やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーゼロワン 第13話「ワタシの仕事は社長秘書」 感想

キャラクター

 飛電或人
・「俺みたいなダメなやつ」
そういえば或人は、"ゼロワンとして戦う覚悟"は決めたけど、"飛電の社長になる覚悟"については微妙なとこなんだよな。実際に社長として会社の利益を第一に考えるなら、不利益のある情報は隠した方がいいし、9話でも再起動しない方が「ヒューマギアが暴走した」という実例を増やさずに済んだ。5話で漫画家にヒューマギアを送らなかったのも、太い客を失うという意味で会社にとってはマイナス。
イズも言っていた通り、或人は会社に損害を与える言動はたくさんしてると言えばしてる。社長としては失格かもしれない。
でも今ここで挙げたいくつかの例については、会社に得があるかどうか以前に、もっと広い視点でより良いと思われる方を選んでるよね。
ヒューマギアが暴走してるのは事実なんだから、客にはきちんとそれを踏まえた上で「自分だけは大丈夫」と思って使い続けるのか、はたまた使用をやめるのかを判断する権利があるし、自分のゼロワンとしての努力で助かるかもしれない命があるからそれに賭けること、ヒューマギアが普及することで人類全体が怠慢になることへの危惧。
……結局は良いか悪いかの判断の話になってくるので、実際に或人の行動が適切だった(良い)かどうかというのは、受け手側の価値観に委ねるしかないんだけれど、少なくとも「会社の利益を優先して世間に迷惑をかける」のと比べたら、きっと多くの人が"良い"と感じるものであるように思う。例えば僕のバイト先では、会社の利益のために(?)ちょっと床に落ちたくらいの商品はささっと洗って詰めるようなことが見られた。
どちらも回り回って会社の評判が落ちるかもしれないという点では"目先の"利益と注釈すべきかもしれないけど。
もちろん会社というのは人の集まりなので、社長が世間の為とは言え"自己犠牲"のノリで会社に損害を与えてしまうと、社員という他人にも迷惑がかかってしまう……という問題はある。最終回の剣崎に対して僕が「お前はそれでハッピーエンドのつもりかもしれないけど残される人達が可哀想だろ。秘密にする必要性が分からないし、きちんと話して納得してもらってからで良かったんじゃないのか」って思ってしまうのと似ている。
でもまぁこの辺は難しいとこだよな。剣崎で言うところの仲間や友達と違って、会社というのは社長(ただし是之助)ありきのものではあるし、だとするならばその社長の理念(是之助は或人に託した)は会社という領域においては何を置いても優先されるべきものにも思える。
「ここはそういう目的の集まりなので従ってください。嫌ならあなたがここから立ち去ってください」という話。"病院ではお静かに"というのも、極論そういうこと。病院内で静かにして欲しいのは一体誰で、静かにする当事者はその目的を共有してくれるのかどうか。
場を弁えるならば、或人が気に食わない社員は飛電を辞めるか、或人を直接説得するしかない。
或人は社長としては駄目なやつかもしれないけど、人として悪いやつであるとまでは、今の僕は思っていない。
・もう少し踏み込んで共感の得られなそうな話をすると、そもそも個人とか会社とか病院とか、そういった"壁"……鈴木健さんの表現を借りるならば細胞膜の"膜"というものは、人の認知が生み出している仮想的なものに過ぎない。というのが持論ではあるんだけどね。
いくら「"会社"の成員は社長の理念に従わなければならない」「社長は会社の利益のために尽くさなければならない」「"病院"の中では静かにしなければならない」という規律をつくって定義づけ、「会社→社長の理念に反さない」「社長→会社に損害をもたらさない」「病院→静か」と物事を一面的にしようとしても、本質的には意味を為さない。

