初見でも楽しめる!『映画ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』感想
映画「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」……通称"ヒプムビ"を見てきた!
自分はヒプマイ初見なんですけど、投票参加型の映画と聞いて、あと最近自分が『カメンズ』きっかけで興味を持ってる女性向けコンテンツのひとつとしても気になったので、上映館まではちょっと遠いけども見ることにした。
最近は映画館でも映画だけじゃなくてライブの中継を見たり色んなことができる時代だけど、キャラの背景とか知らなくても単にラップバトルを見て良かった方に投票するっていう新たな興行としてしっかり面白かったので、初見の方にもおすすめしたくて感想を書いてます。割引のきかない2500円とちょっとお高めですが、そのお金には還元できない価値が間違いなくありました。
この記事は「映画が初見な人の感想を読みたい方」はもちろんとして「自分と似た趣味でヒプムビ見ようか迷ってる方」に向けて書こうと思っているので、適宜 別作品の話も挟みますが、興味なければ読み飛ばしてください。
まだどうしようか迷ってた時に予告編と映画に合わせて公開されたキャラ紹介の楽曲MVだけは予習したんだけど、これを見てしっかり「見に行こう!」と決意できたので良かったな。
とりあえずこれだけ見ておけばなんとなくキャラのことも分かって楽しめると思います。もちろん気になったらもっと色々見るのが良いです。
- 各チーム第一印象
- Buster Bros!!! VS Bad Ass Temple
- MAD TRIGGER CREW VS どついたれ本舗
- Fling Posse VS 麻天狼
- Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW VS Fling Posse
- Fling Posse VS 言の葉党
各チーム第一印象
まず木村昴さんが出てるのはなんとなく知ってたけど、いわゆる主人公的なポジションだとは思ってなかったので驚いたな。普段触れてる東海オンエアやライダーでもラップ披露してたので、それもあってヒプマイ全体に親近感を持てた。
Buster Bros!!!は肉体派な二郎と頭脳派な三郎の対照的な2人と、その喧嘩をなだめるバランサーの一郎……って配置になってるのも、『カメンズ』のマッドガイが似たようなチームなのでスッと入ってきたし、それこそ天﨑滉平さんはランス/Qとしても出てるし。
※以降、特に断りなく別作品の話をしたときは全て『カメンズ』の話です。
元々3Dでぬるぬる動いてラップしてる予告編を見た時点から楽しそうだなとは思ってたんだけど、その気持ちを最大限にブーストしてくれたのが入間銃兎さんで、あの独特なテンションで繰り出される「まぁまぁ立場ってもんがわか〜ればヨロシイ!」に完全に心を奪われました。
警察でメガネですらっとしたスーツ着てるのに、いい感じに軽薄で飄々としたあの態度がたまらない。
(声優の駒田航さんは今回初めて知った方だとばかり思ってたんだけど、調べてみたらまさにこないだ放送開始した『ゴジュウジャー』のバトルボイスを担当してたらしい、言われてみれば!)
