やんまの目安箱

やんまの目安箱

毎日19:00更新予定。ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。

どこまで本気か分からないギャグ作品『仮面ライダービルド』 本編感想

やっと終わった。いやー酷かった。1クール目はエグゼイドから逃れた反動でそこそこ期待していたけども、今見ると本当に駄目。満足度は10点満点で2。まさかエグゼイドより低いとは自分でも驚き。とにかく何もなくて退屈だったからな……。

 


 堂々巡り

ビルド最大の特徴はこれ。いつまでもずーーーーっと同じ話ばっかしてて何も発展しない。「桐生戦兎は正義じゃない。スタークによってヒーローに仕立てられただけの悪魔の科学者!」みたいなことを敵から言われたりして戦兎がピンチ、そこに万丈がさっそうと現れて発破をかけ、戦兎くん大復活!
"お約束"って言葉はあるけど、そういうことではなくないか……? 同じ構図を繰り返すにしたって、螺旋状に段々ステージが上がっていくなら分かるんだけど、最終回でも結局戦兎は一人で立ち上がることができなかった。何回あったか数えてみようか?

1.「今のお前はどうなんだよ。自分の記憶とビルド、どっちが大事なんだよ」6話
2.「お前が作ったのは、スマッシュだけじゃねぇだろ。そのベルトを巻いて、大勢の明日を、未来を、希望を、つくってきたんじゃねぇのかよ。誰かの力になりたくて、戦ってきたんだろ。誰かを守るために、立ち上がってきたんだろ、それができるのは、葛城巧でも、佐藤太郎でもねぇ、桐生戦兎だけだろうが!」16話
3.「戦兎を助けられるのは、俺しかいねぇだろ!」22話
4.「ありがとうな……後は頼んだ」34,35話
5.「気持ちが足りねぇんだよ! 誰かの力になりたい、誰かを守りたい。それは、あいつの戦う理由だ。お前にはそんな気持ち、これっぽっちもねぇだろ! 桐生戦兎はな、正義のヒーローなんだよ!」39話
6.「何泣いてんだよ、みっともねぇなぁ。つくられたヒーロー……上等じゃねぇか。前に言ったよな? 俺たちが信じた思いは幻なんかじゃない。自分の信じる正義のために戦うって。今のお前の正義は、美空を助けることじゃねぇのか? なぁ」43話
7.「一度しか言わねぇぞ。誰がなんと言おうと、お前は俺達のヒーローだ。だから……生きてくれ」49話

実に7回。本編49話の内、7話に1度は同じような話が差し込まれてることになる。最後の方に至っては万丈にも若干呆れの色が見える。「前に言ったよな→一度しか言わねぇぞ」の変化に気付いたときは笑ってしまった。

ちなみに、万丈がピンチから復活するシーンも同じくらいの回数ある。戦兎と大きく違うのは、万丈はほとんど"一人で"立ち上がるのだ。


 最高のコンビ……?

戦兎と万丈の関係は「最高のコンビ」と自分で言っちゃうほどのものらしいが、その実かなり歪なんだよね。
前述の通り、戦兎は何度も万丈に助けられるけど、万丈は割と一人でなんとかしちゃう。でも万丈は戦兎に「今の俺をつくってくれた」と感謝していて、戦兎は「筋肉バカ」などと茶化すばかりでちっとも礼を言わない。
確かに龍我が戦兎に諭していることは戦兎が過去に言っていたことの受け売りが多いんだけども、そもそもそれがおかしいんだよな。いつの間にか師弟関係が逆転してしまっているというか、まるでボケてきた親を介護してるみたい。その癖、介護される側は未だに偉そうなんだよなぁ。


 記憶喪失

ボケてるって話をしたけども、とにかくみんな色んなことを忘れる。戦兎はそれこそ自分の戦う動機をすぐに忘れるし、万丈も結構行動原理がころころ変わるし、猿渡はファームの仲間を完全忘却する。
とにかく話が動く時には必ず誰かがおかしなことをしていて、何ひとつ納得の行く展開がない。
戦兎に関してはなんか葛城巧が脳内で記憶を操作してるとかいう謎の設定が出てきて、記憶喪失はもう公式設定らしい。くだらない……。


 受け身

これも多かったなぁ。敵とかデータ検索とかで、他人から"教えてもらう"ばっかりで戦兎本人が自力で状況を動かしたことってほとんどない。
ネビュラガスの存在、スタークの正体、ローグの正体、スクラッシュというキーワード、ラビットラビットのアイディア、御堂の正体、エボルトの正体と目的、トリガーの構造と使い方、白いパネルの存在とロストボトルの用途……これら全部戦兎本人は何もせず棚ぼたで手に入れた情報。万丈に助けて貰わないと立ち上がれないのもそうだけど、戦兎はヒーローとして頼りなさ過ぎる。口だけは比較的達者だけど、能力が全然伴ってない。


 情報規制

ここからは物語の構造について。
1章から様々な"謎"が提示されているんだけども、ただ伏せてあるだけでなんの意味もない。散漫なせいで色んな要素が繋がって一つに集約される気持ちよさもないし、矛盾しているように見える部分も多々あって「そうなんだ」と受け入れることもできない。アギトの感想でも少し触れたけど、「ただのびっくり箱」でしかないんだよね。
特に序盤に関しては「作者は全部分かってるんだろうけどこっちには何ひとつ伝わってこない」感が強くて、かなりもどかしかった。


