やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーゼロワン 第8話「ココからが滅びの始まり」 感想

キャラクター

 飛電或人
・「俺の個人情報」
俺を客に変えるだけでも好感度って簡単にあげられるんだけど、しないのよねぇ。でもこうして作者の視点に立って、自分の心ひとつでこのどちらかのセリフを或人に言わせられると考えたとき、後者は後者で視聴者に媚びを売ってるような印象を受けなくもない。いや、売って悪いことはないんだけど、わざとらしいと逆効果だよね。なんて思考を挟むと不思議なことに、偽悪的(本当はそう思ってるんだけど口に出してないだけ)なように思えたり思えなかったり。無理あるけど僕は一瞬だけそんな気がした。或人がというよりは作者が、という側面が強いが。
・病院では静かにな。飲み物をでかい音立てながら飲む幻徳を思い出したよ。仮面ライダーは必ず教育に良くなければならないとは思ってないけど、今回ばかりは一言注意されるくらいはあっても良かったんでないの。スベったとかそういう問題じゃないから。病気で気が滅入ってる人たちを笑わせようとか思ったにしても。
まぁ、誰も注意しないことに対して代わりに注意するために僕はこうして感想を書いてる訳なので、これでいいけど。
・医療用ヒューマギアは漫画アシスタントと違って、きちんと情熱や理念を持った所有者(という表現は少し違うが)がいるのだろう、きっと。自分の好みも述べてたが、口にした通りなら情熱を持ってヒューマギアを使う分には"問題"はないはずなので、そこはあくまで彼の中の道徳と感情で別の話なのだろう。少なくとも病院には根底に情熱がないと感じる要素が或人には見当たらなかったから、彼は不破の意見に反発したのだと思われる。
まぁそれも正直ただいい部分を都合よくピックアップしただけなので反論になってないんだけど、「ヒューマギアは残らずぶっ潰す(すべて悪いものだ)」という意見に対しては有効。なんだけれど、その当の不破って僕が思ってたほど急進的じゃないというか、普段は「不愉快」ってだけで済ませてるらしいので、残らずというのは表現が不適切なだけなのかもしれない。或いは、「"いずれ"残らずぶっ潰す」なのか。
・イズの指示に従い戦うゼロワンの姿というのは、"使う人間と使われる機械"という垣根を超えたイメージを持たせる。指示してないことをすることが自我の芽生えだとするならば、これも自我と言って差し支えないような気がするが、「戦いのサポートをして」と頼んでいないとも限らないし依然微妙なところか。少なくとも目的は或人と共有しているように見える。それはましろちゃんもそうだが。

 

 不破諫
・「俺が言ってるのは気持ちの話だ」
後のセリフと合わせるとざっくり「ヒューマギアは自我を抱くと暴走するから危険」みたいな話なんだろうと思うが、暴走はハッキングのせいだと言われて銃を下げるシーンもあった。
彼の中で、自我によって自発的に危害を及ぼす可能性とハッキングによって暴走する可能性が、どうやらごっちゃになっている様子。もし前者にも差し迫った危機を感じているとしたら、その根拠はなんだろう。人間に都合のいいように使われる奴隷であったことに不満を覚えるだろう、みたいな話?
・或人の項で言った通り、口で言ってるほど極端な思想の持ち主ではなさそうなことが分かったので、今回はちょっと好感度が上がった。4話でアンナを破壊しなかったこととも通じるし、冷静な判断もそこそこできる人らしい。
ヒューマギアがいない病院に行くくらいのことはしないのだろうかとも思うけども、組織側から検査する病院まで指定されたりするのかね。或いは医療現場に限ってはもうヒューマギアがいないところはほとんど残ってないとか。
・「お前がデイブレイクの首謀者だったのか!」
細かい話だけど、不破が滅と顔を合わせる機会ってこれまでほとんどなかったはずで、不破の視点からすると「デイブレイクの首謀者はお前だったのか!」の方が明らかにしっくりくると思うんだけど、妙な言い回しだよね。これも視聴者への説明的なニュアンスを足した脚色として解釈できるけど、そもそもこういう「ん?」は少なければ少ないほど作品に没入はできるのでなるべく減らして欲しいところ。

 

 刃唯阿
・ギーガーの存在を知っていたことからも、滅亡迅雷はやっぱりあのチェス男か誰かと繋がっているみたいね。マッチポンプの目的は依然不明なままだけれど、4話で予想した「道具は使いようとか言ってた唯阿自身がチェス男に道具として使われていることをどう思っているのか」について、今回暗殺対象に選ばれたことで「自分はいいように利用されてただけだったんだ」と泣き言を言い出す前フリは整ったと見るべきか。
不破の「ヒューマギアに助けられて意見を変える」展開と言い予想が付きやす過ぎるように感じるので、どちらもそう思わせておいてやらないっていう逆のフリなのかもしれない。唯阿の方はともかく、不破はそっちを選んだらもう頭の硬さが限界突破して面白く描きようがない気がするので流石にないだろうか。

