やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン3話「あかりどろぼう」 感想

・介人が読んでる本、これまでは初恋ヒーロー以外は謎の本ばかりだったけど、今回は「全開〜」というタイトルが見切れている。前回はるかとの会話で「全力全開……なんだそれ?」って言ってたので、真に受けるならそれがきっかけで調べ始めたとか……いやでも、普通に変身するときゼンカイって単語聞くはずだから、知らないことはないよな。保留。

 

『恋せぬふたり』でも使われていた? お屋敷で空想の酒を飲むサルさん。いわゆるプラシーボ効果というものがあるけど、アルコールだって一種の薬品なんだから思い込みによって酔うことは有り得る……というかノンアルコール(少し含む)で普通のお酒と同じくらい酔うとか、本当にアルコール入ってないのに酔うとか、そういう現象も実際あるらしいので、きちんとした知識に裏付けられた趣味なんだろう。
とは思うけど、サルさんが酔っ払いたくて酒を飲んでるともあまり思えないので、どちらかというとお酒の味を嗜むことに主軸をおいてるような気がする。その場合プラシーボみたいなそれっぽい理屈はなくて、ただ本当に「その気になってる」だけってことになるけど……。
「思い込めば現実になる」というのがおそらくドンブラ世界の基本原理であるという仮定に経てば、何もおかしなことはないんだけどね。だからほとんどのキャラクターはドンブラザーズになるまでは割と順風満帆な生活を送っていて、はるかは漫画家として大成、キジさんは職こそ平凡だけど幸せな家庭があり、サルさんは働かなくても周りの人から恵んでもらえるヒモ生活。分相応というか、"自分はここまで幸せになれる"という自信に見合うだけの幸せが割り当てられるのがこの世界のシステムなんだろう、多分。

愛されニートとフードロス

・貰いもので暮らす無職のヒモっていうのは、現実ではともすればクズだとか言われかねないけども、僕は時代に合っててすごく好き。詳しく知りたい人は岡田斗司夫の愛されニートって概念についてYouTubeで調べれば出てくると思うけど。
サルさんはあんまりプライド高そうではないよね。英語ではどうか知らないけど、少なくともカタカナでプライドと書いた場合は「自分で自分の自由を制限する信条」みたいなニュアンスが強く出るんだけど、その意味で自由人であるサルさんはプライド高くない。ニートではなくきちんと人並みに働かなければならない、貰いものではなく自立した生活をしなければいけない、こんな安っぽいおでんが食えるか……みたいな観念は持ち合わせていなくて、でもその一方で気位というか、自分に対する自信はかなり高い方だと思われるのが面白いところ。
知識や俳句などの自分の価値に揺るぎない自信を持ちながら、だから自分は偉いんだとか、その偉い身分に見合う振る舞いをしなければいけないとかそういうことは思わず、ただ流れるように"ありのまま"生きる。貰いものはありがたく食べるし、多分服とかも買ってもらったらそれを着るし、ともかく今あるものに自分を合わせるタイプな気がする。仮に貰ったものが気に入らなかったとしても、なんだかんだうまいこと言いくるめて相手を不快にさせずにことを収めそうだし。

っていうか、悩み相談する方も結構いい感じに教授を利用してるのかもしれない。うちはご近所さんとか親族との関わりがほとんどないので無縁だけど、知り合いは割と実家から何か送られてきたりとか近所の人からお裾分けされたりとかで、食べきれずに困ってるみたいな話をよく聞くし、実際僕もそれで色々貰ったりしてる。
たけのこにしろみかんにしろ劇中のじゃがいもにしろ、たくさんありすぎて処理に困ってるものをニートにあげて、そのついでに悩みも解決してもらえるってなったら、そりゃ地域で噂になって人気者にもなるかもしれない。
ベーシックインカムより先に、フードロスの削減ついでに全国のニートに食べものを配った方がいいんじゃないか? 世界中の恵まれない子供には届けられなくても、日本国内の近場ならやろうとすればなんとかなるでしょ。

 

暴力を振るうだけがヒーローじゃない

・1話の中で2回戦闘シーンを入れようっていうなんとなくのノルマがあることは知られているけど、それを拡大解釈して戦闘はしないけど変身だけしておけばいいって描き方はなかなか面白い。特に本作は「敵を殺さない」ことを意識して描いてることもあるし、何も暴力を振るうだけがヒーローの役割じゃなくて、あぁいう日常的な人助けに使ったっていいじゃないというのはテーマとしての一貫性もあるしとても好き。
分かりやすい分類なのでよく引用するけど「ドライブは人を助けるライダー、マッハは敵をぶっ潰すライダー」っていう目的の違いね。

 

細かい描写から読み取るキャラクター

・叔母さんの「また盗作?」って、まぁ本人が言われてどう思うかはさておき、本当に盗作してると思ってたら絶対に出てこないセリフだから信頼してるんだろうなってのが見える。こういう細かい台詞回しでそのキャラクターの背景を予感させる手際こそ、脚本家の腕の見せどころなんだろうなきっと。
逆にほぼ見ず知らずの人間に、冗談でも「洗い物でもする?」と言い出すはるか先生の気持ちが分からなかったんだけど、タロウの方がちょっとぶつかっただけで「縁ができたな」つってにこやかに話しかけてくるから、言われた方もついつい距離感が狂ってしまうというか、あたかも本当に親縁な仲であったかのように錯覚してしまうのかもしれない。さっきの思い込みの話じゃないけど、人との縁こそ思い込みひとつでどうにでもなるというか、お互いに仲がいいと思ったらそれはもう本当に仲良しってことになるんだから。
実際このあとも、喫茶どんぶらで一緒にお茶しちゃう訳だし。

