やんまの目安箱

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ドラマ(特撮)、アニメ等の話を中心に色んなことをだらだらと、独り言程度の気持ちで書きます。自分のための備忘録的なものなのですが、読みたい方はどうぞ、というスタンス。執筆時に世に出ている様々な情報(つまり僕が知り得るもの)は特に断りなしに書くので、すべてのものに対してネタバレ注意。記事にある情報、主張等はすべて執筆時(投稿時とは限らない)のものであり、変わっている可能性があります。

リーガル・ハイ 第3話「初恋かストーカーか? 号泣の恋愛裁判!?」 感想

キャラクター

 古美門研介
・「断る!」
その後に傍聴し助言をしていることから、するならばきちんと情勢を見てからという思いやりの現れ……と取るのは好意的すぎるだろうか。
・「依頼人が自ら望んだ有罪だ。今回は免責とする」
もしかして、これを言わせるために前回(依頼人の希望で和解になる)があったのかね。

 

 黛真知子
・回想にて、相沢に対し「被害者に寄り添う法律家になりたい」と語っている。相沢からも検事になるものだと思っていたと言われていたし、彼女の中で何か大きな転機があったのだろうか。
・転機と言えば、今回はまさにそれだった。蘭丸は本人にとって"汚い手"であったはずなのに、使用した。詳しいことは分からないけど、僕も昔ゴミ捨て場からジャンプを拾ってきて読んでたらすげぇ怒られた。その時は確か「ゴミ捨て場においた時点で市のものになるから云々」みたいな話だった気がするけど……雑誌と普通のゴミは違うかな。この場合はむしろプライバシー侵害? まぁとにかく、そのきっかけが半分くらい個人的感情だったことは言うまでもない。食事というのは生きること……つまり"現状の肯定"だみたいなことを前に話したけど、最後にトムヤムクンを食べながら「美味しいです」と漏らすところはそんな感じだった。

 

 三木長一郎
・まぁ、ギャグ的なオーバーな表現だから許されるようなものの、死を持って償えとか、拳銃らしきもので脅したりとかは感覚的に言ったら犯罪って言われてもしっくりくるくらいのことだよね。"事務所の名前に傷がつく"ことを受け入れて仇まで取ってやると言った古美門と比べてもそう。

 

 田中滋
・本編見た人にもパッとは誰か分からないと思うけど、お馴染みの裁判長ね。"昭和の肝っ玉母さん"に弱いことを古美門に突かれて望月の訴えを認めてしまう。結構さらっと流されたけど、「法を使うのも人間」ってことだよね。この前に読んだ行動経済学の本に書いてあったんだけど、人間の限定合理性の話……例えば「タバコを吸う人は、それによるデメリットをすべて納得ずくで合理的に判断しているのか?」という議題について必ずしもそうではなく、デメリットをよく知らずに、あるいは自分だけは大丈夫と根拠もなく思ったり、友人の誘いを断りきれなかったりと、必ずしも自分の選択を正しいと思っている訳じゃない。だからこそ、自己責任論で切り捨てるのではなくある程度の社会からの温情があっても良いのではないか、という主張があるのだが、それへの反論として「その"社会"を動かすのも人間であるのに、社会の温情とやらが合理的に正しいと言える根拠は何か」というものがある。
井手には「あの裁判官は問題ありますね」なんて言われていたが、試験に受かって資格も持ってる訳だし、その上でそういう風になってしまうんだとしたら彼個人の問題というよりはそういうシステムの問題だよね。

 

 村瀬美由紀
・ドラマを見て久々にはらわたの煮えくり返る思いというやつを味わった。えーっと、エグゼイドより後だと……あれか、民衆の敵の被害者ヅラして偉そうな女記者以来か。そうそう、平田和美。いや、そんなの今はどうでもいいんだ。こいつだよこいつ。自分が金持ちの婚約者と険悪になりたくないってだけの理由で、一人の人間(しかも友達とぐらいは呼んでもいい仲)をストーカーに仕立て上げやがったクズ。文章にして気付いたけど、僕も前に似たようなことされたな……もしかしたらそれもあってキレてんのかもしれない。
単純な程度問題として、「金持ちと結婚できなくなるかも」っていう"プラスがない"のと「ストーカーとして捕まり(たぶん)懲役を食らう」という"マイナスがある"のを見比べたらどちらがいいかなんて第三者的には明白なのに、保身のために友人を売って犯罪者の烙印を押すとか、信じられない。一切擁護する気にならん。榎戸は結局それを受け入れて、美由紀の幸せのために罪を認めたんだろうけど、人が良すぎる。僕だったらいくら好きな相手でもそこまで聖人にはなれん。架空の人物だからいつも通り好き勝手言うけど、死ぬまで罪悪感に苛まれて心から笑えなければいいのに。

 


構成

・テレビ写りを気にする古美門と、人目を憚らず爪を噛んだり花嫁を誘拐したりする榎戸が対比されている……? なんだろう、そういう演出に見えたけどだからなんだって考えるとイマイチ分からない。今回黛は榎戸と自分を重ねていた訳だから、遠回しな2人の対比だった? 無自覚なオンチとかガニ股とかがそれ? 別に僕はそんな気にしないっていうか、爪噛むのも好きにすればって感じだけど……古美門はむしろ"見栄っ張り"と揶揄されそう。あ、美由紀が自分を偽って証言していたこととも重なるか。汚いヤジも? ありのままでいることとそうでないこと……。
また別に「無罪にすることと適正な判決に導くこと」ってのも比べられてた。これはむしろ前者の古美門こそがありのまま思いのままに動いていて、後者の黛の主張は"正義感"によって自分や他人を抑圧している。どうなんだろうね。
僕自身は"嘘をつく"のもその人の特性のひとつだと思ってたりする。前回のテーマともつながるかな。うん、リーガル・ハイを見ようと思った理由の1つに、こういうよしなしごとを考えるきっかけとするためってのがあるから、思惑通りいってるな。
・あー、結婚式場から美由紀を連れ出したのと、野球場から望月さんを追い出したのも構図として重なってるのか。で、出された女性が訴えを起こすと。確かに古美門の主張は"正しい"と胸を張って肯定できるものではないし、望月本人も「ちょっと泣いたら1000万」などと言っている。どちらもかなり不当か。パワーゲーム的というか。法システムは、シン・ゴジラ風に言えば"完璧ではないが最善"のものだろうし、その文脈で言えば古美門はゴジラだろうか。合法ドラッグ(Legal high)というタイトルは実に言い得て妙だ。「こんなんアリかよぉ」なんて言われてたけど、古美門もなんでもアリ(Anything goes!)だもんね。