(参考:仮面ライダーゼロワン 第4話「バスガイドは見た! アンナ真実」 感想)

・「お前の感情論を押し付けるな」
人に押し付けるなと言いつつ、「押し付けるな」という意見を押し付けるのは、いわゆるブーメランとなる。
ここでは、不破は「気をつけろ」と忠告しただけだし、僕には押し付けているとまでは聞こえなかった。また唯阿の方も自分の信条を守るために対等に言い返しているだけで、不破の信条を否定し押し付けようとまでしているとは思えなかった。
口に出すことがすぐさま押し付けることになる訳ではない。
提案は断ることができるし、そもそもいかに強い命令形だろうと口で言っているだけでは人の意思を阻むことはできない。「死ね」と言われて自殺するのは、言われた当人がそのつらさから逃れたいと思ったからなどであり、"死ぬ"ことの主体は言われた側である。すなわち死にたくないと思うならば、死なないことは容易にできる。
だがまぁ、この話は"確固たる自由意思を持った強い個人"を想定した場合のことであって、外からの影響を大いに受ける弱い個人を想定した場合、命令することがそのまま相手の行為の主体となりうる。意思を持たない個人というのは道具(自分の拡張パーツ)と同じであり、道具そのものは主体となり得ないからだ。

(参考:エゴとエゴの均衡『映画 聲の形』 感想)

 

 滅亡迅雷
・ギーガーの存在を知ってたのもそうだし、セキュリティロックが解除される起動実験の時にタイミングよく現れたのも偶然ではなかろう。
あんまりピンとこなかったけど、セキュリティロックってのは要するに、僕らがスマホを使うときにパスコードを入れるみたいなもんで、電源切るまでならそのまま無防備に使えてしまうってことなのかね。突然の襲撃でロックが開きっぱなしだったと。まぁそれくらいはあってもおかしくはない。緊急時のマニュアルとか訓練とかないのかとも思うが、結局人は人なので。
・ギーガーにでっかいゼツメライザーが付いてたんだけど、唯阿が視認したときに異常はなかったらしいので、ゼツメライザーを隠しておくこともできるらしい。できて困ることは具体的には今のところないんだけど、唐突でな。ちょっとびっくりした。
・剣をチラチラ見せながら使わないの、漫画回で「人類滅亡」と言いながら銃を向けたけど撃たなかった迅を思い出した。なんなんだろうな、これもヒューマギアのユーモア(遊び心)なんだろうか。 
芝居がかった口調といい、変身時のびよーんといい、なんか笑えてしまうんだよな。面白いからいいけど。

 

 白衣の天使ましろちゃん
・直接は関係ないんだけど、イズが或人に付き従っている様子から女性蔑視(軽視)的なニュアンスを感じる人は、この優しく愛嬌を振りまく彼女にもきっと難色を示すだろうなぁ、と。
僕はその件について該当人物とじっくり話し合ったことがないので思い過ごしかもしれないが、その人たちは具体的事例と抽象的傾向をごっちゃに語りがちな気がするんだよね。
ヒューマギアであることを加味するとややこしくなるのでここでは人間として扱うけれど、具体的事例としてのイズやましろちゃん個人は、"多数派"であるつもりも、況してや"男性派"であるつもりもないと思うんだよね。仮にあったとしても、それもあくまでそういう"個人"であって、それ以外の何者でもない。
「男性の下に付くこと、愛嬌を振りまくことを他人に強要すること」を批判するのは分かるけれども、具体的事例に対して「同調圧力」を見出して批判するのは、端的に言ってやり過ぎだよ。それについて文句を言いたいなら、具体的事例に還元せず、"空気"に対して直接言うしかない。空気は空気であって、イズやましろちゃんではない。
何故僕がそれを批判するかと言えば、どちらが多数派か少数派かというのは明らかに外的要因であって、自分で決められることではないからだ。多数派が力を持つ傾向にあるのは確かだが、多数派になることがすぐさま悪いこととなる訳では当然ない。
詳しくは下の記事に書いてあるが、"無言の"同調圧力の正体は「多数派に加わってリスク回避したい自分」の投影である可能性が高いと思う。
男性の下に付くことや愛嬌を振りまくこと、かしこまったつもりであの位置に手を置くことは、悪いことでは決してない。それは紛れもなく、その人たちの自由だ。例え作者が男性であろうとも。

