やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

JIN-仁- 第十一話 感想

キャラクター

 南方仁
・「もう、誰一人秘密を分かち合ってくれる人もなく、ここで一人生きていくのだろうか。見慣れてたはずの江戸が、別の町に見えた」
緒方先生は、もういないんだもんなぁ……。
・癌ではないことも有り得ると、もう一度診察。ここは少し唐突だったかなぁ。
・仁「前に、好きだった女性のいる家を、そうとは知らずに、火事を食い止めるために壊したって」
辰五郎「あぁ」
仁「もし、その人が家にいるのを知っていたら、壊しましたか?」
辰五郎「そんなもん知るかよ。……ただ、あいつは壊せっつったかもしんねぇなぁ」
そうだよね、未来ならそう言うよね。そこは外しちゃいけない。
・「咲さんに言われたからじゃないですよ。もしかしたら、未来が生まれなくなるとは限らないって思ったんです。手術が終わったあと、意外に元に戻ってたりとか、未来が子供になっていたりとか、私が手術される方になっていたりとか……元々こんな信じられないようなことが起こってる訳ですから、何が起こってもおかしくないって思ったんです。って言いながら(写真を)埋めちゃうんですけどね……私は臆病ですから」
後述の龍馬の思いやりなどを受け取りつつも、人のせいにはせず、きちんと自分でも決断しようとする姿は泣けてくる。
・「良かったです! 私は……あなたを助けられて、良かったです! 良かったです、野風さん!」
心から絞り出されたこの言葉は、嘘つきだと言われた仁の偽りない本心なんだろうな。
・仁「写真そのものが消えてしまったんです。どういうことなんでしょうね。単に、未来であの写真を撮った瞬間が消滅してしまったということなのか、私と未来が出会うという未来そのものがなくなってしまったということなのか、それとも、私は、私も未来も生まれない未来をつくってしまったということなのか……もう何も、分からなくなってしまいました」
咲「ある日突然出て来たりするやもしれませぬ。突然消えた訳でございますから」
仁「でもね、咲さん。ひとつだけ確かなことは……私が解放されたってことなんです」
咲「解放?」
仁「これでもう、未来に一喜一憂する必要もないじゃないですか。これからは……目の前のことだけを見て、ただ懸命に生きればいい。もっとずっと、ずっと生きやすくなる。未来のことが何も分からなくなるなんて、狼狽えて絶望してもいいはずなのに、なんか、涙も出ないんですよね。ただそのことに、ホッとしてる自分がいるんです。私は、本当に酷い。……酷い」
咲「酷いのは、私です。未来から解放されたと仰る先生に、私は、ホッとしております。酷い女でございましょう。先生が酷いなら、私も酷うございます。……あちらで待っておりますので」
仁「ここにいてくれませんか? ……いてください」
咲「……あ、野風さん、お気付きになられました」
仁「そうですか、良かったです」
咲「血色もよろしくて」
仁「……良かったです」
咲「はい」
仁「……良かったんですよね、これで。良かったんですよね」
咲「はい」
仁「良かったんですよね」
咲「はい」
大事なのは結果じゃないんだよな。

 

 橘咲
・「申し訳ございませぬ、後先も考えず、勢いで軽々しいことを申し上げ。先生が、どれほどのお気持ちで……」
うん、咲は間接的にとは言え、未来を殺すよう仁に言ったようなものであり、そこを悔み謝るのは必要な描写。
・咲「おやめくださいまし! 何人たりとも、消毒することなく手術室に入ることは許されませぬ! ここは医者の聖域にてございます。何人たりとも、許可なく入ることは叶いませぬ」
刺客「女の出る幕ではないわ、どけ!」
咲「どうしても入ると仰るのなら、ここで命を絶ちます。どちらのご家中かは存じ上げませんが、このような所業は討ち入りも同然。あなた方もご覚悟召されませ」
自殺が脅しになるというのは、どういう理屈なんだろう? 刃物で死んだとなると今で言う警察みたいな組織が事情を調べることになり、そうなると刺客たちのことも知れるということなのだろうか? 説明が欲しかった。

 

