やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

仮面ライダーアギト 11,12話「繋がる過去/湖の激突!」 感想

キャラクター

 津上翔一
・「でも、なんか変じゃないかな。幻想の中で心を保ってるって、どうしてそんな必要があるんですか? こんなに世界は綺麗なのに。ホラ、空も雲も、木も、花も虫も、鳥も家も、草も水も」
翔一くんはそうやって日々を生きてるんだな。毎日記憶喪失になりたいとか言ってたのはそういうことか。なんか納得。
・そういえば今回氷川さんがG3に対する情熱がないとかで悩んでたけど、翔一くんは何事にも執着があまりないよね。記憶を取り戻そうとすることにも消極的だったし、毎日記憶喪失になりたい発言なんてまさにそれ。

 

 氷川誠
・「あの人がミスをするとは考えられませんが」
氷川さんも信頼してんだなぁ。少なくとも北條さんよりは。
・北條さんが気絶(?)してるのを見て、生身でG3用の銃を使いアンノウンに対抗する。かっこよすぎかよ。
・「アンノウンが狙ったのは、お腹の中の赤ん坊です。最初に殺された被害者の現場で、姓名判断の本を見つけて、もしかしたらと思い、護衛に当たりました」
なるほどなぁ、根性だけじゃなくて洞察力もあるのか。氷川さん何気にスペック高いな。一条さんほどではないにせよ。
・この期に及んでアギトを捕獲しようなどと言い出す北條を一喝。私欲に負ける弱い北條を強い氷川が止めるというのは、翔一(アギト)を守る/殴るという意味でも、後述する涼のパンチと真逆。

 

 葦原涼
・「現実に耐えられない人間もいる」「世界は美しいだけじゃない」「人間がみんな自分と同じだとは思わない方がいい」
これ翔一くんに対する返しなんだけど、なんだかクウガに対しても言っているように聞こえた。世の中そんなに強い人間ばかりじゃない、蝶野みたいな奴を"クズ"の一言で片付けてしまうのはあんまりだ、と。
・溺れる佐恵子を助けることができたのが翔一ではなく涼だったのも、水泳をやっていたという理由はあれど、弱い人間を助けてあげられるのは同じ目線に立てる人間だという風にも読み取れる。
・同じくアンノウンの気配を察知できる涼は最初の反応を(明確な描写はなかったけど)無視して、その次の佐恵子を襲うアンノウンは倒しに行った。この2人の差が如実に現れている。

 

 北條透
・「小沢管理官の判断ミスですよ。私は謂わば被害者です。小沢管理官が離脱命令を出さなかったせいで、私は危うく命を落とすところだったんですから」
前回は見くびるようなことを言ってしまって申し訳ない。やっぱり嫌な奴だった。

 

 美杉義彦
・「翔一くん、過去を思い出すのが怖いという気持ちは分からなくはないが、君を思い、君を待っている人がどこかにいるかもしれない。そう考えたことはないかね。それに、君が昔の自分を取り戻したたとしても、私達との縁が切れる訳じゃない。人と人との繋がりというのは大切なものだ。君との繋がりを断ち切られたことで、悲しい思いをしている人がいるかもしれない。そこのところ、よく考えてみなさい」
この人が言うと説得力あるなぁ……何しろ前にも言ったけど、メイン3ライダーに縁をつくった人だからなぁ。

 


提示された謎

2.翔一の記憶
7.アンノウンの目的
11.翔一が持っていた手紙
12.子供
14.子供が涼を助けた理由
15.あかつき号事件
16.風谷伸幸殺害事件
17.遥か昔の高度な文明を持った民族→兄のホラ話だったが、アギトマークについての謎は残る
18.沢木哲

 


どれが正しいかって答えを示すんじゃなく、色んな立場の色んな意見を並べるようなスタンス。そういう意味でやっぱり前作のクウガとは反対って感じ。

 

次話

仮面ライダーアギト 13,14話「父の手掛かり/最強キック」 感想

 