 


「花嫁を連れ去る」に元ネタがあることは知ってるけど、見たことないんだよなぁ。ブログ書くたびに教養のなさを露呈することになって少し恥ずかしい。
特撮の話ならちょっとできるけどね。三木はもちろん言わずとしれた生瀬勝久さん。ジオウでは順一郎さんね。あと今回デカレッドの人がチョイ役で出てた。デカレンジャーは小さいころ見てたなぁ。昔、ホントかどうか知らないけど、デカグリーンのセンちゃん役をやってたらしい人の家に泊まったことがある。記憶曖昧だったから顔が似てるかどうかも分からなかったけどね。できないの分かりつつどうするのかと思って「じゃあ変身して」って言った気がするなぁ……確かポーズはやってくれたっけ。

 

次話

リーガル・ハイ 第4話「太陽を返せ! マンション裁判仁義なき戦い」 感想 - やんまの目安箱

リーガル・ハイ 第2話「著作権訴訟はカネになる!?」 感想

キャラクター

 古美門研介
・「いい、私の采配ミスだ」
文字だけ抜き出すと良い人っぽいんだけど、流れで聞くと嫌味っぽくて、でも黛に自覚がないことを考えるとやっぱり自分の責任とするのは良い人に見える。良い人っていうか、僕が好きなタイプの人。後で結局オンチって馬鹿にしたけどね……(苦笑)

 

 黛真知子
・「自費制作で100枚。購入者は全て突き止めました」
サラッと言ってるけどすごいことじゃない? 普通なのかな。黛はこういうとこで頑張ってるって描写に見えた。

 

 三木長一郎
・「弱気になってはいけません」
自分の都合でクライアントの意向を変えようとするのは、いくらか押しが弱いとはいえ古美門のそれと似ている。方法こそ違うけど、根本的なところは割と似たもの同士な感じがする。

 

 服部
・「そうですか」
なんとなく冷たいというか、少し不自然なセリフだなと思ったけど、なるほど自分の手料理ではなかったから他人事なのね。

 


構成

・「プライド? 俺が守りたいのはそんなもんじゃない。葛西サトシというブランドが地に落ちれば路頭に迷うスタッフが何人出ると思う? 俺だって音楽ビジネスのひとつのコマなんだよ。天才ヒットメーカーという役割のね。俺はモーツァルトでなきゃならないんだよ…………」
今回はボニータに対する嫌がらせとも重なって、"大勢"とか"社会"とそれに立ち向かうロッカー、みたいな構図だったのかなと。
・ギャップってのも劇中にて重要な役割を果たしていた。んだけど、その意味するところは掴みきれなかった。黛の歌が下手だったのもそのひとつだろうか? ボニータは確かに2面性とも言えるようなギャップを持つ人だけど、どちらも彼女であって根底にあるのは同じ。って感じが、なんとなく古美門と三木のやり方は違うけど似たもの同士ってのと似てる気がした(というか無理やり関連付けられそうなものを探して見つけた)けど、どうなんだろうね。あ、今回の議題である著作権侵害と通ずるものがあるか。一見全く違うもの(今回の2曲のような)でも、実は似ているところがあるかもしれないってことかも。ただ葛西サトシ自身もギャップのある曲(アイドルのやつ)をつくっていて、それらも実はゴーストライターによるものだったってことだったので、必ずしもそうじゃないって描写になってるんだろう。結果として勝訴じゃなくて和解で収まったのもそういうことかな。

 


ギャップは笑いにもドラマ――正確には僕の表現ではジェットコースターの上下――にもなるし、こうやって読み解いていくと思ってたよりもかなり堅実につくられているみたいだ。ギャグを楽しむときってあんまりそういう小難しいこと考えないけど、真面目に見てもなかなか見応えあるな。

ただ、結局葛西サトシとさっちゃんは法定で嘘をついたことになるはずだけど、お咎めなしなのかそれとも罰金とかで済むのか、そこはちょっと気になった。僕が無知ゆえの疑問かもしれないが。

 

次話

リーガル・ハイ 第3話「初恋かストーカーか? 号泣の恋愛裁判!?」 感想 - やんまの目安箱

リーガル・ハイ 第1話「最高でもサイテーの弁護士 愛も法も嘘をつく!?」 感想

キャラクター

 古美門研介
・「以上、何か反論は」
この冒頭のやりとりは、もちろんコメディとして面白くて最高なんだけど、比較して黛の視野の狭さが見て取れる。年齢だけ(正確にはだけではないが)を見て譲るよう促した黛に対して、体付きや持ち物まで見て推察した古美門。ただもちろん"推察"に過ぎない訳で、間違っていた場合にどうするのかなってところがすごく気になったりもするんだけれどさ。ちなみにそれで言えば外見から年齢、また体力の有無を判断することもまた推察に過ぎず、見た目より若い/老いている人はたくさんいるので、ざっくり言えばどっちもどっち、強いて言うなら古美門の方が根拠が多いので確からしい、といったところだろうか。
・「どっちでもいい。やっていようがやっていまいが、そんなことは私に関係ないし、何の興味もない。検察の証拠は不十分だった。だから彼は無罪になった。それが法だ」「うぬぼれるな。我々は神ではない、ただの弁護士だ。真実が何かなんて分かるはずがない」
"Anything goes!"ってやつかな。ファイヤアーベント自身の著書を読んだ訳ではなく高橋昌一郎著『理性の限界』でちらっと読んだだけなんだけど。方法論的虚無主義って書いてあった。相対主義ってのも近いかも? 僕はこういうのが好き。
・「あなた方は使い捨てる人間を間違えましたね」
古美門は黛に何を見出したんだろう。過去5年に渡って全てのブログ記事を調べた根気や真面目さだろうか? 借金をしてまでお金を用意した覚悟だろうか?
・「いいや、合格だ」
マナーを守る義務があるのかどうかってところには何も言わないのね。まぁそれを言い出すと法もそうだけど。