それはそうとコメンタリーの方で、洗い物するときに水を流しっぱなしにする人とそうでない人がいるけど、タロウはきっと流しっぱなしで洗う人だよねって話が出ていて、何が違うんだろうなぁと考えていたんだけれど、まぁそもそもどんぶらこと流れ流されてきた人なので水の流れと相性が良さそうっていうのはあるだろうってのに加えて、4話で描かれた完璧主義なことも合わせて考えると、食器の汚れを落とすという皿洗いの命題を完膚なきまでにこなすためには、水道代なんか惜しまないというようなニュアンスなのかもしれない。

叔母さんが誤認逮捕するシーンも、確かに怪しいとは言え悪いことしてる訳じゃないどころかむしろ皿洗いやってくれてるのになんで犯罪者だと思ったんだと不思議だったんだけど、そうやって親切そうに上がり込んで証明を盗む手口だと思ったんだろうか。普通はそもそも宅配業者を家には上げないもんな。
自分が犯人ですなんて正直に言うはずがないのに「俺はシロクマだが」の一言で誤解が解けるのも謎だったけど、セリフがどうこうというよりはタロウの人柄の良さというか、素直なところを見て誤認逮捕だと認めたという流れなのかな。普通なら「泥棒なんてしないですよ!」とか釈明しそうなところで「いや、クマはクマでも黒じゃなくて白ですけど」って、ツッコむとこ微妙にそこじゃないだろ! っていう。

・新聞によると、ドンブラの舞台は王苦市と言うらしい。他に思い付かないし、絶対オーグ……鬼が名前の由来だよね。漢字的には王が苦しむのか、それとも王が民を苦しめるのか……前者ならヒトツ鬼騒動でこの世界の管理者(王)たるソノイたちが苦しめられてることに、後者ならソノイたちが秘密裏にこの社会を管理して、ドンブラザーズのような都合が悪い存在には局所的な地震なんていうやべー手口で意地悪してくることを指してるのかなって思うけど、どっちなんだろう。
桃太郎は別に王って感じはしないしな。まぁ電王は桃太郎かつ王様か。

 

・あかりどろぼうこと快盗鬼。もはや井上敏樹の十八番と言ってもいい失明……目が見えなくなる怖さを描いた怪人と見ればいいのかな。
サルさんは復讐だって言ってたけど、ほとんど無差別だしだとしたら社会に対する復讐ってやつだよね、いわゆる。何か直接的に照明が恨みの内容に絡んでるとは思えないけど、井上さんは割とトラウマを描くときに「何かひとつの印象的なものに固執する」という形式を取ることが多くて、一番顕著なのは名護さんのボタンかな。草加のウェットティッシュもそうだし、あと睦月はコインロッカーベイビーだから暗いとこが怖いみたいな話もあった。
借金の取り立てか何かで照明まで差し押さえられちゃったとか、そういうエピソードがあるのかも? あんまピンとこないけど。
闇が怖いから自分の元に照明を集めるようになったのか、それとも闇が好きなだけなのか。山の上から見下ろす静かな景色が好きだったんだけど、久しぶりに帰ってみたら都市化が進んでて夜でも明かりがチカチカとうるさくて目障りだから、幼い頃の思い出を取り戻すために明かりを消して回る……みたいな動機があるのかな。トラウマパターンだとかなり個人的動機になるから、社会への復讐って線は薄れるかもしれない。まぁこの辺は別に分かんなくても本筋に関係ないけど。


・不気味に笑うソノニさん。快盗鬼はソノニの手下だからアノーニも出てきたのか?
「もうちょっと頑張れば、あなたは自由になれる」って言ってたけど、自由ってのが消去することだとしたら、脳人側にも人間でいるうちは襲わないというルールがあるのかも……まぁソノイさんは自分の手で怪人化してたけど。


・サングラスだしアバターだしやっぱ『ゴーバスターズ』を意識してるとこはあるっぽくて、それを踏まえたらまぁどう考えても黄色はウサギだよね。青はほぼゴリラだし。
キジブラザーはアバターチェンジすると胸も膨らむから、変身後のパッと見は女子が2人いる戦隊にも見えるのがミソかもしれない。
ブラックの戦士ってそんなに多くはなくて、特に『ゴーカイ』以降だとキョウリュウブラック,ジュウオウザワールド,オウシブラック,リュウソウブラックと半数もいない。次回おにぎり鬼……もとい超力鬼が出てくるので、玩具的にオリジナルの変身音が鳴るのは『ゴーカイ』以降のみだけど、本編では普通にオーレンジャーなどにもアバターチェンジできるのかもね。それならイヌブラザーはキングレンジャーになれるし。

・なんでも「いいよ」と肯定してくれてた介人が「よくないな……」と呟くことで変身してた人間が消えちゃうことを印象づけるのはお見事。


・人は殴らないって言ってたけど怪物は殴るから暴力振るわないって訳じゃないんだよなぁと思ってたら、暴走して味方にも攻撃し始めたドンモモタロウ。
これはもう単純に、嘘をつく機能が欠如しているのと同じように「人間に危害を加えてはならない、ただし人外ならいい」という(番組のお約束を皮肉った)プログラムがされていて、その基準に従うと超人になっているオトモたちには暴力振るっていいので普段の鬱憤を晴らしているだけなのかもしれない。そんなロボット三原則みたいな……。

 

前話

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン2話「おおもも、こもも」 感想