『ライドカメンズ The STAGE』……通称カメステがめちゃくちゃ面白かったので、ぜひともまだ知らない方に布教をしたい。
仮面が透けていて顔が見えるデザインにまだ抵抗感のある方も多いと思いますが、仮面ライダーにとっては毎年の通過儀礼みたいなもの。龍騎に電王、エグゼイド……発表当時は賛否が分かれるデザインも、見ていくうちに「動くとカッコいい」「ストーリーの面白さを知れば不思議とカッコよく見える」と気持ちが変わっていったことは誰しも経験があるはず。
ライドカメンズもまさにそのひとつです。
唯一無二の新たな"変身"
舞台版は素顔が見えるデザインを再現するために、スーツアクターさんではなく役者さん本人が変身後のアクションも担当するのですが、これは言ってみれば本郷猛役の藤岡弘、さんが仮面ライダーのアクションをやっていたことに対する原点回帰とも言えるでしょう。
もちろん専門のスーツアクターさんと交代することによって見られるアクションが素晴らしいのは前提ですが、変身前も変身後も同じ役者さんが演じることによって、誰もが一度は憧れた「本当に自分が変身して戦いたい」という夢が、ある意味舞台の上で叶うんです。
イメージとしてはテレビシリーズで起こる"マスク割れ"に近くて、普段はスーツアクターさんが着ているライダースーツを役者さんが着て演技をするというあのアツさ。その興奮を"目の前で"体験することができます。
目の前で繰り広げられる圧巻のアクション
「……本人が変身することでキャラクターの連続性が担保されるのは分かったけど、そうは言っても役者さんができるアクションには限界があるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
僕も見る前は正直ナメてましたが、YouTubeで公開されているゲネプロ映像を見てみてください。
youtu.be00:48のシーン、画面左側から仮面ライダーG3モチーフの青いキャラ(蒲生慈玄)が、見事なバク宙を決めているんですよ!
失敗が許されない緊張感のなか、こんな大胆なアクションをお客さんの前で披露してみせる役者さんのプロ意識に、現地で見た僕は本当に感動しました。
『舞台 仮面ライダー斬月』『風都探偵 The STAGE』に続いて、舞台化作品において3度目の演出を担当した脚本家の毛利亘宏さんも「我ながらこれまででいちばん演劇として「仮面ライダー」というものをお届けできる作品になったと思います。」とインタビューで仰っていたほど。
同じ高橋悠也脚本の『エグゼイド』と同じですよね、一見するととても仮面ライダーとは思えないデザイン"だからこそ"、ストーリーの上でも演出の上でも「仮面ライダーとは何か」を突き詰めて描く必要がある。
仮面ライダーが変身して戦うということに極めて真面目に向き合って作られたのが、この『ライドカメンズ The STAGE』なんです。
事前知識なしで楽しめるストーリー
本作はゲーム版の内容を知らない方でも大丈夫です。基本設定についても物語の中できちんと説明してくれますし、今回のストーリーは1号モチーフの魅上才悟を主役としながらも、"久遠瞬十"という舞台版オリジナルのキャラクターを巡るものになっているので、既存のプレイヤーにとっても初めて知る内容が多いものとなっています。
久遠瞬十役を演じるのは『仮面ライダーアウトサイダーズ』でエコル/仮面ライダーゼインを演じていた古谷大和さん。『風都探偵 The STAGE』でフィリップ/仮面ライダーWを演じていた魅上才悟役の木津つばささんと並んで、既に一度仮面ライダーに変身したことのあるこの2人の関係性に注目しながら見ていただければ。
ライドカメンズ本編は、ノベルゲームということもありこちらが積極的に色んな意味や感情や文脈を汲み取ることで完成する部分も結構大きく、その解釈ゲームが本当に楽しいんですけど、舞台版は動いて喋って戦ってくれるので、こちらが何もしなくても……つまりライドカメンズや元ネタの仮面ライダーを知らなくても、あちらの方から「面白い」が全力でぶつかってきます。
そういう意味において、カメステは「現状ライドカメンズ史上で一番面白いストーリーだった」と言っても過言ではなく、とりあえずこの一番分かりやすくおいしい部分だけでもいいから体感してほしい!
(※微ネタバレ 久遠瞬十、どことなく井上敏樹が書きそうなキャラだなという気がしてて、でも単によくあるキャラってだけかもしれない。終盤の木場とか、草加もそうかもしれないし、○○○とか○○○○っぽさもある。他の人だと光実とか倫太郎とかBLACK SUNの信彦的な味もする。続く↓)
他にも、モモタロスさながらの勢いと内に秘めた優しさを感じさせる荒鬼狂介、檀黎斗ばりの自己愛と狂気を見せる神威為士など、魅力的なキャラクターが数多く登場するので、きっと推しのライダーを見つけることができるはずです。マッドガイの変身体は『ガッチャード』に登場したクロトーレビスみたいなマスク型で、めちゃくちゃかっこいいです。

『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』などと並んで、今年はなくなってしまった冬映画の代わりにぜひ見て欲しい一作『ライドカメンズ The STAGE』。
東京公演は1/26(日)まで、大阪公演は1/30〜2/2までの日程で上演されます。自分は前日にいきなりチケットを取ったのですがとても見やすい席だったので、もし興味を持ってくださった方は、今からでも間に合うのでぜひ観劇しに行ってみてください。
舞台まで行くのは難しいという方も、ストーリーを読むだけなら無課金でも十分可能なので、この機に『ライドカメンズ』を始めてみてはいかがでしょうか。
『龍騎』『鎧武』『エグゼイド』『ゼロワン』『ギーツ』などの"多人数ライダー"がお好きな方なら、必ず楽しめるはずです。
※追記:4500円でライブ配信されることが決定したので、東京,大阪まで行けないという方はそれも選択肢のひとつです。