碧棺左馬刻の浅沼さんは言わずもがな色んなところでよく聞く声だし、毒島メイソン理鶯は作品の中でもトップレベルの重低音が聞いてて心地よい。恐らく自分が人生で初めてラップって文化に触れたのは幼少の頃に聞いたGReeeeNなので、SOHさんと似たような声の出し方なのが体に馴染む。
Fling Posseは正直に言うと見る前はあんまり注目してなかったチームだったんだよね(見たらかなり覆ったんだけど)。乱数くんのイメージはさっき言った天﨑滉平さんのランス/Qってキャラの設定にかなり影響を及ぼしてそうだなと思ったり、斉藤壮馬さんの夢野幻太郎はかわいい寄りな弟キャラの雨竜くんとは違ってチームをまとめるお兄さんポジなのが意外だったのと、ギャンブラーの帝統くんがこのチームに入ってるのも面白かった。一人だけ応援じゃなくて金返せって言われてるの笑っちゃったし、予告でも見れた「にゃ〜!」もかわいかった。
これだけ似てたら『カメンズ』がヒプマイを参考にしてる可能性はかなり高いと思うんだけど、MAD TRIGGER CREWはポジションとしてはマッドガイみたいだけど権力者サイドが集まってる感じはウィズダムシンクスっぽかったり、Fling Posseの今が楽しければそれでいいみたいな要素がスラムデイズとギャンビッツインの2チームに分割されてたりと、色んな要素がシャッフルされてるので見比べるのが本当に楽しい。
麻天狼はなんと言っても速水奨さん! 2019年の『ゼロワン』ではラスボスなんだけど結構キャラ性は薄くて倒されるだけのサンドバッグみたいな扱いで若干食い足りない気持ちを味わっていたので、「医者」「強者」「年長者」のおいしい要素が三拍子揃ってる寂雷はかなり気になったキャラの一人。
一二三くんは女性向けコンテンツなのに女性恐怖症っていう一筋縄じゃいかない設定に興味を惹かれたし、独歩くんは逆にすごく分かりやすく応援してあげたくなるタイプのかわいい奴で良い。ネガティブ男子を愛でる文化って自分が知ってるとこだと『おそ松さん』の一松とか『絶望男子と中国娘』とか、最近だと『鬼滅』の善逸とか、ネガティブな訳ではないけど『ハイキュー』の研磨とか……色んなタイプがあるけど、その中で見ても独歩くんは「やるときはやってくれる感」が強くてかっこよさも併せ持ってるのが魅力的だなぁ。
Bad Ass Templeは一番音楽そのものに惹かれたチームで、十四くんはラップというよりはしっかりメロディのある歌い方をしてたのが印象に残ったし、何より(ハイキューの日向みたいな)普段の幼い声からは想像もつかないギャップのある声色への変化がすごい。
空却と獄はまさにラップって感じのノリよく色んな言葉を流し込んでくる舌の回転が凄まじくて、あと弁護士って設定も好みなので期待してたチームのひとつ。
大阪組はもうとにかく白膠木簓くんですね。銃兎もそうだけどこういう信用できなそうなうさんくさ〜いキャラがストライクで、さっきの2人とはまた別な意味でよく回る舌と『BLEACH』の市丸ギンみたいな糸目、こんなのもうそりゃ好きですよ。
天谷奴の黒田崇矢さんは『ヘボット!』で色んな役を兼任してたので好きな声優さんの一人。速水奨さんと並んでイケオジ枠として重みのある声がとても良い。
盧笙さんは簓と漫才コンビ組んでたけど解散しちゃったって話を読んでいいなぁ〜と思った。漫才はやめてもまた違う形で縁が続いてるのって素敵だなと。
中央区のことだけは「女性向けのイケメンがたくさん出るコンテンツで珍しく出た女性キャラ」としてふんわりと知ってて、僕は女性キャラそのものを愛でたいとはあんまり思わないけど特に『カメンズ』においてはレギュラーの女性キャラがほぼいないも同然なので、メインとなる男性キャラたちが女性を相手にどういう顔を見せてどういう人間関係を築くのかを見てみたいな〜って意味で少数なら出てきて場をかき乱してくれた方が面白いかなと思ってたので、似たようなことをやってる前例として結構注目してた存在ではあった。
投票する映画ってのもそうだけど、『カメンズ』でもやってほしいことを先んじてやってるコンテンツとして気になったというのも半分くらいあるので、ジャンルの先駆者として映画だけでも楽しませてもらいます。
ここから映画のネタバレあり。
Buster Bros!!! VS Bad Ass Temple
これは全チーム共通だけど、登場シーンが死ぬほどかっこいい!
