やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

JIN-仁- 第六話 感想

キャラクター

 南方仁
・「この時初めて分かったんだ。俺にはこの世界に対する執着がない。だから私心などないような、仏のようなことができるけど、だからこそ、きっと、何ひとつリアルに感じられないんだ。俺はもう本当に、死んでいるのかもしれないな……」
離人感とか、そういうものかね。仁は過去に来てからそれなりに泣いたり笑ったりしているはずなので、正直いきなりこういう話をされてもあまりピンとこない。
・「患者の為に、手術時間を短くしたいんです。次のためによく見といてください」
患者の為に咲は手を出さないよう伝える。恭太郎のときに血や頭の中を見ても大丈夫だったから内蔵も大丈夫だろうと思ってたんだろうけど、きちんとすぐに判断できるところは信頼できる。
・「写真に写る君が良くなっていそうだからと言って、今ここにいる人たちの明日を、踏みにじっていいと言う理屈は成り立たない。これは、おそらく俺の招いた歴史の混乱だ」
自分がリアルに感じられないからといって、他人の現実を侵すようなことはしない。それが自然とできるのはすごい。
・「予想ですが、放っておいても医療技術や薬は進歩すると思います。分かりやすく利益になるものには、人はみな飛びつきます。それはとても簡単なことです。ですが、石を投げられ、私財を投げ打ってでも、人を助けたいと願う医の心を伝えていくことは、とても難しいことだと思います」
ここは緒方先生と佐分利のところと同じで、正論と更なる正論って感じ。

 

 橘咲
・野風の顔が羨ましいとこぼす。恋愛感情というよりは、どちらかと言えばSteins;Gateの「星屑との握手スターダスト・シェイクハンド」を見たときの岡部と似たような感情だろうか。

 

 坂本龍馬
・龍馬「何がどうええがじゃ。ここにおれば、その医術を広めることも、いくらでもできるがじゃろう。それを嘘をつき、ありもせん責めを負い、どこをどうしたらそんな理屈になるぜよ。先生には欲っちゅうもんが全く見えんぜよ!」
仁「欲?」
龍馬「おうよ。人間は欲深い生きもんじゃ。国のためなら、死ぬることができるっちゅう志士も、人のために生きるとほざく医者も、一皮剥けば、成り上がりたい、金が欲しい、名を残したいっちゅう欲で雁字搦めじゃ。儂かちそうじゃ。頼まれもせんのに、この日の本の国をもっとええ国にしたいと思うちょるがは、生まれてきたからには、何かやってやりたいちゅう欲からじゃ。けどその欲があるき、儂ゃ進んで行ける。欲は生きる源じゃ。じゃが先生のやっちょることは、まるで……仏じゃ。もし人であるならば、死人じゃ」
仁「死人……」
龍馬「儂ゃ心配なんぜよ。なんの欲ものうて、殺されるっちゅうてもポカーンとしちゅう先生が。いつか命さえ、『はいそうですか』ちゅうてポーンと放り出しそうで」
初めて会ったときのあれは、こういう関係性の仄めかしだったんだろうね。


 野風
・「ならば、あちきをお切りくださいなんし。さすれば、大門を出てゆけるでありんしょう?」
こちらはむしろ恋愛感情が主だろうか。
・「咲様は、あちきを羨ましいと仰ったけんど、あちきは咲様が羨ましい。野の花のような風情も、穢れを知らぬまっすぐなお心も、そして、何よりその身の上が。例えば、咲様は好いたお方のお側に、己の足で向かうことができるのでありんしょう。あちきには、叶わぬ夢でおざんす」
野風がタンポポを見ていたのは、咲のことを思い浮かべていたのだろうか? てっきり、しっかりと根を張るタンポポは野風かと思っていたけど……綿毛を飛ばすからだろうか。

 

 佐分利祐輔
・「腑分けをしておりました!(中略)その女郎の病を時々診ておりました。薬元持っていけぬ身の上ゆえ、死後腑分けをし、それで払ったことにしてくれと。誓って、殺めたりはしておりません!」
すぐさま正直に話したのは好印象。少なくとも倫理観が欠如しているような人ではないとすぐ分かる。

 

 緒方洪庵
・佐分利「熱心な医者なら、腑分けなんて隠れていくらでもやってるやおまへんか。況してや墓荒らしわけでもないのに、咎め立て立てされるなんて聞いたことありまへんで! 大体こうでもせんと腑分けなんか出来んでしょう! 御上の許す腑分けは一年に二つか三つでっせ。そんなもんでどうやって医術学べいうんでっか。そんなんじゃ……いつまでたっても南方先生の神がかった医術に、追いつくことなんか出来やしまへんで! それでええんでっか!?」
緒方「弟子の不名は、私の不名。佐分利共々、身を引かせて……」
佐分利「緒方先生! 私は医術のためにやったのでございます! 国のため! 道のため!」
緒方「お前の言う道とは、自分のためだけの道や! 道を開くと言うならば、お前は堂々と、腑分けはすべしと、そう叫ぶべきやったんやないか!?」
佐分利「そんなこと言われたって通るわけ……」
緒方「玄朴先生も、私も……人殺し、出ていけと石のつぶて投げつけられながら、至当という道を開いてきました。この医学所も、玄朴先生らが私財を投げうって作ったもんや。道を開くということはな、自分だけの逃げ道を作ることやない!」
佐分利の言っていることも最善ではなくとも間違っているとまでは言えないのだが、更なる正論で捻じ伏せるのは師弟関係を如実に表していて流石。
ここは口で語られただけで視聴者は緒方先生達がどんな苦労をしてきたかを実際に見たわけではないものの、他ならぬ仁が、人殺しと言われ奇異な目で見られながらも人を救い道を切り開いてきた積み重ねを知っているし、緒方先生がその姿に過去の自分を重ねて仁を信用したという経緯もあり、想像に難くない。説得力は十二分である。

 

 

今回は若干テーマが散らかっている感があったかな。
あ、"腹を切る"って単語がすぐに死と繋がるのはそれっぽくてよかった。あと、顔を覚えられるほどでもないモブを覚えてもらうためにアザ? みたいな特徴を強調するのもセオリー通りとは言えしっかりしてた。

 

次話

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