 

 黛真知子
・「なんて嫌味なやつ!」
自分の見解を元にアクションを起こすことは悪いことではないし、その結果として間違ってしまうことも恥ずかしがるようなことではないと思うけど、自分の間違いを否認する姿勢はあまり褒められたものではない。理屈よりは感情で動く彼女の為人がよく分かる。ただ"大勢の前で辱められた"と見るならば、古美門はそういうところ配慮不足ではあるかもしれない? 僕自身が理屈っぽいと言われるタイプなので、あまり偏らないようにね。意識してバランスをとろうとしてみる。
・古美門法律事務所で働くことに。三木の事務所は"日和見主義"なところにウンザリしていたそうだが、それは古美門のスタンスと若干似ていないか? 黛が入ることを決意したきっかけはなんだろう。「何を信じれば」という問いに対し、例えば「何も信じられない」のような絶望的あるいは虚無的な返しではなく「自分で探せ」と、探せば見つかるかもしれないという希望を含んだ返答だったからだろうか。

 

 

うん、やっぱり面白い。確か放送当時は中学生くらいだったと思うけど、とにかく大好きだった。
ところで、冒頭で中国語を勉強していたのは中国人の女性と会うためで、それは不倫? の証拠を掴むためだったってこととか、蘭丸があの金髪の不良っぽい男として潜入してたこととか、この辺は劇中では明言されず、特に僕なんかは人を顔で認識するのが苦手(髪型変わったりすると分からなくなる)なので、映像をよく見ていないと分からない。昔これに気付いたのも、飽きるほど見返してたから。
"明言されなければ確定しない"というスタンスで見るのなら、蘭丸とあの青年はただのそっくりさんとして片付けられるかもしれない。僕はエグゼイドを見てた頃そのようなことを言っていたのだけれど、そうでもないね。というかまぁこの件について言うならば、例え疑ったとしても本筋とは大して関係ない話だからいいんだけれども。
映像作品における"描写"とは、セリフに限定されない。肝に銘じてよく見なければ。

 

次話

リーガル・ハイ 第2話「著作権訴訟はカネになる!?」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダーキバ 44,45,46,47,最終話「パンク・バックトゥ・ファーザー/ウィズユー・最後の変身/終止符・さらば音也/ブレイク・ザ・チェーン・我に従え!/フィナーレ・キバを継ぐ者」 感想

キャラクター

 紅渡
・この間自分の意思で生まれ直したかと思ったら自殺企図。こう続け様だと意味がどうこうの前に単純に飽きた。

 

 紅音也
・ダークキバ3回変身はくどいよ……と思ったけど、「仏の顔も3度まで」とかかってるんだろうか。ちなみに偶然かそこから連想したのか、ウェイクアップも3まであるね。
・死んだことで自由になったような、そんな印象を受けた。風になったというか。

 

 名護啓介
・ポエマーに転職したのかな。それとも音也の影響か。まぁ現代でイクサを担ってるのは彼だから、元より枠として近しいところはあるけれど。
・目が見えなくなるというのは、前が見えなくなるということだ。自信がなくなって、手探りになる。でもだからなんだろうね。

 

 キング
・「許せん……!」
キングは執着のないキャラクターだと思っていたけれど、全然そんなことないのね。思ってたのと違う。アームズモンスターの封印と絡めて、"自由を縛る者"みたいなイメージになってた。

 

 キバットバットⅡ世
・お、お前ってやつは何がしたいんだ……突然真夜のために裏切ったかと思えば今度は真夜を殺した(殺してなかったけど)太牙に付くなんて。彼もまた自由を愛していたようなことを言っていたので、真夜(に対する自分の執着)に縛られるのはそれはそれで嫌だったのか。それとも普通に見てて真夜を殺せなかった太牙にシンパシー感じたのか……。

・そういえば、キバット(Ⅲ世)は渡の本心的な立ち位置にいるのかなって思ったことがあったけど、もしそうだとするなら彼はキングの本心ということになる。つまり、キングよりも真夜を優先したのはそういうことと取れなくもない、かもしれない?

 


設定

・真夜はファンガイアの力を失ったのだから、渡がハーフになることから逆算すると既に真夜のお腹に渡はいるのでは?

 


よく分からなかった。ただ呆然と画面を見つめるばかり。はやくディケイドを見たいので分かるまで見返したりはしません。

 

まとめ

綺麗な物語から汚い現実へ『仮面ライダーキバ』 本編感想 - やんまの目安箱

次作

仮面ライダーディケイド 1話「ライダー大戦」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダーキバ 42,43話「パワー・オブ・ラブ・王の怒り/結婚行進曲・別れの時」 感想

キャラクター

 紅渡
・彼にとって嶋さんってそんなに大事な存在だっけ? それとも今回のやりとりで、人間とファンガイア両方の視点を持つという点でシンパシーを抱いていたんだろうか。

 

 登太牙
・「気付いていますか。昔からあなたは僕を……黴菌でも見るような目で見ていることに」
嶋「今でも痛むよ、お前に襲われた背中の傷が」
話が全然噛み合ってない。互いに自分を被害者、相手を加害者だと思ってるから、ずっと平行線なんだな。嶋は太牙がファンガイアであるというだけで多少の恐怖を感じ、自分なりに歩み寄っているつもり(食事を振る舞う)でも、太牙(食事をしない)にとっては愛情を感じるようなものではなかった。むしろ嫌がらせや当てつけに見えてしまった可能性すらある。そういうすれ違いが続いた結果としての、多分、あの背中の傷なんだろう。そして今度は嶋が当てつけとして太牙の振る舞う料理を食べないという悪循環。前にも言ったけど、一度互いにごめんなさいと言えれば全然違うんだろうけど、こうすれ違っていると先に謝ったほうが負けみたいな感じにもなってくる(謝れば仲直りできるという信頼がない)ので、まさに囚人のジレンマって感じ。
互いの選択肢はまぁざっくりと協力と非協力として、利得行列は……って、数値が違うだけで上下関係はそのままだな。

