第7章 執念の阿形松之助
カメンズの年齢差
・五期生のなかで、なぜ阿形が最年長なのか……。というよりはむしろ、なぜほとんどが18歳なのかの方が気になるよね。
まぁなんとなく、『エヴァ』において14歳の子供がパイロットに適しているように、あるいは『Sh15uya』において15歳だけが集められているように、ライドカメンズという作品において18歳というのがなんらかの特別な意味を持ってて、その近辺が最もライダーへの変身に適しているのかなという気はするよね。
偶然かもしれないけど、マッドガイのメンバーは荒鬼(18歳)→神威(20歳)→阿形(24歳)と、年齢の若い順に変身していることになるし。
更に不思議なのが、今回阿形は五期生の中で最年長って話をしてるけど、逆算していくと「カオスイズムに攫われた年齢」で言うなら一期生まで全て含めても阿形が22歳で最年長なんだよね。次点が20歳のルーイ。
一期生(10年前)
29歳(19-21歳) 宗雲
28歳(18-20歳) 戴天
二期生(8年前)
28歳(20-22歳) ルーイ
27歳(19-21歳) 静流
25歳(17-19歳) 皇紀
三期生(6年前)
??歳(??-??歳) フラリオ
四期生(4年前)
23歳(19-21歳) 颯
20歳(16-18歳) ランス天堂/Q
五期生(2年前)
24歳(22-24歳) 阿形
20歳(18-20歳) 神威
18歳(16-18歳) 才悟,陽真,紫苑,慈玄,荒鬼
17歳(15-17歳) 雨竜
バベル組
30歳(25歳) 浄(5年前)
22歳(21歳) 駆(1年前)
ただし"ライダーに変身した年齢"で見ると、カオスアカデミー組は2年後の卒業試験で初変身することを考慮しても、25歳でバベルプロジェクトに参加した浄が最年長になる。……まぁここは個人的には眉唾ものだなぁとは思ってるんだけど。
浄はメイン第1部で「カオストーンの研究をしてた」って証言してるので、もしそれが嘘じゃないのだとしたら、現時点(2024/10/30)で描かれてる「結婚詐欺師としての過去」「バベルプロジェクトへの参加」以外にもまだ複雑な経緯があるはずで、もしかするとアカデミー発足以前に誠実な男,薄情な男に続くライダーを生み出す実験に参加してたみたいな可能性も全然あると思う。
だってカオスアカデミーですら18歳近辺の子供じゃないとライダーに仕立て上げるのは難しいのかな?ってのがどうやら窺えるのに、その技術を模倣してる立場である高塔エンタープライズが阿形より歳上な25歳の浄で成功しているというのは、ちょっと出来すぎな気がする。
だから、元々既に18歳近辺でカオスイズムの実験によって変身に必要な素質は全て揃えてた浄(12年ほど前の、いわば0期生)が、高塔の実験台として名乗り出てあたかも初の成功例かのように振る舞って、その後のデータ収集なりなんなりの過程で高塔の技術を本当にライダーを生み出せる段階まで引き上げた……みたいな流れを想像してる。エボルトモチーフの浄が一期生よりも年上として設定されてることに、裏がないはずないんだもん。
そう考えるなら、LOQに猫、SIZにオオカミのモチーフが追加されるみたいなライドカメンズに固有の改変こそある中で、カメンズの中で浄だけが唯一ブラッドスターク(コブラ)とナイトローグ(コウモリ)と明確に2種類の元ネタ要素を持ってるのも、もしかするとカオスイズムと高塔エンタープライズで合計2回ライダーへの適合手術を受けてるから……みたいな理由があったりするのかもしれない?
