やんまの目安箱

やんまの目安箱

ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

「ゼロ度の炎」における戦兎の落ち度と猿渡の意思

「47話で戦兎を嫌いになった(無能・一海を殺した)という人がいるらしいが云々」がかなり話題になってるので、自分なりに色々考えてみた。

最初に断っておくと、僕自身は普段からビルドには割と否定的なので、否定的な話は一切見たくないという方は読まないことをおすすめします。

 

まずは僕の見かけた論調を整理するところから。

 戦兎否定派
1.猿渡に使ったら死ぬブリザードナックル渡すなよ。変身できないように改良とかしろ。
2.猿渡の前でロストフルボトルを精製し直さなきゃいけないと言ったのは、暗に猿渡に自己犠牲を促しているのでは? そうでなくとも、彼がそういう行動を取りかねないことは容易に想像できるのだから自重するべきだった。
3.ビルドドライバーをもっとしっかり隠しておけばあんなことにはならなかった。

 

 戦兎擁護派
1.戦兎はあくまで「武器として使え」って言ってたから悪くない。猿渡本人もビルドドライバーがないと使えないって言ってたから納得した。
2.これに関しては具体的な反論は今のところ見てない。主なのは「邪推」とか「これまで戦兎はラブ&ピースのために戦ってきたんだからそんなことするはずがないことは言わずもがな」みたいなもの。
3.戦兎は一海を信じていた。
4.戦兎を責めることは一海の決意に泥を塗るようなものだ。
5.そもそも全て「一海が死んだ」ことに端を発する結果論だから、それで責めるのはお門違い。
6.エボルトが元凶だからエボルトが悪い。

 


大体こんな感じかな。こっからは僕の感想。

1.ブリザードナックル(ボトル)
「武器として使ってくれ」って言うより自分が変身機能なくす方が確実ってのが分からないならバカだし、信頼してのことだとしてもわざわざ危険な要因を残したまま渡すのはやっぱり分からん。猿渡が実験してから改良する時間はいくらでもあったでしょ。具体的には焼肉と花火やってる時とか。
そもそも、前に万丈を無理矢理変身させようとしてたよね。あの描写も手伝って「戦兎が殺した」って感じたなら気持ちは分かる。
まぁ、バリバリ危険な副作用があるのにスクラッシュドライバーを「これで完成した」とか言っちゃってたような奴だし、悪意の有無はともかく戦兎がヤバイ奴なのは結構前からだよ。4コマ忍法刀やカイゾクハッシャーを仲間に向けて「試し斬りしたい……」とか口にしてたこともあったしね。

 

2-1.ロストフルボトル
これに関しては一海曰く「どうせもう死ぬから自分の体で精製する」とのことだったので死とは直接関わってないはず。ロストスマッシュにならなかった(のに精製できた)理由は謎。クローンスマッシュもあの場にいたようには見えなかったし。
ただ、あたかも自殺教唆のように見えてしまった人が出てくるのも分かる。というのもあの時すでに猿渡は覚悟を決めたような意味深な顔をしていたので「戦兎がそんなこと言わなければ」となるのはそこまで不自然ではない。猿渡が自己犠牲的な行動をとる(力不足で焦っている)のはそれこそ人体実験の件で分かっているのに、どうして想像できないんだ、という話。しかも精製し直さなきゃいけなくなったのは、戦兎が「父親の設計したハザードトリガーは暴走装置なんかじゃなかった」と思いたいがために浄化しちゃったせいなんだよね。確かにあの場はエボルト怪人態をなんとかしなくちゃいけなかったけど、パネルごと奪い取れば済む話。そのツケを一海が払わなきゃいけなくなったと考えると、戦兎を責める要因の1つになり得る。
そもそもロストボトルって、黒いパネルに挿せば色が変わるはずなんだよ。確か38話でやってた。人間に挿す必要があったのかはかなり謎。


2-2.戦兎のラブ&ピース
ナックルの項でも書いたように、彼の行動は結構矛盾だらけ。そもそも戦兎は信条として「敵も味方も死なせない」という綺麗事を掲げてたはずなのに、いつの間にか「エボルトぶっ倒してめでたし」になってるんだよね。
「倒されたら消滅する人間を戦わせる訳にはいかない」みたいなことを言ってた気がするけど、赤羽にパンドラボックスの護衛任せてた(結果ローグに殺された)ことについて戦兎はどう考えてるのかは謎だし。あと、戦争を終わらせることよりも個人的な専守防衛主義を優先していたしね。この辺に関しては僕のビルド感想を読んでもらえれば詳しく書いてあるはず。

 

3.ビルドドライバー
ここは"一海がベルトの場所を知ってたか"によって判断が変わる。知らなかった、または知ってたから隠し場所を変えておいたのに一海がそこら中漁って持ち出したなら戦兎に落ち度はないけど、もし場所を知ってるのに放置したなら、単なるバカか未必の故意

 

4.一海の決意
これもねぇ……僕は全然理解できないんだよねぇ……。ただ死にたがってたのかバカなのか、どっちか。
まずレベルを上げるために人体実験を受けに行ったけど、いつもみたいに龍我や幻徳と喧嘩して上げればいいじゃない。もし幻徳がスチームブレードを持ってれば、ガスの注入(ロストスマッシュの実験じゃないので多分負けても死にはしない)って手もある。
次に「自分が死んでも誰も悲しまない」とか「戦兎たちのせいで未練がのこってしまった」とか言ってたけど、そもそも猿渡ファームの面々はまだ死んでないはず。一度はラブ&ピースのために苦渋の末に見捨てる決意すらした彼らのことを忘れて3羽ガラスの偽物を攻撃できないとかちゃんちゃらおかしいんじゃない?
で、その偽3羽ガラスにはスペック的にはグリス+ナックルで十分勝ててた。にも関わらずわざわざブリザードに変身する必要を全く感じない。戦い始める前から自殺志願だったとしか思えない。
そんなこんなで、仮に戦兎が何も悪くなくても猿渡本人にツッコミどころが満載なんだよね……だから泥を塗るも何もない。「勘違いするんじゃねぇぞ。俺たちはな、生きるために戦うんだ」はどこに行ったんだか。