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・「深央は何もしていない。何もしていないんだ!」
嶋に対しては自分の利益を優先させる"裏切り"をしつつも、同じ口で深央に対しては自分の損害を受け入れてもその利益を優先する利他行動をする。そういうものだよね。

 

 鈴木深央
・死亡。意外と呆気なかった。僕は最近、キャラクターは死なない方がいい気がしているので、死んだということはその程度だったんだなって感じる。描写はほぼなかったけど、多分クイーンとして多くのファンガイアを殺したんだろうし、太牙にまで手を出した。その罪は確かに重いし、それを洗い流すために必要な儀式としての死というのは、まぁ順当ではある。井上作品の"最後"では妥当とか順当とかいった言葉ばかりが出てくるんだけど、それ止まりなのは死んでしまうからなのかもしれない。物語の終わらせ方、畳み方って難しいなぁ……。

 

 嶋護
・「名護くん、君のすべきことは分かってるな?」
ついこの間知ったってこともあるけど、アイヒマンの話を思い出した。

処刑前に「最後に何か望みがないか」と言われ、「ユダヤ教徒になる」と答えた。なぜかと尋ねると「これでまた一人ユダヤ人を殺せる」と返答をした問答の逸話もあるとされている。

アドルフ・アイヒマン - Wikipediaより

さてこんな常軌を逸して見える彼だけれど、かの有名なミルグラムの実験によって、誰しも環境次第でアイヒマンになり得るということが示されている。ファンガイアに差別感情を抱く嶋を断罪すべきだろうか。人間に差別感情を抱く太牙を断罪すべきだろうか。


設定

・嶋さんに至っても暴走していたので、力の扱いになれていない場合はそうなるのだろうか。それとも、器の問題か? ファンガイアの器にファンガイアの力はちょうどよいが、ハーフや人間の器にはなかなか耐えられない、みたいな話だろうか。

 


キャラクターの死というのは、もちろん"罰"……もっと踏み込んで言うと、「あんなことしたやつがのうのうと生きてるなんて許せない」という視聴者に納得してもらうためのパフォーマンスみたいな側面もあるけど、単なる事故のような「因果とは関係なくたまたまこのキャラクターの最後は死だった」と捉えることもできる。悪いことをしたから死ぬと言うのなら、それこそ誰も残らない可能性がある。その不一致を納得するための僕の理屈がそれ。深央が死ぬのなら太牙が死なないのは因果応報的に考えると明らかにおかしいんだけれど、生憎死なないと知っている。

 

次話

仮面ライダーキバ 44,45,46,47,最終話「パンク・バックトゥ・ファーザー/ウィズユー・最後の変身/終止符・さらば音也/ブレイク・ザ・チェーン・我に従え!/フィナーレ・キバを継ぐ者」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダーキバ 40,41話「アンコール・名護イクサ爆現/ララバイ・心を解き放て」 感想

キャラクター

 紅渡
・「めぐみさんに、ごめんなさいと伝えてください」
嶋と太牙の間で何があったかは知らないけど、これを言うだけでもだいぶ違うのにね。
・「兄さん、僕は生きてみたいんだ。人間とかファンガイアとかじゃなくて、僕は僕として」
『555』の40話「人間の証」から少し発展した結論ではあるけど、過程はよく分からなかった。39話のラストで真夜を助けた(強く成長した姿を見せた)から彼女の気が変わって渡にも自分を信じろと伝えた……? そうやって復活した後に倒したのが"マザー"サガークなのも気になる。
…………女王蜂の『HALF』という曲(下のMVを参照)に、「誰かのせいにはしたくないよ 生まれてみたいから生まれて来ただけ」という歌詞があって印象に残っているんだけれど、そういう儀式だったのかな。母親に"生まれた"から生きてるんじゃなくて、自分の意思で"生まれた"から生きてるんだと。

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 紅音也
・「俺は真夜に惚れている」
ガルルと普通に風呂入ってたのもそうだけど、"器がでかい"っていう受け取り方をしてしまう不思議。ゆりと真夜の二股も、かなり前から「2人まとめて愛してやる」とか言ってたし。

 

 名護啓介
・「魑魅魍魎跋扈するこの地獄変……名護啓介がここにいる。イクサ、爆現!」
健吾からイクサを取り返す回……なんだけど、そもそもなんで取られたんだっけと見返したら、楓にやられて怪我したから装着者交代って流れだった。名護に何か落ち度があってそれを乗り越えたようにも思えないので、あんまりピンとこない。昔の自分そっくりな健吾に諭すとかなら良かったのに。一応その後で、渡が暴走したら止める約束もしてたけど、やっぱ健吾のくだり要らなくない?
・「それが、未来の可能性というものではないですか」
いいセリフなんだけど、渡の復活に際して何もしてないのでなぁ……。

 

 襟立健吾
・彼の話は結局なんだったんだろう。変身ポーズはかっこいいけど、澤田のときみたいに主役が立ち直るきっかけになる訳でもなし、意味は見出だせなかった。

 

 アームズモンスター
・音也を殺せないというのは、少なくとも劇中ではあんまりなかったけど、音也と関わることで娯楽の大切さも伝わったってことでいいのかな。今のところあんまり具体的な描写はないけど、現代編の彼らと過去の彼らを繋ぐ転換点が近いのかな。

 