 メモ
・翔一だけ声の聞こえない超越したところにいる。そこへ行けるのは真魚だけ。
真魚と氷川の会話、あんまり面白くない説明的な話の間を持たす為にわざと変なアングルで撮ってる感じがした。岡田斗司夫さんの言うところのエヴァスタイル。
その後の涼とおじさんの会話もそうだけど、今回なんか段取り臭くて見ててタルいぞ? 要らんだろこのシーン、結局おじさん何も知らんし進展がない。
・前から思ってたけど、真魚は一応親族だから"居候"扱いじゃないんだよな。本人でさえ自分を棚上げして翔一を「ウチの居候」として紹介してたくらいだし。それでも僕が叔母の家に住まわせてもらってた時は居候を自称してたけど、風谷家と美杉家は事件の前から結構懇意にしていて気兼ねがないのだろうか。
・上の記事の方で「翔一だけじゃなくクウガに言ってる気がする」って話をしたけど、やっぱり翔一ってキャラクターはクウガって作品そのものを体現している部分があると思うんだよな。五代をというよりは、"空我"という悟りの境地を。クウガの配信は途中でリタイアしたから書けてなかったけど、人間って生きてる限り「いなくなる」ってことはできないのよ。我々や一条さん達の視点から見れば五代はいなくなったように見えるけど、五代本人はどこまで行っても自分という存在から逃げることはできない。今は嘘になんかならないし、青空にもなれない(残された側は青空に五代を投影して感傷に浸れるけど)。僕は家出をよくするので、そこはすげー身に染みて感じる。五代は元々死ぬことでその境地に至るはずが、それはあんまりだということでテーマを完遂できずに終わったというのは、『証言!仮面ライダー』で述べられている。これはOQ的に言えば"美しく"ない。紆余曲折の末に、最も描きたかった暴力の否定という結論を全うしきれず甘さを残してしまった。五代は美しく死ぬことができなかった。
翔一という存在はそういう意味で、消え去れずに続いてしまった五代の人生(≒仮面ライダーシリーズの暴力)を暗に表現しているように思う。(生きてる限り)本当に空っぽになんかなれない、1年のストーリーを経て自分を取り戻していくんだっていう、アンチテーゼとして。
……あと美杉教授。ついでにその言葉、3年後の剣崎ってやつにも言ってあげてください。
・1話と同様にすれ違う翔一と涼。翔一が登りで涼が下りってとこまで同じなのにはどういう意図があるんだろう。
・ダイビング……そういや『海の底のピアノ』で水雪もやってたっけ、読んだの昔過ぎて覚えてないな……。それを差し引いても、あかつき号で海難事故に遭った女性が海に潜るというのは意味がないはずないんだけど、今まで何回か見てるのにこれに気付くのは初めてだ。
最初に思ったのは、つらい出来事を敢えて思い出して悲劇のヒロイン気分に浸りたいのかなって。或いは、"今度は溺れずにきちんと泳いでいる"という体験をしている間だけは、形だけでも克服した感じがして安心できる、とか。
また水の中ってのは当然羊水的な意味も持ち得るけど、これは今回の件に限らずあかつき号事件全体に対しても当てはまることかも。
・ちょうどこないだ初めて編み物をやったんだけど、楽しくもありつつ思ってたより大変だった。やりかけの編み物はそのまんま「旦那にあげるつもりだったけど死んじゃってどうしよう」って表現だろうけど、大変さの一端を知った身としては切なさがひときわ目立って見える。
というかわざわざやりかけで置いてあるってことは篠原と同じく、編み物をやることで現実逃避をしていた(けどその無意味さを思い出して呆然としてた)のかもしれない。
・「自分は何も知らない、見てない」と逃避するキャラが多いのは、おそらくアギトが知の戦士であるが故の演出なんだろうけど、それに変身してるのは本当に何も知らない翔一ってのがまた皮肉だな。無意識には覚えてるのかもしれないけど。
僕はジオウの公式サイトで白倉さんが、井上さんについて「一通り設定に目を通して1つだけ質問してきたということは、逆に言えばそこ以外は完璧に理解していたってこと」と表現してたエピソードがすごく気に入っているんだけど、ちょっとそれに似てる気もするな。あらゆるものに疑問を投げかけるソクラテスは満足する知を得られないのに対して、ハナから疑問を持たないことの方が逆説的によっぽど知的であれる。それはソクラテスから見ればただの思考停止であって愚かなこと(無知の無知)かもしれないが、無知を知らない人は代わりに"自信"を持つことができる。アギトの姿勢正しさは自信(BELIEVE YOURSELF)に満ちていて、他者の揚げ足取りに終止するソクラテスのイメージとは似ても似つかない。

