やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーアギト 28,29話「あの夏の日/数字の謎!?」 感想

キャラクター

 津上翔一
・何気ないお客さんの名前を覚えてるのにどうして氷川さんや葦原の名前が覚えられないんだ……(笑) 1話ネタのはずのパン屋を使うのはいい感じ。
・「結局どこに行っても地球の上だし。それよりどうよ、これ」
すぐ話そらす感じとかは翔一くんって感じ。

 

 葦原涼
・「どこに行ったって同じだ。今は、嘘になんかならない」
割とこれまで放浪してきたもんな。昔の彼女を訪ねたり、興味もないあかつき号事件を追ったり。
・「逃げるんだろ? どっちに行ったら嘘になるんだ?」
ちょっと厳しいけど、このぐらいのほうが子供には分かりやすいかもね。口調の荒っぽさで分かりにくいけど言ってることはまともだし。気が済むまで逃げさせるっていうのも、佐恵子のときに言ってた「現実に耐えられない人間もいる」って言うセリフの肉付けになってていい。まず逃げようとして、そこで初めて逃げられないことに気が付く。
・「それでも生きていくしかない。終わりが来るまではな」
これが死ぬ瞬間の走馬灯で流れてるってのがもう、ね。ふと思ったけど、薄幸という意味では後の良太郎とも通ずるところがあるかもしれない。

 


提示された謎

2.翔一の記憶
7.アンノウンの目的
11.翔一が持っていた手紙
12.子供
14.子供が涼を助けた理由
15.あかつき号事件
16.風谷伸幸殺害事件
17.アギトマーク
19.ノアの方舟
21.「こっちに来て」という音声
22.榊亜紀の目的

 


28話は唯一の小林脚本ということでいつもとはちょっと変わった雰囲気だったけど、これまで描かれることのなかった涼の日常……のようなシーンが見られて、自分的にはかなり満足した。黒服のSP的な人かと思いきや喪服を着た一般人というのはびっくりしたけど。

29話については普通に出来が悪い。テニスの話は脈絡がなさすぎるし、自白強要の作戦も警察がやるようなものではないし、ギャグもくどいし、話は進まないし、何より氷川さんはただの人間であることに物語的な意味があるはずなのに、単なる泥棒捕まえるのに真魚の超能力においそれと頼るのはルール違反では? 2話とも小林さんに書いてもらえば良かったんじゃないかな。

 

次話

仮面ライダーアギト 30,31,32話「隠された力/人の居場所/ギルス復活」 感想

 

・今は嘘になんかならない……幻想に頼るしかない弱い人間もいるって言ってたけど、涼にとってこの子は現実を受け入れられる強い人間、なのかな。
・てっきりメロンソーダだと思ってたから投げたら炭酸が……ってずっと思ってたけど、これ新茶って書いてあるな? 「子供だからサイダー(ある)にしとけ」みたいな思考にならないのは、なんとなくぽいかも。子供扱いせず、きちんと一人の人間として向き合ってる感じ。
本人もな。見た目こそ金髪で軽そうな兄ちゃんって感じなのにお茶ってのがなんかシブい。
・いつもの通り、関係ないようで関係ある話です。最近、通っている就労支援施設が農業を始めたのね。「障害者も受け入れられて人間らしく暮らせるような多様性のある社会……と同じように、野菜も多少形が悪かったりキズがあったり色々なのあっていい」がコンセプトなんだとか。
キュウリが曲がるのはストレスが原因らしくて、ウリのひとつである無農薬栽培(恐らく無闇な投薬治療へのアンチテーゼでもある)ではなかなかノンストレスにするのは難しく、どうしても曲がってしまうそう。逆に唐辛子の良さである辛さなんかは、ストレスをかけると強くなるらしい。
僕は「薬に頼り過ぎるのはよくない」みたいな変なオーガニズムには共感しないけども、危険ドラッグが"幻想"を与えてくれることを思えば、それを否定してストレスとその結果生まれる凸凹を肯定する翔一くんの姿勢には理解を示したい。
まぁ、どんなに綺麗事を言っても"うまい"から許されるのであって、まずい野菜は売れないだろうが。
・ここ数話、挿入曲が両方使われてるのめっちゃ贅沢だよな。最近はその辺の新陳代謝も早いので数回しか流れないなんてこともザラだけど。
・おもちゃっぽくないちゃんとした子供用のバイクってのがあるのよね、僕も乗ったことあるけど。ただ当然公道では走れないので移動じゃなく娯楽用ってことになる訳で、まぁある意味では金持ちの道楽みたいなものなのかもしれない。あんな黒服が追ってくるんだからさぞすごい家なのだろう(喪服だった)。
今度は一輝に選ばせたのか、それぞれスイカと……トウモロコシ(笑) 夏野菜! って感じだ、今回は。
・手榴弾のTシャツ(PULL UP PIN)も気になったけど意味は分かんない。そう言えば今回のウニ怪人が同じく爆弾投げてた(ただし図鑑によると手裏剣とのこと)から、本当は黒服でもアンノウンでもなく、自分自身から逃げてるんだってことなのかもしれない。
本当、どこまで行っても嘘になんかなってくれないんだよなぁ……僕もよく家出するけど。次はどこに逃げよう、いよいよ海外にでも行くしかないかって感じ。
・ギルスという化物から逃げないことで成長を表すっていうのは、なかなか洒落乙。アンノウンに襲われてる以上、一輝くんもいずれは覚醒するかもしれない訳だし。