 キング
・「希少種族の最後の1匹だからな。城の飾りに丁度よかろう」
甘い、と思ったけど、必死さのない(剣を持たない)キャラクターとしては間違いではない……のか? 規律と娯楽は対になるものだと思ってたけど、少なくともキバでは近いものなのかな。その前提で考えてみると、確かに"ルールを定める"ということの無意味さは娯楽に近いものがあるかもしれない。「ファンガイアは人間を愛してはならない」と決めたところで、ファンガイアが人間を愛さなくなる訳ではない。そういう点で、ルールというのは余裕のある者のみに意味を持つ。勝敗を決めるのに、例えばチェスを使おうと提案したところで、相手にその譲歩をする余裕がなければ問答無用で殴りかかってくる。ものを盗んではならないというルールがあるのを知っていても、空腹で仕方ないのならばきっと盗む。そういうものだ。
・ところで、彼がアームズモンスターの前に度々現れ逃がさない様は、なんとなく釈迦と孫悟空のそれを思い出した。

 

 

若干気持ち的には置いていかれつつある。でもまだ諦めないぞ。この先を見ることで今回の話の意味を保管することもできる。

 

次話

仮面ライダーキバ 42,43話「パワー・オブ・ラブ・王の怒り/結婚行進曲・別れの時」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダージオウ EP30「2019:トリニティはじめました!」 感想

キャラクター

 常磐ソウゴ
・「最後の最後までもがいて、俺たちを苦しめればいいじゃん。俺は……俺たちは、白ウォズに負けないように戦うからさ」
ここ良かったね。僕はソウゴのこういうところがすごく好き。と同時に、やっぱりマッチポンプという言葉を思い起こさせるセリフでもあるよね。僕の中では、まとめ記事のタイトルにするくらい『剣』とそのワードは親しいものなんだけれど、その剣編でってのも手伝ってる。
アナザーキカイの件もあるし、ジオウがメタフィクションの体をとっていることもある。仮面ライダーが立ち向かわなければならない"悪もの"を想像するのも、仮面ライダーを想像したのと同じ制作陣なんだよね。ヒーローがヒーローとして成立するためには、立ち向かう悪が(それが人格的である必要は必ずしもないが)必要。
これを主人公のスタンスに取り込むことで、番組としての「敵に立ち向かう仮面ライダー」という構図を確保してしまう、この『ジオウ』の"お約束"の活かし方が見てて面白いんだよな。

 

 ゲイツとウォズ
・自分たちにとっての過去を"未来"にすり替えるのは、考えてみれば当然の帰結。そもそも彼らは「過去(2018)に戻って未来(自分たちにとっての過去)を変える/保つ」ためにここにいる訳だし。
「(ジオウを倒さないというなら)未来の仲間は助けなくていいの?」というのは前々から感じてた疑問ではあったけど、それも含めて未来の話。過去を完全に断ち切ってソウゴに寝返るのもなんだかなぁと思ってたので、これはうまい落としどころ。
ただ、この項の名前に現れている通り、反目をやめてしまったら「ジオウの家臣その1とその2」みたいな印象になってしまうのではという不安はある。レッドがヨイショされる戦隊のメンバーみたいな。まぁ、ソウゴも大概ふわふわしてるから、そこまで薄くはならない気もするけど。

 

 もうひとりのウォズ
・彼の心情は正直に言ってよく分からなかった。見返しで考えます。

 

 海東大樹
・士のそれと同型のカメラの修理を頼んだのは、彼なのかね。となると前回順一郎さんがいなかったのは、単に修理をしてたからかな? 朝食も普段通りの量は、既につくってあったのかもしれない。
・彼のお目当ては白ウォズのノートだったのね。何故欲してるのかは本編見ないと分かりっこないからこれも保留。

 

 剣崎一真
・みんなやたらと「剣崎が運命に負けてる」って言うけど、負け判定厳しくない? 本来、「世界を守るためにジョーカーを2人とも封印する」「勝者が決まり世界が滅ぶ」のどちらかが"負け"でしょ。どっちもまだだよ。
離れなきゃいけないことがビターエンド(つまり本人たちにとって最高の状態ではない)なのだとするなら、その時点で「みんなで仲良く一緒に暮らすことはできない」って運命には白旗ブンブン振ってるんだよなぁ。それはよくてこれは駄目ってのはもう理屈じゃないので、特に言うことはない。
根本的な話をすると、残ってるのがジョーカー2人の時点でどっちが勝っても破滅は決まってるんだから統制者はもう滅ぼしちゃえよってことになるんだけどね。そこはまぁ、全生命が破滅よりはマシだと願ったってことで納得してもいいけど。
・今回の戦闘も、「必殺技まで使ってるけど(カリスは)変身解除すらしていない」「アナザーブレイドが天音だと知った動揺で割と落ち着いている」など、かなりグレーに描かれている。
白か黒か、暴走か冷静か……そういう二極化した捉え方をやめてこういう曖昧さを受け入れることは、"リアリティ"にも繋がってくる。
"どっちか"じゃない拮抗状態というのは、それこそ『剣』のラストが提示しているものでもあるしね。

 

 相川始
・彼がハカランダを後にした理由というのは、別に何か目的があるとかではなく、天音の依存心こそが原因だったらしい。まぁ確かに彼女のイメージって「始さんが好き」くらいしかなくて、彼女自身の個性というのは言われてみると全然思い付かない。あと、彼女にとっての始ってのはそもそも「亡き父の代わり」という側面もあったはずで、そういう意味で自立を促すというのは思ってたよりも自然な流れ。
ここで「アナザーブレイドになった天音を助けにきたじゃないか」って思った人は極端。化物になって人を襲い始めたら自立とかそういう次元の話じゃない。普通割って入る。
・今回のジオウが仮になかったとしても、天音ちゃんが事故か何かの危機に陥って、始がカリスになれば助かるかもしれない……そういうシーンに直面しないとは限らない。
そこで剣崎との約束を守り天音ちゃんを見捨てるのが良いのかどうか。心(SPIRIT)を持つ者としてその選択は正しいのか。理屈じゃない心があるからこそ、"冷静さを失う"ということも有り得る訳で。
これは剣崎の側でも同じことが言える。全ての人を守りたいといった彼が、天音ちゃん一人を守ればとりあえずはいい始よりも力を使わずにいられるのかどうか。
どう考えても目の前の一人よりも世界の崩壊の方が悪いけど、それを悩むのが人間であり、きっと剣崎でもある。
僕は漫画版仮面ライダーを読んで「人間の持つ精神の自由とは、愚行権のことだ」と改めて思った(参考:大自然がつかわした戦士『漫画 仮面ライダー』 感想)けれど、その文脈で行くと『剣』は(あと多分『ビルド』も)とても仮面ライダーとして真っ当だ。理屈じゃなく感情的で、時に馬鹿なこと(馬鹿に見えること)もするけど、それこそ彼らが自由な証。
・ここまで考えて、『剣』という"作品"はあそこで終わってるからこそ平和に見えるのではないかと思った。
「作品を閉じる」というのはすごいパワープレイで、その後どうなったかを描かないことで小綺麗にまとめることができる。
RADWIMPSの『シュプレヒコール』という曲に、こんな詞がある。

