やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

侍戦隊シンケンジャー 第一,二幕「伊達姿五侍/極付粋合体」 感想

キャラクター

 志葉丈瑠
・ギャップ
ジイとの会話(1話 03:10)を見る限りでは、言動がめちゃくちゃ子供っぽい。始終スネてるような顔だし、「時代錯誤なんだ」という言い回しなんか特に。剰え、ジイに向かって汗を拭いたタオルを投げつける始末。
クウガとも通ずるものがあるけれど 「戦いに巻き込みたくない」というのはそれだけ「戦いがつらい」ことの裏返しでもある。
この描写のおかげで4人に対して偉そうなのは虚勢なんだと分かるし、でも嘘だからこそ丈瑠の必死さや懸命さが際立つ。なんでも自然にできてしまう人より、頑張ってできるようになった人の方が応援したくはなる。
その上「俺余ってるだろ」みたいな笑えるシーンに参加する違和感も消してるし、多少の演技の不自然さも逆に利用している。考えられてるな。
・何が殿を殿足らしめるのか
籠に乗る茉子、派手な衣装の流ノ介、果ては単なる学生の千明までもがそれぞれ殿と勘違いされるくだり(1話 11:22)が、面白かった。
エグゼイドのガシャットについて「とてもゲームソフトには見えない」と言う人が時々いる。
言いたいことは分からないでもないが、逆にゲームソフトらしい形とはなんぞやと考えると、これがなかなか難しい。実際に流通しているものを見ると、ゲームボーイは直方体,DSは正方形のチップ,Wiiなどはディスクと、一貫性がまるでない。スマホゲームに至っては電波だ。何故こんなにも多様かと言えば、重要なのは中に入っているソフトウェアであって、入れ物ではないからだ。
自分としては、何千円も出して手に入れたものが小さなチップ1枚ということに一抹の寂しさを覚えていた子供だったので、ガシャットがあのようにくるくる回したりして遊べる"楽しい"かたちをしていることには、むしろ賛成派だ。基盤丸出しってのも、それが問題ないくらいしっかりとした素材でできてれば済む話だし、それを言ったらディスクなんて丸出し以外の何ものでもない。その上持ちにくいなんて最低でしょ。
閑話休題
一旦は獅子折神を紋所のように使って証明してみせたけれど、ことはのミスで怪我を負ってもそれ自体には文句を言わず、強く戦う姿を以てして"殿"だと認めさせる流れには、納得の一言。
・ところで
1話の馬さんはじっとしてられないのか。いいシーンのはずなのにめちゃくちゃシュールな絵になってて笑いが止まらなかった。走り抜けるところはすごく格好良かったので出したこと自体は間違ってなかったと思うけど、あそこはもうちょっと何かやりようがあったのでは。


 花織ことは
年功序列
彼女、めちゃくちゃおいしい立ち位置だったね。メンバーの戦う動機付けはタイムレンジャーと似たような感じで、一人は既に固まってて、残りの4人は一番弱い立場の人間が頑張ってるからと他の3人が底上げされる感じ。あっちはレッドの竜也がハンデを持ちながら戦う覚悟を決めていたけど、今回はなんとイエローがその役を負ってて、最年少ながら(多分)誰よりもまっすぐに頑張る姿がとても印象に残った。……丈瑠は既に固まってたと言ったけど、4人がいるから自分はもっと頑張らなきゃと気を引き締め直したという部分もあるのかな。あの(ジイには見せなかった)虚勢はその現れか。
5人がチームとしてまとまるきっかけをつくった功労者として、これから先どんなことがあっても、彼女を嫌いになることはきっとないんじゃなかろうか。
もっとも、シンケンジャーにとって言葉(ことは)が重要なのは、当然のことかもしれない。変身アイテムのショドウフォン(携帯)もそうだけど、どちらもコミュニケーションを媒介して人と人とを繋ぐものな訳だから。
それはそれとして、上下関係というのは難しい。
僕の入ってたバレー部は幸い極端に威張り散らすような先輩はいなかったけれど、生まれた順番で上下を決めるのって多くの人が思ってる通り馬鹿馬鹿しいよな。「後片付けは後輩の仕事」みたいな風潮こそなんとなくあったけど、まぁ人並みの罪悪感はあるのか概ねちゃんと手伝ってくれた。試合に出るメンバーを休ませるとかならともかく、練習ならみんなでやった方が明らかにはやいのにね。
僕は元々、対人関係においては少し見下されるくらいの方が心地良い人間なので、後輩との関わり方には苦労した。普通に接してくれればいいのに、変に謙られるから困惑する。


