけど、やっぱり或人の意志だったっていう。ゼロワンの戦闘の動きが一緒でっていう。
まぁ結局、じゃあアークワンが何やろうとしてたかっていうと、滅に倒されようとしてたんだってところに落ち着いちゃったから、そういう意味ではちゃんと描いてないと言えば描いてないかもしんないけど……でも基本的に、セリフ的な意味とかとはちょっと別の次元で、或人って割と人相悪い……ですよね(笑) 人相悪いっていうか、険しい顔し過ぎっていうか、そういう(非言語的な)ところで或人の怖さみたいなのはちゃんと描いてるとは思うんですよ」
SONGEN「ゼロワンが人相悪いですよね」
やんま「割と無機質な感じじゃないですか?」
SONGEN「無機質の怖の怖さというか。『Over Quartzer』の最後が一番怖いと思いますけどね。「始まったなぁ〜!」って」
やんま「あれ怖いんだ、僕めちゃくちゃアガっちゃったけど。あれめちゃくちゃ好きです。まぁ『ジオウ』が好きだったからっていうのもあるけど」
SONGEN「どこまで自覚的なのかっていうのはちょっとね……そこの話なんですよね、結局。俺は多分、ちゃんと考えなかった結果歪んで出力されてしまったと思ってるけど」

責任という概念のない世界

やんま「自覚してないとこの話は書けないと思うんですよね……ちゃんと押さえるべきところは押さえてて。メタルクラスタの前の回かなぁ? で、ちゃんと天津に「今あなたの心を支配するものこそ、紛れもない人間の悪意だ」つって指摘させてるし(これは22話だが、21話でも似たような話はしてる)。メタルクラスタとは別に。まぁアサルトホッパーのアークの力使ってるから(外的要因のせいにしてると言われれば)それはそうかもしんないけど。
そのセリフをちゃんとフォーカスして見てみると、『ゼロワン』の中で主に扱われてる"悪意"っていうのは「誰のせい」っていう風に割り切っちゃって、一方的に責めることが悪として描かれてる部分はあると思ってて。或人が全部天津のせいだっていう風に責めるのも人間の悪意として描かれてるし(、滅亡迅雷が環境破壊、マギアたちがいじめに対して人間が全部悪いから滅べばいいって主張するのも)、これはちょっと作品外の話になるけど、全部ヒューマギアつくってる飛電社が悪いじゃんって風に言っちゃうことも、一個の悪意だと思うし……悪意っていうか"敵意"ですよね。
『ゼロワン』が描きたいのは、責任っていう概念が存在しない世界なんですよ。っていうとちょっと言い過ぎだけど」
SONGEN「"責任っていう概念が存在しない世界"……すごい(笑)」
やんま「誰かのせいにするっていう概念自体要らないんですよ、ホントは。そういう考え方があるから、誰かをそれこそ敵にして、やり玉に上げてっていう話になる訳ですよ。誰のせい? 誰のせい? っていう(多分『20世紀少年』の話)」
SONGEN「じゃあ僕が大森先生のせいだと言うのも……」
やんま「そうそう、それは別になんか(多分誤解して勝手に話広げてる)……うーん。責任がない世界っていうのは、即ち自由意志がない世界ってことにも繋がるわけで……SONGENさんが大森さんを責めるのはSONGENさんのせいじゃない、ってことはSONGENさんは自分の意志でそれをやってるんじゃなくて、例えば大森さんの行動がちょっと勘違いさせるようで悪かったかもねとか、ちょっと高橋さんも悪かったよねとか、周りの環境のせいにしてしまうことで、本人の意志が尊重されなくなるっていうか。関係なくなるんですよね、あってもなくても。
"意志"にも2種類あって、既に起こったこと,過去に対する意志が"責任"っていう考え方で、未来に対する意志っていうのが"夢"っていう描き方だったと思うんですよ。既に終わったことをぐちゃぐちゃ言ってもしょうがないっていうか」
SONGEN「すごい話ですよね」
やんま「まぁヒューマギアは現在進行形でつくられてる訳だから終わったことじゃねぇだろって言ったらそれはそうなんだけど」
SONGEN「なんかね、檀黎斗もそうなんだけど、新しい価値観のイノベーションが起きる瞬間の話ですっていう風にしたいんだったら、ヒューマギア革命を起こそうとしている……檀黎斗だったらデータ生命を誕生させようとしてるみたいな話だったら、まぁ通るのかな? って言うとおかしいけど、綺麗には見えると思うんです。でもなんか、それを肯定もしてないというか。いいのか? それっていう。既存の倫理観に切り込んで新しいものをぶつけてきてるんだったら、それは挑戦作だなって言いたいけど、そうはなってないかなって思う。結局視聴者がついてこれてないってのもそうなんだけど。未来にね……未来に向けて……聞こえは良いけどなぁ」
やんま「今は、責任を追求するのが当たり前の社会だから……そうすることでしか、悪に対抗する手段を持ってない、我々が。結局責任の所在をハッキリさせて何がしたいかって言うと、報復……をしたい訳ですよ。罰を受けさせて、お前らこういう罰受けたくないだろ? だから何も悪いことするなよっていう方法しか持ってない。んだけど、もう終わったことに対して報復したって、死んだ人が返ってくる訳じゃないし」
SONGEN「でも過去を反省して、良くしてこうってしてる歴史が、人間の文化なんではないでしょうか(笑)」
やんま「殺しちゃったら、反省できないじゃないですか」
SONGEN「殺しちゃったらね。というか、先人の過ちを改めて……」
やんま「だからその責任の問題こそ、これからアラタめ(検め,改め)られるべき価値観……なんですよ(笑) 分かんないけどね、分かんないけど。それはこれからの世界次第だから。僕は少なくとも、それに賛同するし……」
SONGEN「責任のない、社会……」
やんま「そう、責任取りたくないから(笑) みんな僕をね、無責任なやつだって言うんだけど、みんなも責任取らなくていいじゃんって思うんですよ僕は。なんでそんなに責任負っちゃうのって。
……そうこの話もしたいんだよな。僕みたいなASD……てか空気読めないやつ? が、社会にとって必要か否かっていう(笑)」
SONGEN「そんな……こと言っちゃいます?(笑)」

