やんまの目安箱

やんまの目安箱

ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーアギト 13,14話「父の手掛かり/最強キック」 感想

キャラクター

 津上翔一
・「景気よくケーキをつくりましょう」
外見だけでちやほやするモブ達を一瞬で黙らせるこのダジャレ。そして最終的には料理の腕でちやほやされるように。流石だね。
・「もしかして仮病? 学校行きたくないって……いいんじゃない? 昨日あんなことがあったばっかだもん。俺、ずっと真魚ちゃんのそばにいるからさ。もしまたあいつが現れたらさ、今度こそ俺がやっつけてやるからさ。そうだ! 気分転換にさ、昨日話した手作りケーキ教室に行ってみない? ケーキ食べ放題だけど」
アンノウンに襲われた真魚の気持ちを察して、励まそうとする。いいね。翔一くんは何度もアンノウンと対峙してるわけだしね。
・「俺、なんか死なないような気がするんですけど。だって、今生きてるじゃないですか」
半分後付けらしいけど、翔一くんは現在に生きてる(氷川が未来、涼が過去)って井上さんが言ってたね。まさにそれを象徴するようなセリフだ。前回言った"執着"も、今あるものを重視してたら生まれにくいんだな、多分。"これから手に入れたい/失いたくないもの"や"既に失ってしまったもの"に対して抱くものだし。
・「もし俺が死んだら、誰が守るんだ? 真魚ちゃんのこと……」
翔一くんて、これまで結構ふわふわと戦ってきたよね。「みんなの居場所を守る」とは言ってたけど、それが直接ドラマの中で描写されることはほぼなくて、むしろ本当に翔一=アギトなのか不思議に思うくらい。アクションもかなり姿勢が良かったりと、翔一くんらしいかと言われるとうーんという感じだし。でも今回は明確に自分の知り合いを守るという意味で分かりやすく翔一くんだった。

 

 氷川誠
・「北條さん。先日は、すみませんでした」
ちゃんと謝るのすごくいい。氷川さんって感じ。
・翔一くんのピンチに駆けつける久々の氷川G3が頼もし過ぎる。

 


提示された謎

2.翔一の記憶
7.アンノウンの目的
11.翔一が持っていた手紙
12.子供
14.子供が涼を助けた理由
15.あかつき号事件
16.風谷伸幸殺害事件
17.アギトマーク
18.沢木哲
19.ノアの方舟
20.裏返ったテニスボール
21.何も写っていないビデオ

 


翔一くんって主人公だけど、これまで驚くほどドラマに関わってきてないんだよね。まともに彼の葛藤が描かれたのは3,4話ぐらい。それだって、今思えば「翔一のドラマはしばらく描くつもりないけど、それまで"アギト"を活躍させるためにこれだけは最低限やっとかないといけない」程度のもの。
北條さんのアギト捕獲作戦が始動しそうだし、そろそろ翔一くんも絡んでくるかな?

 

次話

仮面ライダーアギト 15,16,17話「罠の始まり/怪しい女…/捕獲作戦!」 感想

 