・今までは仮にも超能力が発現した個体を狙ってきたアンノウンが、まだ生まれてもいない子供を殺そうとするというのは確かに奇異だ。ネフィリムの件もあるから、異種交配……というよりは異類婚姻に対して敏感なのだろうか。
ところで、医学用語でzebraと言えば「よくある症状から他の珍しい病気だと誤診すること」を指すらしい。"When you hear hoof beats, think of horses, not zebras."という格言が元ネタらしいが、ちょっと氷川さんっぽい。有り得ない写真を見たら念写ではなく合成を、ビンの中にあるコインを見たら透過ではなく仕掛けコインをまず疑え、って。
・篠原「私ももうおばさんかな……」
真魚「翔一くんに見覚えありませんか?」
面倒くさい発言はガン無視してて笑った。
クウガ2本角(3本に見える)→4本角(5本)
アギトは2本→6本 第六感
G3は3本それぞれに別の機能がある
ギルスは2本→3本
・彼女の言う"聖なる戦部"って、まぁどう聞いてもアギトであり翔一くんのことだし、そこに救いを求めてダイビングをしているのは確かなんだけど、それほど探し求めていた本人を前にしてもあの反応の薄さってのは、"思い出したくない"だけでは説明できない気がする。
単純に、アギトの姿が鮮烈過ぎて生身の顔の方はうろ覚えだったのかな。実際子供の頃は、僕も仮面ライダーのマスクは分かっても変身者の顔までは覚えてないことが多かったし。
・なんとなく流してたけど、「それほど古い湖じゃない」ことは古代に村落があったことの否定には全くならなくないか? 「めちゃくちゃ歴史の古い湖だ」って言うなら、文明のあった頃(縄文あたり)には既に湖だったからそこに人が住んでた形跡があるなんておかしい、って話にもなるだろうけど。広く伝わってる伝説がないってのは事実でも、考古学者の耳に入り記憶に残る程度の噂は実在した訳で……勿論彼なりに否定する根拠があって信じてないんだろうけど。
・篠原兄の車のタイヤ、ホイールがアスタリスク(*)形状だったのが気になって、砂にはまっててもっと印象的だったはずの妹のを見返したら六角形……とも言い切れないけど穴は6個で、ともかくどちらもアギトの角と同じく6を連想させるかたちだった。以前ヘボットの感想で「*はプラス(+)とマイナス(―)を足して陰陽を兼ね備えたマーク」だという話をした。3本の直線が交差したかたちでもあるので、アギトの表向きなテーマである3にも関連する。
また救急車に描かれているスター・オブ・ライフにも似ている。蛇が巻き付いたアスクレピオスの杖の主であるアスクレピオスは太陽神アポロンの子供(≒火のエルの子)であり、危険な目に遭っている人を察知して駆け付けるアギトと救急車には通ずるものがあるかもしれない。医療は死という絶対的運命に対して反抗的だから、あんまりいいイメージのない蛇モチーフなのかな。まぁ不死の象徴と思えばいいもんなのかもしれないけど。
・前にアギトの感想で「(本作にとって)魚がどういう意味を持つのか」と疑問を呈したけど、そういえばギルスの名前の由来は魚のエラなんだっけ。ブラックバスを釣るときエサに使われる……と聞いた気がするブルーギルって魚がいるけどこのgillかな、それほどエラが青いようにも見えないけど。あと、多分ギルティ的なニュアンスも含んでるんだろう。
・エラについて調べてたら、Wikiがめちゃくちゃちょうどいい表現をしてくれていてようやくピンときた。"生命はもともと海から発生した"ので、まず呼吸器としてエラ(ギルス)を獲得。そこから様々な進化を遂げた末に人間は口(≒顎=アギト)から呼吸をするようになった。だから、ギルスはアギトのより原始的な姿ってことになる訳だ。はー、なるほど!!! 鰓って漢字にあぎとって読みもあるのは知ってたけど、それだけじゃなかったのか……。
そこまではいいとして、じゃあアギトの力と"呼吸器"にどんな関係があるかと考えてみる。まず分かるのは、胸部にあるワイズマンモノリスはおそらく肺なんだろうね。それで肺呼吸じゃなく鰓呼吸であるギルスには付いていない。じゃあ下腹部にあるベルト=賢者の石はへその緒かな……とも思ったけど、卵生のギルスにもあるし位置も微妙に違うしこれはちょっと牽強付会か。どちらかというと生殖器かな? 胎"盤"ってなんか石っぽいね、とか言うとまたこじつけ感が……。
呼吸の本質はやっぱり、自分の外部から酸素を取り込んで自分のエネルギーにするってところだろう。さっき知る(理解する)とは疑問を抱かずに"受け入れる"ことだって話をしたけど、丁度良かったね。これもまたWikiの表現を受け売りすると「本来、酸素は強い酸化力をもった毒性の強い気体である。しかし、一部の生物は酸素を利用した酸化過程を通じて大きなエネルギーを利用できるようになった」と、まさに仮面ライダーの話じゃないか……っていうか、1号が風の力で変身するってところとも繋がるし、白倉さん的にはマジで「これぞ仮面ライダー!」ってぐらいのとっておきネタだったのかも。こんな大事なことなんで誰も教えてくんない訳?(参考:人類の祖先は、毒を食べてエネルギーを得るモンスターだった!? | THE21オンライン)
もうちょっと観念的な話をすると、空気って元々魂(目覚めろ、その魂!)の象徴みたいなところがあるよね。その視点に立つと、呼吸って行為自体が神秘的な意味を持つ。"プシュケー"って概念なんかまさにそれで、呼吸音のオノマトペがそのまま魂を意味する言葉になってる。英語のPsyche(精神,魂)の由来でもあるし、なんなら一足飛びに"サイキック(超能力者)"まで繋がる。エラって漢字も魚に思で、まるで魚の心はそこに宿ってるみたい。
大発見の連続でちょっと疲れた、アギト深過ぎ……。
・北條さんがアギトを捕獲しようとか言ってるの、タイミングもあるけど前回早々に逃げちゃったもんだから氷川さんと違って「アギトに助けてもらう」という体験をできなかったというのが大きいよね。
沢木哲也……彼がこの名を名乗ったのは今回が初めてだろうか。しかし、先に名前を入れ替えたのは向こうとは言え、彼女だった人の弟の名前を名乗るってどんな気分なんだろう……。