やんまの目安箱

やんまの目安箱

ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

電王の設定が分からない!

電王を一応最終回まで見終えた現在、設定を何1つ理解できてません。そのせいで良太郎たちのやってることが良いことなのか、悪いことなのか、それとも善悪の尺度ではかるようなものじゃないのか、全然分かりません。何よりも、あの作品が何を描きたかったのかすら、分かった気になれなかった。よって、この記事で設定を整理しようと思います。ここを書いてる今の僕ははてなマークで頭がいっぱいだけれど、書き終わる頃の僕がスッキリしていることを願います。あ、目的は僕がスッキリすることなので、飛躍はたくさんすると思います。

 


さてどっから手を付けるか……まずは時間改変だよね。あ、用語として、基本はテレビ放送された2007-2008の視点を"現在"とします。

最も回数が多い改変は、イマジンによるもの。
イマジンの破壊行動は、現在にもリアルタイムで影響を及ぼし、倒されることでどうやら現在も過去も"修復"されるらしい。ここが第一の謎。
未来からの介入者が消えれば介入もなかったことになるのか? 普通に考えたら電王が駆けつけて倒すまでの被害はなくならない。よって、イマジン自身、或いは電王が倒すということに何かカラクリがあるはず。

 

電王については謎が多すぎるので、イマジンから。彼らは未来からやって来た人間の精神体……のはずだが、キンタロスの言う通りなら彼らは「未来で暮らしてた記憶」を持っていない。そもそもどうやら存在すらしていなかったはずで、カイがどうやって彼らを連れてきたのかは分からない。
それは一旦さておき、現代に来ると人の記憶(イメージ)を借りて存在する。これはおそらく記憶による時間の修復と同じような理屈で、記憶にあるものは歴史にもあり実在する、みたいなことだと思う。

 

うーんやっぱりイマジンの存在自体がおかしい気がする。龍騎みたいに、現在の誰かがイマジンの存在を作り出しているようにしか……って、もしかして過去に点在していたカイがそれ? カイ自身は特異点だから存在できて、そのカイがイマジンという妄想(後の記憶)とともに過去で暮らすことで、存在できているのか?
となると、タロス達の性格は元々カイの人格のひとつだったりするのかな。カイはあのイマジンの数だけ人格が分裂してしまっていて、それで自分が何を考えているのか、どれが本当の自分なのかもよく分からなくなってしまった……?
もしそうだとしたら、最終的にカイが消えてハッピーエンドみたいになったことにも、少し希望が生まれる気がする。イマジン達の脳内に直接語りかけるってのも、良太郎とモモタロス達のリンクに似てるし。

 

あ、もしかしてイマジンの改変がなかったことになるのって、最終回の理屈(電王の勝利で未来はカイに繋がらないことが確定し、イマジン達は存在しなかったことになる)が小規模に起こってるってことか? それでタイムパラドックスが起きて、電王が戦った歴史ごと消えてしまうと。あんまり筋は通ってないけど、直感的には納得できるものがある。
んー、でも確かイマジンは現在を乗っ取ろうとしてるんじゃなかったか? イマジンが現在を乗っ取った結果としてカイが生まれるなら、カイの人格(後のイマジン)は現代を乗っ取っていたイマジンを取り入れたもので……ってそれじゃ循環しちゃう。あくまで分岐させることが目的のはずなんだけど、なんかそんなようなセリフもあった。過去を手に入れる云々って。

 

 

ちょっと行き詰まってきたので一度別の話題に移る。良太郎の過去改変をどう捉えるか。
2話で哲男をデンライナーで過去に戻し母に会わせてあげているんだけど、これがとても謎なんだよね。時間=記憶だとするなら、正史として哲男はクリスマスを反復して経験したことになるのだろうか。
なんでこんなことを考えねばならないかというと、「カイが時間改変をすることは駄目で良太郎がするのは良い」というのが理解できないから。良太郎は「本当の時間じゃないこと」を根拠にカイを否定した。「桜井が消えてしまったこと」ではなく。
だから、良太郎の改変によって誰かが消えたとか消えてないとかは関係なく、(少なくとも彼にとって)重要なのは"本当の歴史かどうか"であるはずなのだ。つまり、良太郎自らの手による改変は本当の歴史扱いになってることになる。 良太郎が現在に生きる特異点だから、現在視点の彼らがやることこそが正史なんだって話なんだろうか。だとしたら、同じく特異点なのにハナが自分で電王をやらなかった理由にもなるかな。

