・他のグリードがやってるとこって見たことないと思うけど、アンクは人間に憑依できるらしい。あ、ポセイドンが似た例かな? まぁ元が人間の欲望から生まれたものなんだから人間の中に戻ることもできよう。
アンクは手だけ。本人も前回さらっと「この手しかない」と言っていたように、多分手というのは手段のことであって、つまり目的を持たない、というか目的化してしまった手段の亡霊のような存在として認識すればいいのかな。
・タカカンドロイド。販促としては割とアウトだと思うんだけど、大群で寄ってきてメダルをついばむ卑しさはすごく鳥っぽいし、そしてすごくキモい。
アイスである必要
・通年で、いやその後の冬映画などでもアンクのトレードマークとなるのに、何故よりによってアイスキャンディなのか。放送当時も9月なので秋だし……。
味そのものではなく"冷たい"という刺激を主に楽しんでるんだとしたら、激辛料理とかでもいいような気もするが、演技しながら食べることを考えると、机がなくても手に持っていればいいので取り回しは楽か。同じ温度の刺激で言うなら熱いものという選択肢もあるけど、考えてみるとホットドッグにしろソーセージにしろ、アイスに比べると入手難度が高いイメージはある。アイスは冷凍で保存もきくから冬でも売ってるけど、熱いものはそうもいかないのでお祭りの屋台とかでしか見かけない。
「この体に食わしてやる」というならそれこそソーセージとかの方がまだ栄養はありそうだが、そのぶん変に生活感というか生々しさが出てしまうので、言ってしまえば砂糖水を凍らせただけの物体をカロリー補給のためだけに食うのは、いい感じにアンクの無機質さや冷たさを演出できているのかも。栄養のために野菜スティックとか食べてたらそれはそれでなんか嫌だしな。そんならまだ、皿に盛られたサラダを雑に食べて欲しい。
加えて一番大きいのは、アイスキャンディーなら口に入れて舐めるだけで「食べてる」ことになるので、セリフが邪魔されない。これはかなりうまい手法だな。
アンクのデザイン
・"手のひらに目"って、ドッガハンマーでもあったしそれなりによくあるネタだけど、いまいちこれといった元ネタが思い付かないのよね。
手の目っていう日本の妖怪はいるらしいけど、「そいつが元ネタか!」ってなるほどのネームバリューは感じない。根本的に妖怪って、海外のそれと比べてパンチが少ないよね。抽象的というか、むしろ自然的というか、じわじわ不気味に思えてくるタイプが多いイメージ。
アンクに話を戻すと、鳥モチーフの癖に全身(?)に鱗状の模様があって、そりゃツチノコとか言われるわなって感じなんだけども、考えてみれば鶏の足とかあんな形状か。恐竜の子孫だというのは有名な話で、だとするなら鳥が爬虫類と似てるのは必然であって、鱗のようなものもひょっとすると間違いなく鱗なのかもしれない。
クチバシの硬い質感を爪に見立ててるのも不気味で、いいデザインだ。
・信吾はアンクが憑いてないと死んでしまうらしい。生きる気力が体の生き死にを左右するという話があるけど、そういうイメージなのかな? 信吾は意識がないから、その代わりにアンクが入って欲望という生きるエネルギーを流すことで、体も生きようとすると。
理屈で言えば、アンクが憑いたままで信吾の体を手術するなりすれば助かるんだろうけど、アンクはそういうことしないだろうからな。こないだバイスと比較してモモタロスはかなり優しいという話↓をしたけど、その点アンクはずっと人質取ってるからかなり冷酷は冷酷だよな。
バイスはあくまで、一輝が死んだら自分も死んじゃうから、それよりは仮面ライダーとして適度に暴れられる方がマシだと選んだだけだけど、モモタロスは肉体はともかく精神体は良太郎に依存せず別個にあるから消えることはない(多分)のに、素で良太郎の体を心配していた。
— やんまヘホ (@yamma_heybox) 2021年9月12日
神とゼロとコアメダル
・コアメダルが棒でセルメダルがアイスって比喩は未だに納得できてないんだけど、アイスキャンディはアイスが本体でしょどう考えても。その棒を再利用してまた次のアイスを食べるってんならともかく、食べたら捨てるゴミじゃん。…………でも、地球という概念を説明するときに重要なのはコアよりも表面部分に栄える生態系や文化だったりするからかならずしも間違いって訳でもないのか?