 

5.結果論
これについては単なる藁人形論法。多分戦兎を責めてる多くの視聴者は、ブリザードナックルを渡した時点、或いはロストボトル精製の話をした時点、将又ダブルツインブレイカーのときに浄化を断った時点で「死ぬんじゃない? 大丈夫?」と不安を抱いたはず。その結果、想像通りなんの捻りもなく死んだ訳だから、「だから言ったじゃん」となる。他の人もそうだって確証はないけど少なくとも僕はそう。これを結果論(一海が死んだという前提があるからこそ成り立つ話だから、戦兎を責めるのはおかしい)というのは違うだろう。
ついでに言えば、戦兎自身が忍に対して「そのためにエボルトのそばにずっといたっていうのか? だったらもっと早くに防ぐことだってできたはずだ!」って結果論で責めてたことがあるし、例え結果論で責められても文句は言えないんじゃないかな。

 

6.エボルトが悪い
悪役が悪いのは当たり前の話なんだよね。その上で正義側にやる気が見られなかったりすればそれ"も"悪い。別にそれらは背反じゃないし、言うなれば「どっちもどっち」な状態になるだけの話。エボルトの悪性は戦兎の善性を示す要素にはならない。

 


こんなところかな。他にも言いたいことはたくさんあるのでついでに書いちゃう。

 

44話で「確かに、一人一人は無力かもしれない。けど、みんなが力を合わせれば、不可能は可能に、絶望は希望に、敗北は勝利に変わる!」って話をしていたのに、どうして「ここは任せて先に行け」なんて展開になるのか理解できない。バラバラになって無力になっちゃったから一海は死んだとも取れる。4人でかかってれば普通に勝てたでしょ。そもそもあんなのに構わず頂上行ってエボルト倒せよって話なんだけど。

 

あと、戦兎は47話ラストでエボルトに激昂したけれど、忍の件で「正義のために創ったライダーシステムは、憎しみなんかじゃ強くなれない……」って学んだんじゃなかったの? またジーニアスになれなくなっちゃうじゃん。失敗を体系化して二度と繰り返さないようにするのが科学だって豪語してたんだからちゃんと成長してよ。
っていうか未だエボルトが生きてんのはクソずるいパワーアップ前攻撃をしたにも関わらず倒すどころか感情を与えちゃってロストボトル精製できるようにした挙げ句のろのろ歩いて帰るエボルトを変身解除して優しく見送るクソバカ戦兎のせいだし。倒すのか倒さないのかハッキリしろよ。

 

更に言うと、これでもしこの先グリスなしでエボルトに勝てたら本当に何の為に猿渡死んだんだよって話じゃない? 王道の「猿渡が分身を倒したからエボルトは完全体になれない!」パターンかと思いきや普通に次回予告でブラックホールなってるし、残り3人(以下)で勝てちゃったら危険に晒してまでグリスを戦力に入れた意味が皆無。
それだったらまだ猿渡が刹那的な感情で身勝手に自己犠牲をしたせいで、エボルトにあと一歩及ばず全滅とかの方が命の大切さは感じるかもしれん。これは極論だけどさ。


まぁ1つ確実に言えるのは、「ビルドの悪いところは戦兎が猿渡を助けなかったこと以外にも腐るほどある」ってこと。別に47話がそう見えなかったところで他の要因を引っ張ってきて戦兎のせいで死んだことにするのは今色々やったように容易いんじゃないかな。

 

 追記:戦兎の故意について
戦兎否定派の中にも、「わざと死なせた、クズ」と思ってる人と「想像できなかった、天才なのに無能」と思ってる人に分かれる。擁護派は多分略ほぼ後者じゃないかな。

 

リザードナックル譲渡を自殺幇助として見るならば、猿渡の自殺願望(その危険性)に気付いていた上で「でもまさかそんなことするはずない」なら認識ある過失で、「もしそうなっても、それでエボルトを倒せるなら」であれば未必の故意、猿渡の決意の強さを"確信"していたのなら故意となるだろう。
気付いてなかったならただの過失だけど、それはそれで仲間のこと見てないのねって話。

 

劇中の描写的には、戦兎が「なんで変身した……」と驚くような様子が見られるので故意があったという線はうすいだろう。未必の故意の場合は、どちらに転んでも驚いたという可能性が考えられるが。

 

個人的な好みとしては、意思がなく「うっかり死なせちゃった」以上にも以下にもならずドラマにならない過失よりは、「迷った末に犠牲が出ることを許容した」の方が良いかな。もちろんその後に「お前の掲げてた敵も味方も死なせないラブ&ピースはどこいったんだよ」って龍我かエボルトに責められる展開付きってのが条件だけどね。
(ちなみに11話の永夢は「殺したことをそもそも意識してない」ので更に悪い)

 

そんな感じかなぁ。何かご意見などありましたら聞かせてください。あ、嫌なら見るなよと思った方にはこの記事をどうぞ。

「嫌いなら見るな」と「価値観は人それぞれ」の間違い

アンチと呼ばれる自分の心理

ビルドの感想はこちら

ビルド カテゴリーの記事一覧

仮面ライダービルド 47話「ゼロ度の炎」 感想

 

86ma.hatenablog.com

86ma.hatenablog.com