ラップバトルが始まってからはずっと閉鎖的なドームの中で話が進むであろうことは公式の宣伝動画で十分想像ついてたけど、まさかこんなに派手に動きのあるシーンがあるとは思ってなかったので、掴みとしては十分すぎるほどに世界に引き込まれた。
1st Stageの組み合わせはみんなリーダー同士が浅からぬ因縁を持ってるチームになってたのは映画で初めて知ったんだけど、その実情を全く知らないからこそ自分の好きなように妄想して楽しめるのが初見ならではの楽しみ方だよね。
投票映画として興味深かったのは、好きなチームを応援すればいいというのは大前提だけども、日本初の試みってことで自分みたいにヒプマイそのものはそんなに知らないけど物珍しさで見に来る人も一定数はいるはずで、そういう人にとってはどっちを応援していいのか分からなくなってしまうことが有り得る。
そこへのフォローなのか、先攻と後攻ってシステムがあることによってBad Ass TempleのセリフにBuster Bros!!!が反論するって流れなので、自然と主役サイドのBuster Bros!!!がやや優勢に見えるようになってるんだよね。一回の視聴でセリフまで覚えるのは無理だけど、十四が「俺のラップを聞けば月まで昇天するぞ」みたいなこと言ったのに対して二郎が「お前は月並みってことだな?」って煽り返してたのはハッキリ記憶に残ってる。
Buster Bros!!!は公式のおすすめチームでもあるんだろうから、優勢に見えたから素直にそっちを応援するもよし、逆に言い返されちゃったBad Ass Templeを応援するもよしで、敢えて平等じゃなくて優劣をつけることで初見の人がどっちかの肩を持つためのフックとして機能してるのが考えられてるなぁと。
自分は予習ではBad Ass Templeの方に注目してたけど、この最初の会話シーンで「Buster Bros!!!もいいな……」って心が揺らいだもん。
ヒプノシススピーカーが登場するシーンもすごく凝ってて、普段アニメとか特撮を見てる民としては変身シーンとか個性豊かな特殊能力とかは大好物なので、全員分楽しませてもらった。
ド派手な演出を見て欲が出ちゃって、できれば衣装も変わって欲しかったな〜とも思ったけど、初見勢としては服が変わっちゃうと誰が誰だか分からなくなっちゃう可能性もあったので、今思うとこれで良いと思う。
この回は結局事前に抱いた好感度の通りBad Ass Templeに投票したんだけど、惜しくも敵わずBuster Bros!!!の勝利に。
インタラクティブ映画ってことで、当然自分の投票した選択が結果に反映されないこともある訳だけれど、そこもこの映画の面白かったところで、自分が好きになったキャラが負けという現実に対してどう反応して受け入れていくのか、仲間や敵と健闘を讃え合うのかって部分がしっかりと力を入れて描かれていて、むしろ勝ったチームよりも負けたチームのリアクションの方が面白いんじゃないかってくらいで、好きだからこそ負けパターンも見たいっていう気持ちになるので、勝敗が思い通りにならなくてもほとんど嫌な気持ちにはならなかったんだよね。
特に空却は僧侶って設定だったので、チーム内で誰よりも早く負けを認めた上でそれでもカラッと笑ってる様は、一見そうは見えないけどちゃんと悟ってるような要素が見られて、映画見る前よりも一段と魅力的に感じられたな。
勝った一郎も「次戦ったらどうなるか分からない」ってややメタな発言で相手の実力を認めてくれてたし、何より「自分の好きになったキャラ本人が負けを認めてるんだから」っていう気持ちに、昨日今日初めて彼らを知った自分でさえもなってしまったのが、他ではなかなか味わえない視聴体験だった。
MAD TRIGGER CREW VS どついたれ本舗
2戦目は自分のポジションがまず面白くて、すぐ隣って訳ではなかったけど左右の席にそれぞれ青とオレンジのライト振ってる人がいて挟まれてたので、1戦目とはまた違った気持ちで「どっちが勝つんだ……?」ってドキドキできた。
自分自身が勝敗に一喜一憂するのはもちろんだけど、自分がどついたれ本舗に投票したらこっちの人が、逆にMAD TRIGGER CREWに投票したらあっちの人が悲しい思いをするかもしれないんだなと思ったら、真剣に真剣に考えて投票しないとなと襟を正さざるを得なかった。