語り継がれた物語の終わり方はいつも決まっていた

「そして彼らはいついつまでも幸せに暮らしましたとさ」

ちょっと待ってよ 知りたいのは その続きだよ 守りたいのは

やっと手にしたハッピーエンディングを 枯らさずに咲かせとくカプセルを

youtu.be

現実の認識論として、"終わる"ものは夢,物語(≒過去)、"続く"ものは現実(≒現在)になるんじゃないかという話を以前Twitterでした。夢と現実を交互に繰り返す中で、もし夢が毎度前回の続きからだったとしたら、僕らの"現実"は2本立てになっただろうと。
つまり、『剣』のキャラクター達はあの"ビターエンド"によってそのリアリティを殺されたのだ。その"続編"とは、死者が蘇ったように映るのかもしれない。なんの葛藤もなく永遠に過ごすなんて、そんなの"有り得ない"。
いずれは破綻する現実を、比較的ハッピーでクライマックスな瞬間までを切り取ることで綺麗な物語に昇華する。
散り際の桜は美しいけれど、枯れ切った桜はそうでもない、みたいな。
始さんがいつまで経っても年を取らないのであれば、天音ちゃんが死ぬ前にいずれ正体バレ(しかも仮面ライダーではなくアンデッドであることの)は起こる。そこから目を避ければ、『剣』の世界は見せかけの平和を保つことができる。
これだけ無理のあるビターエンドを、平凡ではあるがそれなりのハッピーエンドに昇華したことを、僕個人としてはむしろ褒め称えたい。

 

 

 設定

・僕も結構頭はかたいほうなので最近省みつつあるんだけど、アナザーブレイドが生まれても『剣』の歴史が消えていないのは、単に「擁立者や本人に消すつもりがなかったから」という可能性もあるのかもしれない。
クイズがアナザークイズを倒した(変身解除させた)けれどアナザーウォッチが壊れていないことがあったように、「必殺技」も「アナザーライダー誕生」も、お約束色は強いものの人間の行動の1つに過ぎない。そこに"手加減"の入る余地は、あってもいいんじゃなかろうか。
・アナザーブレイドがジョーカーの力を吸い取るというのは歴史改変能力(あるいはアンデッドとの融合能力)の応用として少なくとも僕は納得できるんだけど、それよりも気になるのはやはり「ジョーカーを抜かれて残る始ってなんなの?」ってところだよね。
まぁ、僕は普通に「剣崎が人間からジョーカーになったようにジョーカーから人間になることも有り得る。本編を経て始はただのジョーカーじゃなくて人間の部分も手に入れたのだ」ってのでなんで納得できないんだろうって感じちゃう(『剣』本編が好きなら特に)んだけど、言っても仕方ないので他の理屈も提示してみる。
28話の感想で軽く触れたけど、タイムジャッカーが"アナザーライダー擁立"というかたちで番組を"終わらせている"のとは別に、新番組を"始めている"者がいると思われる。
今回の『剣』のように前番組の世界をなかったことにする世界改変が起こらなくても、次作の『響鬼』の世界は存在している。それはつまり、「『響鬼』の世界観をつくる」という改変が別に起こっていることを意味する。それがスウォルツの仕業なのかまた別のやつの仕業なのかはまだ分からないけれども。
で、それを前提に考えると『剣』にも、彼らに仮面ライダーの力をタイムジャッカーよろしく与えた瞬間があったはず。「『剣』という番組に依存している存在は番組が消えたら消える」という理屈で行けば、本来人間だろうがアンデッドだろうが残るはずはない。残るとすれば役者さんくらいだ。でもそうならないのは、元々『剣』とは関係なく剣崎一真や相川始という"人間"は(少なくともジオウの歴史には)存在しており、そこに"仮面ライダー"や"ジョーカーアンデッド"という設定を世界5分前仮説的に与えられている様子を記録したのが『剣』ということになる。この構造は役者さんが役を演じることと相似形をなす。相川始は、「相川始という人間の心を持ってしまったジョーカーアンデッド」を演じていたという解釈になる。そうなると、彼から"ジョーカーという設定を抜き取る"のは可能だ。与えられた役を、返すだけのこと。
・剣崎が記憶を保っていたのは、アナザーライダーによる世界改変が起こっていない、かつジオウによる"継承"もまだだからということでいいのかな。剣崎が所有権を渡したことで、タイムラグがあった後にいずれ忘れる可能性もなくはないけど。天音ちゃんが2人のウォッチを持ってたのは、天音ちゃんにブランクウォッチを渡せば普通に辻褄が合う。循環については過去に何度も書いたので割愛。

 

 

まぁまぁ面白かった。ここでも感想記事でもさんざん書いた通り、僕はそもそも「汚された」なんて思うほど『剣』が綺麗ないい作品だったとは思ってないので、これは特になんの反感もなくアリ。
次回はアギト編らしいね。「これまでの危機で戦わなかった理由」が今のところ全く思いつかないので、どうなるのか楽しみ。