もちろんメタ的には、同じくコブラモチーフの王蛇を元ネタに持つ皇紀と被っちゃうから……みたいな配慮もあるんだろうけど、スラムデイズと違ってウィズダムシンクスには動物モチーフを入れなきゃいけないみたいな縛りはない(宗雲は仮にメロンの要素がちゃんと入ってると見ても、モチーフとなる"動物"は特にない)ので、単純に赤と緑を基調にしたメカメカしいライダーでも良かったはずなので。
そもそも、ジャスティスライドにはクウガモチーフの陽真と同じくクウガモチーフのG3を元にした慈玄とが共存してたり、タワーエンブレムは(宗雲まで含めて)緑統一だったり、マッドガイに至っては3人とも鬼モチーフで一貫していたりして、そこまでモチーフ被りについて厳しい作品ではないはずだし。況してやギャンビッツインなんてねぇ……?
みたいなところまで考えると、ちゃんとした意味で初めて仮面ライダーに変身した時点での年齢が一番高いのはやっぱり阿形さんてことになるのかなと思うんだけど、結局それがなんでなのかはまだ自分の中で全然答えらしきものは出てないんだよね……。
変身を大人への成熟の比喩として見るなら、18歳を超えて既に大人になってる人の方がむしろライダーになれる確率は高そうだし、アイデンティティが確立されるのがだいたい18歳頃までだから既に自我が成熟しきった大人は"変身"しにくいのだと考えても、ライダーになれるのは「カオスを完成させてある一定の記憶を失ってもなお、人間のかたちを保っていられた者」なんだから、むしろ自我は強固であればあるほど有利な気がするんだよね。
なんで18歳が変身しやすいのかって理由も含めて、思い当たる仮説がある人はぜひ教えてください。
ヒューマンロンダリング(SLANG)
・僕はてっきり、世間にバラまかれたカオストーンに魅入られた人間の中で、たまたま怪人にならなかった人材を拉致してアカデミーに入れてるもんだと思ってたけど、どうやら入学後にカオストーンで記憶を奪われる工程もあるらしい。
僕だけじゃないと思うんだけど、高橋悠也脚本に慣れてる人なら、これ系の問題は「どっちが正しいんだ……?」って考えるよりも「たぶんどっちも正しいんだろうな」と捉えた方が真実に近づけそうだなってなるはず。
カオストーンに記憶を奪われても怪人にならなかった素質のある人間を攫って、そこから更に残った記憶を全て奪い、一ノ顔市で育ったという偽の記憶を植え付けるという流れなんだろう。
本来は何らかの鬱屈した強い願望がないとカオストーンに魅入られることはないはずだけど、あのカプセルを使うことで強制的に記憶や感情をカオスに写し取ることができる……と考えるのが自然。
阿形はそれを「ヒューマンロンダリング」というスラング(TXT Vol.1 SLANG)で表現してたけど、一応この作品以前にも使用例はわずかながらある言葉らしい。
そちらではどうやら、Aさんのものに偽装したBさんの死体を用意して、Aさんはまた別の誰かの戸籍を利用してCさんと偽って生きる……みたいな意味合いで使われてるようで、今回の阿形が使った用法はどちらかと言えば、単に「ブレインウォッシング(洗脳)」と呼ばれているのに近い意味なように思う。
こういう細かい言葉の使い方には何か意味が込められていてもおかしくないので、一見「洗脳」の意味で使っているように見えるけど実は「ヒューマンロンダリング」という表現が持つ独特のニュアンスを含んでいるのだと仮定したら、僕らが今抱いている「カオスイズムって記憶を改竄したとは言うけど、意外と名前までは変えてなかったりして良心的じゃん」という印象は180°裏切られるのかもしれない。
例えば3章で薫さんが紫苑を息子だと勘違いしてたけど、実は本当に紫苑は薫さんの息子なのに、深水紫苑という別人の(もしくは全く架空の)戸籍を与えられているとか。まぁもうおばあちゃんな薫さんの息子が18歳な訳がないので、体も改造されて若返ってるみたいなロジックを別で追加しないとこれは成立しないけど、イメージとしてそんな感じ。
