やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーゴースト 第7話「早撃!伝説のガンマン!」 感想

自己の外在化

・お墓に話しかけるというのは、幽霊とか魂みたいな概念を考える上で割とクリティカルな部分だよなぁなどと思った。
幽霊が実在してるかどうかという議論にあまり意味はなくて、ただ現象として受け手がそこに何かを見出し感じるというのが肝要。勘違いでも現実として肝は冷えるし、話しかけることで憑き物が落ちたりもする。究極的な話、眼魔世界の住人がそうであるように" 水槽の脳"的な視点に立つならば、あらゆるものの実在性(外在性)は揺らいでしまい、仮に自分自身の実在性は「我思う故に我在り」で片付けるとしても、僕らが認識している他人やモノ,幽霊などは全て自分に内在する妄想や脳内の電気信号として同列に扱わざるを得ない。
スピリチュアルなものというのは、謂わば人間にとって唯一許された「無から有を生み出せる装置」なんじゃないかと最近感じる。平ジェネForeverで描かれてたフィクション論とも通ずるかな。

ゴーストの仮面はムサシ魂なら剣士なので"ペルソナソードマスター"、ビリー・ザ・キッド魂ならガンマンなので"ペルソナガンスリンガー"と言った具合で因んだ(抽象化された)名前が付けられているのだけれど、オレ魂だけは"ペルソナパンテオン"となっているのよね。意味的には「全ての-神(Pan-theon)」らしく、神はテオスって言うから分かるとして、"全て"を表すPanという接頭辞はあまり馴染みがなかったので調べたところパンデミックが例示されていてなるほどと。ちなみにスペクターは"バーサーク(狂戦士)"、ネクロムは"ドミネータ(支配者)"、ダークゴーストは"ヴォイド(空虚)"。
何の話がしたかったかというと、この「オレ=全ての神」って構図がすごく梵我一如っぽいなと思ったのよね、仏教じゃあないけど。宇宙の原理である梵(ブラフマン)と個人の原理(アートマン)を同一のものであると見なすことによって、個人の魂の不滅性を見出す悟りのいち形態。
鋼の錬金術師なんかでは「一は全、全は一」「全は世界、一はオレ」という言葉で表されていて、目に映るもの全てを自分と同一視する感覚とは近いものがある。水槽の脳が"全は一"、梵我一如が"一は全"に相当するかな。

 

・鍛錬に励むタケル殿。ゴーストなのに体を鍛える意味ってあるのかなと思ったが、身体機能を上げる必要がないからこそ技術や勝負勘さえ身につけてしまえば、常人よりも遥かに早いペースでレベルアップできるのかもしれない。
ただ回想シーンはよく分からん。「負けたって思わない限り負けてない!」というのは心持ちとして理解できるけど、そういう話をやりたいならマコトの方から「また俺の勝ちだな」とか言わせれば、「まだ勝機はあったのに勝手にやめないでよ」ってニュアンスとして通る。なのに実際は、形成が不利になったタケルの方から「ちょっとタイム!」と中断しているので、それはもう敗北宣言と同じことなんじゃないかな。

・「また留守かよ〜」「何がすごいか書いておけよ〜」みたいなちょっとした悪態って、カッコいいとこ見せるだけな後年の客演じゃなかなか見られないからなんか新鮮というか、リアルタイム特有の"キャラの厚み"みたいなものが感じられてなんかいいな。

・自分にも幼馴染がいたと語り出すタケル。ここの恒男が突然の関係ない話に困惑してるようにしか見えないんだけど、敢えてそう演出してるのか? わざとらしい顔のアップの後で、一気に引いたところから客観視させて、しかもちょっと長めに回すことで更に没入感が下がる。セリフ的にも、自分から話題振った癖に「それより今は智則さんを」って、それは本当にその通りで別にこの話しなくてよかったよね。マリさんのときみたいに「気持ちは分かるけど正々堂々とやるべきだ」と説得するならともかく、この共通点は事件の解決とは特に関係しない。
強いて言うならさっき「俺の依頼は後回しかよ」ってくだりがあったので、結果として年齢的には大人な御成,アカリ組じゃなく高校生の自分が来たけど、別に軽んじてる訳じゃなくて真摯に取り組む気がありますよっていうフォローの意味はあるのかもしれない。

 

