やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーリバイス 第1話「家族!契約!悪魔ささやく!」 感想

 キャラクター

 五十嵐一輝/バイス
バイスの初セリフ。僕の理解が足んないだけかもしれないけど全然しっくりこない。
まず、内なる悪魔の癖に開口一番が甘言というよりはむしろ真逆の心配というか注意的なニュアンスであること。それをさておいても「糖分の摂り過ぎは体に悪いからコーヒー牛乳を一本サービスする」というのは、悪さの演出としてあまりにも弱過ぎること。でもって極めつけはぶーさんにそんなつまらん嫌がらせをする動機が全く描かれてないこと。
バイス、もとい一輝の抱える心の闇が、全然伝わってこない。映画でもそうだったけど「言うほど悪いか?」って印象が強い。街壊したって言うけど、人的被害出てなきゃ別にいいかなって思うのが特撮作品の基本的なリアリティラインじゃない? ウルトラマンは顕著に、というか律儀にビルぶっ壊す描写入れるけどさ。怪獣が壊すにしたって被害は未然に防ぐに越したことはないのに、結構力を入れて描く不思議。やりたいことは分かるけどね。
まぁ仮に程度はコーヒー牛乳レベルの悪さでいいとしても、まだ「ぶーさんのだけど飲んじゃおうぜ」とかの方が分かりやすく"悪魔の囁き"っぽくなるのに、素直にそうしない理由が分からない。

・あー、"甘い誘惑"に引っ掛けたくてわざわざ糖分の話してるのか。自分が飲むんじゃなくて他人に薦める方で悪さを描いてるのは、リヴァイアサン……を経由して蛇のイメージだからなのかな。確かに、酒とかタバコとか分かりやすく悪いものならともかく、一見悪気なく見せつつ悪いものを他人にすすめるってのはなかなかつくりづらいシチュエーションだけど、無理あるなって思ったら諦めればいいのに。

・大二の項で後述する「自分が生み出した悪魔が人を襲うかもしれない、でも目の前で襲われてる人を無視もできない」という葛藤の構図は、ヒューマギアのそれと非常に似たものがある。
生み出した悪魔がデッドマンとして暴れまわるリスクを受け入れないと、その悪魔の力を使ってデッドマンを倒すことができないように、一部のヒューマギアが暴走するかもしれないリスクを冒してこそ、得られるメリットというものがある。医療現場等における人手不足の解消や、人智を超えた技術の発明(プログライズホッパーブレードによる暴走個体の復元)がそれにあたる。

暴走の危険がある機械をつくるなんてと飛電を非難するのは簡単だけど、じゃあそれをつくらなくなった結果として生まれるかもしれない死者達に対してその人たちは責任を持てるのか。多分、持てないからある程度までは容認されてたんだろうけど。
ただ、僕が本当に言いたいのはそっちじゃない。何かしらの問題(デッドマンズによる被害/人手不足)を目前にしてできることがあるのに、自分の責任にされたくないからと見て見ぬ振りをして傍観者に徹するのと、全て自分のせいにされるリスクを請け負ってでも自分にできる,自分の思う最善のアクションをすること。どちらが正しいかは結果次第なところがあるけれど、 その姿勢そのものは捉えようによってはむしろ称賛されて然るべきものではないかということ。謂わば「汚れ役を引き受けている」のだと言える。
まさかリバイスの感想で書くことになるとは思わなかったけど、ずっと言いたかったことを自然な文脈で話せてスッキリした。ちゃんと半分はリバイスの話だからね。

・戦う覚悟を決めるきっかけが母親を助けるためだったけど、バイスが人間の中でも取り分け彼女を食べようとしたことと合わせて考えるなら、一輝の持つ本当の心の闇というのがひとつ見えてくる。
……つまり母ちゃんのことを女性として、食べてしまいたいくらい好きなのでは? 文字通り"愛しの母ちゃん"だったと。プロサッカー選手の夢を諦めたのも、銭湯を守らなきゃいけないのもそのためだとするなら、そりゃお風呂で「俺のことはいいんだよ」と誤魔化したくもなるというもの。

有名な「キバ1話のスパイダーファンガイアには妥当電王という意味が込められている」のように、第1話に出てくる怪人というのは往々にしてその作品のテーマを表していることが多いと思うんだけど、それでいくとリバイスはマンモス(そういやこれも電王か、バディものとして超えるってことかね)。言わずもがな男根の象徴な訳で、異性として好きってのは全然有り得る話かなと思う。父殺しは仮面ライダーの十八番だけど、何故殺すかって言ったらやっぱり母親を手に入れるためってのがよくあるパターンだし。エディプスコンプレックスで検索すりゃ出るけど。