追記:「与えられた状況の中で、できるだけ良い方向に行けるようにもがく」ってのが僕の中の剣の核であり、好きなところ。ジオウでは"与えられた状況"が変わった訳で、この手札の中でなら間違いなく今回の結末が最善だとは思ってる。ジオウ組が解決しちゃうってのも含めて、今回彼らに与えられた運命。しかも特に抗う必要のない都合のいいものである。だったら彼らの視点ではあくまで「ジョーカーに負けないように頑張る」のが最善なんじゃない。

剣崎の融合係数が高くて13体融合キングフォームになれたり、その副作用としてジョーカーになれたりすることも、別に剣崎が努力して手に入れたとかそういうことではないんだよな。たまたま素質があったってだけ。でも彼はそれを手札のひとつとして利用してできる限りのハッピーエンドを導き出した。

「自分がジョーカーになるしか始と世界を救う方法はない」という運命を納得して受け入れたのが剣崎であって、僕の中での『剣』は、運命を受け入れるイメージなんだよな。配られた手札には文句を言わない。

ちょっと整理できた。僕の『剣』への好きな気持ちと今回のジオウは共存可能。『剣』が嫌いだから受け入れられるんじゃなくて(そういう側面もゼロではないが)、好きでもきちんと筋を通せる。すっきりした。

 

ジオウ感想一覧

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仮面ライダージオウ EP29「ブレイド・ジョーカー!?2019」 感想

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過去作

剣(ブレイド)感想一覧

仮面ライダーキバ 38,39話「魔王・母と子の再会/シャウト・狙われた兄弟」 感想

キャラクター

 紅渡
・「僕は人間とファンガイアが仲良くなればいいと思ってる」
たぶん、そもそもファンガイアが人を襲わなくなればいいってことだよね。少なくともハーフな渡は人間を食べたかったり食べなきゃいけなかったりする訳ではないみたいだから、半分は説得力がある。

 

 紅音也
・「あぁ、知ってる」
もしかすると、音也がゆりに叩かれたのは、芸術のためにファンガイアと共にいるという危険を冒したこと(≒生への欲求の希薄さ)だったりするのだろうか。

 

 登太牙
・「寂しかったんだ……今まで。でももう一人じゃない」
やっぱり、完璧なキングでなくちゃいけないという重圧がキツイのかな。特に裏切り者の子っていうのが、余計に。

 

 鈴木深央
・「太牙を倒して。渡さんがキングになって。そうすれば、私たち一緒にいられる」
発想が怖いけど、これまで規律に縛られて……というかビショップからの圧力で自由にできなかった訳だし、まぁ抑え付けたバネははね返す力も強いよね。怖いけど。

 

 真夜
・「渡、お前はここにいては駄目。私の側にいては」
うーん、なんでだろう。自立させるためって言っても、あんな幼い子供を親から離すのは一般的じゃないよな。少なくとも人間的には。考え得る可能性としては、真夜がファンガイアに狙われてるから近くにいると危険ってことだろうか?

 

 嶋護
・「人間とファンガイアの共存など、在り得ない……!」
嶋さんがそのつもりで生きてることにはなんの文句もないけれど、キバであることがすなわちファンガイアであることと繋がるのなら、序盤で倒すのを渋ってたのがよく分からない。まぁ正直に言ってしまえばこの人にはあまり興味がないので矛盾してようが何しようがどうでもいいんだけど、全体の構成を捉えるためにはそうもいかない。単に名護じゃ勝てないって話だったのかな。今(ライジング)なら勝てるんだろうか。

 

 キング
・「絶滅……それが邪魔な種族の運命」
え、『EGO』の冒頭歌詞がそのまま人の形をとったみたいな奴だな……世界中が空っぽになってしまう。どくさいスイッチの話を知らないのか。

 


設定

・ファンガイアの文化は、まぁメタ的にはモチーフになってるから当然なんだけど、どう考えても人間のそれにそっくり過ぎる。恋をしないのに結婚という儀式があるのも不思議。掟を定めた頃のファンガイアは、人間を羨んで(妬んで)いたりして真似たのだろうか。
・渡がファンガイアの血を覚醒されて暴走したけど、別にファンガイアって元来荒くれ者ばかりって訳じゃないよね。単にビショップが気を利かせただけかな。

 


"狙われた兄弟"ってなんだったんだろう。あ、一応太牙も深央に狙われてたか。

 

次話

仮面ライダーキバ 40,41話「アンコール・名護イクサ爆現/ララバイ・心を解き放て」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダーキバ 36,37話「革命・ソードレジェンド/トライアングル・キングが斬る」 感想

キャラクター

 紅渡
・「本当にどうもすいませんでした」
前回を経てまたひとつ人間的に成長している。一応2話完結の体裁を保ってはいるけど、こういうところできちんと繋がりを見せるのは好き。
・「太牙くん……どうしよう、浮かれてる場合じゃないんだ」
深央が自分のことを好きだと知って喜ぶも、太牙のことを心配もする。渡のこういうとこ、普通にいいやつだよねぇ。太牙も、嫌味な感じはあるけどある程度は(ファンガイアの掟に触れない限りは)尊重してて、いいなぁ。
・「もっと力が欲しい。深央さんを、守れる力が」
ザンバットソード、巷では卑猥なものとしてネタにされていると聞いたんだけれど、みんな(無意識に)よく分かってるね。僕は今回の見返しで初めて分かった。確かにこれは男性器……というか、性欲に近いもののメタファーに見える。健吾や太牙、ちょっと前の次狼のように「惚れた女を手に入れるために戦う」という意志を表すものであって、扱いを間違えると暴走して人を傷つけてしまうのもまさにそれ。"抜き身"な感じ。アームズモンスター3人衆で抑えられたのは、ちょっと悩んだけど、これも"遊び心"のおかげなのかもなと。現代編での彼らはいつも城の中で遊戯をしていて、鬼気迫った何かは感じない。そういうことかな。正体バレのタイミングとしてもバッチリ。

 