メモ

・闇の力に面会へ来る沢木はあたかも保護者か何かのようだけれども、実際の上下関係は逆なんだよね。いや、そう言い切ってしまうのもそれはそれで違う気がするけど。
そもそも闇の力は設定的には"子殺し"として人間を殺めているけど、見た目が青年だから三浦を殺したと考えるとどちらかと言えば"親殺し"的なニュアンスも持ち得る。
そもそも神様なんて存在は人間の想像力と信仰によって生まれるものだから(というのは無神論者側の意見だが)、その神が創造主を名乗る時点で明らかな主従逆転が起こっているのは間違いないんだけど、そこへ行くと今回の闇の力は神様の癖にファンタジーじゃなく科学によって生まれたってのが不思議で不気味なところだね。信仰はロード怪人達から得てるのかもしれないけど。
・小沢さんあんなこと言ってたけど、報告書を読む限り途中までは北條もアンノウンに対して「(生身で)できる限りのことはやった」と認めているのがうかがえる。
・「お金でも拾ったの」って……そりゃお前だろ(笑)
しかし真魚ねぇの回想、これじゃなんだか「プレゼントは何を貰うかじゃなくて誰に貰うかが重要なのであって、美杉おじさんからのプレゼントなんて嬉しくない」みたいなニュアンスに見えちゃうけど、大丈夫なのか。
まぁでも、根本的なところで彼女が美杉家を安心できる居場所として思ってないらしいのは3,4話で描かれてたし、そういう積み重ねがあってのいつかの家出なのかもしれない。
プラス、風谷伸幸殺害のミスリードのために敢えて印象悪くしてる部分もあるのかな。
・野菜といい魚といい、翔一くんは自分のことは知らないけど、自然のことなら割と詳しいよね。それも体系的な知識ってよりは直観的なところで。これもアギトの力によるものなんだろうか。魚の"口"に指を突っ込むっていうのも、意味深だし。一応あいつらも、口で水を取り入れてエラから出してる訳だから。
・身長測って柱に印つけるの、リスカ痕にしか見えないんだよなぁ……ビデオとボール、大黒柱(父)からのメッセージってところか。
・方舟に乗って肉体的な生存を得るよりも、全てを知ることで精神的な充足をこそ求める沢木。ファウスト的衝動と呼ばれることが多いけど、彼が魂を売る闇の力はメフィストフェレス? あの戯曲も確か神様が賭けをする話じゃなかったっけ、ぼんやりとしか知らないけど。
どうでもいいけど、精神科に入院すると折り紙はやるね。僕はだいたい塗り絵と漢字テスト(書き)だったけど。たかだか2級レベルのはずなのに、スマホに慣れきってるせいで6割くらいしか解けなくて悔しかった。
スコーピオンロード。闇の力の手にある刻印が明らかにさそり座なのでなんか意味のあるキャラであろうとは思うのだけど、正直他と同じく喋りもしないし、水のエルみたいにめちゃくちゃ印象に残ってる訳でもない。ちょっとライアに似てるなってぐらい。
気になったのでサソリの呼吸について調べてみたら、書肺と呼ばれる構造を持っているらしい。なんでも、その名の通り本のページのような見た目をしているとか。まさに知識を持つ肺(ワイズマンモノリス)って感じだ。
前回の解説(アギトとギルスの関係)の補足だけども、口自体は魚にもあるのにどうして顎(口)が鰓(エラ)の上位互換になるのかって部分は、恐らく鰓と違って肺が(内性器/外性器的な意味で)内臓であることに由来するのだと思う。肺は普段目に見えないから、子供は「口で呼吸をしている」と感じるし、我々大人も知識とは別でそのような感覚をどこかに持っている。普段は鼻でしてることも多いけど、"意識"して呼吸をする時は口のことが多いからか矢面に立たされてるイメージ。