 

 

今度は基本設定に話が飛ぶ。時間=記憶って話を劇場版で聞いて、僕はてっきり「確固たる歴史はない。人それぞれの生きた記憶があるだけで、その"重なり"がいわゆる現実の時間と言われているもの」みたいな話で、イマジンやデンライナーが過去に飛んで改変を行うのはあくまで記憶の改変であって、いわゆる現実の現象に影響するものではないのかと思ってたけど、実際に侑斗という存在(記憶)が消えたことで"現在"のミルクディッパーの様相が変わった。イマジンが過去で暴れることで、現在の建物も壊れる。あと、過去からモノを持ってこれる。これらが僕にはよく分からなかったんだよね。2話の例で言うなら、3年も経てばある程度直ってて然るべき……かどうかは僕にはよく分からないんだけど、少なくとも急に崩れてくるような描写は納得しにくい。
相補的なものなのかな。時間が壊されたら記憶が補い(修復)、記憶が壊されたら時間が補う(良太郎が愛理の子供を忘れても、過去へ飛んだことで改めて知れた)、みたいな?

 

なんとなく思ってたことだけど、時の中って可能性の世界なんだよね。"扉を開く"っていうのも、いわゆるシュレディンガーの猫的なイメージで、開いてみるまではその先に何があるかは確定しない。ハナとカイが劇中で同時に存在しているのも、まだ確定してない未来の話だからってことだよね。
劇中でも支点って言葉が出てたけどまさにそんなイメージ……なんだけど、だからやっぱりその支点が変わっちゃう(桜井侑斗のいないパラレルワールド)っていう現象が僕の理解の外にある。
いわゆる" 歴史の修正力"が、記憶を都合よく繋がるように編集する人の性質と繋がるもんだと思ってたんだけどね。

 

で、ガオウライナーは人(古代の王)がつくったってのも重要な気がするんだけど、それが何を意味するのかはイマイチ分からない。王ってのは電王って名前とも繋がりそうな気がするけども、何なんだろう。そのまま考えると電車の王様だけど、それだとキングライナーになっちゃいそうだ。
電車の定義的には、電気を動力源にして走らなきゃいけない。でも時の中には電線のようなものは見当たらない。もしどの時間に行くにもチケットが必要ってことになるなら、人の記憶(電気信号)を動力にしてるのかもってなるけど、チケットなしでもオーナーさえいなければ(或いは許可を取れば)自由に時を行き来できる様子。時の中が人の脳内世界だとするならその電気信号で満ちててもなんとなく分かるけど、現実世界でも悠々と走っているんだよな。ある程度ためておいたりできるのかね。
ゼロノスの由来はゼロ+クロノスだろうけど、ジオウの補完計画によると王とは神と人を繋ぐ門ということになっている。対になるのは"カイ"ロスだけど……これは関係ないかなぁ? とりあえず、電王に王っぽさが見いだせないにも関わらずその名が付いているのは、ゼロノスとの関係に何かあるような気がしたんだけど、やっぱりよく分かんない。

 

 

時間は心と無関係に外部で流れているようなものではない。過去、現在、未来と時間3つに分けて考えるのが世の常だが、過去とは《すでにないもの》であり、未来とは《いまだないもの》である。ならば在ると言えるのは現在だけなのだろうか。過去や未来が在るとすれば、それは《過去についての現在》と《未来についての現在》が在るのである。過去についての現在とは《記憶》であり、未来についての現在とは《期待》、そして現在についての現在は《直観》だとアウグスティヌスは述べる。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82%E9%96%93#%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AE%E5%90%91%E3%81%8D より

