西園寺の役割
・西園寺が"すべてのものを支配する力"を欲していた理由は、結局小説でも語られていなかったと思うが……何故なんだろうね？ 龍と妊娠した百合の仲睦まじさを見て「小さな幸せがなんだ」と内心でぼやいていることと、てれびくんの超バトルDVDでは「西園寺も英雄だった」という話がされているらしいことから、元から英雄のように"何か大きなこと"を成し遂げようとしている野心家だったらしいことは窺えるのだけれど。
でもって本編では、エジソンの園田さん,ロビンフッドのマリさん,ベートーベンの康介さんに英雄ゆかりの品を渡すなどして唆し、命を落としてでも偉業を成し遂げようとさせていた。最終的に本人も、身の丈に合わない願いを叶えようとした結果粒子となって消滅していることから、物語的には「タナトスの誘惑」的な死へと向かう欲求を担う人物なのかな。命の大切さを説くために、彼を否定したあとに向き合うことになるのが「肉体を捨てただ"生きているだけ"となった眼魔たち」というのは、構成として妥当。"生きる"というのは、その両者のちょうど真ん中にある。
おまけとして、Googleで西園寺と検索すると藤原氏から連なる公家のWikipediaがヒットする。ここは家紋として"三つ巴"を採用しているらしく、手を組んでいたガンマ(α,β,γ→3つ目のギリシア文字)と親和性がある。
・英雄眼魂はドラゴンボールとは違って、集めれば願いが叶う訳ではないらしい。確かに設定としては、あくまで眼魂はファイヤーウォールであるガンマイザーを相殺してグレートアイに接触するためのアイテムであって、接触した結果として願いを叶えられるかどうかは別問題。
多分タケルは他人のために願ったからグレートアイも興味を持って叶えてくれたけど、私欲のためなら反応しないのかな……と思ってたら、仙人曰く重要なのはベルトの有無らしい。なんじゃそりゃ。
第一、西園寺もベルトのプロトタイプ持ってるしな。"持ってる"というのはあくまで言葉の綾であって、タケルとマコトのように体内に埋め込んでいて初めて本来の機能を発揮するのかな。
……それはそれとして、西園寺は何故消えた？ 願いを叶えてもらえないどころか消滅って、あんまりすぎる。仮面ライダーに変身するときにオレ/スペクターのゴーストが出てくるように、ゴーストドライバーには本来癒着している肉体と精神を分離する作用があって、その過程を経ないままグレートアイのいる精神空間に行こうとしたから肉体ごと消えてしまったとか、そういうこと？
何故15個なのか
・ついに15の英雄眼魂が勢揃い。なんで15個なのかも考えてはいたもののあんまりこれといった決め手は見付からず、唯一それっぽいのは"十五夜"という概念。月自体は1話冒頭でかなり意味深に映されてたし、消えて現れてを繰り返す様は輪廻転生そのものだからテーマ的には通じてると思うけど、イマイチ「それだー！！！」という感動がない。一応その文脈を踏まえて、15を完全な数として捉える向きもあるらしい。
他にそれっぽいのは、3×3の魔法陣の和が15ってことと、"0"を加えた16種類の文字を使った16進法はコンピュータでよく使われているということ。後者については元々眼魂が15個なのはイーディスの作ったガンマイザーという"プログラム"に対応させてのことだし、丁寧にもオレ眼魂のナンバリングは0に見立てたGであってこれを加えればちょうど16個なので、こちらは偶然ではないと思う。
平成ライダー十五作の鎧武でフィフティーンなんてのも出てきたし、ちょうど英雄大集合のグレイトフルと平成魂はそっくりだけど、微妙に数が合わない。死者と生者の世界をひっくり返す……というのもそれっぽいのにね。
セイバーにおけるアヴァロンへ導く13冊の本のシーンなんかは、よーくよく目を凝らして見ると劇中未登場なアルターブックのタイトルが書かれていたりしたので、揃った眼魂がかたちづくった謎の紋章もコマ送りしながらじっくり見てみたけど、特に何も発見はありませんでした。強いて言えば西園寺が並べ間違えたせいで、くるくる回ってる時からずっと黄色いゴエモン(08)と青いリョウマ(09)の順番が逆になってることくらい。
一応書いておくと、15の紋様がそれぞれどの眼魂に対応してるかは以下の通り。
01ムサシ
10ヒミコ 04ニュートン
15サンゾウ 05ビリーザキッド
13フーディーニ 06ベートーベン
02エジソン 03ロビンフッド
12ノブナガ 07ベンケイ
11ツタンカーメン 09リョウマ
14グリム 08ゴエモン
00目