この7章の中で「ボールを投げる感覚を体が覚えているので、この記憶は自分のものに違いない」と確信する描写もありはするんだけど、フィクションだからそこまで含めて何でもアリにはできるからなぁ……。
これはまだ仮説ですらない完全な妄想なんだけど、カオストーンが流星群のように降ってくるカットだけを根拠に、宇宙人が作品の根幹設定に関わってくる可能性は結構あるんじゃないかとぼんやり思ってて、まぁつまり『Dr.STONE』みたいな展開だよね。
アカデミーに拉致された人々が、『カブト』のワームみたいに人間の姿形を模倣して擬態する宇宙人に無自覚に入れ替えられて社会に戻されてるとするなら、身体感覚も記憶として持っていてもそこまでおかしくはない。
尤もこの珍説を採用するためには、せっかく"ロンダリング"の方にニュアンスを寄せたのに、今度は"ヒューマン"ですらなくなっちゃったじゃんという大きな問題があるので、現状ただの戯言です。
疑惑の藍上レオン
・ところで僕、リリース初期から未だにレオンのことをカオスイズムのスパイだとしか思えないんだよね……。
存在感を消せるって能力がスパイに持ってこいすぎるのは当然として、だとしたら「名付けの理由までそうだとしたら親の神経を疑いますね」って話もカオスイズムがつけたコードネームって考えたら筋通っちゃうし。
自分が最初に違和感を覚えたのは1章 第6話。幹部であるピアスと鉢合わせるんだけど、なぜか頑なに仮面越しの会話が続いていて、これはレオンの素顔が見えてしまったらピアスが「お前は確か……」ってなっちゃうから、あぁいう流れになってるようにしか思えなくて。
こっそりライダーたちの素行調査を行ってたのも怖いけど、それより何より今回の行動は今までの比じゃないくらい怪しい。
だってもしレオンがノアに対してマッドガイへのお遣いを頼んでなかったら、阿形がマイタスと出会って自分の記憶を宿した第二世代カオストーンを手にする流れにはなってなかったはずなのよ。ノアが持ってるライダーフォンを通して、マイタスは阿形を呼び寄せた訳なので。
もしノアが行かなくても、既にライダーフォンを持ってる荒鬼や神威が気付いて現場に向かったかもしれないし、Siruはネット上の書き込みや街中にある監視カメラの映像を解析することでカオストーンの場所を推測するAIなので、恐らくマイタスが"仮面ライダーの過去"についての情報をネット上に流したんだろうけど、根本的な問題として、マイタスはなぜ「荒鬼や神威が最近ライダーフォンを手に入れたこと」「ライダーフォンに搭載されているSiruは、ネット上の情報を元に通知を送ること」の二点を知っていたんだろう……?
もうひとつ、まさかライダー全員分のカオストーンを持ってきたわけじゃあるまいに、マイタスは標的としているマッドガイの3人以外の、例えばジャスティスライドのライダーが埠頭にもし来ちゃったら、どうするつもりだったんだろうね。もちろん教育地区から工業地区までは、中央地区を挟んでいてそこまで近くはない……少なくとも隣町とかではないので、十中八九工業地区を拠点にしているマッドガイの誰かが来る可能性は高いけど、だったらライダーフォンを介するよりも、他の幹部がやってるように自分の部下を利用して荒鬼と阿形がバイトしてる市場に噂を流すとか張り紙を貼るとかの方が、余計な面倒を起こさずに済みそうではある。
まず考えなければいけないのは、ライダーフォンがカオスイズムにハッキングされてて情報が常に筒抜けになっている可能性だけど、これはあんまりなさそうかなと思う。
先輩ライダーたちは既に先代からライダーフォンを受け取ってて、しかもそのメンツの中にはカオスイズムと繋がっていてもおかしくないランス天堂/Qがいるので、ライダーフォンのシステムがカオスイズムに知られている可能性はゼロじゃない。
でも、4章の冒頭でQは初めてSiruについて知っているので、四期生の時代にはまだレオンは開発を終えてなくて、彼らのライダーフォンにはその機能がインストールされていないということになる。