過去も未来も現在に在るというのは非常に共感できる話で、特に過去を記憶、未来を期待と表現しているのは、偶然にも僕が各話感想の設定の項で書いたものと合致する。というか、単に昔これを読んでいて無意識のうちにあったものが自分の発想として表出しただけかもしれないけど、とにかく僕の思ってた時間観と近いのよ。
こう考えるならば、イマジンたちのしていることは過去改変ではなくあくまで現在の世界の在り方を変えるものであって、リアルタイムにビルが崩れてくるのも頷ける気が……する。過去にビルが崩れたとして、そこから3年の間に行われるであろう修復作業の過程を過去の記憶として思い起こすことは難しいだろう。だって実際そんな記憶はないんだから、シミュレートする必要が出てくる。でもできない。だから崩れる?
人間の認識の限界というか、2つ点があったら"直線"で結びたくなるようなものというか……。時間が記憶、というか人間の認識と強く結び付いているものだとするなら、そんな気がする。それこそさっき引用した中の"直観"によって、現在の世界は改変される?
まぁ、それにしたってじゃあ改変後の世界を認識した分岐後の彼らは忘れっぽいのかって考え出すとよく分からないんだけど。どっちの記憶を使うかを決める基準はなんなんだろうね。"現在"をそれにしようとしても、じゃあ現在で起こってたはずの消失+修復(愛理が侑斗を忘れた日)はどういう理屈なんだって感じだしなぁ……。

 

さてじゃあとりあえず現在を軸にしているとして、未来についてはどうなるかを考えてみる。一番分かりやすい例として、夏のドラえもんだらけもとい良太郎だらけで考えてみる。未来からの現在への介入が現在の"期待"によって起こるものだと言えるだろうか?
Noだろう。良太郎を始めとして侑斗自身も全く予想していなかった。あ、でもそれについては、侑斗はゼロノスカードで疑似特異点になってるんだっけ?
そうじゃなくても、えーっと、前提として近未来であればあるほど現在の状況から予測が容易になる、つまり確定的になると考えたとき、良太郎や侑斗が知らずとも、過去の記憶も含めた"現在"の世界で牙王が暗躍していれば、劇場版での出来事に繋がるのは必然であり、あの時点で既に確定していた未来と言えるのかもしれない。おそらく10年ほどは先であろうコハナの未来が確定したように。つっても、どちらかというと僕がイメージしてるのはラプラスの悪魔的なそれで、まぁ未来のすべては無理にしても近未来なら概ね当たるだろうみたいな感じ。
書きつつ気付いたけど、冒頭のナレーションでは「次の駅は過去か、未来か」って言ってるけど、劇中では未来に行く描写はそれこそ今の良太郎だらけを除けば確か一度もないな。それもゼロライナーに乗ってたしな。

 

で、さっきから当たり前みたいに言ってるけど、これはデンライナーをはじめとする時の列車や、時の砂漠空間? にもリアルタイム性があるということで、あれらの状態まで全て含めて"現在の世界"ということになる。というか、もしあれが世界の外側にあるものなら、未来の時間と一緒にゼロライナーが消えるとか、ガオウライナーは人がつくったとか、そういう話はまず有り得ない。オーナーの旗を倒さず食べるゲームも、時の運行を守るっていうことを隠喩してるのかもしれない。どこまでの変化を許容するかの判断というかさ。

 


ここまできて、過去を現在の記憶とするなら懐中時計とかが同時に複数存在してしまうことがおかしいことに気付いた。今更引き返すのも惜しい。イマジンが契約によって実在を得るように、良太郎は過去に行っていると認識しているから懐中時計も在れる……?
いやー流石に無理があるかな。イマジン達が実体化するのにも1年かかった訳だしなぁ。
桜井が"過去を逃げ回る"というのも、これだと無理がある。正確には、イマジンが桜井を追うためには桜井が時間移動に使ったのと同じ人と契約するくらいしないと、あんな突っ立って時計眺めてるだけで誰かと関わったりしないであろう人間を覚えている人はいなそう。うーん……。
もし全人類の記憶を元にした"過去"という名前の統一イメージワールドがあるとするならば、単純な記憶違いなどでところどころ歪んでたりしそうなので、これはないかなぁ……?