 事後

僕はこれを見た時点で期待を捨てるべきだった。具体的には4話の「1年前にマスターに拾われて、言われるがままにビルドになって戦ってきたけど……俺、あんたのこと何も知らないな……と思って」ってとこ。
戦兎がマスターを信じる過程が描かれてないので、疑問の挟みようがない。記憶喪失の男を拾ってくれて、いきなり変身できるベルトで戦えって言われて、しかも家の地下に秘密基地と後に変換装置となる"動力源"なるものまであるのに、不信感を抱かないほうがおかしい。んだけども、何故か1年もの間そこに蓋をして生活してきたことになっている。ローグがスタークと手を組んだきっかけもそうだね。こっちはROUGEで描かれてるのかも知れんけど、多治見や御堂、難波がスタークを信じた理由や東都が西都からの代表戦の申込みを受けた理由なんかも全く描かれてなかったし、そういうとこに対してはやる気が全くないんだろうね。


 捨て駒

佐藤太郎もだけど、一番は石動惣一のこと。彼のセリフって、C世界でのものを除けば「お前は……何がしたいんだ」と「一体、何を企んでる」の2つだけ。ラスボスの所業を一人称視点でずっと見ていた人っていうめちゃくちゃ美味しいポジションなのに、結局最後まで目覚めはしなかった。まぁ、そのエボルトに目的もクソもないから料理に困るんだけども、「全部が全部嘘って訳じゃない。たまに感動してウルッとしたし、騙して悪いなとも思ったよ」なんか僕はすごく期待したというか、エボルトの存在が明かされた後もしばらくは惣一も積極的に協力してるもんだと信じてたよ。エボルトにも何か共感の余地ある目的があって、惣一はそれの唯一の理解者なんだって。でも結局なーーーんにもなかった。ただのなんの意味もない嘘だった。科学の行く末についてだって、スタークの主張に根拠なんてなくただ戦兎が嫌がることを言ってただけなんだろうし、終盤の内海からの問いかけもカモフラージュでしかない無意味な議論だった。狐に化かされた……っていうか馬鹿にされてる気分だ。だって自分から「これまでビルドで扱ってきた議論に意味はありません!」って言ってるんだよ? この1年返せよ。ビルドが存在しなければ他に面白い作品見られたかもしんないだろ。本当に腹立つ。


 自己満足

これはなんとなく僕が受けた印象であって、明確な根拠がある訳じゃないことなんだけども、終始作者が「やりたい展開」を描いてただけなんじゃないかなーって。
上述の"過程"が省かれるのも、たぶん作者が書いてて面白くないからであって、そんなことよりも「信じてた人の裏切り」「敵幹部同士の仲違い」「一人の黒幕によって手の上で転がされる」みたいなキャッチーなシーンを描きたかったから描いたって感じ。
僕は昔趣味で小説を書いていたので、「やりたい展開」が先に立つのは非常によく分かるんだけども、それをそのまま書き散らかすのは趣味だから許されることであって、とてもお金をもらってるプロの仕事だとは思えない。逆に、本気で辻褄も合わせようとした結果がこの有様ならそれはそれでどうなのとも思うけどさ。


 最悪のジョーカー

挙げ句の果てに、これまでのビルドを戦兎が語っていたことにしてすべての失態をなすりつけるっていうね。これのせいでどんな矛盾も空白もご都合主義も「戦兎の記憶が曖昧だから」「戦兎が脚色したから」で通ってしまう。幸い、この49話で戦兎の記憶力の悪さは如実に描かれてきたのだ。卵が先か鶏が先か……みたいなことになってくるが、事実意味分からんのだから少なくとも表現力に乏しいことは事実。なにしろ"ギュインギュインのズドドドド"だもんね。語り部は絶対に向いてない。そもそもなんの為に物語に起こそうと思ったのかすら全くの謎なんだよな。仕方ないよね、戦兎くんがそういう展開にしたかった気分なんだもんね。っていうか、「戦兎たちがC世界でビルドの物語を語る様がが49話に含まれている」ことからして、更にもう一個メタな存在による完璧な創作っていう可能性すらある。


 "ビルドらしさ"

これが未だに分からない。1年間も放送してきてこれといった印象を残せないって逆にすごい。最後まで変わらずまでやり遂げたのは、寒いギャグで場を冷やかして足を引っ張ることくらいかな。それだって散漫だから1つの大きなインパクトにはなりえないし……。
と考えていった結果自分なりに捻り出した答えは「閉塞感」だった。スカイウォールの存在もそうだし、代表戦とか戦争のお題目を掲げる割に小規模だし、タワー内など屋内での戦闘が多かった気がするし、ずっとエボルトの手の上なのもそう。要らんメタ要素も作中世界の広がりを妨げてる気がする。
それでこじんまりとまとまってるならまだ良かったんだけど……もうキャラの意味不明な言動もガバガバな設定も全てギャグだったと思えばむしろ壮大に感じられるかな。そうすればそれが"ビルドらしさ"になると思うよ。

 


正直、作劇に関する悪いところはエグゼイドと大した差がないので、そんなに書くことがない。詳しくはそちらの記事を読んでください。

 

アンチと呼ばれる自分の心理 - やんまの目安箱

 

各話感想

仮面ライダービルド 1話「ベストマッチな奴ら」 感想

各章まとめ

仮面ライダービルド 葛城巧殺害事件編(1話〜16話) まとめ感想

仮面ライダービルド 戦争編(17話〜28話) まとめ感想

仮面ライダービルド エボルト編(29話〜49話) まとめ感想

 

前作

手品のような作品『仮面ライダーエグゼイド』 本編感想