こないだ『カメステ』行ったときはペンライトの色を自由に変えられるので、曲の1番ではこのキャラの色、2番ではあのキャラの色……みたいな感じで「どっちも好きだからどっちも応援する」っていう態度を取れたんだけど、今回はそうもいかないので…………。
見る前の気持ちとしては、入間銃兎も白膠木簓もどっちも気になったけど、なんだかんだ長く見ていたいのは簓の方かな〜と思って、もちろんラップの良さで変わりうるとしても、どついたれ本舗に投票する可能性が高そうな気がしてたんだけど、このバトルにも用意されてる2人の因縁を見たら気持ちが変わったのよね。
左馬刻と簓にも一緒のチームで活動してたって過去があって、どうやら簓はその過去をそんなに引きずってないけど左馬刻は結構根に持ってるみたいな描かれ方がしてたので、銃兎に注目してたら想像してなかったところから重めのパンチを食らった気分だった。
ここからはさっきも言ったように初見の立場から勝手に自分好みに妄想した話ですけど、バトルシーン先行公開の動画でも見返せるように「地獄へ共にいける仲間と!」「天下取りいける仲間と!」って対比がされてたので、それってつまり2人が何らかの挫折を味わったときに、簓は天下を取るために左馬刻を"捨てた"ってことですよね!?(盧笙とは今でも仲良くやってるのに!?) 軽くて信用ならないやつなんだろうとは思ってたけどそんなエグいことしてたなんて思わなかった。過去話なんて重ければ重いほどいいに決まってますからね、その話見たい……!(※)
キャラ紹介ラップで銃兎は「隠蔽工作も楽じゃないし」って言ってたから、仮に左馬刻のやってるヤバいことがバレたら銃兎の立場も危うくなるってことで、つまりそれって同じ軽薄そうなキャラでも簓とは違って銃兎は左馬刻を見捨てたりせずに一緒に地獄へ落ちる覚悟があるってことだろうし、左馬刻が「お前が踏みにじった友情を、今の仲間が思い出させてくれたんだ!」って叫んでたのを聞いて、心が完全にMAD TRIGGER CREWに傾いてしまった。
好み的には過去を気にしないキャラと引きずってるキャラとだったら断然後者なので、事前の印象では簓派だったけど、であればこそ今この瞬間の左馬刻へのときめきに正直になるのがむしろ簓に対する誠実さなんじゃないかと思って、悩んだ末にMAD TRIGGER CREWに投票しました。
※後で調べてみたらそういう話ではなさそうでしたが
結果はMAD TRIGGER CREWの勝利。
今回はそこまで読み取れなかったけど、きっと簓の方にも軽いだけじゃない芯の通った部分があるんだろうし(『メジャー』の吾郎と寿くんみたいなものと捉えてもいいし、例えば盧笙みたいに左馬刻は自分以外とならもっとポテンシャルを出せると思ったから……とかかも)、そもそも最初は簓派だった訳なので、今度は自分の選択と合致した結果にはなったもののやはり複雑な気持ちではあって、ただ与えられたストーリーを見るだけじゃここまで気持ちは動かされなかっただろうなぁと改めてこの試みの醍醐味を味わえた。
でも最後に左馬刻の方から簓に歩み寄って和解できたみたいなので本当によかった。
Fling Posse VS 麻天狼
3戦目は、乱数・寂雷ともに相手のことが嫌いな同士の対決。でも口では嫌いだと言いつつも実は人一倍相手のことを気にかけてるというのが肝で、こちらも想像してなかった関係性だったので驚いた。
これは全編通してだけど、見る前はラップバトルってやたらと相手をdisるっていう、お世辞にも良いとは言えないイメージを持っていたのが、確かに口では悪く言うけど、その根底にはお互いを認め合うリスペクトの心がしっかりあって、戦った後には握手するようなむしろ平和を志向した文化なんだなって思えてよかった。
寂雷さんが思ってたより数倍は物腰柔らかで、声の力強さほどには自分に絶対の自信を持ってる訳じゃなくて、バトルを前に心が乱れるような人間らしい弱さも持ってるのが見られたり、明らかに不公平な賭けを提案する帝統のちゃっかりしたところとか、それを承知の上で「自分たちは負けない!」って応じる独歩くんの強さとか、この回もキャラクターの一面的じゃないところを知れた。