先代エージェントとはライダーフォンでお互いに連絡を取っていたはずだけど、彼がなくなった後、当代エージェントのノアはまだ彼らと出会ってないので、改めて信頼関係を築いて連絡先の交換をするまでは彼らとコスモス財閥との繋がりは一旦白紙に戻っているらしいことを思うと、アップデートの告知みたいなのも多分送られていないのだと思われる。
それに、あの高塔戴天がエージェントのことを信頼している以上、最低限以上のシステム的なセキュリティは確保されていると見てよさそうだし。
……となると、やっぱりもうひとつの可能性である「レオンがカオスイズムと通じている」がかなり濃厚になってくる。
Q個人のライダーフォンから、最近荒鬼と神威がノアと連絡を取るようになったことまで探れるともあまり思えないし、彼らがエージェントと繋がったことをほぼリアルタイムに把握できているとなれば、一番近くでそれを見ているレオンが最も怪しく見える。
AIであるSiruからの情報だと偽って、レオンが荒鬼と神威、そして阿形の元に向かったノアのライダーフォンにだけマイタスからの誘いを送ったなら、全ての辻褄があってしまう。
レオンが七国大学のOBであることは13章で明かされるけど、それ以降"七国"の名を持つ教育機関は物語中に3回出てきて、なんと3回ともロクでもない部分が描かれた曰く付きの場所。「ジャストアピースフルデイ」と「ラストノートは記憶の香り」では七国高校の教師と七国大学の准教授がカオスイズム幹部のピアスと繋がっていて、「Back to Haunt you」では七国大学に在学中だった生徒が事故に近い形で人を殺してしまったのに、政治家だった親がその事実を隠蔽して完全になかったことにされてしまった事件が描かれている。
七国大学が特別そうとかじゃなくって、単純にカオスイズムが虹顔市内のあらゆる場所に根を張っている恐ろしい組織だってだけかもしれないけど(それこそ高塔エンタープライズ内部にもいるくらいだし)、少なくともカオスイズムと繋がっていることが明確に描かれている大学にレオンは通っていたことになっているということが明言されている。
高校に関しては日本の市町村の総数が1718,全日制高校の数が4702なので、常識的に考えてそこまで過疎ってる訳ではない虹顔市内にたったひとつしか高校がないなんてことは考えにくいけど、教育地区の地図をざっと見る限りそんな何個も何個も学校があるようには見えなくて、当たり前の話として小学校中学校の数は高校よりも多いはずだから、大学が存在できるスペースなんてもはやそんなに残っていないように感じる。
仮に七国大学しかないとすると、そこの出身だから怪しいなんて言い出したら生まれてからずっと虹顔市内で暮らしてる大卒以上の人間はみんな怪しいことになってしまって、傍証のひとつとして数えることすら暴論っちゃ暴論なんだけど、もしかしたら虹顔市のモデルのひとつかもしれないと先日話した横浜市は市内にいくつかの大学施設があるみたいだから、そういう可能性も一応ある。
小学校や、他のエピソードに出てくる高校はいちいち学校名を特定したりしてないので、そういう手法を取ることも不可能ではないにも関わらず、七国大学の出身であると明言されてることには、何らかの意図があってもおかしくない。
そんな感じでずっと疑いの眼差しを向けてたので、5章のラストでの「ノア様はきっと素晴らしいエージェントになりますよ」「素晴らしいってつまりどういうこと?」「より多くのライダーと、ライダーフォンで繋がることです。連絡先の交換は信頼の証でもありますからね」ってやりとりもすげぇ思わせぶりに感じた。
これもう完全に、人のいいソウゴがレジェンドライダーと交流してライドウォッチを集めていくことが敵の計画に利用されてた『ジオウ』パターンじゃんと思って。
ノアがライダーたちから信頼を得て重要な秘密を共有してもらえばもらうほど、彼らの情報はカオスイズムに横流しされてしまう……その危うさを特に感じるのが第2部だったりする訳なんですが。
……なんでウォズモチーフのライダーは既にいるのにレオンまでウォズ仕草してるんだよ!!!