(参考:"仮面ライダー"の定義を考える/自然と自由の象徴として)
「或人は隠し事をしない」というのも同様で、「隠し事をしたくない」と思いながら同時に「何かを隠したい」と思うこと、また滅亡迅雷との共闘は拒みながらドライに唯阿(ZAIA)と組むことは、不思議なことながら人間の脳にはできてしまう。これを読んでいるあなたも一度くらいは、意識していなかった自分の矛盾点を他人に指摘された経験があることだろう。後から解釈を加えて辻褄合わせをすることはできるが、どうやら人の無意識は(意識が感じる)矛盾を問題にしていないということは、認めたくないだけで実は明白なのではないだろうか。
世の多くの視聴者がそうであるように、僕も「悪人でも命は大切だと言っていたはずなのに、11話で永夢が黎斗を"殺している"」という点について、何度も見返すまでは全く気が付いていなかったし、当然矛盾しているとも感じていなかった。「あれは正当防衛だ」などという弁解の入る余地がない純粋な"受け入れ"。それこそが無意識の持つ曖昧さである。
「本編と映画はパラレルなのか地続きなのか」問題も同様で、そもそも多くの人(オタクではない人、または子供など)は、そのような理屈を必要とせずに曖昧なまま"そういうもの"として受け入れている。
疑問視している人たちにしたって、本編だってエピソードやカット毎にパラレルかもしれないという可能性についてはまるで意識していないことが多い。設定や登場人物の言動が矛盾して見えるのなら、それは「パラレルだから」で説明がつくかもしれない。『ディケイド』はこの態度を体現する存在で、因果関係という繋がりを破壊し全てを並列化する。そうすれば矛盾など起こり得ないという意味で、完璧な"説明"と言える。その説明は意味(物語)を持たないが。
対して『ジオウ』は全く逆のアプローチ、曖昧さを真正面から受け止め矛盾も許容するようなイメージ。
……話を戻すけれど、個人とか会社なんてものはあくまで我々の目に映るインターフェイスに過ぎない。
"わたし"という心の壁は実態を持たないので、"わたしたち"という概念が成立し得る。「性暴力は加害者と同じ男性が自分事として解決すべき問題であり、我々女性は他人事である」なんて意見がほんの少しでも正しげに見えてしまうことがそれを顕著に物語っている。なぜ「同じ人間として」捉えることはしなくてもよいのかをきちんと説明している人は見たことがない。
或人が社員たちを"わたし"の中に含めて自己犠牲的な行為をすることも、逆に会社という繋がりを断ち切り或人の行動と社員が被る損を無関係とすることも、結局は捉えようひとつなんだよな。或人個人の言動を飛電社全体に逆流させることが正しいわけじゃない。
・「不破……さん」
何気に人のこと名前で呼ばないんだよな、或人。エイムズとか滅亡迅雷とか、所属で呼んでることが多い。やっと一人の人間として不破を意識したんだろうか。
・"ゼロワンとしてマギアを倒すこと"に限って言えば、彼の功績を否定する人はなかなかいないんじゃないだろうか。社長としてどうかはともかく、マギア掃除屋としてはほぼ失敗なしと言ってもよかろう。
その経験が糧となって今回のパワーアップに繋がるというのは、僕としては割とアリだった。ただの七光で終わるんじゃなく、これまでの努力という意味での"過去"が力をくれるというのは、ちゃんと因果応報してる。
・でもって今回、ゼロワンとして戦って満身創痍ながらも文句1つ言わず社長としての業務をこなそうとする姿が描かれていて、そっちの面でもきちんと好印象を受けた。前回がつまらんかったから不安だったけど、いいんじゃないの。

 

 ワズ・ナゾートク
・彼が死んでお涙頂戴というよりは、単に「イズが死ななくて良かったね」と強調する話に見えた。僕がワズ嫌いだからだろうか。別にイズも大して好きじゃないけど、ワズよりゃ愛着あるなって思わされた。

 

 警察
・そもそもは「暗殺ちゃんと同型のヒューマギアを飛電がつくった証拠がないので、暗殺ちゃんが自らの意思で犯行に及んだとしてもその責任(過失か、ともすると飛電社が故意に襲わせたのでは、という嫌疑)を追求できない」というところから今回の探偵編は始まっていて、それでいくと前回暗殺ちゃんは盗まれた上に改造された機体であることが発覚しているので、つまり既にほぼ解決してるんだよな。
今回は窃盗団がまだ証言をしていなかったので別の証拠としてドードーゼツメライズキーが必要だった、と見るべきか。まぁそのままでも「疑わしきは罰せず」なので、実害はイメージダウンくらいしかないんだけど。
……流石にヒューマギアを盗まれたことに対して「ちゃんと管理しておかなかった飛電が悪い」とか言い出す奴はいないよな? 改造にしたって、バカみたいに普及してるiPhoneですら脱獄なんて言葉が普通に飛び交ってるんだぞ。こじ開けて爆弾仕込むことだってきっと簡単よ。危険だから使わないほうがいいと思うなぁ。
・正直どうでもいいんだけど、警察から逃げることの何がそんなに悪いのか僕にはイマイチピンとこないんだよな。悪いことしてるかどうかが問題なのであって、してないなら別にいいんじゃね。更に怪しまれたって、潔白の事実は変わらないんだからさ。僕が警察の仕組みについて、特に捜査の任意と強制の差に詳しくないというのもあろうけど、警察というものにあまり特別な権威を感じていないというのがあると思う。
つーか照井もこの間のVシネで全く同じことしてたろ。
強いて言うなら警察の捜査を不必要に撹乱することは社会に対する損害かもしれないけど、そもそも見当違いに疑ってる警察が無能なんであって、ことの証明責任は(世間のイメージ的にどうかはともかく法的には)警察にあって飛電にはないはず。

 

設定

・バックアップができなければコピーもできないってのは分からんでもないが、"摘出"なることができてしまうなら結局セキュリティとしての意味はないのでは。ワズも活動停止してたはずだから、戦闘データはどこかしらと同期して手に入れたはず。
そもそも飛電がセキュリティのためにバックアップとれなくしたんだろうから、それを解除すればいいだけだろとも思うんだけれどさ。
「自分ですら破れない(ただし破れる)セキュリティ」って、もうすごいんだかすごくないんだかよく分からん。
ファルコンキーが要らなかったのは「要らなかったんだね」としか言えないけど。

 

 

なんと次回は仮面ライダー雷なるキャラクターが出るらしい。思うところがあるが今回は字数がちょうどいいので、このネタは次回へ持ち越し。

 

前話

仮面ライダーゼロワン 第12話「アノ名探偵がやってきた」 感想

次話

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