やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生! 感想

面白かったか面白くなかったかで言えば面白かったけど、良くも悪くも本編の間の話というか、これだったら僕はカブトのGOD SPEED LOVEの方が好きだったかなぁ。


白倉さんの言うところの"ライブ感"ってのは、ネット上では「行き当たりばったりの適当な作り方」みたいな捉え方をされてるけど、実際は"こういうこと"だと思うんだよな。
本編と連動させて"今"観たいと思わせることとか、どこで言ってたか忘れちゃったけど、同時上映の戦隊映画とのコントラストを考えたりとかさ。
後に残るのは基本的に単品としてのDVDだけで、もちろん両方まとめて見ることはできるけど何も知らずにそういうことする人って、恐らくまずいないじゃない?
僕もそうやって見た訳じゃないからどう気を遣ってるのか全然知らないんだけど。

 

設定を異常に作り込む高寺さんとの対比も込めてそういう扱いになってるんだろうけど、実際のところ高寺vs白倉みたいなそんな分かりやすい構図に当てはめられるほど人と人の関係って単純じゃないと思うんだよな。つくりもののキャラクターなら、僕は分かりやすい方が好きだけどさ。

 


っていうか、別に白倉さんについて語りたい訳じゃないのよ。この手法は斬新だったんだろうなってところから逸れちゃったけど。
えーっとなんだっけ……そうそう。この映画で、デンライナーは良太郎の心を表してるんだなってのはなんとなく分かった。

 

デンライナーがハイジャックってのは良太郎の心が乗っ取られることを指してて、多分それは、実際には主に記憶喪失というカタチで表出してた。
映画限定のダークライダーがなかなか掘り下げられないのはもう恒例になってきちゃってるけど、牙王は"時間に飽き飽きしてる"ってセリフとか良太郎の存在を消そうとしたことから、そういう良太郎の中の負の感情……"自己否定"の感情を象徴するキャラクターだったのかなって。"良太郎の人格"であるイマジンズの中でリュウタだけが檻の外にいたのも、良太郎に否定的だからだろう。
カブトの感想では「殺さないで」っていうのが"親殺し"の否定なのでは? とか言いつつ最後までハッキリとしないまま見終えちゃったけど、555までで仮面ライダーとしてやれることはやりきっちゃったからか、この時期では仮面ライダーの否定(否定の否定は肯定)が裏テーマになってるのかもしれないなってなんとなく思った。
ガオウ達のモチーフは見たとこ爬虫類系で、虫ほど印象的ではないにせよ蛇に代表される脱皮とかで"変化"のイメージを持ってるし。

 

そういう自己否定の感情に乗っ取られて記憶喪失になってしまった良太郎にジークが入ったというのはちょっと感慨深いな。ジークは良太郎に存在を肯定してもらったお陰で消滅せずに済んだわけで、まぁ多分これはモチーフである白鳥を鶴の恩返しのツルに見立ててるんだろうね。
僕としては555のたっくんを思い出した。自分に厳しく他人に優しい彼が自分を肯定するために、「巧が信じた澤田が変わり、澤田の変化で巧も自分を信じられる」っていうプロセスを経た40話あたりの展開とそっくりだなって。
侑斗が助けてくれるのも同じ理屈かな。

 

あ、小ネタとして、ウィングフォームの敵として浅倉の萩野さんが声優やってたのは笑った。ファムのときは"仕返し"で向かい合ってたのが今回は"恩返し"になってるのも、遊び心が感じられて良かった。今思えば、あっちもあれで同じモチーフを裏返してただけだったのかもしれないけど。ウラが態度のデカさを指摘してるのもクスっとなるよね。
モモ「俺が変身できないのに、なんであいつができんだ?」
ジーク「教養の差だ」
ここも、設定面でなんでだろうとは思ってたんだけどこうやって逆手に取ってギャグにされるとは思わなかったからおもしろかったし、"取り扱われる"ってことは筋が通ってるんだろうなって信頼できるから、すごく好きなシーン。

 


不思議なのが、モモタロスを見て良太郎(小太郎も)が腰を抜かしていたこと。彼のモチーフは、"良太郎のなかのヒーローのイメージ"のはずなのに。
実は「泣いた赤鬼」とごっちゃ(というかダブルモチーフ)になってたりするのかね。見た目はどう見たってただの赤鬼だし、ヒーロー然とはしていない……っていうか、そうなるとむしろモモタロスは"これまでの仮面ライダー"の暗喩なのかもしれない。泣いて戦う異形のヒーローなんてさ。
良太郎はこれからそのイズムを学んでいくことになるのか。
あー、やっぱいいな。前言撤回、ちゃんとライダーの劇場版としてカブトと同じように好きだわ。
書いて整理してるうちに、電王の目指してるところがなんとなく見えてきた。

 

両親を思い出せないことと電王について思い出せないことを重ねてとりあえずやってみるってところに落ち着いたのも2話と重なって説得力あったし、牙王と向き合って記憶が戻るのもなんとなく分かる。
最後に写真代わりの絵が飾ってあったのも良いよね。


設定面でよく分からない部分は各話感想(23〜28話)の方に書いておこうかな。今回はこの辺で。

 

続き

仮面ライダー電王 劇場版,28話「俺、誕生!/ツキすぎ、ノリすぎ、変わりすぎ」 感想

 

本編

手繰り寄せ進む『仮面ライダー電王』 本編感想 - やんまの目安箱

 

電王の設定が分からない! - やんまの目安箱