そもそも呼吸にも、今まで触れたような外呼吸とは別に細胞における内呼吸がある。1週間考えたけど、多分この「◯◯に思えるけど実は……」ってところがミソなんじゃないかなと思った。呼吸は口でしているのかと思いきや、実は肺。肺でしてるのかと思いきや、実は細胞。魚の場合は鰓が外から見えるので「口でしてると思いきや鰓」という1ステップを踏まなくて済む。
本質を一段認識しづらいところに隠しておく"神秘性"や"複雑性"こそがアギトの力の源であり、知(地)の戦士でありながらそういう部分をあまり表に出さない翔一くんの態度にも表れているのかも。またエラ≒魚は陰陽太極図(二元論)の象徴でもあるので、翔一くんの持つ"何考えてるか分からない"感じは、割り切れず複雑であるという意味で高次元にあると言える。
アギトがグノーシス主義の話だってのは、今度こそ『語ろう!』で會川さんが語ってたことだけど、今の話は結構そこと通じる部分が多いように思う。一見して目の前にあるこの世界を、偽の神デーミウルゴスによってつくられたまやかしである(呼吸は顎,鰓でしているのではない)として、それとは別に真の神や真の世界(肺,細胞)があると考える。グノーシス主義の考え方は、それこそディケイドの感想で"オッカムの剃刀の逆"という(僕が勝手につくった)概念を説明したときにも使った概念だけど、これはまさに混沌をもたらす。混沌である(よく分からない)ことが力になるというのは、キョウリュウジャーの感想でもした話だし、現在放送中の白倉Pによる最新作ゼンカイジャー(ひみつのパワー!)にも通ずる。(仮面ライダーディケイド 8,9話「ブレイド食堂いらっしゃいませ/ブレイドブレード」 感想)
・「アンノウンは血縁関係のある者を襲う」って表現、なんだか襲われた者とアンノウンに血縁があるようにも受け取れないか? 勿論闇の力の子供って意味では兄弟みたいなものってのは大前提なんだけど。アンノウンも"怪人"として見れば人間に動物の特徴を足したような見た目ってことになるんだろうけれど、ただ動物に似てるんじゃなくて元々彼らがモチーフとなっているって話だから、もし人間のモチーフでもあったとしたら……。
人間は闇の力が自分に(最も)似せてつくった存在ってことにはなってるけど、それでも人間には色んなやつがいる。もしその個性が、既にいたロード怪人の性格などを参考につくられたものだったとするなら、この2つ(人間は闇の力/ロード怪人がモチーフ)は両立し得る。
僕がどうしてこんな無理のある推察をしてるかというと、アンノウンごとに襲う対象者が違うことに何かしらの理由を付けられないかと思ったから。例えば実家に帰った涼の元恋人 真由美や、前回までに氷川らが助けてきた被害者の血縁者たちが、恐らく別のアンノウンに襲われていないであろうことから、この疑問は浮かんでくる。全員が全員東京近辺から引っ越したとも考えにくいし(第一今回アンノウンの魔の手は群馬や埼玉にまで及んでることが説明されてるし)、わざわざモブを再登場させる意味がないってメタ的な理由こそあれど、劇中で通じる理由は今のところ見当たらない。
まぁモチーフであるか否かは一旦置いておくとして、アンノウンがアギトへの覚醒を察知できるのは血縁関係とまでは言わずとも某かの理由でシンパシーのある者だけ、というのはありそう。アギトだって同じアギトの力を持つ者(つまり同族)の危機は察知できても、そうじゃない人間同士の争いには関与できない訳だから、いくらアンノウンが超越生命体とはいえそういう限界や偏りがあってもおかしくはない。
まさに今回(配送業者と血縁のないであろう)真魚のこと襲ってるじゃん、というのは特に反証にはならない。まずもって翔一くんを襲ったのならアンノウン界隈でも彼は有名人だろうし、そのそばにいる真魚もまた有名人かもしれない。超能力で察知できなくても、別の方法で知って殺しに行くことはできる。