・記憶喪失とは言うけども、過去を完璧になかったことにはできない。過去記事から抜粋。
例えば「完璧」という字を間違えて「完壁」と書いてしまい、それを指摘されたとする。その際に「完壁」だと思い込んでいた記憶を消して上書きすることができれば一番いいのだが、人間の脳はそんな風にはできていない。結果として次に書く際「璧と壁、どっちが正しいんだっけ?」と迷ってしまう……そんな経験が誰しもあることだろう。
(参考:仮面ライダーゼロワン 第33話「夢がソンナに大事なのか?」 感想)
カセットテープなんかがいい例だけど、上書きして他の曲を録音すると前の曲は一見消えたように思えるけども、それが積み重なると段々ノイズがひどくなってくる。
だから、記憶を失ったからと言って全く別の人間になることはないし、逆もまた然り。どこかしらで通じてしまうものなのだと思う。
ジョハリの窓という比喩がある。
1.自他が知っている自分/2.他人しか知らない自分
3.自分しか知らない自分/4.自他共に知らない自分
便宜上、格子状の窓枠に準えられているけれども、実際のところそれぞれの占める面積にはバラつきがあって、一般的には自分については他人よりも自分の方が多く知っているだろうから、2はそれほど大きくならないだろうとツッコみたくなるのだけど、まぁ一応広く使われる用語なので従って窓ということにしとく。
沢木が言っていた、翔一の知らない雪菜の"別な一面"の話はこれに通ずるものがある(4つ目の窓は英語だとUnknown selfだし)けれど、記憶喪失の翔一にとって"元の自分"というのは正に自分も知らない自分の別な一面であって、怖さを覚えるのも無理はない。
今回の場合面白いのは、真魚による「翔一くんは翔一くんだったよ」という発言。自分の過去について語るというこれまでなら有り得なかった翔一の新たな一面を、真魚は「そんなの翔一くんじゃない」と分裂(Splitting)させることなく、同じ"翔一くん"であると受け入れてくれて、それを根拠にして翔一自身も自我同一性を保って安心することができた。
ちなみに分裂の例としては、心理学では良い乳房/悪い乳房なんてのがあるけど、分かりやすいところで言うとメタルクラスタ回における「ゼロワンじゃない! あれは……別の"何か"だ」かな。あっちも最終的には同じゼロワンとして統合されたけど。
・バー ミラージュだって。なんかのオリジナルキャラクターでミラージュアギトってのがいたよね。G1とかG5とかもそうだけど、こういうのがたまらなく好きなのよ僕は。「へー、こんなのもいるんだ!」みたいな。色違いのポケモンみたいな感じとでも言うべきか、いなくても図鑑は成立するんだけど、より網羅的なものにしたいときに収集すべきはぐれものみたいな連中……その存在自体に価値を感じる。でも白黒つけようか〜♪
・前の記事ではなんか言ってるけど、普通の人間がアギトの力を受け入れて普通に(図々しくも)活用するっていうのは、それはそれで意味ある描写かなとも思った。
・テニスが唐突だとも言ったけど、雪菜が裏返したテニスボールのことは忘れてたのかな。漢字で書くと"庭"球だから翔一くんの守備範囲内なのかもしれない。
語源を調べてみると、フランス語で「掴まえる」という意味の言葉が「今から打つサーブを拾ってみろ」的なニュアンスで使われてたことに由来するらしい……めっちゃ「離すな!」じゃん。ラケットの方は手のひらみたいな意味だそうで、道具も自分の一部であると認識する身体の拡張(≒アギト,G3)的な認識に繋がる。
テニスボールを裏返すってのも、「こっちに来て(つかまえてごらん)」が「来ないで!」に変わったのと対応してるし。ついでに言えば今回の怪盗ネタともかすかに繋がってる。ただの泥棒は警察のことを邪魔者としか思ってなさそうだけど、怪盗と言うと予告状送ったりして、それこそテニスのサーブと同様「捕まえてみろ」って感じ。顔や名前を変えて別人に成り代わるというのも、翔一の境遇と重なるところがある。
勉強不足って本当に損だよなぁ。こんなに世界は面白いのに、十分に楽しめなくなるんだから。
・いつも負けて自尊心傷つけられっぱなしな氷川さんだけど、自分の得意分野であるテニスでもフライパンとはいえ一回は負けてしまう。そろそろ、翔一を見くびるのをやめて「翔一に負ける自分が劣っているのではなく(不器用なのは事実だけども)、意外と翔一が器用ですごい」ということに気付いても良さそうなのに。
何かの勝負で負けたとき、必要以上に相手のことを褒める人がいるけれど、あれはそうやって相手を立てることで自分の負けを合理化しているのだと思われる。
QuizKnockの伊沢さんとかは、見てると結構これやってるのでプライド高いのかなーって見えがちけど、意識的にセルフブランディングとしてやってる側面もある気はする。間をもたせるトークテクニックのひとつでもあるんだろうし、何より正解した本人が解説すると自慢というか嫌味っぽく映ってしまうから、負けた方がそういう汚れ役を被って勝った方の顔立たせるみたいなつもりでやってるのかなと。
・確かに暗証番号ギミックは、違うと解除できないって描写があってこそ意味が増すものだけども、まぁギャグ回でそのノルマを済ませるというのはいい使い方なのかもしれない。
普通なら使用する権利がない一般人か誰かが勝手に使おうとしてもできない、みたいな見せ方をするところだけど(ファイズ1話の真理とか)、ケルベロスの場合は見た目がゴツすぎて、そんな軽い気持ちでおいそれとは触れないかな。