キャラクター
熱田充瑠
・受け売りと個性
「それは自分の言葉なのか」と問われていたが、これもおそらくキラメイジャーにとってかなり重要なファクターのように思う。
ガルザの三日月仮面が印象的だけれど、宝石の輝きというのもそれ自体が光を発してるわけじゃなくて、太陽の光を反射しているものに過ぎない。
でも、宝石にはただの太陽光とは違う綺麗さがあるように、何かを"加工"して自分のものにすることはできる。
キラメイバスターなんかはまさにそんなイメージだし、魔進たちも変身前のメンバーからインスピレーションを受けなければ生まれなかった。
そういう意味で、充瑠が「支え合うために5人必要」という自分なりのロジックを生み出したのはとても良かった。
……でもね、そもそもマブシーナが言ってた方の「5人必要」って話に説得力がまるでないので、全体的に何を悩んでるんだか分からない感じになってる。今回確かに瀬奈は必要だったけど、逆に言えば他の連中は彼女ほど必要ではなかった訳よ。5人合体武器がある訳でもないし。
クウガでも「なんで正体を隠さなきゃいけないのか」に対するきちんとした説明がないまま自明のこととして「分かるでしょ」で押し付けてくるようなところがあったけど、同じ感じ。そりゃメタ的な見栄えの話をするなら確かに5人必要だけどさ。そういうことじゃないでしょ。
・交換不可能性
リレーの方に本物を行かせるのも好印象。ラグビー邪面を倒すのに必要な「足の速さ」は瀬奈である必要ってそんなにないけれど、「オザワ先輩のためにという思い」は瀬奈であることに意味がある。
セリフからは充瑠がそこまで考えて言ったことなのかは分からないけど。
ただ、戦隊としての活躍にも必要性を持たせるために代役ンが役に立たないという描き方になってたのは「解決になってなくないか」と思った。残りの3人は知らなかった訳なので、当然いない分をカバーするなんてこともできてないし。射撃組……特に為朝にはそれができる可能性ってあったと思うんだけどな。
回を重ねることでメンバー同士の絆ができてくると、連携という意味で戦闘にも「瀬奈である意味」が出てくると思うんだけど、そうなったらそうなったでまたどっちを優先するのかって話になってしまうよなぁ。
このままじゃ結局問題を先送りにしただけな気がするけど……多分扱われはしないだろうな。
(参考:"仮面ライダー"の定義を考える/自然と自由の象徴として)
速見瀬奈
・ギャップ
他の連中と違って、瀬奈の否定的な態度にはきちんと信念(先輩のため)があったから良かった。代役ンとの対比もあって、魅力である元気さも引き立ってたし。
最初は中の人も含めて、元気さに作為を感じてしまって見てて逆につらくなるのであまり好きじゃなかったんだけれど、そういえば中学の時クラスに(おそらく)素であんな感じの人がいたなぁと思ってからは見られるようになった。
射水為朝
・カンジ悪い
1話でもメンバーが充瑠に難色を示すくだりがあったが、あれは一瞬のシーンだったからまだ良い。充瑠の「そんなこと」発言も同様。でも今回の為朝は全編に渡って否定的な姿勢が繰り広げられた。エピソードZEROのマブシーナもそうだったけど、キラキラを謳いながらあぁいうところ見せられると、必要以上に悪印象を抱いてしまう。全然輝いてない。
特に「ラグビー邪面を倒す為には瀬奈が必要。でも陸上の方にも必要」っていう無理難題に対して、リーダー任されてるからってだけで充瑠に丸投げして責めるの、見てて不愉快だった。そもそも別に彼のせいではないし。「じゃあお前がリーダーならどうするんだよ」って言われたらぐうの音も出せないでしょこの人。彼に限らず、全員それぞれの方面で活躍してるのは事実なんだろうけど、じゃあ充瑠の他に「チームをまとめること」に長けてる人がいるかって言ったら別にいない。ピンクだけはオペの時に指示とか出してるかもしれないけどその程度。
為朝が言ってたのは「戦闘の方が優先度高いだろ」ってことだとしても、充瑠だってそんなこと分かった上で悩んでる訳だし。
こういう嫌なところも、前回言った"2面性"として受け取ればいいんだろうか。
青とピンクの売り文句として"容姿端麗"が使われてるけど、これって「見た目が気持ち悪かったら輝いてない」みたいなニュアンスを読み取ることもできてしまう。もちろんそんなこと明言はされてないけど。
僕は友達いわく「眼鏡かけてるとオタクっぽい顔をしてる」らしくて、自分としては真顔はなんとも思わないけど笑顔がとても気持ち悪くて好きになれないというか、嫌いなのよね。
ある友達は「どんな人でも笑ってるときは輝いてる」なんて言って僕の笑顔も写真におさめて寄越したんだけれど、そんな感じでルッキズムに踏み込んでいくエピソードはあるんだろうか。ないだろうけど。
(参考:仮面ライダーゼロワン 第5話「カレの情熱まんが道」 感想)
ヨドンヘイム
・もはや下ネタにしか
ラグビーボールは、元々豚の膀胱からつくられていたらしい。その裂け目から覗く目の不気味さがいいね。前回長々と汚い話をしてしまったけれども、一時期流行ってたポーズも相まって、今回も同じような意図があるようにしか見えなかった。
でも敵側は汚いものを好んでる訳だから、実際そういうことなんだろうと思う。
邪面獣はヒルドンってのを素体に仮面だけ変わっていくのかと思いきや、全部違ったね。それで等身大の怪人がさっぱりめなのか。ザリガニはそのものというよりは住んでる場所が汚いイメージ。連想として、有川浩さんの『海の底』に出てきたサガミ・レガリスを思い出した。自分の想像力のせいなのか文章のせいなのか、めちゃくちゃ怖かった記憶がある。
有川作品は有名どころを一通りかじったと思うけど、友達に紹介されて読んだ『植物図鑑』が一番印象強いなぁ。樹とさやかのふわふわとした距離感が好きだったんだけど、所謂ベッドシーンがあって、「結局樹もそういうことしたい人なのか」とひどくガッカリしたのを覚えている。
僕がそういうの好いてないの知ってたはずだけど、どういうつもりで彼女は薦めてきたんだろう。
戦隊は1話完結で短くまとめるからか、問題に対する解決法に納得いかない印象があるんだけれど、まぁあんまり具体的な話ばかりされても困るしなぁ。
あと、やっぱり合体した後は魔進って喋らないのね。同化してるみたいなイメージで見たらいいんだろうか。
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