 ・アンノウン的にはG3って、邪魔してくるから無力化はしないといけないけど殺すことは絶対に許されないって意味で、案外厄介な存在なのかもしれない。そう考えると、G3がアンノウンを"撤退させる"流れは非常にしっくりくる。
・人間に金属片を埋め込んで、それがじわじわと成長してやがて凍死する……こう書くと、時間をかけて段々覚醒していくアギトの種を蒔いた"火"のエルと対比になってるのか。他の怪人と違って死亡までにタイムラグがあるのも、体内で闇と光の力(冷と熱)が拮抗しているからかもしれない。翔一のだけ小さいのも、小沢さんの予想がそのまま的中ってよりは、アギトだから相殺されてるって部分があるのだと思う。
「敵を倒せば元に戻って一件落着」っていうのも、毎度毎度だとご都合感があるけど、たまにそういうやつもいるくらいなら逆にリアリティ(それっぽさ)を増すかも。でも翔一の「アンノウンとかを"倒せば"助かるかもしれないってことですか」という主体的な表現(普通アンノウンが"倒されたら")をスルーしたのは(話の都合上、勘がいいときと比べると)ちょっとニブいなと思ったけど。
井上敏樹は病院を出会いの場か何かと思っているのだろうか(笑) バトルものだから怪我も多くて単に使いやすいってだけかもしれないけど、結構病院ですれ違うみたいな演出多くない? 北岡と島田さんとか。
僕も退院後、病院行くたびに「あ、入院してた時に見たことある人だ」ってなることが増えたから、なんか微妙に分かっちゃうけど。
真魚ちゃんが寝込んでたの、襲われたからじゃなくて、自分をかばって翔一くんが怪我するところを目の当たりにしちゃったからってところが大きいのか。だから元気そうな翔一くん(ケーキでも食べない?)を見て、元気になったと。
これ、意識してるのか分かんないけどすごく"クウガ"だなぁ……。
五代が死んだ時は本人に意識がなかったから椿が勝手に一条さんや桜子さんに連絡しちゃって、それでもなお五代を信じるって流れだったけど、翔一くんは意識があるので「死ぬかもしれないことは真魚ちゃんには秘密にしといて」と頼んで、怖くないはずはないのにそれを全く表には見せず、自分は大丈夫だからと周りにも安心を与える……と、視聴者が勝手に脳内補完をする。
五代が本当にただヘラヘラしてるだけの奴に見えるって人もいて、それはちゃんと見てないからだと言うのは簡単だけども、彼が弱みを見せてるシーンって本当に数少ないから、そう見えちゃうのも割と無理はないと思う(だからといって毎度のように悩んで可哀想アピールするのも嫌だけど、戦兎とか)。オタクはその辺バグってるから違うけど、まず30分番組を50話全部通して見るのが当たり前じゃないし、メインターゲットの子供でさえ多分全話は見てない。少なくとも僕は違った。録画できないと寝過ごしたり日曜日に運動会があったりして見られない週は普通にあるし、録画できたって最近じゃ毎週勝手にやってくれるけど録り忘れとかあった。
もっと言えば、その1話30分間でさえきちんと集中して見てるとは限らない。今見返して色んな発見があるってことは、それだけ当時ちゃんと見てなかったってことだし。白倉さんの"愛憎"評(人を殺すようなヤツは、少年だろうがなんだろうが、怒りの鉄槌をくだすべきだ!)は、そこんとこを踏まえて意識的にというか、敢えて曲解して話してるんだと思う。……誤解が生まれるのは相手の読解力不足じゃなくて制作側の表現力不足ですよというのを、制作側の人間として言っている。
ヒーロー番組を見る相手は、ひょっとするとまだまともに日本語の通じない子供かもしれないんだから、いくらセリフで暴力反対だなんだとお題目を掲げても、結局目に見えるのが敵をタコ殴りにしている様子だったら、伝わるのはそこの部分だけかもしれない。ヒーローが目当てだから、変身前の葛藤なんてそもそも見ちゃいないかもしれない。
……なんの話だっけ。そうそう、アギトの翔一くんはその辺を踏まえた上で、本当に何も考えてなさそうだしそう解釈してもあまり問題ないのが親切だよねって言いたかったんだ。だって少なくとも"アギト"は、いつでも姿勢正しく冷静で、感情を剥き出しにして相手に殴りかかったりしない。
・氷川さん! ちょっと氷川さん! いくら翔一くんが明日死ぬ身で命懸けるのも分かるからって、真魚ちゃんだけ連れて逃げるのは「脚本の都合で動かされてる」ってやつじゃないか!?
でもまぁ、普通に見てたら視聴者は主人公でアギトだって分かってる翔一くんのことを本気で心配したりはしないから、そこまで違和感覚えないだろうけど。こういうのが(尺とか色々と制約のある)作品を作る上で重要な綱渡りというか、バランス感覚なのかな。
真魚ちゃんみたいに、翔一が大丈夫っていうなら信じるとか、そういう話でもないし、助けに来るであろうアギトを信じてるってんならまだ分かるが、アギトだってこれまで漏れなく人を助けてきた訳じゃない。というか、いつも最初の犠牲者たちは翔一くんキャッチしてないのかな。
・ただ"混沌だから"で片付けてもいいけど、アギトをその手で殺した(って表現、未だにしっくり来てないけど)愛する人間の一人である沢木の提言(殺してはならない)だからこそ、闇の力は尊重して、マシントルネイダーに新たな力を与えたのかな。それに、殺そうと思えばいつでも殺せるってことが分かったからこそ泳がせるというのは理に適ってる。
そう考えると翔一くんが金属片で死ななかったのも、彼が何かしら手を加えたからかもしれない。ただ「自分の使徒の能力だから自由に消せる」と言い切るには、じゃあ火のエルのしたこともなかったことにできないのかってことになりそうだから、スコーピオンロードはサソリだけに闇の力がある程度は自らの意思で動かしてて、だからこそ帳消しにもできた……とかなら納得できるかな。
単に翔一くんの中のアギトの力がスコーピオンロードに勝ったのと同じく金属にも勝ったんだ、ってことでもいい気がするけど。
・またまた証拠品のカップを壊す太一。明らかミスリードを誘うような演出だけど、今までこれを大事に取っておいてるあたり美杉教授が本当に殺したとは思えないよねってなるようなバランスになってるのが絶妙。