 

ところで契約といえば「お前の望みを言え」ってワードだけど、劇中では過去を強くイメージさせるための手段でしかなかったとはいえ、劇場版で一番最初に持ってくるってことは絶対何か意味があると思うんだよね。なんだろう。
色んなところでモチーフになってる童話には、願いを叶えてくれる系の話が結構あるような気がしたけど、僕はランプの魔神くらいしか思いつかなかった……。
劇中を見る限りは、契約者やイマジン、カイの描写から他力本願で叶えようとするとロクなことにならない、みたいなメッセージを感じなくはなかったけれど、ハナも他力本願であることに変わりはないんだよな。まぁ子供化をその報い(って表現は強いけど)とするなら、だいたいのキャラは因果応報食らったことになると思うけど。良太郎も「イマジン達に任せていたら自分で自分を消させてしまう」ということに気付いて、一人で戦おうとするっていう展開もちゃんとあったし。

 


あー、そういえばカスミ草の回もよく分からないんだよなぁ。イマジンを追って飛んだ過去でキンタロスが暴走して建物をぶっ壊して、契約者の娘に「父親を信じろ」と助言。すると現在の契約者は親子関係が良好になってイマジンとの契約しなくなり、つまりキンタロスも過去へ飛ばず暴走することもない、という……。
助言後にもイマジンがいたってのはまぁタイムラグかなんかだとしてスルーできるとしても、助言がトリガーとなって変わるならそれより前の暴走がなくなるはずはない……とは言ってもその暴走のトリガーは未来にある訳だから……いや、まぁ、こういうの全部「そう、ヘンです。だから時の運行を変えてはならないのです」で片付いちゃうのがズルいといえばズルいんだよな。ジョーカーだもん。
じゃあなぜ時間改変なんてことが起こるかといえばタイムマシンが存在するからであって、だからデンライナーのオーナーがそういうこと言うのはマッチポンプ感が半端ないんだけど、既にある以上"今"壊しても抜け道はいくらでもありそうだし、そもそもイマジンは時の列車なしで時間超えてたし(桜井さんも?)、デンライナーの運営自体は仕方ないところなのかなぁ。だって極論、始点Xからデンライナーを別の時間へ移動させて、使い終わったときに一瞬後のX'に返しさえすれば、使い終わる前からX'で2つ目のデンライナーを持ってくることが可能で、別の時間Yにたくさん同時に存在させることができることになる。良太郎の疲れ同様、デンライナー視点の時間で"劣化"だけが心配点だけど。

 


あとさ、ハナが愛理と桜井の子供だって明かされたけど、ハナは両親の名前も知らなかったのか? イマジンやカイ達のように記憶がないのかな。桜井と愛理の策で時からこぼれ落ちたことで過去を持ってないことになって記憶がなくなるんだろうか。
っていうかだから、そもそもその時点でカイの勝ちじゃないのか? だって、少なくとも桜井が鍵だと思われてたときは、人々の記憶から消えて存在が消滅することがカイへの協力になり得てしまい矛盾だって話が出てたんだからさ。
ピアノの男の話では「思い出してもらうまで旅をする」とのことだったので、思い出してもらう可能性が潰えた人はデンライナーにも行けずに完全消滅するんだろうか? ハナがコハナになったのは、少なくとも劇中では明言されてはいなかった気がするんだけど、通説としては過去の19歳の侑斗が消滅した桜井に変わって現在で愛理と結婚する……みたいなやつだよね。
…………そんなのってアリなの? ジオウでも少し話したけど、浦島太郎的な、自分の体感時間と周囲の時間とのズレっていうのは、無視していいものなのか? 侑斗は"2007年現在"に生きる人ではないのに。いやまぁ、明確なデメリットは僕には今のところ思い付かないし、イマジンが実体化したのと同じように2007年に滞在し続けたことでそこが彼の本来の時間だということになったってことにしてもいいのかもしれないけど……いや、けどの続きは今のところないな。理屈の上では。

これはちょっと細かいかもしれないけど、同じ桜井侑斗と野上愛理の子供だからって、生まれる時期がズレたらそれはもうハナとは全く別の子供なんじゃないのか、ってことくらいか。特異点補正的な何かがあるのかね。

 

 

うーん、頭の中で論点は整理できた気がするけど、結論は出なかったな。あんまり電王で止まってたら「平成ライダー全作品の感想をブログ上に残す」という僕の野望が遠のくばかりなので、とりあえず僕は先にいこうと思います。
ここのコメントとか、Twitterの質問箱とか、まぁ媒体は何でもいいけど何か電王についての解説みたいなことできるよって方がいたら、聞いてみたいです。

 

本編

手繰り寄せ進む『仮面ライダー電王』 本編感想 - やんまの目安箱

劇場版感想

劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生! 感想 - やんまの目安箱

 

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