ラップでも2人の因縁が断片的に語られてて、寂雷は救えたはずの誰かを乱数の刹那的な生き方のせいで救えなかったことを悔やんでて、乱数の方は寂雷の上から目線であれもこれも自分が思う「あるべきかたち」を押し付けてくる姿勢に反発しているっていうのを知って、この対決カードはさっきの第一印象でも語った通り自分の中では圧倒的に麻天狼が優勢だったんだけど、一気にFling Posseの好感度が追いついてきた。
たぶんチーム内では幻太郎が小説家として色んなことを思い通りにしようとするタイプ、帝統は常に運任せだから物事の手綱を握ってないタイプで、乱数がその間で揺れてるようなキャラなのかな? まぁチームのカラー的に、幻太郎も根っこのとこは自由を求めるタイプではあるんだろうけど。
単純にかっこいいからって理由で寂雷率いる麻天狼を応援してたけど、背景にある支配と自由って対立を知ったらどちらも捨てがたくて……ここまでの3戦の中で一番どっちに投票するか迷った。
でもラップバトルを見た感情としては本当に拮抗してたから、最終的には第一印象を優先して麻天狼に投票、結果としてはこれまた僅差でFling Posseの勝利でした。
"推し"って言葉そんな今知ったばかりのキャラに言うもんではないけど、他の表現が見つからないので投票した対象のことを一旦推しと言いますね?
1戦目は推しの負け様に感動して、2戦目は推しの勝ちに心躍った訳だけど、この3戦目はガチで甲乙つけ難かったので、推しじゃない方が勝ったことに喜ぶというまた違った感情が味わえて、この辺まで来たらここからどうなろうとこの映画の感想は「最高だった」以外ありえないところまでいってた。一本の映画でこんなに多種多様で複雑な気持ちを味わえたことないもん。
終わったあとに寂雷が「君とはまだまだ話し合いが必要なようですね」って言ってたのも大好きで、嫌いだから関わらないとかじゃなくて、例え分かりあえなくてもあなたとはこれからもずっと付き合っていきますよと表明したってことだよね? そういうの好きなんですよね……本当に。
Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW VS Fling Posse
初めて触れるコンテンツだし楽しかったのでポジティブじゃないことは基本的に言わないつもりだったんだけど、順番に話してるので何も言わない訳にはいかなくて……1st Stageの面白さに比べると2nd Stageは印象が薄く感じてしまった。
やっぱり2つのチーム同士のバチバチとした関係性と会話のやり取りが面白かったので、制作の都合上 仕方ないんだけど、個別にMVが流れるだけの時間は(普通に楽しかったけども)感想として何か書くことがあったかというとあんまり覚えてないというのが正直なところ。
一郎も「難しいことはいいからただ音楽を楽しんでくれればそれでいい」って言ってたので別にこれでいいはずなんだけど、感想を書くってこういうとき難しいよなぁ……何も言語化できないと面白くなかったとか退屈だったみたいに見えてしまう。
その中でも、1st Stageでは多分なかった銃兎の高めな声と理鶯の低めな声でデュエットする部分はよかったな。「援護求むこの列島ごと、手と手を繋ぐは絵空事?」のとこ。
あと『バラの束』は自分が今まで触れてきた中でかなり「ラップ曲といえばこういうの!」って感じがして聞いてて楽しかったかな。『エウレカセブン』のOP2(※)とか、『メタルファイトベイブレード』のED1みたいな、ちょっとダウナーでアンニュイな感じ……エウレカはともかくメタベイは誰に伝わる話なんだこれ。
※Bad Ass Templeの『シンジルチカラ』は、まさにエウレカのHOME MADE 家族さんだったらしい。これも今回の曲の中だとかなり好きな方。
そもそもこの映画でのラップバトルって誰が政治的実権を握るかっていう戦いで、歌詞がマニフェストみたいな「俺たちが勝ったらこんな世界にしてやる」って内容になってたから、唯一自分が投票して勝ち進んだチームであり一番ついていきたいと思ったMAD TRIGGER CREWに投票したものの、勝者はFling Posseに。