 谷千明
・洗脳
自分の運命を受け入れていることはの様子を"洗脳"と表現した(08:14)。
他人からの影響をどこまで考慮するか、どこからを自分の意思とするかというのはゼロワンの感想にてずっと考えてる最近のテーマなのよね。
千明がこう捉えたのは、おそらく自分自身が他人に流されることが多いから……なのかな? 丈瑠みたいなやつとは組めないとか言いながらも、外道衆が出たらなんとなく一緒に戦ってたし(10:26)。これについては「時と場合を弁えられる大人」と解釈することもできるけど……まぁどっちも似たようなもんか。
「周りを尊重するのが大人、我を通そうとするのは子供」ってのが一般的な認識だろう。

(参考:ゼロワン感想一覧)


 外道衆
・権威
1話の敵である"カゲカムロ"だけれど、後の展開を知った上で見るとなかなか意味深な名前をしている。
まずモチーフとなった大かむろだけれど、これは文字通りでかい顔をした妖怪らしい。
「大きな顔をする」というのは威張る(今風に言うと"イキる")という意味の慣用句だが、そこに影が組み合わさると……そういうことになる。それを"倒す"のがシンケンジャーの物語ということになるのかな。

 

 

テーマ

・運命
またタイムレンジャーの話だけど、竜也が最終的に浅見の名前と向き合う旨の意を固めたのを意識してかはたまた無意識か、今作では「自分の家柄を受け入れる」というのがかなり前面に押し出されているように見受けられる。
2話で結束する前に1話で既に戦う覚悟自体は決まっていた(1話)ことから、各々これまでの人生の中で「侍として、家臣として生きる運命を受け入れる」というプロセスを経てきたのだろう。非常に大人なヒーロー達だ……。
そもそもなんで最初から5人揃えてなかったのかと考えると、丈瑠も言ってたように「時代錯誤」だからこそ、当面はドウコクがいないにも関わらず、命を張ってまで侍として戦うことを強要するのは難しかったのかもしれない。それこそ伝統芸能の跡継ぎ問題みたいな。
そういった状況の中でもなお、受け継ぐ覚悟を決められたのがこの5人(うち4人は、実際に危機が迫ったらという条件付きだが)だったということなのかな。
また敵である"外道"とは、仏教からみた異教のこと。そして仏教と言えば、六道輪廻(三途の川とも関係している)に代表される、因果論のイメージがある。前世の業がどうとか。
子は親を選べないし、親も子を選べない。前世なんて知ったこっちゃない。僕もまともな両親がいる家庭に生まれたかったし、父もきちんと自立して老後の面倒を見てくれるいい子が欲しかったことだろう。
でも、現実は現実として認めざるを得ない。
与えられた運命の中で、いかに 折り合い を付け自分を確立していくのか……その辺りが焦点になるのかな。
ナナシ連中というのも、名付けてくれる親(由来)を持たない者という意味なんだろう。

(参考:"仮面ライダー"の定義を考える/自然と自由の象徴として)

 


エンブレ厶というモチーフから受ける印象の通り、メカのコミカルな戦い方が面白くてよかった。
でも、"チャンバラ"という語感も含めて"真剣"とはイマイチ噛み合ってないような気もするけどいいんだろうか。
「馬鹿なことを真面目にやる」がコンセプトらしいので、面白く見えても本人たちは真剣って風に捉えておけばいいのかな。

 

次話

侍戦隊シンケンジャー 第三,四幕「腕退治腕比/夜話情涙川」 感想