ついでにいうと、公式サイトの1話ガイドに"親子で合体"と書いてあるんだけど、まぁバイスを生み出したのは一輝だから確かにリバイとバイスがリミックスすることを指してて強ち間違いではないものの、違和感のある表現ではある。
「母親とひとつになりたい」という子供特有の願望(の収めどころ)を主たるテーマのひとつとして扱うつもりで、それを匂わせるために敢えてこういう引っかかる(=印象に残る)表現にしてるのかなと思ったり思わなかったり。
「家族がいるという設定の中でどうやって仮面ライダーの孤独性を出すのか」という点についてインタビューで言及していたけど、そういう話ならこの点も解決する気がする。それが例え母親であっても、結局同じ人間にはなれない……ということに気付いたとき(脱錯覚)、孤独以外の何を感じるというのか。

・「一輝が死んだら俺も死んじゃう」って言われて「はぁ?」となるシーン。逆(バイスを守らないと自分が死んじゃう)ならともかくなんでそこに驚くのか分からなかったんだけど、現時点ではまだ一輝はバイスのことを自分の心の暗部が生み出したものだとは自覚してなくて、ただ変なやつに"取り憑かれてる"だけだと思ってた訳だから、予想外のリンクに戸惑ったってことね。なるへそ。

・フェニックスのヒロミが持つ「正義なんて関係なく自己顕示欲からヒーローになりたい」という気持ち(予想)から生まれたレックスをリバイが、死刑囚の生み出したマンモスをバイスが倒すのは、うっすら各々に対応させてあるのかな。

 

 五十嵐大二
・今回一番の見どころであると言っても過言ではない、大二がリバイスに変身できなかったシーン。一見恐怖とプレッシャーに負けてしまったようでいて、「失敗すればデッドマンが増えて事態を更に悪化させるだけ」というのを目の前で見ていたからこそ「自分が人を襲う悪魔を生み出してしまう」ことを避けようとした強い正義感の現れにも見える。もうちょっと踏み込むと「自分のせいで他人が傷付くくらいなら、他人が生み出した怪人の悪さは傍観している方がいい」とも思ってることになるけど。
逆に、そのラインを平気で超えてしまう一輝の"危うさ"こそが、リバイスに変身するために必要な資格(悪さ)なのだと思う。

・……と言うのは建前。彼がそもそもリバイスの変身者に選ばれていたことと、実際いずれ仮面ライダーに変身することが制作発表で既に明言されていることを踏まえて見るなら、推測される理由はまた違ってくる。
おそらく大二にも既にバイスのような内なる声、或いは既に自分にだけ見える悪魔が現れていて、そいつはバイスなんかかわいく見えるくらいえげつないことを、大二にだけ見える状態でいつもやろうとしているのだろう。普段は隠し通しているけど、一輝がシャドーボクシングしていたのを見て「大丈夫? さっき……」と心配したのは、常識的に見て変だったからじゃなくて、自分にだけ見える悪魔に振り回される気持ちが分かってるからだったのだと思う。
だからこそあの瞬間「こいつを解き放ってしまったらヤバい」と思って、変身ができなかった。
ここまでひっくるめたら、バイスが言うほど悪くないのは2号ライダーである彼の悪魔を引き立てるための前座に過ぎないからなんだろうなと腑に落ちる。暴走フォームイベントはエグゼイド,ビルド.ゼロワン,セイバーと恒例になってるけど、今作はその役を2号ライダー(しかも基本フォーム)に充てると。主役でそれをやらないのは、テーマ的な理由かはたまたヒヨっただけか。

 

 五十嵐さくら
・空手やってるということでやはり変身する説かなり濃厚。とか思ってたら、TTFCのコメンタリーで「元々3人ライダーという話で進めてたところ、紆余曲折の末に3兄弟に落ち着いた」という話の流れらしいので彼女はもう確定かな。
あとは両親2人だけど……母親ライダーはゆりとかポッピーとか言い出すと微妙に初じゃないということを考えたら、"夫婦ライダー"としてなら正真正銘の初モノになるかもなと思った。どうせレギュラー化はしない番外戦士だろうから、やるなら一人ずつよりまとめちゃった方が扱いやすそう。

 

 デッドマンズ
・"見せかけ"というのは劇場短編でもかなり印象的に繰り返されてた単語。「口で言う綺麗事も、それとは裏腹に心で思っている黒い事も、両方ホントなんだ」というのはソウゴの出した結論だけど、デッドマンズはあくまで「目に見える部分は意味のないかりそめで、隠されている部分だけが本質」と捉えているらしい。銭湯……というか、お風呂も隠されていたものをさらけ出す場だけど、他人に裸見られるなんて改めてとんでもない場所だよな。
その視点でいくと「私たちは誰でもない」ってのだけよく分からんけど。こっちに重心を置くなら、隠されているものも含め全てなんの意味もない虚構で、本質なんてどこにもないって感じ。

