※ネタバレへの配慮はこの一文を除き一切しないので、ご了承ください。
平ジェネFOREVER、見てきました。思いの外 席の埋まりが早くて2回目の上映になってしまいまい、なかなか感想書く時間が取れなかった。正直うろ覚えになってるのでなんか変なこと言ってたらすみません。
アマゾンズかなんかのインタビューで、白倉さんが「映画はアトラクション」という話をしてらして、偶然にも僕も物語に対して似たような比喩を使うことがあったので、なんか納得したんですよね。だから、大勢で一緒に見るからこその楽しみ方というのを考えてて、映画そのものももちろん見たんだけど、周りの反応というのにも意識を割いてみた。ちょうど僕の隣が3〜6歳くらいの姉弟(男女混ざってる場合、英語ではsiblingと言うらしい。ほぇー)で、多分僕のいた回の中ではこの子達が一番喋ってたんじゃないかな。保護者の方が必死に静めようとしてて、「僕は全然構いませんよ」と言いたくなった。言わなかったけど。前後の人は迷惑に思ってるかもしれないし、僕の一存ではなんともね。
まぁそれはいいとして、発見が2つ。平成ライダーが「全部名前を言えたら自慢できる」みたいな認識だったこと。だから結構みんな存在自体は知ってたみたい。あと、アナザー電王、Wを"仮面ライダー"と呼んでたのも面白かったかな。
もうひとつは、意味を理解してるかは怪しくても、タイミングとリズムで人は笑い、また泣きもするということ。こちらはこれまでもなんとなく感じてたけど、実際に他の人の反応を見てあぁやっぱりそうなのかなと。
はい、なんの話だってね。偶然にもネタバレ感想見たくない人への配慮みたいな感じにスペースを使ったのでまぁ結果オーライ。どうしても前振りとして話したかったの。お姉ちゃんの方は特にビルドメンバーが好きみたいで、嬉々として弟と語ってるのがかわいかった。
えーと、まぁ本題なんだけど、正直普通だった。意識を観客に向けてたってのもあるかもしれないけど、「感動して泣いた」とか、逆に「なんだこれは金返せ」とか、そういうことは特になかった。
前半が結構のんびりで冗長に感じたのとか戦闘シーンがやっぱり予告で見たのがほとんどだったのとかもあるけど、まぁおそらく一番の原因はこいつ。
予告でもあった「あの頃、本当に俺のそばに仮面ライダーはいたんだ」というのがこの作品のキモな訳だけれど、わざわざ言われなくてもそう思ってたフシがあるので、うおおおおお! みたいなのは少なかった。
「あ、だよね。分かる」みたいな。
電王の"時間は記憶"を持ってくるのも、実は予告を何度も見てるうちに薄々予想付いてたり。"これだろう"ってんじゃなくて、可能性のひとつって感じだけど。とはいえ良太郎の口から聞けるとは夢にも思ってなかった。終始ウラタロスが憑依してたのは、なんとなく照れ隠しにも思えた。ウラタロスの"言葉の裏"に良太郎の声が聞こえてる演出は、本編でもっと見たかったやつだし嬉しかった。
終わってから改めて思い返してみると、龍騎なんかもさり気なく「子供の頃のように願えば叶う」っていう世界観だったりして、"自分の思い通りになる"っていうのは意外とずっと描かれてきてたんだなぁと。555は「人間かオルフェノクか」ってところを自分次第で変えられるって話だし、カブトも「君が願うことならすべてが現実になる」だし。僕は初代見てないから又聞きだけど、仮面ライダーは"自由"のために戦うんだってね。
この間のジオウ感想でも書いたけど、そういう人の数だけ正義や現実があるっていうのが、少なくとも白倉さんの思う"仮面ライダー"なのかもしれない。
仮面ライダージオウ EP15「バック・トゥ・2068」 感想
現実の捉え方については、最近『serial experiments lain』とか『ビューティフル・マインド』とかを見たのに結構影響されてるのでそちらも読んでもらえると。
今作でもソウゴが元の世界に戻ったときに"フィクションだってことが夢かも"っていう、胡蝶の夢みたいなこと言ってたね。戦兎風に言えば"そんなのどっちでもいい"。あと小ネタだけど、ソウゴのセリフ(うろ覚えなので引用しない)がタケル殿の「変身できるとかできないとか関係ない!」を彷彿とさせて、やっぱりゴーストとジオウって似てるなと。
現実と妄想、フィクション。そして自分『ビューティフル・マインド』『Serial experiments lain』 感想
電王がフィクションなのになんでフータロスがいるんだって思ったけど、あれはアタルの"願いを叶えて欲しい"って願いが生み出したもの(後半のライダーと同じような存在)だとするなら、筋は通るのかな? アタルがフータロスを認めつつライダーの存在を認めないのは謎だけど。
アタルといえば、彼がアナザー電王になるシーンを見てなんとなく思ったんだけど、アナザーWは久永夫婦だったりするのかなって。他にそれっぽい人いないし。
響鬼がキックしてたのはちょっと笑っちゃった。まぁ魔化魍相手じゃないしね。
あともしかしてだけど、最後に出てきた仮面ライダー達ってイマジンなんじゃ?
ファンのイメージを借りて、平成ライダーというお伽話をモチーフにして実体化したもの。特に根拠めいたものはないけど、なんとなくそんな気がした。
そういえば、ラストシーンは結構良かったな。人々の記憶を元に出現したライダー達を見て、シンゴが"仮面ライダー"――正確には"平成ライダー"――を知るってところ。
作り手側のことでもあるんだろうし、例えば人に紹介する行為とかさ。それぞれの思う仮面ライダー像があって、それが他人に伝播してまた新たな仮面ライダー像がつくられていくっていうさ。
ただ、アナザーライダーはその"記憶"を奪う存在なんだけどいいのかな、とは思ったけど。
最後に。
以前、"シリーズ化する意味"を考えてた時期があって、その時は「最新作がフラッグシップモデルで、過去作は型落ちってのが理想? でもだとするとじゃあジオウみたいなレジェンドものの役割ってなんだ?」と思ったのよね。
『平成仮面ライダーぴあ』にその答えが載ってて、白倉さん的にはジオウは新たな時代に向けての「お片付け」だそう。
ジオウが力を奪い取っていくことで過去作は役目を終えて、棺桶に入る……。
映画が終わったとき、子どもたちが口々に「終わってよかった」って言ったのね。僕も直後に病院の予約があったので、確かに終わって良かった。いつまでも映画館に閉じ込められちゃ困る。
次の何かを始めるためには、今やっていることを一区切りさせて終わらせなきゃいけない。当たり前のことだけどさ。
「時代が終わる。すべてがはじまる」と銘打たれた今作の感想としてこれ以上のものはないだろうと感じたので、使わせてもらいました。平成ライダー、楽しかったです。
過去作感想