空気読めないやつは「ズルい」のか

やんま「なんか前にツイートで面白いものがあって、アスペの人は空気を読めないんじゃなくて、みんながなぁなぁにしたいってことは分かってるけど、敢えてその場を改善するために自分が汚れ役を買って出て、みんなが指摘しづらいことを言ってあげてるっていう、自分=ダークヒーローみたいな図式がアスペの人は持ちがちで……きもいよねみたいな(笑) 僕それすごい分かるなって思って(参考:アスペルガー気質のある人で「すぐ本質を突くから周りから距離を置かれてしまう」とか「正しいことを言ってるのに勝手に周りが怒る」みたいな認知になってる人っているよね - Togetter)」
SONGEN「自覚があるんですか?」
やんま「うん。空気読めない発言をするときは、読めないんじゃなくて読まないというか。分かってるんだけど、これは言ったほうがいいなと思ってるから言ってるんですよね」
SONGEN「それはでも分かるかもしれない。俺も既存の社会って気持ち悪いなみたいな気持ちはあるし……逆張りじゃなくてね、なんだろ。それってなんだろうな……ダークヒーローはね、かっこいいですよね確かに」
やんま「フェミニズムとかもそういうきらいがあると思ってて、フェミニズムも社会の空気というか、女は黙ってろ的な空気に対して反旗を翻して、それじゃダメだっていう風に言うっていうのが彼女らじゃないですか」
SONGEN「"彼女"らかは分かんないけど、そうですね。大筋はね」
やんま「そういう自由への革命……っていうか、空気に反逆すること? をする人たちって、まぁフェミニズムは変な人もいるから話違ってくるかもしんないけど、今まで虐げられてきた人たちを救うことって、社会全体の最低ラインを底上げすることであって、全人類に対して割と良い影響をもたらす……はずのことだと思うんですよ。女性の価値を認めたからと言って誰かの価値が下げられる訳じゃない、っていう風にあるべきで。一部は、女尊男卑な方を言いたい人もいるんだけど。障害者の権利とかもそうで、障害者"も"幸せになれたらいいよねって話で。
だからヒューマギアの権利とか奴隷の権利とかもそうだけど…………うーん、"責任逃れ"をするやつ(新たな権利を手に入れるやつ)が「ズルい」って思われる社会なんですよね」
SONGEN「今はそうですね」
やんま「でもズルいっていうのは、今ある"空気"のせいで「お前は許されてるけど、俺だったら多分許されないかもしれない。だからお前は許されてズルい」って話なんですよ。でも革命派が言いたいのは、俺も"お前も"許されたらいいよねっていう話なんですよ」
SONGEN「言ってることは分かりますけど……。フェミニズムも、俺そんな詳しい訳じゃないけど、結局何がしたいのかなみたいなところは。どうなったら実現するのかなってところは。結局ただ"騒いでる人たち"みたいに捉えられちゃうのは確かに良くないと思う。なんかその、責任のない世界もそうだけど、ゴールはやっぱ見えないとねってところは。リアルなものとして実現可能なのかってところはどうなんでしょう。結局『ゼロワン』でも実現してないんじゃないですか、そういう世界は」