アギレラがジュニアスタンプを押して回ってるところを見るに、雑魚怪人のギフジュニアはこの信者たちの魂(?)を使っているっぽいけど、別に魂抜かれて倒れてるような様子はないので、ちょっとしたストレス発散みたいなもんなのかな。心の中にある黒いモヤモヤをスタンプで吸い取ってもらうことでスッキリするから、みんなここに集まってるのかも。
そもそも普通のデッドマンだって、分裂するだけで使用者の意識がなくなるようなことは現状ないもんな。一見何も犠牲になってないようで、目には見えない"何か"が失われているというのはうまいかも。

・ダンコン! バラルララー! オブリガード!
グラシアスはスペイン語だって、中南米じゃないのね。しかし、自分たちがそうなのに「デッドマンズに感謝」っていうのは変な文脈。彼らに力を与えた別の存在が背後にいて、その人たちに感謝ってんなら分かるけど。っていうかギフ様が力を与えてる訳でもないのね。

アギレラは今んとこ怪人態ないんだよなー。とか考えてたけど、その前にオルテカとフリオが分裂せずに本人が怪人化をしているっぽいことを不思議に思うべきか。そっちが当たり前だからスルーしてたけど。
イメージ的には分裂タイプのデッドマンが「こんなの自分じゃない」と否認してスプリッティングしているのに対して、自分の悪い面(怪人態)もきちんと自分であると受け入れていると変身タイプになるのだろうか。
このタイプのデッドマンがやられたらどうなるのかはまだ分かんないけど、もし倒すことで契約者が死んでしまうのだとしたら、ちょっとうまい仕掛けだなと思う。普通スプリッティングっていうとあまりいいニュアンスではないけど、この怪人化の文脈においては「本当の自分はいい人間だ、もしくはそうあるべきだ」と思っているからこそ悪い部分を受け入れられなくて分裂するのであって、逆に変身タイプは「自分が本当は悪いやつでも別にいいと開き直ってる」訳なので、そういう奴が倒されて死ぬのはある種の因果応報感がある。


設定

・はじまりのスタンプ(仮称)は、体に押印してるのに何故か煙のままなのね。人を襲ってることから実体化はしてるんだろうけど、その辺がよく分からん。バイスや他のデッドマはちゃんと足も付いてたのにね。
現在の綺麗なスタンプは古いものに手を加えて改良したものってことなのかな?

・"中南米"って、知ってみりゃ字面通りで当たり前だけど(ラテン)アメリカのことなのね。なんとなく頭の中で東南アジアとごっちゃになっていたらしい、南しかあってねぇ。

・字幕を見ると伊良部正造,牛島太助,牛島光と、ただのモブっぽいのにいちいち名前が付いている。常連客ってことなんだろうけど、名前付けるからにはちょいちょい出てくるんだろうか。シブヤとナリタ……ほどじゃないにせよ。
鍋島みたいなモブだけどちょっとしたキーマン、的なポジションになったりするのかな。大二か一輝を監視するために誰かに命じられて、常連として通ってたのだ……とか。個人的にはやらなくていいけどなーそういうの。

・人間の体内に眠っている他の生物の遺伝子を引き出すのがリバイスシステム。というのは一瞬なるほどと思ったけど、そうなの?
実際に進化の系譜が繋がっている、という意味での遺伝子情報が備わってるとはとても思えないけど、例えば「恐竜というでかくて強い存在から逃げるために哺乳類は小さくてすばしっこい体を手に入れた」ってな感じで間接的に恐竜の遺伝子が記憶されている(ホントにそうなのかは知らないです)、みたいな話ならなんとなく理解できる。

・しかし同じレックスバイスタンプを使ってるのに、かたやTレックスモチーフのデッドマン、かたやマスクした白髪の悪魔とかなり違いがあるのはなんでだろう。人の心の闇を具現化するんだからその人によって多少差異が出るのは分かるけど、にしてもバイスにレックス要素がなさすぎる違和感。尻尾くらい。
ついでに軽く触れておくと、デッドマンってよく見ると案外変わったデザインしてるのね。初見じゃ気付かなかったけど、改めて見てみると下半身がすごく印象的。現状出ているのはクマみたいな毛むくじゃらなやつ(スパイダー,バッタ,レックス)と、虫の外骨格っぽい節のあるやつ(マンモス)と、爬虫類っぽい網模様のやつ(カマキリ)。
多分この3種類を素体として、上からスタンプモチーフの着ぐるみを被るような形で怪人は増やしていくらしい。ちょうどライダーバイスと同じシステムね。ヘビとかはよく悪魔に例えられるし、クマもそのままあ、クマってなことで分かるけど、昆虫の悪魔要素はパッとは思い付かないな。

 

 

……まぁ普通。戦闘のテンションはそれなりに高くて楽しめたけど、話的な見どころは大二のシーンくらい。あまり期待はしないでおく。

 

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