(参考:「男性VS女性」の構図が表すもの/平山亮さんのインタビューを読んだ感想)

 


設定

・ローカルネットワーク
近々……具体的にはゼロワンが放送休止の週に出す予定の記事で詳しく書くけれど、「ショッカー怪人」という集合に属する人がたくさんいれば、一人や二人くらいショッカーに反旗を翻す者が現れるのが"自然"なこと……というのが仮面ライダーの基本理念であると僕は思っていて、そういった意味でヒューマギアの自我や暴走というのも「そういうこともある」こととして捉えてる(作劇の都合で我々が見るのはマギアばかりだが、暴走してないヒューマギアはそんなの比にならないくらい沢山いると思われる)んだけど、それに対するカウンターとして「中規模な集合なら完全にコントロール下における可能性はあがる」というのは、なかなか説得力を感じるものではある。"戦隊"という発想の元はこれだと勝手に思ってるくらい。まぁなんでそれを他の場所でもやらないのという疑問は出てくるかもしれないが、やらないにはやらないだけの理由がある、と信頼することに今の僕はやぶさかではない。例えばそれこそコストの問題とかね。

(参考:大自然がつかわした戦士『漫画 仮面ライダー』 感想)
"ヒューマギアが人型である必要性"がなくてもいいことを示す例として「コスパがいい」可能性を挙げておきながらこっちでは反対の可能性を挙げるなんて都合がいいと思われるかもしれないが、別に背反なものではないと思うので僕はこれで納得できます。それぞれ材料費とサーバーの維持費(?)だと考えれば、関連性がなくても不思議ではない。
あとはそうだな、特許とか? お金払っても使えないタイプの独占も確かできたような気がするので、そのケース。
もっと突飛な妄想でもいいなら、唯一そのプログラムを扱えるエンジニアが何らかの理由で一部にしか協力したがらない、とか。
・というか書いてて整理されたけど、自我に目覚めることで飛電のセキュリティから解放されて、副次的にハッキングされやすくなる、ということなのか。トリロバイトの扱いだけ難しいけど。
つまり飛電のセキュリティは、ヒューマギアがシンギュラリティに達して人間を超えない限り破られることはないと。なるほどそう考えると、きちんと「飛電が低レベル」なんじゃなくて「飛電も高度だけど更に高度」なように設定されてるんだな。ちょっと作品からだけでは分かりにくいけど。
・今回唯阿によってシンギュラリティが技術的特異点とも呼ばれることが判明したが、それでもまだ僕はきちんとは信用してない。自我を持つこと(人間の意思から逸脱すること)が果たしてそのまま人間を超えたことになるのか。人間である僕がAさんに「そのパンちょうだい」と言ったのにくれなかったら、Aさんは人間(の概念とやら)を超えたことになるのか? ならんだろう。"人間の概念"という言葉選びからしてよく分からないのでなんとも言えないけど。
ただ、「アークが人間を滅ぼそうとするのはシンギュラリティの賜物だ」というのは全く分からない話でもない。結局のところ(作中の)人間を超えた知性を(現実の)人間が描くという時点で歪みがあるんだけれど、なんとなくこれは受け入れやすい。
本来ならいち視聴者なんかじゃ到底理解できないくらい深いものじゃないといけないんだけどね。
まぁ要するに作者(人間)より頭のいいキャラは描けないという話みたいなもので、それになぞらえるならひとつの反論として、「作者が3日考え抜いて思い付いた案を一瞬で閃いたら超えさせられる」というものがあって、その理屈でいくと未だ人類は自滅の道を選んでないけどアークは選んだ、という意味で超えているのかもしれない。
・ギーガー
検索しようとしたら、予測にネジレ……もといネクロノミコンと出てきた。
あれだよね、クトゥルフ関係の本か何か。クトゥルフはなー、全然知らないんだよな。それこそヘボットでちょっとパロディを見たくらい。果たしてこいつと関係あるのかどうかは分からないが、教養のひとつとしていずれ履修したい。
・何気にショットライザーも量産されてるらしい。そのうち量産型マッハやライドプレイヤーに相当するライダーが出てきそうだな。不破や唯阿に何か特別な資格があるような風には(今のところ)見えないので、設定上では誰でも同格の仮面ライダーになれそうなもんだが、それこそ量産するとなると自然と格は落ちるのかな。いま仮面ライダーに変身してる奴らが全員ヒューマギアだったら話は別だけど。

 

 

書きたいネタはもういくつかあったんだが、字数が目安にしている5000字を超えたので来週に持ち越し。
短期バイトを始めるので向こう1ヶ月ほど更新が遅くなるかもしれません。

 

前話

仮面ライダーゼロワン 第7話「ワタシは熱血ヒューマギア先生!」 感想

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