『ゼロワン』における責任の線引き

やんま「『ゼロワン』はね、結構シビアな線引きをしてて。『REAL×TIME』がその話なんだけど、エデンみたいないち個人だったら、過去のエピソードなりを知ることで共感して、お前も色々あったんだなっていう風にできるんだけど、シンクネットみたいな大勢になるとちょっと流石にキャパオーバーで、いちいち過去とか分かんないし、同情するほどの手間がかけられないから許せないっていう。そういう線引きになってる」
SONGEN「シンクネットの人たちこそ結局社会の弱者じゃないですか。だからなんか、結局『REAL×TIME』って勢いだけで誤魔化されて映画は良かったって言ってる人が多いじゃないですか(笑)」
やんま「『REAL×TIME』絶賛界隈のことはあんまりよく分かんないんだけど、僕も(笑)」
SONGEN「僕がこないだツイートしたの↓って、別にふざけてる訳ではなくて、結局そういう人たちに目を向けてないっていうことは、違うじゃないかなと思うんですよね」

やんま「確かに綺麗事を貫くんだったら、向けなきゃいけないところではある」
SONGEN「分かんないですけどね、シンクネットが本当にゴミの受け皿としてネーミングされたかどうかは。ダジャレとして。分かんないけど、本当にただの弱者に目を向けさせて、主人公たち側はいい人間ですみたいにしちゃうのは、いやホントに良くない手法だなと思って。あれが一番駄目だと思うんですよね、『RT』が」
やんま「でも僕それは……今までのライダーの文脈で見ると、ちょっとズレが起こるとこだと思ってて。シンクネットのやつらは、アバターじゃないですか所詮。生身に攻撃してる訳じゃないから」
SONGEN「あぁ、そこのズルさってことですか」
やんま「ズルさっていうか、巧妙さっていうか、仮面ライダーとの戦いで倒すことは彼らに対する"罰"には実質的になってないんですよ。ちょっと論破されたくらい、ネットで。刃たちが「お前たちに同情の余地はない」って言って、チクショーって顔真っ赤にしてるだけ、くらい? だから味方側が懲罰としてすごい酷いことをしてる訳でもないし。その辺はちゃんとセーブされてるというか、考えられてるとは思うんですけどね」
SONGEN「なるほど、懲罰はしてないっていう……確かになぁ」
やんま「お前ら本当にそれでいいの? って煽るだけっていう」
SONGEN「或人側も、天津にさえも懲罰をしない」
やんま「そう……罰を与えるっていうことはだからやっぱり過去志向だから、『ゼロワン』は本当に未来未来の話なんですよね。天津に対してもこれからの行動で示してくれって言ってたけど本当にそうで、これからどうするかで全て決まるっていうか」
SONGEN「過去を振り返らない……それが、令和1作目の覚悟だと、いうことなのかな」

自由意志とラーニングへの還元

やんま「自由意志っていうテーマを考え出すと、やっぱり過去を振り返らないっていう結論に至らざるを得ないというか」
SONGEN「『ジオウ』で過去は振り返ったから」
やんま「そうそう。やっぱ過去ばっかり見ちゃうと、結局じゃあお前の行動はそれまでの……或人だったら其雄がデイブレイクのときに守ってくれたっていう記憶をラーニングしたから、ヒューマギアを擁護してるだけで、別にそれって或人の意志でもなんでもなくて、たまたまそういうラーニングしたからだよねって。不破は不破で、たまたまデイブレイクで襲われたっていう記憶があるから、ヒューマギアに対して敵意を持ってると。……っていう風に、全部それに還元されちゃうって解釈すると、人間の自由意志の入る余地ってなくなっちゃって、そうなるとだからもちろん機械にも意志なんてないってことになるし。
僕は別に意志なんてないって価値観もアリだと思うんだけど」
SONGEN「あ、意志すらなくて……」
やんま「意志っていう価値観は、そもそも責任を問うための概念だから。まぁプラス自我同一性を保つ、アイデンティティの問題としてあるくらいかなと思うから」

続く