或いは、実際メダルはセルの方が有用なのかもしれない。鴻上ファウンデーションのシステムもほぼ全てがセルメダルからしか力を抽出してないし。アイスの棒も燃やせば燃料として使えるけど、人間が生体エネルギーとして利用できるのはアイスの方。
「(神というのは)もしかしたらだけどさ、数字のゼロに似た概念なんじゃないかなって。要するに体系を体系足らしめる為に要請される、意味の不在を否定する記号なんだよ。そのアナログなのが神で、デジタルなのがゼロ。」というのは攻殻機動隊におけるタチコマのセリフだけど、ちょっとこれに似たイメージ。コアメダルそのもの(神,ゼロ)に大した意味はないんだけど、ただ"存在する"ことによってそれ以外の無数にあるセルメダル(神のつくったもの,0以外の数字)に意味を与える役割がある。アイスの棒もそれ単体では役に立たないけど、持ち手があることでアイスの価値は上がる。尤も、コアメダルはオーズが結構な力引き出せちゃってるから無意味ではないけど。
・そういえば比奈は、色々凝った服が好きなんだっけ。パンツだけで十分な映司とは対照になってる訳だ。
てか自撮り系女子なのね、ちょっと意外。まぁ女優になれるだけのお顔があったらそうもなるか。
開かないから無理やりって、壊れたらどうするニダ。怪力云々の前に「開かないけど開けたいから開けちゃおう」っていう思考回路がパワー系ゴリラ。
「リアル志向だから非現実的な怪力女子が欲しかった」ってのもよく分からんけどな。
・オトシブミヤミー(公式読本ではオトシブシと書かれているが多分誤植)は、アンクと同じ手をモチーフとした化け物に。メダルと金は相性がいいから巨大化したのかな。
・比奈からの電話を受けてヤミーの被害で悲しむ人の存在を再認識し、オーズがなくても助けに行くのは割と自然。
そういえば、前回アンクは助けたのにカマキリヤミーは躊躇なく殺したのが気になったのよね。今回助けた人は顔見知りですらないので、今朝からの長い付き合い云々は関係ない。
……多分だけど、映司って基本他人が生きようが死のうが興味がなくて、執着しないから本人としてはコイントスで決めてもいいくらいどうでもいいんだけど、とりあえず「命は尊い」という社会規範を参考にして自分の行動を決めてるような印象を受ける。
・どうしてアンクは、そこまで映司にこだわる? 手だけじゃともかく、せっかく信吾の体を手に入れたんだから、自分で変身することはできないんだろうか。まさか、信吾の体を気遣って危険に晒さないように……ということでもあるまい。
もしオーズへの変身に何か資格が必要なら、映司の体を乗っ取るとかそういう手もある。もしアンクが意識のない体にしか取り憑けないのだとしたら、瀕死体なんて早々都合よく落ちてるもんじゃないから大事にするのも分かるけど。
あとはあれか、メダルの管理者である自分がオーズとして前線で戦ったら、負けた時に最悪メダルを全て奪われてしまうけど映司を代わりに戦わせるなら必要な3つだけ持たせておけばいいのでオーズが負けてもアンクは残りのメダルを持って逃げればいいから、リスク管理としては間違ってない。
・アンクが離れたら10分と保たずに死ぬって話だっけど、そっちの表現がオーバーなのか、それとも今回の戦闘は10分と経たずに片付いたのかどっちなんだろうな。そりゃあ尺としては16:30〜22:00で3分30秒弱だけども、実戦2回目の素人があんなバカでかい化け物相手にそんなスピード対処できるもんかね。前回と違ってでかいことにも特に混乱とかせずに、状況を受け入れて卒なく対処しまうあたりが、映司の特異さでもあるんだろうけど。
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仮面ライダーオーズ/OOO 第1話「メダルとパンツと謎の腕」 感想
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