事前の注目度は一番高くなかったので、自分の中では完全にダークホースが勝ち上がったみたいな感覚だったな。
Fling Posse VS 言の葉党
左馬刻みたいに、他のチームには他のチームなりの因縁がきっとあるんだろうけど、中王区のボスが帝統のお母さんって知ったときは「Fling Posseが勝ち上がってきたのは運命なんだな」と感じた。まぁ他の観客の皆さんはそういう因縁をちゃんと知った上で投票してたんだろうから考えてみたらそりゃそうなんだけど、でも別に毎上映彼らが勝ってるわけではないので、少なくとも自分が見た回にたまたまFling Posseが勝ち上がったのは、運命としかいいようがない。関係ないけど、色としては黄色が一番好きだったりするし。
ラストバトルで印象的だったのは、やっぱり敵の中王区。基本的にどんな作品でも、とても悪い敵を排除してめでたしめでたしみたいな終わり方は好かないことが多くて、その点彼女たちは「もう犠牲はこの身ひとつだけ!」って何度も叫んでて、単なる悪じゃなくてきちんと信じる正義みたいなものを感じることができたのがとても嬉しかった。実際はかなり悪どいこともしてきたらしいけど、だとしてもこの気持ちは共存できるはず。
彼女らに立ち向かうのが麻天狼を倒したFling Posseなのも激アツで、寂雷から咎められてたみたいに多分乱数はなにかしらの過ちを犯したこともあるんだろうけど、だからこそ間違いを根絶するようなディストピアじゃなくて、失敗することも悪いことをしてしまうこともあるかもしれないけど、それらも全部含めた人間が自由に生きるということを肯定して、本当に開かれた世界に向かうことができるんだろうなと。
普通に考えて他のルートでも似たような結末になるんだろうけど、僕にとってのヒプムビはこの一回きりの体験のつもりで見ていたので、最後に乱数が「おねーさんたちも!」って手を差し伸べてくれたのはFling Posseが優勝してくれたからこそのことなんだなと感じたし、映画を見たことで間違いなく彼らのことも、彼女らのことも好きになれた。
やっぱり世界観設定の根幹が「戦争を繰り返してきた愚かな男を排除して女性が世界を支配した」ってもので、かつ今までのバトルでも相手への最低限のリスペクトは欠かさずに認めあってきたからには、中王区の人たちとも和解しないと本当のハッピーエンドにはなれないはずだよね。
もちろん(中王区も含めて)多様性を認めるってことは、他のチームが優勝した場合はまた違った……つまり中王区の人たちを許せないって選択が肯定される余地もあっていいはずだし、むしろその可能性を想定してこそ、この大団円をより尊いものとして感受できる。
見る前は「中王区の人たちが負けを認めずにちゃぶ台返しして、最終的には18人全員で立ち向かう展開が待ってるんだろうな(だから投票したチームが負けちゃっても後で見せ場はあるだろうから我慢しよう)」なんてありきたりな最後を予想してもいたんだけど、潔く負けを認めてくれたことで中王区の人たちへの好感度も上がったし、どうせ最後にみんなで歌うならこのかたちが一番綺麗だなと完全に納得した。
ここまでたくさん心を動かされてきた積み重ねがあった上で、エンディングテーマの「誰もが声を奪わない」「誰かのため韻踏みたい」のところで堰が切れたように泣きました。
20代も後半に入って、涙もろくなって物語を見て泣くってこともそう珍しくはなくなってきたけど、ちょうどEDのタイミングに感情の最高到達点が重なることはなかなかないので、話の続きも追わなきゃみたいな雑念なしに気持ちよく泣けた。
たぶん合計で3回くらいそのフレーズは流れたと思うんだけど、その全てで激しく涙が出てきてずっと止まらなかった。
「インタラクティブ映画? 面白そうじゃん」なんてミーハーな気持ちで見に来たけど、他の何でもない『映画 ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』という作品が本当に好きになりました。
とはいえ、ここまで読んでくれた未見の方には、やはり本作の特徴であるインタラクティブ性はもう一度強調しておきます。ここに書いてあったのとは違う、あなただけの一期一会の体験に出会えるはずなので。