 坂本龍馬
・龍馬「野風を助け通せ! 聞いたがじゃ。野風が、乳の岩かもしれんがじゃろ。先生が迷う気持ちは分かる。けんどここはひとつ、どうか儂のために、手術をしてくれんかえ」
仁「"儂のため"?」
龍馬「儂ゃ考えたぜよ。ここで野風の乳を切れば、野風の身請けが流れる。女郎としてもお払い箱になる。流石の野風も、この先頼りのうなるろう。そこで儂の出番じゃ。こう言うがじゃ。"乳なんぞ、あろうがなかろうが構わん! 儂がおまんの面倒を見る"。これは効く。流石の野風も、"ははぁーん"ちゅうて落ちるぜよ。ちゅう訳で先生、頼む」
仁「龍馬さん……お気持ちは分かりますが……」
龍馬「やかましいがじゃ! 切れっちゅうたら切れ! いいかえ、切ってちいい言うがは、儂じゃ。先生はただ黙って、儂の頼みを聞けばええがじゃ。手術の後のことは、何が起ころうとなんもかんもぜーんぶ儂のせいじゃ。儂のせいじゃ。ほいやき……野風を助け通せ」
普段はおちゃらけてるけど、ここぞという時にはビシッと決める。仁はどういう選択をしても苦しむと分かっているからこそ、その負担を少しでも減らそうとするこの心意気。好き。

 

 野風
・「あちきなぞが、医術のお役に立てるのなら……これほどの喜びはありんせん。この命、お預けしんす」
"未来と似ている"ということの証明でもあり、欲しがっていた"絆"でもあり、良い台詞。ある意味で、未来も野風も助ける決断であったことを表しているのだろう。
・「あんれ、空がちょいと、高うなりんした」
笑顔を浮かべつつも、少し切ないような趣もある。長年に渡って積み上げて手に入れた花魁の地位を手放すことであり、それは自由の獲得を意味することでもある。
・龍馬「野風! まだ雪になりたいがか!」
野風「まっぴらごめんでありんす! これからは、己の足で、行きたいところに行くでありんす。そこで誰かと出会い、誰かを慕い慕われ、誰よりも、幸せになるでありんす! 南方先生の手で、生まれ変わらせて、頂いたのでありんすから。……南方先生、ほんに、ほんに、ありがとうござりんした」
吉原を出てから、表情が豊かなんだよなぁ。こんな大きな声も出して。彼女もまた、解放されたんだろうな。

 

 橘恭太郎
・恭太郎「このうつけ者が! 自害せよ! 女だてら医術に夢中になり、ようやくまともになったかと思えばこの様。今日という今日は許さん! 自らできぬというのなら……」
使者「橘殿! 何もそこまでせずとも……」
恭太郎「(行け、後は私がなんとかする)」
咲「(兄上……)」
恭太郎「お主の面など、二度と見とうはないわ!」
これ程の芝居をうってしまってはもう共に暮らすことはできなそうだが……完結編ではどうだっけ。
一応彼にも見せ所があったのは良いことだけれど、恭太郎に縁談が来たというオチも、田之助との件を考えれば考えにくい気がする。きちんとやったことに対する報いは受けるべきでは? そうでなければ恭太郎の決断が薄いものになってしまいそう。

 

 勝海舟(麟太郎)
・「あいつがなくなりゃあ、あいつの代わりになるやつが自ずと出てきて、あいつがやるはずだったことをやるもんさ。世の中ってのはそういうもんだと俺は思うんだよ」
ジェイルオルタナティブとバックノズルってやつだね。
・龍馬「のぅ先生。例えば、目の前で先生の子が死にかかっちょる。けんどその子を助ければ、代わりに先生の別の子が殺される。そんとき先生は、目の前の子を助けるかえ」
勝「俺はそんな下手はうたねぇよ」
龍馬「例えばじゃ」
勝「いっそ、誰かに決めてもらうかな」
龍馬「決めてもらう!?」
勝「銭を投げてもらって決めるとかな。どっちをとっても後悔が残んなら、運を天に任せるのも1つの手さ」
この考え方は非常によく分かる。当時も共感した記憶がある。あんまり出番多くないけど、好きだなぁ、勝先生。

 

 

 

龍馬「10年先、100年先を知ったところで、日は一日一日明けていくだけじゃ。一歩一歩、進むしかないがじゃ。儂も先生も、地を這う虫のように」
仁「また明日」
龍馬「おぅ、また明日じゃ」
そう言葉を交わして、満足そうに夕日を見つめる仁。"明日"のために、日々を精一杯生きるしかない。
時間改変ものとして見ると拍子抜けするオチかもしれないけど、人間ドラマとしてはこの上ない。人気出ただけのことはあるというか、流石だね。気になるところがなかったと言えば嘘になるが、記事から分かる通り、それを補ってあまりある出来だった。

 

JIN-仁- 第1期 まとめ感想:エグゼイドとの比較『面白いと楽しいの違い』 - やんまの目安箱