やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼 感想

とんでもないね。すごい。驚くほど中身がない。剣(ブレイド)の『MISSING ACE』も大概だったけど、何て言うんだろうね、ここまで来ると逆に清々しいというか、興味が湧くっていうか、ちょっと研究してみたくなったりとかしてね。僕の言う中身っていうのは、まぁばっさりと割り切って表現するなら「テーマ」なんだけれども、例えばキャラクターの悩みを解決するだとか、何らかの事件を経て考えが変わるだとか、そういうものが何も見当たらなくて、むしろクウガにも近いような、そんなような感じすらあった。クウガには「暴力の否定」って言う描きたいことがあって、その周辺に関してはまぁ一応「テーマ」を持ったドラマがあるんだけどさ、グロンギ事件を警察組織が追うパートってのがあるじゃない? その辺りの描写は、リアルさを求めるにあたっては必要なのかもしれないけれど、ストーリーの進行とは一切関係ないんだよね。でもやたらと尺をとって、会議したり報告したりっていう様子を写す。他の作品にも一応そういう無駄だけど必要なシーンってあることはあって、具体的には「モブの怪人が人間を襲うシーン」。あれはあってもなくても主人公側のやることって変わらなくて、ただ駆けつけた時にちょっと人を襲うようなモーションしてれば済むことなんだけれども、何故かドラマの合間にちょいちょい挟まれるんだよね。たまにホラーテイストな(そして設定を逸脱した)演出がされることもある。他に記憶に新しいところだと、ジオウでタイムジャッカーがアナザーライダーを生み出す場面が挙げられるかな。あれってあんまり素っ気ないと浮いちゃうからやたらとべらべら喋ってるんだろうけど、必要最低限にしようと思ったらパッと出てきて黙ってウォッチ埋め込んじゃえばいいのよ。設定的に何かあるのかもしれないけど、まぁジオウに限らず主に敵の幹部とかが基地とかでくっちゃべってる描写はだいたい無駄……というか、本筋のドラマとは関係のないことが多い。こういうのって「段取り」とか「リズム」として必要なものではあるんだけど、見ていて面白いかと言えば、僕は正直面白くないんだ。この映画はほとんどがそれで、状況説明の描写と、殺陣だけ。一番笑ったのは「俺は女房と約束したんだ。もう戦わねぇ」って言うハバタキに、奥さんが「戦ってきな」って言うところ。じゃあそもそもそんな約束なかったことにしちゃえばいいのに、そのやり取りが入るだけであたかもドラマがあったかのような気分にさせられてしまう。真面目に考えはじめると、「なぜハバタキは鬼として戦おうと思ったのか」「奥さんは何故ハバタキに戦って欲しくないのか」「ハバタキは何故それを受け入れたのか」……などという過程があって初めて意味をなすと思うんだけれど、本当に最小限のセリフしかない。新規のキャラクターが多いので仕方ないと言ってしまえばそれまでなんだけれども、物足りない。というか、そんなことが言いたい訳では本当はなくて、というか言ってもしょうがなくて、映像作品を成立させる最小限の要素というか、攻殻機動隊の「ゴースト」って概念があるじゃない、それに近いような、引き算で本質を捉えようとするような考え方が適用されてるのかなって少し思ったんだよね。中身がなくても違和感なく見せて、いや魅せてしまうような、リズムというかテンポというか、そういうものがあるんじゃないのかなって。今作ではラストにて、過去編がピンチに差し掛かったところで現代編に戻って敵を倒し、シームレスに過去編でも全てが片付いた体で話が進んでいくという描写がなされている。2つの話が並行しているんじゃなくてあくまで1つの作品として構成されている感じで、普通に考えると違和感があるんだけども、そこを塗りつぶすのが、さっき挙げたような「緩急」だと思うんだよね。白倉さんが言っていた「映像ドラッグ」ってものにも近い気はするんだけど、まだうまく表現できないな。僕が楽しみにしているような「テーマ」っていうのも、引き算していって残る本質が何なのかと考えだすと、イマイチ分からなかったりする。教訓なのか流れなのか……バラバラだった要素がひとつに繋がる快感は好きだけれど、それがイコールで「テーマ」か言うと微妙なところ。そんなことを考えながら勢いと成り行きに任せ、僕に気持ちの良いリズムで書き殴ったこの記事も、中身なんてない単なる言葉遊びでしかない。「うわ参ったな書くことねぇ……」と思っていても案外いけてしまうもので、むしろ伝えたいことがないことで適切な表現かなどと悩まなくて済み、普段の記事よりもすらすらと詰まらずに書けた気すらする。一息、という表現がもっともしっくりくるかな。たまにはこんな変わり種があってもいいだろう。目がチカチカするでしょうけど、どうせ中身ないので読まなくていいよ。って最後に書いても仕方ないか。

 

本編

鬼はそと、福はうち『仮面ライダー響鬼』 本編感想 - やんまの目安箱