・今回の敵はインセクト眼魔。インタビューによると「最初『女はダメ』って言われてたんですが、『せっかくファーブルだからハチを使えないですかね?』って言ったらOKが出たので、ライダー怪人でハチといえばこれでしょ!」とのことだが、結局女でもいいという許可は出たということでいいのかな。モノとしては虫眼鏡(モノクルになってる)で、偉人がファーブル、そこからの連想でハチの眼魔になったということらしい。
なんで当初は女怪人ダメだったんだろう。ガンマイザーが女性の声だから、それこそハチみたいに一般怪人は男だけで固めるつもりだったのか、それとも最終回で母親の愛について触れられたように女性を神聖なものとして捉える意図があってのことなのか。前作のドライブを参考にしてみると、人間態は好きにコピーできちゃうからさておいて、怪人態が女性であること前提な見た目なのはメディックとエンジェルくらいなので、やはり幹部級だけということにだろうか。ガンマイザーに似たポジションとしてはシグマサーキュラーも女性声だったかな。更にその前の鎧武に至っては、女性怪人っていなかった気がする。オーバーロードも全員男だったもんね。不思議だ。

色の変化

・ゴースト ムサシ魂とスペクター ノブナガ魂が対になってるのは言うまでもないけれど、この同時変身を見たら色味の変化もなんだか面白く感じた。ゴーストは元が中間色のオレンジからパキッとした赤に変わるのに、スペクターは青から紫に変わるのも対照的。
蛍光っぽいからなのか青というよりは水色にも見えるけど、どちらかといえば水色はツタンカーメンの色だし、オレンジの補色でもあるだろうから青ということにしておく。
……っていうか、改めて見るとムサシとノブナガってそれぞれゼロゴーストとゼロスペクターの色にもなってるのか。龍が変身する赤いゴーストは小説に登場するライダーで、多分見た目的には模様部分が赤くなったオレ魂の素体にトウサン魂のパーカーを羽織ったような形態だと思われる。
ゴーストがオレンジなのはオレとかけてるのもあるだろうけど、初期フォームのムサシとエジソンの間と考えてもちょっと面白いかも。精神論というかスピリチュアルな赤と、科学的なアプローチの黄色、と捉えるなら、後に出てくる龍の不思議パワーで強化された闘魂ブーストと、仙人が開発したグレイトフル魂にも少し繋がるかもしれない。

・しかし、マコトは眼魂集めだけが目的だからゴーストに襲いかかるのは確かに筋は通ってるけど、進捗だけ見るなら欲張って眼魔退治も眼魂集めもやろうとしてるタケル殿の方がうまくいってるから、眼魔をスルーしてる割に眼魂もそんなに集められてないマコトが少し情けなく見えちゃうところはある。ゴーストさえ倒せば一攫千金、4個も手に入って計8個になるとは言え、毎回適当な理由をつけて帰るし。悪い意味じゃなく、甘いなぁ。

 

・「そうですね、きっと事故なんでしょう……実験の」
出ました、ゴーストの面白すぎるセリフ。今回の見返しだけでも5回は通しで見てるけど(記事書くのって手間かかるんですよ)、毎回笑ってしまう。なんか癖になるんだよな……同意してるようでいて何ひとつ譲ってない。絶対おちょくってる。
にしてもこの回想、今見るとセイバーの1話にそっくりだな。異世界に吸い込まれる少女と、それを助けようとする男の子。

・例の研究とは一体。ライダーシステムに準ずるもののように見えるが、青いから一瞬終盤に出てくるスペクターの偽物かなとも思ったが、順当に考えるなら液体っぽいところから察するにネクロム(や眼魔スペリオル)が英雄眼魂を使えるように調整しているのかな?
それとは別に前回のラストで仙人が言ってた「次の準備」というのもこのネクロムなのか、それとも15個の英雄眼魂が出揃うからアイコンドライバーGの製作に取り掛かるということなのか。

・恒男の話では、団地の人間は夜な夜なうろついていたという話だったけど、今は真っ昼間。一応眼魔としてもあまり大事になると困るから夜にだけ計画を進めてたであろうに、まぁ普通に考えれば撮影の都合だろうか。作中のレイヤーで理由を探して見るなら、計画が大詰めまで来ているのであと数回くらいならバレずに、仮にバレたとしてもやり逃げできるだろうとかそんな感じだろうか。

 

アイテムの存在意義

・対応フォームのないナギナタモードをムサシで使うのは面白いと思ったけど、ムサシはついさっき見たばっかだしどうせならいつも通り前回手に入れたベートーベン魂を活躍させればよかったのではないか。空飛ぶ無数のハチに対抗する手段として、ロビンの弓矢はあまり相性よくなさそうだし、本当ならエジソンの電撃で一網打尽にしたいところだけど取られてるから、今ある中だとベートーベンの音攻撃はかなり合ってると思うんだ。対処できちゃうとビリー・ザ・キッドのありがたみが減るというのは分かるけども。

・クモランタンのせいで不知火の存在意義がなくなったという声をよく見たけど、そもそも不知火自体が研究データと仙人のヒントでつくったパクリアイテムなので、アカリの株は元から下がるほど高くないのが悲しいところ。

 

ゴースト感想一覧

前話

仮面ライダーゴースト 第6話「運命!再起のメロディ!」 感想

次話

仮面ライダーゴースト 第8話「発動!もうひとつのモノリス!」 感想