やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

ヘボット! 40話「弁護士ボキャ美の法廷ファイル!」 感想

ネジが島に警察はない。というのは32話から言われてたけど、確かその時に言い忘れたので言っておくと、その存在が示唆されたのは5話だけ。リーマンズがヘボットを誘拐した際、ボキャ美が「警察に……」と言ったとこだけ。ヘボットの世界観はかなり寛容に作られてるので、解釈のしようがいくらでもある。そもそもネジが島王国はただ離島なだけで別に鎖国してる訳ではないので文化の交流はあってもおかしくはないし、仮になくてもボキャ美はサートゥルヌスの分身ってな訳で外の知識がある(または彼女が操作してる)かもしれない。更には究極のセーフティネットとなるのが次元ネジ。あれが緩んでるってことは、ぶっちゃけ何が起こってもおかしくはない。突き詰めればボキャ美が突然知らないはずの"警察"を口走っても、それはもはや逆に筋が通ってるのだ。

そんなたるんだネジが島を引き締めようとするナグリ。でも警察があることだけが必ずしも秩序のかたちではない。気を引き締めるということは自らの首を絞めることになり得る。そもそも刑罰というもの自体が僕はどうにも好かない。別に僕は積極的なアナーキストという訳ではないのだけど、でも割と無為自然派なところもあったりして、成り行きに任せればいいだろみたいな気持ちになることがある。不幸にならなくていい人をわざわざ不幸にする仕組みがどうして必要なのかと。不幸を生み出す余力があるなら幸せを生み出せばいいのに。
この世の中に本当に悪い人って多分いなくて、誰も好き好んで「人を傷付けたい」なんて思わないんですよ、それほど他人に興味はない。みんな自分が幸せになりたいだけで、他人を害するのはその副産物か過失のどっちかだと思っている。人殺しを殺したって殺された人が生き返る訳じゃないのなら、殺して更にマイナスを増やすんじゃなくてもっと社会にプラスをもたらす方向でものを考えたほうが絶対いい。道徳的にはさておき、極端なことを言えば、ただ殺すくらいなら人体実験のモルモットにするとかの方がまだ理屈として分かる。本当に道徳の話をするならどう考えたってただ殺すのも本人の意思に関わらず自由を奪うのも駄目ですからね。どうせ破るならもっとあるだろって話ね。なんかどんどん話がアレな方向に行ってるのでこの変で自重します(遅い)。。
(参考:悪者とは弱者である『語ろう! クウガ・アギト・龍騎/555・剣・響鬼』高寺成紀編 感想)

 

突如起こった謎の「土星ババァスゴスゴぶっささり事件」。ネジルとヘボットは被告人として連行されてしまう。
本当に一瞬しか映らなかったけど、法廷には正義の女神をイメージした像が立ってて、これがなかなかに含蓄に富んでいる。本来の女神は目隠しをして天秤と剣を持っており、相手が誰であろうと平等に法の裁きを下すことの象徴とされている。一方ヘボットでは天秤にバニラと抹茶のソフトクリームが乗っていて、右手は剣ではなく、鼻をつまんでいる。これめちゃくちゃ面白くない? いや、まぁ真面目に話すなら「比喩だろ、野暮なこと言うなよ」ってなるんだけど、風刺として普通に出来がいい。確かに目をつむるだけじゃ主観を挟まないのことの表明としては弱くて、相手がくさいやつ(≒鼻つまみ者)だったら目隠しだけでは意味をなさない。平成ライダーシリーズをつくってきた白倉プロデューサーの著書『ヒーローと正義』にはこんな風に書かれている。

 彼女は、人を平気で天秤の上に乗せ、平気で剣をふりおろすことができる。彼女は自分の剣が、どんな人の命を奪うことになるのか見ないままでいられる。剣をふりおろす以外の選択肢がないのかどうか、自分が剣をふるう資格を本当に持っているのかどうか、考えないままでいられる。

本当に公正公平を気取るなら、目を閉じ耳を塞ぎ口を噤んだ人間にでもなるしかないのだ。「ダメだダメだ! サリンジャー読んだことないだろ!」はっはっは。……そうでなければ、目隠しを取り、あくまでエゴにまみれた一人の人間として正義の名を借りずに剣をふりおろすしかない。

裁判が舞台ということもあるし、『リーガル・ハイ』という作品もおすすめしておきたい。半沢直樹で有名な堺雅人さん主演の法律コメディドラマで、もうひとりの主役である新垣結衣さんと2人で様々な事件に立ち向かう……というとなんか違うような気もするけどとにかく面白いので見て。3期待ってます。ない。
(参考:LEGAL HIGH カテゴリーの記事一覧)

 

……書きかけ? うん、いいと思う!

 

ヘボット!感想一覧

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ヘボット! 39話「王妃ナグリ、帰還」 感想

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