とはいえ、ここまで散々言ったけど、レオンはもし本当にスパイだったとしても、いつかそこから脱却して、ライドカメンズ初の元ネタが存在しないオリジナル仮面ライダーに変身する(しなくてもよい)展開まで明らかに見えてるから、悪感情みたいなものはゼロです。それってつまり、カオスライダーだったカメンズが洗脳を解かれて仮面ライダーに覚醒するのと全く同じ話なので。ただただ楽しみでしかないんだよな〜。
マイタスは社会に復讐したい?
・「ライダーの記憶を宿した第二世代カオストーンの話は、第1部が終わったあとのクラスイベント以降でやる予定なんだから、勝手に先出ししちゃ駄目でしょ!」って運営もといカオスイズムに怒られてるマイタスさん面白すぎる。
クラスイベントの方でも「トゥルーエンド・ウィズ・アス」あたりで言及されてたはずだけど、なぜカオスイズムは一度奪った記憶をわざわざ取り戻させてくれるのか……って部分は、彼らの目的を推し量るためにはきっと重要なんだろうな。
博学な男は「人が本能のままに生きられる世界」を望んでたのに、カオスイズムはむしろ人からカオストーンを使って"本能"と呼ばれるものを根こそぎ奪ってるのが不思議で、以前の「トゥルーエンド」の感想では「トラウマの記憶をなくして精神的にそこそこ幸せな生活を送った後でそれを思い出すことで、カオスイズムの所業に感謝して服従するようになるから」なんじゃないかみたいな予想をしたけど、この説だと「本能のままに生きられる世界」とはやっぱりあまり噛み合わない。
さっき"ヒューマンロンダリング"の話をしたけど、この言葉の元になってるマネーロンダリングにおいては、お金を合法的なものに見せかけるために、一度別の口座に振り込んだり、追跡されにくいように複数の場所に分散させてからまた自分のところに戻すみたいな手順を経るらしくて、この手口そのものは、カオスイズムのそれと似てるっちゃ似てるよね。
ブレインウォッシングと違って、元々の状態が汚くてネガティブなものっていう点も、カオストーンによって歪んだ欲望を分離することとマネーロンダリングの類似点ではある。
トラウマや鬱屈した感情を洗浄して、一見きれいな状態にしてまた社会に解き放つ。
……でも、やっぱりその理解でも「本能のままに」とは逆のベクトルになってしまう。
もし仮に、そういった"本能"を一度取り上げることで、言わば「失って初めて大切さに気付く」みたいなノリで彼らが取り戻したいと躍起になって、結果的に取り戻した"本能"のままに生きることが目的なら、そこは成り立つのかもしれないけど、そうすると今度はマネーロンダリングのニュアンスからはやや外れることになる。せっかくきれいにしたのに、また汚れた状態に戻すんだから。
まぁ何も知らない阿形が個人的に発しただけの"ヒューマンロンダリング"って言葉に軸足を置きすぎるのもナンセンスなので、この仮説を採用しても言いようか気がするけど、もしかすると博学な男も仮面を外したことを後悔していて、本能のままに生きられる世界なんて今はもう望んでない可能性も一応頭に入れておかないと、この先どっかで躓くかもしれない。
翻って、マイタス個人の目的についてはどうなんだろうね?