 登太牙
・「許さん! クイーンはキングのものだ……」
見返してたら、なんか急に切ないセリフに思えてきた。キングとしてきちんとしなければいけないという重圧に耐えて自分を規律で縛って、わずかな安らぎであるクイーンとの結婚(たまたま自分も好きになった)は達成できない……みたいな。ファンガイアに恋の文化はないはずだけど、個人単位ではいくらでも例がある。
・「じゃあ一体誰なんだ!」
渡の恋を応援するとか、恋敵と分かっても余裕そうだったのは、自分のほうが上だからまさか渡が自分より好かれるはずがないとでも思っていたんだろうか。
・「できない……友達なんだ」
そんなことはなかった。この一言があることで、直後の行動はむしろ深央や渡をこれ以上 傷付けまいと動いているようにも見える。

 

 麻生ゆり
・「ファンガイア!」
音也との関係がうまくいかない腹いせ(?)に、ファンガイア退治。正直あんまり見てて気持ちのいいものではない。それでいてイクサに変身までしてしまう気持ち悪さね。まぁ元々イクサのスーツってそういうイメージ(信仰に依る正義の名のもとで振りかざされる暴力)だからこれでいいんだけど。

 

 キング
・「その剣を持っていればお前を殺すことになる。お前を殺せば、お前を愛していることになる。俺に愛などあってはならぬ」
前述の通りザンバットソードとは"男性的な欲望"の象徴っぽいので、それを捨てたキングが真夜を取られてしまうのは頷けるかな。

 

 

キバって、今のところエピソード単位(キバでは概ね2話完結なので2話単位)で見返せば必ず何かひとつは新しく面白い発見が出てくるので、見ていてとにかく面白い。よく言う、噛めば噛むほど味が出てくるみたいな。仮にどんな終わり方とかグダり方とかしても、これが僕の中で"駄作"にまで落ちることはない気がする。

 

次話

仮面ライダーキバ 38,39話「魔王・母と子の再会/シャウト・狙われた兄弟」 感想 - やんまの目安箱

仮面ライダーキバ 34,35話「ノイズ・破壊の旋律/ニューアレンジ・飛翔のバラ」 感想

キャラクター

 紅渡
・「僕が落ち込んでばかりいるから、ブラッディローズが怒ったんだ」
たまにゴースト並みに観念的でなに言ってるのか分からなくなるよね、キバって。でもこれは辛うじて読み解けそう。ブラッディ・ローズはたぶん渡自身(キバットタツロットもかも)で、自分で自分に嫌気が差したってことの表現な気がする。タツロットがしきりに「私のせいじゃない」って言い訳してるのは、"真の姿"であり渡の感情の爆発を象徴するエンペラーフォームと何か関係があるんだろうか。健吾が関係あるのかはまだよく分からないけど、"偽物"というのもキーワードらしいので、直前の文脈と合わせると、(例えば深央のことで)自分を偽ることに耐えきれなくなった……みたいなことだろうか?
・「駄目だ……音が、前と全然違う。これじゃ駄目なんだ。何かが……何かが足りない」
実際に音が前より少し曇ってる(?)の、余計な演出に思えてしまった。モディリアーニの話を除くとアバンのミニコーナーが主になるけど、芸術に造詣が深いはずのキバットが違いに気付けないっていうのは、多分違わないってことなんだと思うんだよね。でも渡の心境が変わったので、違って聞こえる。前と同じじゃ満足できなくなってる(変化への欲求)、みたいな描写に見えたんだけど、だとするなら僕は音が変わってない方が好きだな。もちろん渡に聞こえた音を流してるって体でも悪いってことはないけど。主人公だし。
・「父さん、教えてください。父さんの祈りを……」「分かった、父さんの祈りが。僕の祈りは……。僕は僕の音楽を見つけたい」
ここでの"父さん"っていうのは、音也というよりは、"なりたい自分像"っていう意味なんじゃないかな。(真夜から聞かされた)音也のようになりたいと思ったり、名護のようになりたいと思ったりを経て、自分固有のなりたい自分を見つけた。その結果として、"受け継がれてきたキバの鎧"というだけじゃない、渡のファンガイア態とでも言うべき固有の姿(飛翔態)になる。

 

 紅音也
・次狼「まるで死人の顔だな」
やっぱり、あんまりいいことではない気がする。最後には死にそう。どうだっけ、死ぬんだっけ。

 

 鈴木深央
・渡を助けることより正体を隠すことの方が大事なのかと思ったけど、よく考えたらちょっと席を離して変身してくるというのは割とよく見るパターンだし、あのあとファンガイアになって戻ったのかもしれない。たまたますれ違っただけで。それに、元々楓のねらいは深央だった訳だし。

 

 襟立健吾
・怪我などで夢を失った者っていうのはこれまでの作品にも何度か出てきてるね。今回の彼はファイズをやってた頃の海堂みたいだ。まぁこれからイクサに変身するのも知ってるんだけど、今回のエピソードとの関連がイマイチ見えなくて、それこそノイズに思えてしまった。これが"本当の健吾"ってことなんだろうか。

 

 嶋護
・イクサの装着者を変更したのは、神田への対向心のあらわれだろうか。

 

 神田博士と楓
・「個体能力移植実験」と言うのは、今回の主テーマである"自分の音楽"と対比になってるんだろうけど、それが映像で表現されてなかったのが惜しい。ファンガイアの見た目はずっと変わらなかったので、"個性をツギハギした"感がない。そもそも倒したのはサガだし、単に思い過ごしなだけだろうか。

 

 

"分かってる感"は以前に比べて薄れてきてるけど、なんとか置いてけぼりとまでは行かずについていけてる気がする。
うん、今のところはまだ面白いよ。僕の"面白い"は、適度な難解さがありつつ分かる、というのとほぼ同義です、たぶん。反対につまらないとか嫌いとか感じるのはよく分からないもの。

 

次話

仮面ライダーキバ 36,37話「革命・ソードレジェンド/トライアングル・キングが斬る」 感想 - やんまの目安箱