四隅のうち3つはメイン3ライダーが使う英雄になってるんだとしたら、ムサシ,ノブナガ,とネクロムはどっち？ってのが一番気になってたところなんだけど、普通に通し番号の01,02,03番だった。かと思えば3つずつ並んでる部分は、綺麗な右上と、元々逆だったリョウマとゴエモンを入れ替えれば順番通りな右下ときて、左側は全く無視したデタラメな羅列だし、マジ分からん。
小説で眼魔文字の対応表が付いてきたけど、そんな本編でほとんど出てた覚えのない文字より(少なくとも15話にはちょろっと出てる)、オメガドライブの時に後ろにある紋章とかを解読させて欲しいもんだよな。
・カノンのアイコンを持った手を叩きつけるのは、役作りとして絶対に駄目でしょ。スタッフからの指示なら役者が止めないとだし、役者のアドリブなら周りのスタッフがOK出しちゃ駄目じゃない？ 確かに左手だと重心かけてるからやりにくそうだけど、そんなことになるくらいならアングルを変えなよって話。
せめて筋通すなら、自分の死を受け入れてるカノンの態度が内心気に食わなくて、思わず……とかだろうか。いや、だとしてもやっぱり違和感すごいけどなぁ……。
タケルの願い
・グレートアイ「何の用だ」
タケル「望みが……叶うのか？」
グレートアイ「ならば望みを述べよ」
ここの会話、小説を読んだあとで聞くとめちゃくちゃグレートアイらしくて笑った。そうなのよね、こういうやつなのよ彼(？)は。
タケルは明確に「願いを叶えてくれ」とは言ってないんだけど、あぁ叶えて欲しいんかなと一足飛びに理解して、その上であくまで「まぁ別に意地悪して叶えてあげない理由もないし」くらいのノリで聞いてくれる。
多分「ついでにオレも生き返らせて」って言ってたら、そのくらいならOKしたんじゃなかろうか。ただタケルは、そんなうまい話はないだろうという自分の勝手な思い込みを投影して、そして多分、昔話のように欲をかいた結果どちらも生き返れないなんてことにならないように、カノンの復活だけを望んだのだろう。
最初は「何の用だ」も自分から吸い込んどいて……と思ったけど、そこはもしかするとゴーストドライバーが勝手に侵入させただけかもしれない。
ゴースト特有の会話になってない会話の真髄を見せられてる感じというか、マジで聞いてて面白い。悪い意味じゃなく。
主張の異なる2人が会話する時も平行線とか水掛け論とか言って会話にならないことが多いが、グレートアイのように"自分の意見がない"やつが相手でも、絶妙に話は噛み合わない。この感覚はカミュの『異邦人』を読んでみると多少掴めるかもしれない。
・タケルの判断は正しかったのだろうか。
確かにカノンを犠牲にして生き返っても、タケルはその後一生、心から笑うことはできなくなっていたかもしれない。先日見た『牙狼 月虹ノ旅人』でゴンザが「私の体ではなく、私の"思い"を守ってください」と言っていたけれど、それに近い。自分の気持ちや信念を曲げて体だけこの世にあっても、それは果たして生きていると言えるのか。思いを殺した時点でそれはもはや本当のタケルではないと見ることもできる。
ただこの言説自体は、6話で否定されているのよね。「偉業なんか残さなくてもそこにいてくれされすればそれでいい」と。あの時のゲストである康介さんは眼魔によって不自然に心をブーストをかけられてたようなもんなのがややこしいとこだけど。
でもって一番気になるのは、タケルは「他人を犠牲にして生きる十字架」をカノンに背負わせたことになるんじゃないのかという点。
そもそもカノンに選択権はないのよね。タケルと同じ死ぬ/生き返る当事者でありながら、ドライバーを持ってないのであくまでマコトかタケルの選択に従うより他なくて、他人によって死ぬことになるか、他人によって十字架を背負わされるかの2択しかない。
そう考えると、犠牲になるタケル本人の意思でカノンを蘇らせるというのは、罪悪感も薄らぐし一応最善手であるような気はする。
こう考えると、セイバーの年になってカノンもドライバーを得られたのはなかなか"エモい"ものがあるかもしれない。ジェネシスでは本編のネタバレにならないよう、変身できない組も戦う中で彼女だけハブられてたしね。
・前回はそれぞれ別の目的をもって三つ巴のバトルを繰り広げた結果がジャベルの圧勝だった訳だけど、今回のタケルとマコトは同じ方向を向いて共闘をしている。ゴーストとスペクター、2人合わせて左右二つの目が揃った今、怖いものはない。
ツノの本数が違うけど、僕も左右で一重二重が違うし。
パーカーゴーストを重ね着して繰り出すキックは、ディメンションキックの逆回しみたいね。
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