ピアスが平和を望みながらもカオスイズムに与してるのは、自分の息子がジャスティスライドにいるらしいことと何かしらの関わりがありそうだけど、マイタスが言う「悲鳴」は一体何なんだろう。
4章でお巡りさんが慈玄と共通点を持つ存在としてピックアップされてたように、もしくは5章で荒鬼が神威本人と戦って、6章で神威が荒鬼と同じ不良と向き合ったように、その章に出てくる敵はどこかで主役と共通点や因縁を持たされている場合が多いことから逆算すると、阿形さんとマイタスにも何か繋がりがあるんだろうか。
僕は『鎧武』のことむかーし1周しただけであんまり知らないので下手なこと言えないけど、武部P作品ってこともあって駆紋戒斗とかが参考になるのかな。
「世界は建前と言い訳と嘘で塗り固められた。コンクリートを流し込むようにな。風化した建物はいつかは壊さなきゃならねけ。世界だって同じだ。ひび割れて取り返しがつかなくなる前に、建て直す必要がある」ってセリフは、戒斗の「嘘偽りで塗り固められた世界などいっそ壊れてしまえばいい!」と似てるような気がしないこともない。カオストーンが宇宙から飛来した鉱石だと仮定するなら余計に。
阿形さんが仲間や親友を大切に思うあまり復讐という黒い気持ちに囚われてしまっているのと同じで、マイタスさんにも戒斗のように何か踏みにじられた過去があるから、カオスイズムの大幹部なんてやってるのかな。
無理矢理にでも阿形さんに繋げるなら、マイタスも阿形の家の関係者で、任狂の世界の腐敗に嫌気が差して……みたいな過去も有り得るかなと考えたけど、さすがにこれはなさそうか。
ともかく、せっかく各地区にひとりずつ幹部がいるわけなので、インタビューでも「悪の美学でいうと、結局は「仮面ライダー」がかっこよく描かれるための敵なので、毎回モチーフやテーマのカウンターであることは大事にしています」と言われてた通り、それぞれのテーマを背負うに相応しい過去や信念が描かれそうだから、そこも結構期待してる。こないだ観た『エイトレンジャー』がその辺かなり面白かったので。
続々登場? 仮面ライダー
・「阿形の復讐要素を朱鬼や歌舞鬼モチーフと捉えるのは、何でもかんでも元ネタに結びつけすぎだろ〜」って思うのと同じ頭で、阿形が野球やってたのは劇場版ライダーからの繋がりかななどと思う矛盾した人間。釈明するなら、ライダーのモチーフとして採用してるかどうかと、作品の要素を性格に取り入れることは全然次元の違う話だと思ってるからなんだけど、事実と妄想どちらに近いですかって話なら妄想に近いのは確か。なんなら、モチーフって表現と、シュキじゃなくて朱鬼、カブキじゃなくて歌舞鬼ってところが引っかかってるだけだしね。
関係ないけど、ご当地ライダーってコンセプトいいよね……47都道府県それぞれにスーパー戦隊が割り振られたときがあったけど、ライダーでやるなら全部新規でデザイン起こしてほしいな。スーツつくられて映像に出てくるのは『7人の戦鬼』と同じでせいぜい4〜5人だろうけど、それでもTTFCとかでやってくれたら面白そう。
なんならライドカメンズで最終的に50人くらいライダー出して、それを都道府県に割り当ててくれても面白いですけどね!?
そんな50人も……って思うかもしれないけど、平成ライダー+令和5作目の『ガッチャード』までの25作から平均2人ずつ選出したらそれでもう50人ですからね。『セイバー』以降は企画時期的に難しいと仮定しても、昭和ライダーだって15人ほどいるし『アマゾンズ』や『BLACK SUN』みたいなのもあるから、武部さんが100人くらいになったらみたいな話してたときは冗談だと思ってたけど、案外夢物語ではない。ソシャゲ的にも、fgoのサーヴァントや刀剣乱舞の刀剣男士なんて一体何人いるんだって感じだし、それらの前例を考えるなら必ずしも登場したあとずっと出ずっぱりである必要も必ずしもないしね。それこそ来年予定されてる『ライドカメンズ The STAGE』に出てくる久遠瞬十みたいに、特定の媒体限定のキャラクターみたいなのもこれから増えてくるかもしれないし、そういうキャラが"コラボ"って形で一時的に逆輸入されることもありそうではある。
本作はねー、それまでのライダーソシャゲと違って現行作品と明示的に連動させることが難しいのが数少ない難点なので、そういうかたちで世界を広げていって欲しいね。
阿形の狂気
・2人を想ってのこととはいえ、力尽くでも過去に関わらないことを強要する阿形さん。
ただ力持ちで頼りになる男としてのセリフだと思ってた「重いものを運ぶなら任せてくれ」が、まさかそういう他人の重荷までなんでもかんでも一人で勝手に背負っちゃう性格に繋がるなんて思わないじゃないですか。
しかしクラスリーダーって、なんか割とみんなそういう支配欲的なニュアンスがあるな……今のところそういう味が全くしないのって、陽真だけ?
戴天さんは言うまでもなく雨竜くんを縛ってるし、宗雲さんもルーイと何か関係がありそうな颯を手元に起きつつ「過去は捨てろ、第二世代カオストーンには手を出すな」と言ってて、駆もフラリオについて何か隠し事をしつつ"飼ってる"。
陽真を除くと、自由を謳ってて過去を取り戻すことを仲間にも推奨してるルーイが一番その傾向は少ないけど、それでも宗雲と同じで颯という年下の存在と何かしらの事情で離別したっぽい過去を匂わせつつ、ランスという別の年少者を拾っていて、仲間を引き抜こうとした宗雲に噛み付いて抵抗を示したらしいことが語られている。
今回ラストで、荒鬼と神威が「記憶のためじゃなくてあくまで力を手に入れるためにカオストーンを求めるだけ」って言ったのに対して阿形は「思ってたよりも単純だな!」なんて感想を漏らしてたけど、第4話の時点では2人とも記憶を取り戻そうとはしてたんだから、阿形さんがキレたせいで2人はその気持ちを渋々取り下げたことを、本人はどうやらしっかりとは自覚していない。
というか、第7話の時点ではまだ2人とも記憶を取り戻そうとしてるようにも見えるので、多分「そうは言っても阿形はまだ変身できないから、自分たちを止めることはできないだろう」って心のどこかでは考えてたんだけど、阿形が変身に成功しちゃったのを見て「やっべ……逆らわんとこ……」ってなったようにも受け取れる。
もちろん表向きには、一人だけ記憶を取り戻した阿形さんがここまで強く言うんだから……っていう信頼の念もあるんだろうけど、力で押さえつけようとしてくる阿形を乗り越えるために力を求めているという側面もあるにはあるのかもしれない。
そんな暴れ馬な2人の手綱を握るために、阿形もまた更に力を求める。そうやって切磋琢磨していくのがマッドガイってクラスなんだろう。
僕は好きなクラスはって聞かれたら多分スラムデイズなんだけど、クラス単位のライダーデザインでは荒鬼が右ツノ、神威が左ツノで阿形が両ツノになってるマッドガイが一番好き。
で、それっててっきりいっつも喧嘩してて反発しあってる2人とそれをなだめるバランサーの阿形……って意味なんだと思い込んでたけど、このエピソードをよくよく噛み砕くと、阿形さんがなんだかんだ一番マッドで脳筋だからなのかもしれない(苦笑)
荒鬼はまぁチンピラというか不良というかそのくらいだし、神威はただの芸術家だけど、阿形だけはマジモンのヤクザ出身だもんな……。
義理人情で人を守るフィクション的な文脈でのそれだろうから、別に悪気は全くないんだろうけど、猛士のことを地域密着型で必要に応じて暴力を振るう組織ってところからやくざに読み替えてるの、相変わらず無法すぎる。
「俺たちが訓練してきたのは暴力を振るうためじゃない」「自分の拳に誇りを持つんだ。こんな雑魚のために使えば、自分の格まで落ちるぞ」っていう5章 第7話でのセリフも、やられたら徹底的に復讐して落とし前をつけさせるっていう思考回路も、もう「任狂映画伝」を踏まえた上で読むとそうういうニュアンスでしか捉えられなくなってる。ただでさえ第1部を読む暇がないままイベントがスタートした訳なので、もうこれは仕方ないというか、ネタバレとかそういう次元でもないよね。
荒鬼にしろ神威にしろ、イベントでそれぞれピックアップされたけど、阿形が明かされてる代わりにと言うべきか、どちらもまだ過去に関する話は何も触れられてないんだよね。
第2部を踏まえても、マッドガイがこれからどんな展開を見せるのか期待してます。
前回
ゼロワン好きの『ライドカメンズ』実況 第1部 6章 陶酔の神威為士
次回
ゼロワン好きの『ライドカメンズ』実況 第1部 8章 快楽のスラムデイズ
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